吉本 俊二

対話と沈黙をめぐる芸術論・権力論〜『「お静かに！」の文化史』｜吉本 俊二 ◆今村信隆著『「お静かに！」の文化史　ミュージアムの声と沈黙をめぐって』 出版社：文学通信 発売時期：2024年11月 ミュージアムではいくつかの行為が禁じられています。例外もありますが、原則的には写真撮影や携帯電話の使用禁止といったことに加えて「静かに鑑賞すること」も求められています。それらは会場内で鑑賞者の目に入りやすい場所に明示されていることが多いようです。 しかしミュージアムにおいて「...

「熟視し、黙想し、芸術作品の深みへと沈潜していくこと。
　対話し、ときには笑い合い、隣にいる人たちとのコミュニケーションを含めて作品を楽しむこと。人は、その両方を求めてきたし、現在も求めているのではないか。芸術作品はこれまでその両方の求めに応じてきたし、現在も、そして未来も、応じ続けていく力を備えているのではないか。」

情報に対してすぐに反応しないこと〜『あいまいさに耐える』｜吉本 俊二 ◆佐藤卓己著『あいまいさに耐える　──ネガティブ・リテラシーのすすめ』 出版社：岩波書店 発売時期：2024年8月 「ネガティブ・リテラシー」とは「あいまいな情報に耐える力」をいいます。真偽を即断できない情報をやり過ごし不用意に発信しないこと。フローベールは愚か者を「すぐに結論を出したがる者」と定義しましたが、それに通じる能力といえましょうか。 帚木蓬生の『ネガティブ・ケイパビリティ』が話題に...

「あいまいな情報に対して、すぐに結論を出したり不用意に拡散したりせず、その不確実性や宙ぶらりんの状態に耐える力のこと」。その力をメディア学では「ネガティブ・リテラシー」というが、日中米間をめぐる情報が錯綜している昨今の状況をみていると、あらためてこのリテラシーの重要性を再認識させられる。

作曲家が望んだものの真の姿を求めて〜『音の世界のそのことを』｜吉本 俊二 ◆吉田秀和著『音の世界のそのことを』 出版社：音楽之友社 発売時期：2025年10月 クラシック音楽の演奏に関する批評家の文章はたいてい退屈なものですが、吉田秀和は私にとってその数少ない例外です。本書は月刊誌「レコード芸術」に連載していたＣＤやＤＶＤに関するレビューとインタビュー（聞き手は白石美雪）から構成されています。 吉田の文章を名文と呼んでいいのかどうか私にはわからないけれど、その独特の...

「学生の頃の僕は、中原中也、吉田一穂、長谷川四郎といった詩人たちをじっと見ていました。そして、学びました。「言葉」というのは、こういう風に使うのかと。」

社会で生きることの意味〜『ぼっちのアリは死ぬ』｜吉本 俊二 ◆古藤日子著『ぼっちのアリは死ぬ　──昆虫研究の最前線』 出版社：筑摩書房 発売時期：2025年4月 社会性昆虫のアリをめぐる生命工学研究者のエッセイ。孤立したアリはすみっこにいることが多くなり早死にする──。八十年前に海外で報告された現象について、二次元バーコードを使った行動解析で実態を観察。さらにトランスクリプトームと呼ばれる最新の解析や薬剤投与実験で、ぼっちのアリが死んでしまう仕組みに迫っ...

孤立アリの不思議な生命現象に迫る。

必要以上のものを求めないこと〜『お金と宗教の歴史』｜吉本 俊二 ◆大愚元勝著『お金と宗教の歴史』 出版社：東洋経済新報社 発売時期：2025年7月 宗教とお金の密接な関係を歴史的に概観した一冊。著者の大愚元勝は新興の佛心宗大叢山福厳寺の住職で、YouTubeのお悩み相談番組「大愚和尚の一問一答」で知られています。 本書はオンライン講座「佛心僧学院」での講座を下敷きにお金を軸にまとめ直したものです。仏教のみならず原始宗教からユダヤ教、キリスト教、イスラム教な...

