うにことにょろん@11/23文学フリマ東京【C-12】

呑み下し
シュヴァルツシルトが
残響す
終わりの星々
最後の雄叫び
#短歌 #tanka

ミサイルが
すべて花火に変わる日に
瓦礫は街に戻るのでしょう
#短歌 #tanka

瞬いた音が
ぱちんと消えるたび
どこからか聞こえる
おわかれのピアニカ
#短歌 #tanka

お嬢さん
お入りなさい
揺れる大縄
きつねたちが誘う
夕暮れ
#短歌 #tanka

今のところ予定はございませんが、お会いした際に突然押し付けてくることがあるようです。
お気をつけください。

なぜひとは生きるのか。
生きているひとびとはこれからもきっと問い続ける。
幾度だって何度だってさまざまなかたちで。

一年間少しずつ書きためてきた短歌の本ができました。

一年かけて詠んだ中から選び抜いた百十一首。失われてゆく日々と、消え残る感情の記憶。これは、終わりに向かう言葉の遺稿集。
さようなら 地上最後の一日よ

11/23 文学フリマで頒布予定です。

半透明に
滲んだ空の
雲間から
虹を漂う
つかの間のクリオネ
#短歌 #tanka

このまま世界がしずかに裂けてくのは、なんだかとてもかなしいよ。まるでバベルの塔みたいだねとつぶやいて、きみは

消しくずを
まとめて固めて
流れ星
宇宙の端から
少しずつ さよなら
#短歌 #tanka

整然と並んだ
かぼちゃに号令を
あなたはお菓子に
あなたは馬車に
#短歌 #tanka

花びら千切れて
空を飛ぶ
今のわたしは
焦がれて見上げる
硬いつぼみ
#短歌 #tanka

謝って
巻き戻ることは
ないけれど
確かに進むの
こころの時間が
#短歌 #tanka

決意した
一瞬後には
後ずさり
でもね あのね やっぱり
だけどね
#短歌 #tanka

より速く
踏み出す足が
目指す世界
躍動を舞う
心臓の鼓動
#短歌 #tanka

花のように
広がり落ち行く
パラシュート
青の向こうに
滲んだフレア
#短歌 #tanka

夜の街
呼び込む客引き
酔いどれたち
今宵は誰と躍るの
ピンヒール
#短歌 #tanka

分別され
ダストシュートを
巡りゆき
リサイクルされてく
昨日のわたし
#短歌 #tanka

一年の終わりを告げる
バーゲンへ
挑む人々
戦士の横顔
#短歌 #tanka

おずおずと
差し出されたきつねの手
手袋ひとつに
お菓子もいかが
#短歌 #tanka

寄り道して
ひとりきりのコンサート
時々となりに
ハモってみたり
#短歌 #tanka

きみの項に
初出を赤字で書き加えた
十七歳の冬の終わり
#短歌 #tanka

さざ波のように
寄せては過ぎてゆく
葡萄たちの宵に
幾度目かの乾杯
#短歌 #tanka

草むらに
色濃く残った宇宙の跡
さよなら代わりの
ともだちのしるし
#短歌 #tanka

テーブルに
薄く敷かれた豆乳に
散らばるお砂糖
銀河の道
#短歌 #tanka

薄皮に甘いバニラを
詰め込んで
成層圏を夢見る
シュークリーム
#短歌 #tanka

仄暗い
チルドルームの片隅で
息を潜めた
賞味期限切れたち
#短歌 #tanka

秋の夜に
そっと沈んだ蜻蛉玉
山の稜線
夕暮れを残して
#短歌 #tanka

吊り橋に
揺られ揺られて
お屋敷へ
あらまぁ あのひと
探偵ですって
#短歌 #tanka

ひきつれた
レコードの針
迷い込む
途切れた隙間に
百年の空白
#短歌 #tanka