シトラス(柑橘系)

〇〇市某所にて

巨大な月が地上へと迫ってくる様子を、少女は愉しんでいる。 お月様に一番近い、高い場所から街を一望する。

少女が包丁を片手になにかを探して視線を動かす様子と、その背後には壁の切れ目に潜む異形の姿が描かれる。 少女は存在しないはずの敵を探し、不安に怯えながら徘徊する。

少女がハイビスカスの咲き誇る場所でスカートを指で摘み、舞い散る粉雪と桜吹雪を浴びているイラスト。 背景には大きな満月を模した円形の模様が描かれており、季節の変化を待ち望む様子が描かれている。

鉛色の空の下、土砂降りの雨が降る灰色の街。 少女が広げる傘の中には美しい青空と虹が広がっており、曇天の空と対比する様子が描かれている。

少女はスマホを片手に窓越しに映る街を指さす。 事故物件検索サイトを見て、この世界が病んでいる事を再認識した。 少女の知る範囲だけで刺殺・死体遺棄・無理心中……さまざまな“事故”が起きている。 統合失調症を患う、未来に希望の持てない少女にとって、終の住処はきっとこの家。 投薬によって抑え込まれた自傷他害性はいつだって、もっとも近しい家族にその矛先が向けられている。

少女が桜の樹の下で1匹の黒猫を撫でている。 黒猫は首輪がついていない野良猫と見られるが警戒する様子が見られず、少女に撫でられるがままにされている。 そんな黒猫の様子を見て少女は｢いつか悪い人に連れ去られてしまうのでは？｣と不安を抱きながらも、黒猫を愛でるのであった。

少女が桜の咲き誇る景色の下で、木の枝を手にして雪だるまを作っている。 無表情な少女とは対極的に、雪だるまは溶けだした雫で涙が表現される。 暖かくなったことでやがてこの雪だるまは溶けて消えてしまう、季節の変わり目を表現した作品。

ドリンクグラスの中に果物と共に色とりどりの髪をした少女が入っている。 グラスの中は夜をイメージした群青色のカクテルのようになっており、ストロベリーとブルーベリー、そして液体に浮かぶ氷が透明感と冷たさを演出している。 少女はその中で、独り寂しそうにこちらに視線を寄越している。

抽象的に描かれた色とりどりの髪の少女とケーキが描かれる。 少女の背後にはティーカップが描かれた額装が飾られている。 病気で流動食生活をしていた少女が固形物を食べられるようになり、好物のケーキがもう少しで食べられる様子を描いた作品。 ただし、全体の雰囲気は不気味で、少女は笑みを浮かべることなく、じっとこちらを見つめている。