「お金教」という煩悩を乗り越えるために。

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さすが文化の国フランス。

Ｚ世代に見出す希望〜『アメリカの未解決問題』｜吉本 俊二 ◆竹田ダニエル、三牧聖子著『アメリカの未解決問題』 出版社：集英社 発売時期：2025年1月 ガザでのイスラエルの軍事行動が始まった２０２３年１０月から大統領選挙の投開票日の２０２４年１１月までのアメリカで、どのような論争や運動が展開されてきたかを論じあったもの。竹田ダニエルは米国在住のジャーナリストで、三牧聖子は同志社大学大学院の教授（米国政治外交史）です。 本書にいう「アメリカの未解決問題...

Ｚ世代は旧世代を乗り越えることができるか。

「普通」の人が社会を変えるために〜『武器としての非暴力』｜吉本 俊二 ◆中見真理著『武器としての非暴力　日常からはじめる抵抗論』 出版社：ＮＨＫ出版 発売時期：2025年9月 政治学者ジーン・シャープの非暴力論＝戦略的非暴力闘争論の概説書です。シャープは非暴力的闘争を戦略的に論じました。そこが従来の非暴力論と大きく異なる点だと著者はいいます。 　非暴力に基づく平和論は、ほとんどの場合、宗教心の深さや強い道徳心を重んじ、非情な弾圧にも屈しない勇者・聖人をモデルと...

ジーン・シャープの「戦略的非暴力闘争論」。セルビアの民主化運動やリトアニアの独立運動などに影響を与えた実践的な理論を概説する。

文学者の責任、すべての市民の責任〜『あなたが政治について語る時』｜吉本 俊二 ◆平野啓一郎著『あなたが政治について語る時』 出版社：岩波書店 発売時期：2025年8月 文学者の政治への関与は、歴史的に見れば珍しいことでも何でもないが、むしろ文学者であればこそ、と言うべきではあるまいか？──文学者・平野啓一郎はあとがきでそのように述べています。 　一個人の人間を見舞う問題を、政治的に考えるというのは、自己責任論から脱する、という意味でもある。私たちには確かに、自分自身で...

「一個の人間を見舞う問題を、政治的に考えるというのは、自己責任論から脱する、という意味でもある。私たちには確かに、自分自身で対処しなければならない問題もあるが、対処のしようのない問題は、不毛な精神論などではなく、システムの改良を通じて解決策を模索しなければならない。」

日本語が「国語」として成立した幸運〜『無駄にしたくなかった話』｜吉本 俊二 ◆水村美苗著『無駄にしたくなかった話』 出版社：筑摩書房 発売時期：2025年9月 水村美苗が２００９年から２０２３年の間に書いたエッセイや日記、講演記録などを収めています。巻頭の書き下ろしエッセイのなかで、読んだり書いたりすることは「知らずして刷りこまれた条件反射的な物の見方を少しずつ修正していく機会を与えられるということ」とさりげなく記したフレーズに著者の文学観が端的に表現されています。 ...

海外での体験。家族への想い。そして文学や日本語のこと──。

岩手大学構内にクマが出現し、今日の午後の講義がすべて中止になりました。盛岡では中心市街地でのクマ出現が相次いでいていますが、大学にまで入って来るとは驚きです。
私は宮沢賢治の講義の中で『なめとこ山の熊」を取り上げ、賢治はクマと人との共生を望んでいた、などと話しているのですが、現実の世界では難しいですね。　#岩手大学　#宮沢賢治　#なめとこ山の熊

「あっ」と驚く「これ」と「アレ」〜『誰でも、みんな知っている』｜吉本 俊二 ◆高橋源一郎著『誰でも、みんな知っている　これは、アレだな』 出版社：毎日新聞出版 発売時期：2025年8月 〈これは、アレだな〉シリーズの４冊目。既刊書では「これ」と「アレ」の思わぬ結合や連想が一つの読みどころとなっていたように思うのですが、前半はその両者の関係をめぐる意外性はあまり追求されていません。ニット・デザイナーの三國万里子には橋本治、今和次郎の考現学には赤瀬川原平と、むしろ積極的に似...

