で静かに口を開いた。
「許さねぇよ。俺もおめぇの耳を満足するまで揉み込むまでは」
「待て! 待て待て待て! 待ってくれ!! 前髪と耳だけはやめてくれ。他なら幾らでも触ってくれて構わないから……」
「嫌だね。やられる覚悟もねぇのにやる方が悪ぃんだからよぉ……反省しろよ」
ゆっくりと耳へと伸びてくる手。
私にはそれを止める術は当然なく、その手を受け入れるしかなかった。
「……ひぅ、ん……ゃめ…」
「そんな反応見たら止められねぇわ」
……もう絶対、ポッケ君の耳には触らない
そう心に決めるには充分すぎるだろ?
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08.12.2024 02:20 — 👍 0 🔁 0 💬 0 📌 0
印刷された本の本文の体裁で画像化されたテキストです。
以下は本文の内容です。
ポッケ君の耳にはなぜか時々小鳥がとまる……というのを本人から聞いた。
その話を聞いた時、基本大声で粗雑、圧もそれなりに強いし情緒もどうにかした方が良いと思うことがある彼女に自ら近寄る酔狂な生き物なんて居ないだろう。もし居たとしたのなら、是非サンプルを貰いたいものだねぇと冗談半分に笑い飛ばしたのはまだ新しい記憶だ。
まぁ、絶対有り得ないだろうけどね。
……なんて思っていたのだが、目の前の――寝ているポッケ君の耳に小鳥がとまっているその光景を見せられてしまい、飲んでいた紅茶を吹き出しそうになってしまった。
まさか、そんなことが本当に……?
いや、いやいや……よく考えてみろ。今のポッケ君は寝てるじゃあないか。寝ている間なら大声も出さないし圧もない、ましてや情緒を心配する必要もない。
で、あれば……だ。小鳥も何も気にせずとまることが出来るといことだ。
「ふぅン……寝込みを狙うとは、なかなか賢い小鳥君だねぇ」
皮肉を込めながら小鳥を称賛する。
もちろん、私の言葉など小鳥に伝わるはずもなく、何度も耳の根元から先までを器用に行き来して収まりのいい所を見つけると座り込み、程なくしてその目を閉じた。
「えぇー………」
そこで寝てしまうのかい?
いや、何処で寝ようと小鳥の勝手ではあるけれども。
大胆不敵にも程があるのか、ポッケ君の耳が小鳥にとってそれ程までに居心地の良いものなのか。
………気になる。
気になってしまうとその答えを見つけ出したくなるのが研究者の「サガ」というものだ。
ポッケ君には悪いが私も寝込みを狙わせてもらうとしよう。
裾を捲り小鳥がとまっていない方の耳に指先を触れる。
手入れがしっかりされているからかさらっとしていて、でも換毛期を終え冬毛になっている所為かふわっとしている。例えるなら……そう、サモエドのような。
なるほど。一度触ってしまったら、この触り心地を覚えてしまったら、何度でも触りたくなってしまう……小鳥がとまりに来るのも頷けてしまう。
軽く触るだけで終わるつもりだったが、なかなかどうして離すどころか手を埋めてこれでもかと揉み込む。その度にポッケ君の耳はピクピクっと動き、時折「……んっ」と小さな声をもらす。とまっていた小鳥は居心地が悪くなったと判断したのか飛び去っていった。
私はそれをいい事にもう片方の耳にも手をかけ、さらに揉み込んでいく。
「………ぁっ」
そろそろ止めなくてはポッケ君が起きてしまう。
だと言うのに、止められない。
もっと触っていたい……もっと、もっともっともっともっ―――
「タキオン、おめぇさっきから何やってんだよ?」
如何にも不機嫌な声と共に耳を触っていた手を掴まれる。そして向けられる鋭い眼光。
……やってしまったねぇ
「いや、これには深い理由が……ほら、前にポッケ君が言ってたじゃないか。小鳥が耳にとまるって。正にさっき小鳥がとまっていてねぇ……」
「へぇ~……で?」
「ぁ、いや、だから……小鳥が気持ち良さそうにしてたから探究心が溢れてしまったというか、なんと言うか……」
「………」
「君の眠りを妨げたことも冗談半分で笑い飛ばしたことも謝ろう。だから――っ!」
許してくれ。と言うよりも先にポッケ君の力に負けて床へと押し倒され、慣れた手つきで白衣の両手の裾を縛られてしまう。
抵抗が出来なくなった私を彼女は無慈悲な瞳で見下ろし、何時もよりトーンの低い声
今週のポケタキ版ワンドロワンライです
お題【耳】をお借りしました
寝ているポッケちゃんの耳に小鳥がとまり、それを見たタキオンさんは……
