葵

冴永と愛祈

「にいちゃま！きょうこそ、あきとけっこんするっておっしゃってもらいます！」
「誓わなくても愛祈と結婚するよ？」
「んんん、だめですわ！ちゃんとちかわなきゃいやです！」
「ふふふ、愛祈はことの事、すき？」
「にいちゃまがいちばんすきですわ」
「じゃあ、約束。これからもずーっとことは愛祈の傍にいるからね。だから愛祈もことから離れちゃだめだよ」
「あたくちは、はなれませんわ。にいちゃまのそばがいいですもの」
「ことも、同じ気持ち。好きだよ、愛してる。この世で一番」
「…………に、にいちゃま…」
「どうしたの？」
「……か、かっこよすぎて、あたくち…てれてしまいます…」
「そういうところも好きだよ」

月姫と愛祈

「兄様は月姫と婚約されればいいんだわ」
「………それ、冴永様本人におっしゃいました…？」
「まだよ？」
「じゃあ絶対に今後冴永様の前では言わないでくださいね。月姫が死にます」
「なんでよぉ、兄様だって喜ばれるかもしれないじゃない！二人を見てると阿吽の呼吸？みたいな、お互い知り尽くしてる感じだもの」
「そんな事はありませんよ。月姫はただの護衛獣ですから。それ以上でもそれ以下でもなく。月に近付こうなどこの体が滅びてしまうでしょう」
「……ほんとに興味はないの？」
「不安になるならそうやって言葉にしなければ宜しいのに」
「ちがっ？！違うわ！違うからっ！」
「んにゃ……子供心は分かりませんねぇ…」

アルカナとアドキエル

「シアもエリーも仲がいいわね、飽きないの？」
「………母さん達程ではないかと」
「あれはアルカナの下僕だもの。仲が良いんじゃないの。使ってやってるのよ」
「そういえば、名前で呼びませんねあの人のこと」
「呼ばないわよ理由もなしに」
「あれとかそれとか、父さん悲しんでるかもしれませんよ」
「良いじゃない。悲しんでる間はアルカナの事を考えてるって事でしょ？」
「……あぁ、成程。僕もそうしようかな」
「やめときなさい。あの子、あいつに似て堪え性がないもの。とばっちり喰らうのはアルカナよ」
「あはは、それで死んだら面白いですね」
「殺せるものならね」
「死なないのが憎らしいです」
「あっそ」

四季と春夏秋冬

「四季！今日は美味しいケーキ屋さんに二人で……」
「………とと、ちゃ」
「酷く、死にそうな顔してる」
「け、ぇき…屋さんに、……行くより、今日はお茶会しな、い？」
「何かあったの？」
「違うの、今日は、その、外に出ると、………駄目なのよ」
「兄さんにも言えない？ととにだけでも言えないこと？」
「言っても貴方は信じないわ」
「嘘、信じそうだから言わないだけね。そうやってととを遠ざけて」
「駄目なの、今日がまた来てしまったの。とと、私達、また今日を迎えてしまったの」
「………悲しいの？」
「……分からないわ」
「四季を困らせる奴、殺したい」
「そうね、私にも分からないの」

アルカナとアドキエル

「エリー！欲しいものはある？！！」
「…………ちっ(くそでか舌打ち)そうですね、弟が欲しいです」
「は？」
「髪は僕の様な色ではなく黒檀色で艶のある黒髪、ぐちゃぐちゃにしたくなるようなオッドアイ、性格は僕に従順だと嬉しいですね、僕以外に興味を持たないような子だと尚更よしです。そこはまぁ矯正していけばいいとして…あぁ、僕よりか弱い存在であり続けるような子であれば僕も無体は働きませんし名前を呼んだら返事だけ、従うように今度こそさせないといけないかもしれませんね本当に本当に何から何まで僕を悩ませ続けていいご身分じゃないですか僕の弟は、………みたいな」
「………きっしょくわる」
「貴女方程では」

初投稿は看板娘とともに