全世界に存在するあらゆる事象・現象の中から「あっ」と驚くような共通点を探りだす。「だからこそ、誰も考えつかないような会心の「これ、アレ」を見つけた瞬間には天にも昇る心地がするのである。」

路上と水面が隔離された時代の行動様式！？〜『阪神ファンとダイビング』｜吉本 俊二 ◆井上章一著『阪神ファンとダイビング　──道頓堀と御堂筋の物語』 出版社：祥伝社 発売時期：2025年9月 関西を本拠とするプロ球団がリーグ優勝や日本シリーズで勝利をおさめたとき、御堂筋パレードが行われます。といっても必ず実施されるわけではありません。やろうと思って安易にやれるものでもないらしい。何故か。大阪を代表する目抜き通りと在阪球団。その関係を掘り下げていく論考はなかなかおもしろい。 そ...

〈阪神ファンとダイビング〉の考察から「水辺に誘われる人たち」の行動様式と都市開発の歴史を重ね合わせる。井上節全開のユニークな文化論。

独特の魔力をたたえた不思議な磁場〜『幼さという戦略』｜吉本 俊二 ◆阿部公彦著『幼さという戦略　「かわいい」と成熟の物語作法』 出版社：朝日新聞出版 発売時期：2015年10月 本書が論じる「幼さ」とは正真正銘の幼さではもちろんありません。標題にあるとおり戦略として選ばれた「幼さ」です。幼さは知恵であり戦略でさえあるというのが本書全体を貫く認識です。 その観点から俎上に載せられる作家は多種多様です。太宰治。村上春樹。武田百合子。ルイス・キャロル。多和田葉子。...

「幼さ」が持つ独特の魔力。

SNSを見ていると、民主主義＝多数決と考える人が未だに多くてビックリする。前者は政治理念や制度であり、後者は意見集約のルールの一つにすぎない。多数決を採用しない民主主義は論理的にも現実的にも存在しうるし、多数決を採っているからといって民主政が実現しているとも限らない。両者の関係について意見するなら、せめて坂井豊貴『多数決を疑う』くらい読んでからにしよう。

危機を迎えている二つの事柄〜『民主主義と東京大学』｜吉本 俊二 ◆宇野重規編『民主主義と東京大学　大学の自由と使命を考える』 出版社：東京大学出版会 発売時期：2025年8月 東京大学設立１５０周年を記念して開催されたシンポジウムとその後に行われたディスカッションをまとめた本です。宇野重規（政治思想史）のほか、苅部直（日本政治思想史）、加藤陽子（日本近代史）、小玉重夫（教育哲学）、川久保皆実（弁護士、つくば市議会議員）が参加しています。 前半に収録されてい...

民主主義と大学の危機がさらに加速していく時代状況のなかで。

あれもこれも多様なものに関心が向かうままに〜『世界のほうがおもしろすぎた』｜吉本 俊二 ◆松岡正剛著『世界のほうがおもしろすぎた　ゴースト・イン・ザ・ブックス』 出版社：晶文社 発売時期：2025年8月 版元によれば松岡正剛の「最初にして最後の自伝的インタビュー」ということらしい。断章として節目節目に発表したエッセイを合間に挿入して凝った作りになっています。 例によって豊富な語彙を自由自在に駆使しての達者なトーク。「香ばしい失望感」というわかったようなわからないような言葉を作った...

「これもおもしろい、あれもおもしろい、どれもこれもおもしろいというふうに多様なものに関心が向かうままに、どんどん枠組みを外していったんですね。」

人間存在の本質に宿るもの〜『零落の賦』｜吉本 俊二 ◆四方田犬彦著『零落の賦』 出版社：作品社 発売時期：2025年8月 『摩耗の賦』『愚行の賦』につづく〈賦〉三部作の完結編。人間存在がつねに可能性として孕んでいる「零落」について、文学・演劇・映画の領域を横断して縦横無尽に論じています。あらゆる分野で専門分化が進む御時世にあって、四方田犬彦の自在な議論の運びには感服するしかありません。 そもそも零落とは何でしょうか。凡庸な書き手ならまずは辞書を...