(4/5) #文庫ページメーカー https://sscard.monokakitools.net/bunko.html
08.12.2024 02:19 — 👍 0 🔁 1 💬 1 📌 0
やはり君には元気であってほしい。
もちろん、頼ってくれるのは嬉しいが……
でも、怯える姿も泣く姿もポッケ君には似合わないと思うから。
君が元気であれるよう、私は出来る限りのことをしようじゃあないか。
「…なぁ、タキオン」
何かを求める様な声と瞳が私に向けられる。
それが意味する事は……
「みなまで言わなくてもいい。大丈夫、私が全部塗り替えてあげよう。ポッケ君が安心するまで何度でも」
そう伝えると、ポッケ君は嬉しそうに笑う。
「……もしかしてタキオンも酔ってる?」
「あぁ、君からするお酒の匂いに酔ってしまったようだ」
「…なら、仕方ねぇよな」
その言葉を合図に、私達の身体はベッドに深く沈んだ
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01.12.2024 17:02 — 👍 0 🔁 0 💬 0 📌 0
印刷された本の本文の体裁で画像化されたテキストです。
以下は本文の内容です。
もう数分で日付が変わろうとした頃。
「たらいま~」
随分と舌足らずな声と共に私の愛しい恋人が帰ってきた。
ようやくか……と思いながらもリビングから玄関へ迎えに行くと、何時もの端正な顔も真っ直ぐな瞳もそこにはなく、ふにゃふにゃの顔で立っているのもやっとなくらいのポッケ君がいた。その姿によく何事もなく帰って来れたな…と安堵を覚えながら「おかえり」と声をかける。それがよほど嬉しかったのか、にまぁ~と更に顔を緩めて抱きついてくる。
「たきおんら~」
「あぁ、君のタキオンだよ。それよりも今日は随分と呑んできたねぇ」
リビングに着いた時からポッケ君から発せられるアルコール臭に相当呑まされたのだ
と確信はしていた。だが、基本お酒に強い彼女がここまで酷い酔い方をする事はあまりない。
だとすれば――
「ポッケ君」
「ん~……」
「何かあったのかい?」
私の肩口に顔を埋めていたポッケ君がぴくり、と反応する。
やっぱり何かあったのか……
「別に話したくないのであれば言わなくてもいいよ。でも、私に出来ることがあれば言ってほしい」
そう伝えるとポッケ君はゆるゆると顔をあげた。
ふるふると揺れる若草色の瞳が私を捉え、何時も煩いくらい大きな声を発する口から
は小さな、本当に小さな声が聞こえてくる。
「……だきしめてほしい」
「あぁ、これで良いかい?」
言われた通りに抱きしめるとポッケ君の私を抱きしめる力が少し強くなる。それがまるで「もっと強く」と言われているようで。
応えるよう強く抱きしめ返すと小さな嗚咽が聞こえてきた。
「ほら、玄関は冷えるぞ。泣くならリビングへ行こう」
そう言ってリビングへ連れて行こうとする。が、ポッケ君は動いてくれなくて。
「ポッケ君?」
「……ベッドにいく」
そう言うや否や抵抗する間もなく寝室へと連れて行かれ、ベッドへと飛び込んだ。
痛く……はない。ベッドだしポッケ君が下になってくれたから。
そんな彼女を見下ろす形で見つめると、再びその瞳を揺らし静かに口を開いた。
「上司に色んなところを触られたんだ。度数が高くて美味しくもない酒も呑まされた」
セクハラとアルハラ。
であれば、ポッケ君が普段酔わない酔い方をしたのも頷ける。
「…気持ち悪かった。触ってほしくなかった。……今もまだ触られた感覚が残ってるんだ」
「もう良いよ」
ポッケ君の震える声を遮って、その頬に触れる。
一瞬、怯えた様に身体をビクつかせるも優しく撫でると自ら頬を擦り寄せてきて。少しの間そうしていると、幾分安心した表情を見せてくれた。
お題:【酔い】をお借りしました
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01.12.2024 17:02 — 👍 0 🔁 0 💬 1 📌 0
10.11.2024 10:02 — 👍 0 🔁 0 💬 0 📌 0
27.10.2024 00:16 — 👍 0 🔁 0 💬 0 📌 0
🧪底が真っ黒だねぇ!!
🌴うっせぇ!中はモチモチだ!!
26.10.2024 02:31 — 👍 0 🔁 0 💬 0 📌 0
20.10.2024 09:52 — 👍 1 🔁 0 💬 0 📌 0