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「　しあわせになって　」

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せかいは、廻って、廻って

そうして。

何処迄も何時迄も続く迷宮のような回路すら焼け落ちていく、俺をその中に留めたまま堕ちていく。

感情と理性に挟まれて意識が混濁して。

まるで自分が裂けたみたいに意思がバラバラと崩れて。

でももうやめたいんだ。疲れたんだ。

それは許されない。そんなの赦されていない。

このまま止まれたら、どんなにいいか。停まってしまえたら。

脳内で渦巻いていた言葉の羅列が酸素と共に薄れていく。

内側から破られていくような痛みに悲鳴をあげて、その悲鳴すらもが己を刺す凶器となって。

ふつふつと湧き上がったマグマの如き激情が奔流となって俺の中身を灼き尽くす。

全てが叫び声を上げている。俺の全てが嫌だと、厭だと金切り声を上げている。

根幹の消失。抗いようのない絶望と耐えきれない喪失感。

ひどく耳障りな音を立てて砂上の楼閣は崩れ行く。

存在の否定を俺の全てが拒否する。

全て諦めて、どうでもいいと思っていても、その時ばかりはいつもの諦観など消し飛んで。

積み上げた価値観の大前提が否定されるのはいつも突然で、そして必ず恐怖と悲哀を伴う。

思考が遅くなって、意識がゆっくりと薄れていって、世界が暗くなって。まるで蜃気楼。

呼吸を、辞める。

そんな考えに疲れて、憑かれて。それを否定したくて。答えが欲しくて。息を、止める。

苦しい。月も星も君も誰も彼も全部、誰かに見せられた作られた夢の中の幻想で。

どうしよう、どうにもできないのに、何も、何かできることなんて。

君どころじゃ無い。全部が。

全てが夢、作り物、幻想、幻覚。

ない、無いとしたら？

自分以外。全てが。

この世界が本当だとしたら？

それ以外はただ延々と白い、白い世界。平坦で、静かで、誰も居ない、何もない。これが。