名誉と栄光につつまれた者たちは、やがて人々から見捨てられ、忘れ去られる。人間という存在の本質に宿る「零落」について論じた好著。

書く者たちの物語〜『月を見に行こうよ』｜吉本 俊二 ◆李琴峰著『月を見に行こうよ』 出版社：集英社 発売時期：2025年8月 アイオワシティでは毎年、International Writing Program（ＩＷＰ）なるものを開催しています。世界各国から詩人や小説家などの文筆家を招き、約２か月半交流する「ライター・イン・レジデンス」の滞在型プログラムです。李琴峰は２０２３年、このプログラムに招かれました。そこでの経験をもとに書き上げたのが本書で...

アイオワ大学の国際創作プログラムに集まった作家たちの物語。

ひとつの社会問題として考える〜『ルッキズムってなんだろう？』｜吉本 俊二 ◆西倉実季著『ルッキズムってなんだろう？　みんなで考える外見のこと』 出版社：平凡社 発売時期：2025年8月 中学生の質問箱シリーズの一冊。対話形式でルッキズムとは何かから始まり、それが社会のあり方を歪めていることをわかりやすく解説しています。大人の私が読んでも勉強になりました。著者の西倉実季は、社会学、ジェンダー研究、障害学を専攻する研究者です。 ルッキズムとは一般にルックスやアピアランス...

「心のもちよう」によって問題を解決するのではなく。

学歴の選良はどこからきてどこへ行くのか〜『「東大卒」の研究』｜吉本 俊二 ◆本田由紀編著『「東大卒」の研究　──データからみる学歴エリート』 出版社：筑摩書房 発売時期：2025年4月 日本社会ではかねてから学力格差や体験格差が問題とされてきました。その学歴ピラミッドの頂点に位置する東京大学に対してはこれまで様々な批判や提言がなされてきましたが、その実態については意外と知られていません。 そこで教育社会学者の本田由紀は東大卒業生を対象に大規模な独自調査を行ないました...

学歴エリートの生態と格差社会のリアルを描き出す。

社会の変革という考えから卒業しよう！？〜『時間・自己・幻想』｜吉本 俊二 ◆マルクス・ガブリエル著『時間・自己・幻想　東洋哲学と新実在論の出会い』（大野和基インタビュー・編、月谷真紀訳） 出版社：ＰＨＰ研究所 発売時期：2025年4月 マルクス・ガブリエルには中国哲学を専攻する哲学者・中島隆博と組んだ『全体主義の克服』という対談集があります。そこではガブリエルの中国哲学に対する造詣の深さがみてとれました。というわけで今回は、新実在論と東洋哲学の融合がメインテーマとなっ...

西洋哲学と東洋哲学の統合を目指して。

生を想え〜『メメント・ヴィータ』｜吉本 俊二 ◆藤原新也著『メメント・ヴィータ』 出版社：双葉社 発売時期：2025年5月 本書はポッドキャストでのひとり語りを書籍化したものです。もっとも書籍化に際して大幅な補足や修正をほどこしたらしく、ほぼ書き下ろしの本ということらしい。 瀬戸内寂聴や白土三平との思い出。生まれ故郷の門司港界隈にまつわる回想。ユージン・スミスの写真にみえる矛盾。香港雨傘運動のこと。パリと東京の若い女性に見える異相。家屋に...

ポッドキャストから生まれた異色のエッセイ集。

街に潜在する繁栄の痕跡〜『大阪のなぞ』｜吉本 俊二 ◆橋爪紳也著『大阪のなぞ　歴史がつくってきた街のかたち』 出版社：河出書房新社 発売時期：2025年6月 かつての繁栄の痕跡を再確認しながら「大阪人も知らない大阪のこと」を掘り起こしていくという趣旨の本。著者の橋爪紳也は此度の大阪万博にも構想段階から関与しており、良くも悪しくも大阪を代表する文化人のひとりです。 日本のガウディと称される今井兼次が制作した「糸車の幻想」やら船出町の高架橋やら長居...

