「悪い大人になっちゃった、かな」 少し前の自分からは考えられない行為に自嘲する。 とりあえずは、自分の上司に当たるだろうVIPに、周防の高評価を耳打ちしておこう。 恐らく打算的なそれが、自分が彼にしてあげられる事だろうから。
すおまな2/2
@miyamoto1017.bsky.social
みやもとの青空 創作物のサルベージも兼ねる。
「悪い大人になっちゃった、かな」 少し前の自分からは考えられない行為に自嘲する。 とりあえずは、自分の上司に当たるだろうVIPに、周防の高評価を耳打ちしておこう。 恐らく打算的なそれが、自分が彼にしてあげられる事だろうから。
すおまな2/2
印刷された本の本文の体裁で画像化されたテキストです。付記に「指輪の言い訳」と記載されています。 以下は本文の内容です。 リングケースに収められた、シンプルで品の良い銀の指輪。 口元の黒子が特徴的な、甘いマスクの青年に差し出されたそれに、眞鍋瑚太郎は苦笑した。 「何だその顔は、調子にのるなよ」 むくれた様子を隠そうともしない特別営業課の若手は、猫を被っていなければ存外に分かりやすい。 尤も、彼にとって自分が猫を被る価値のないモノだということを忘れてはいないが。 銀行の賭場の狂騒の後。 シヴァリング・ファイアのゲームにて、眞鍋瑚太郎は死んだ。 正確には、ギャンブラー〝瞼無し・眞鍋瑚太郎〟は、だが。 かつて眞鍋に孫を救われたというVIPが密かにその生命を買取り。他のVIPの手前、対外的には死亡した事にして自身の経営する児童養護施設に住み込みで匿っているという現状だ。
事故死扱いとして〝眞鍋瑚太郎〟の戸籍は処理されたため、名前も別のものに変えられ。顔は不幸中の幸いか、火傷と、ゲーム後に自分の中で整理がついて、雰囲気が変わったとかで、変えられてはいない。 それでも、うっかり眞鍋瑚太郎の名前が口元に登ってきてしまうことはあるわけで。 その対策として、差し出されたのがこの指輪ということだそうだ。 「いや、要は頑張ってて偉いな」 「はぁっ!? …馬鹿にしてんのか!?」 端正な顔をわかりやすく歪めた彼は、いわゆる眞鍋のお目付役だ。 真鍋の生存がバレないよう、また、眞鍋がギャンブルに手を出したり、勝手に大人を教育しようとしないように、仕事の合間を縫って御用聞と釘刺しに現れる。 若い、というより子供に近い方が、対眞鍋としてマシだろうと手配された、周防要二五歳。 VIPに飼われている眞鍋に対して、舐め腐って尊大な態度を隠さないのも若さゆえだろう。
以前なら教育一直線のその態度だが、大人についたマルを見れるようになった眞鍋は違う。 だって、彼は頑張っている。 「要はうっかり前の名前を言ってしまいかける僕の悩みに真摯に向き合って、コレを選んでくれたんだろう?」 「……は! 俺はただ、お前がゴミみたいなミスをするから!! 代表様のご迷惑にならないように考えてやっただけだろうが!!」 なかば怒鳴るように指輪を押し付ける周防。 「言い間違えた時に、指輪触ってもう違うんでした…とでも言っておけば周りが勝手に物語作って勘違いするからそれで乗り切っておけバーカ!」 嘘を付かずに人を騙す詐欺の手法を告げながら、肩を怒らせて背を向ける。その耳は赤く。 「人をよく見てるんだな。すごいぞ、要。口が悪いのは減点だが、人のためを思って行動できるのはすごい事だ!」 「誰がお前のためだ! いいからそれつけとけ!!」
褒めの言葉を重ねれば強くなる語気。 今時の小学生でももう少しマシな照れ隠しをするだろう、その態度に。 ついつい笑みがこぼれてしまう。 「要は本当に可愛いなぁ…」 「っこの、黙ってろクソ教師!!」 ぷんすこ怒りながら帰る周防を見送って、真鍋は押し付けられた指輪を眇めた。 「人のためとは言ったけど、僕のためとは言ってないんだよなぁ」 飾りも何もない、ただの銀の輪。 薬指にちょうど嵌った、そのサイズに。本当によく見ている、と皮肉を口内で転がした。 第一、腐ってもワンヘッドギャンブラーだった眞鍋が、〝うっかり〟口を滑らすと信じたことからして実に愚かしい(かわいい)。 十も離れた年下の青年を、揶揄うような真似をして。こう言えば、この子はどう動くんだろうと試して。
すおまな1/2
🌱生存if
🌱に💍を差出すすおの話し
171と172に脳を焼かれて幻視した
#文庫ページメーカー https://sscard.monokakitools.net/bunko.html
右しし前提のししさめhttps://privatter.me/page/678cac41e08c7
20.01.2025 03:39 — 👍 0 🔁 0 💬 0 📌 0ちょまズ
25.12.2024 11:15 — 👍 2 🔁 0 💬 0 📌 0