かつて「大大阪」と呼ばれた時代があった。

弁護士に重要なのは切断の感覚や〜『関係のないこと』｜吉本 俊二 ◆上田岳弘著『関係のないこと』 出版社：新潮社 発売時期：2025年6月 ２０１９年に芥川賞を受賞した上田岳弘の最新短編集。五篇の作品が収録されています。 表題作がとりわけ印象深い。三十代半ばの弁護士・寺田太一が主人公。彼は文字どおり「関係のあること／関係のないこと」を切り分ける必要性を自覚して振る舞っています。「弁護士に重要なのは切断の感覚や」とは先輩弁護士の忠言です。「関係のないこととある...

自分と「関係のないこと」を切り離すのが肝心！？

権力分立思想は誤謬だった！？〜『21世紀の独裁』｜吉本 俊二 ◆佐藤優、舛添要一著『21世紀の独裁』 出版社：祥伝社 発売時期：2025年7月 前世紀で命運が尽きたと思われた独裁者がまたぞろあちこちに出現し始めました。ロシア、イスラエル、そしてアメリカ。過去の遺物となったはずの独裁政治はなぜよみがえってきたのか。そのような世界情勢のなかで日本はどうすべきなのか。佐藤優と舛添要一が語り合っています。 「碩学二人が警鐘を鳴らす」というのが版元の謳い文句ですが...

「独裁者の時代」は繰り返される！？

中動態の世界を生きる！？〜『ギリシャ語の時間』｜吉本 俊二 ◆ハン・ガン著『ギリシャ語の時間』（斎藤真理子訳） 出版社：晶文社 発売時期：2017年10月 冒頭、ボルヘスの名が出てきます。晩年失明したラテンアメリカ文学を代表する作家をめぐる挿話は本作を象徴するにふさわしいものかもしれません。 ある日突然言葉を話せなくなった女。女は失われた言葉を取り戻すため今は話し手のいない古典ギリシャ語を習い始めます。そこでは少しずつ視力を失っていく男が講師を務めてい...

言葉を失っている女と視力を失いつつある男が出会う時……。

今ここから解放されること〜『文学は何の役に立つのか？』｜吉本 俊二 ◆平野啓一郎著『文学は何の役に立つのか？』 出版社：岩波書店 発売時期：2025年7月 平野啓一郎が折りに触れて発表してきたエッセイや批評文を収めています。冒頭に収録している講演録のタイトルをそのまま書名にしたのは正解でしょう。本書中では最も読み応えのある一篇です。 文学は何の役に立つのか？　これまでの文学者は、そのような問いかけに対して斜に構えた応答をすることが多かったように思います。しかし...

文学の力を根源から問う。

武器を持たない勇気を〜『どうして戦争しちゃいけないの？』｜吉本 俊二 ◆ダニー・ネフセタイ著『どうして戦争しちゃいけないの？　元イスラエル兵ダニーさんのお話』 出版社：あけび書房 発売時期：2024年3月 著者であるダニー・ネフセタイは元イスラエル兵で、現在は埼玉県で家具職人をしながら講演活動を行っているそうです。戦争は最大の人権侵害であるとして、軍事力に頼る平和構築に警鐘を鳴らす態度は本書において徹底しています。祖国の歴史と現状を考えれば、過去の入植活動や現在進...

軍事力に「酔っぱらう」国から来た元兵士のお話。

一般的なのに謎につつまれた楽器〜『ピアノへの旅』｜吉本 俊二 ◆坂本龍一著『ピアノへの旅』 出版社：アルテスパブリッシング 発売時期：2024年12月 ピアノは世界で最も普及した楽器の一つですが、その起源や発達の過程には謎も多い。本書では坂本龍一が研究者とともにその謎に迫ります。 第一部では伊藤信宏を聞き手として坂本がピアノ体験を語っています。話の内容は多岐に渡りますが、小学生のときに出会ったバッハの《インベンション》の話が印象的です。 　……ぼくは...

坂本龍一が、ピアノについて、ピアノ音楽について、語る。
さらに謎につつまれたピアノ誕生の歴史をたどる。