ぽど10/26 秋M3 K-09a

無理ンガーZ

キシネンの発生を確認(頭に茄子を当てる)

冬毛ふわふわ笹目ちゃん(24)を抱きしめて、「俺もずっと好きだったから。ごめんな、寂しい思いさせて」と言う藤枝役やれます。やらせてください。(手術台に縛り付けられながら)(正常な意識はない)

いっぱい狂っても良いのか？

手の震えが止まらないんですよ

あ、解毒剤はこちらですか？今日は幻覚がいつもより強めに出ていて....。

「え、藤枝、笹目ちゃんと、どうなん？」
サッカー部の、たぶん彼の親友だろう男子が尋ねている。
「あー、笹目？ あいつとはなー、別に付き合ってないよ。音楽仲間みたいな？あいつの歌、結構好きでさ。公民館のピアノ、あいつとだと集中して弾けるから」
藤枝くんの声は、いつもの、屈託のない明るいトーン。
その一言。
「音楽仲間」
春なのに、足元から冷たい雪解け水が流れ込んできたような感覚だった。そこで、初めて知った「恋」の断片は、何の形にもなることなく、音もなく砕け散った。

同じ日、私も彼と同じでこっそり演奏を録音していた。その音源をずっと大切に持っていて、聴き返していた、そんなことを絶対に知られるわけにはいかない。私のプライドが許さない。
「今でもあれ、歌える？もし時間あれば全然ピアノ弾くけど。あのあと色々アレンジも試してさ。お前いなくなっちゃったからそのままになってるけど」
びくりと体が震える。今でも弾ける、という言葉の意味。あの時、その場の流れで即興で作った曲。彼は録音を聴きながら音を拾い、幾度練習したのだろう。
私は時間をかけて息を整えて、頷いた。悔しい、悔しい。あの日の録音、ピアノのフレーズ、全て覚えるほどに何度も聴き返してきた。歌えない訳がないのだ。

「あれは、ただ受験勉強が忙しくなって、音楽なんてやってる場合じゃないって思ったから」
私は嘘をついた。
「ふぅん」
藤枝は興味無さそうに答える。
「俺は別に受験とかどうでも良かったからさ。一緒に音楽やってたかったけどな、結構楽しかったし」
嘘だ。私は心のなかで呟く。
「今でもあの時の録音持っててさ、お前が口きいくれなくなるちょっと前のやつ。雪の日に公民館で取ったやつ好きなんだよな」
嘘だ、嘘だ。
「あのあと俺は東京に出て、今は音楽で食ってるけど、どうしてるかなってずっと思ってたから。会えて嬉しい。これは本当だ」
私は俯いたまま、何も言わなかった。何か声に出すと決壊してしまいそうで。

「てか、ちょっと太った？」
「太ってない！普通に成長しただけ！久々に会ってかける言葉がそれってどうなの？」
「ちょっとからかったら直ぐ怒るところは相変わらずだなぁ...。会いたかったよ、とか言ったほうが良かった？」
「馬鹿。音楽仲間とか言っておきながら卒業後は連絡ひとつよこさなかったくせに」
「それはそっちが、急に話しかけても無視するようになったからだろ。卒業前」
「あれは....。」
お互いあんなに打ち解けあっていたのに、友人達の前で「ただの音楽仲間」ときっぱり言われたことで、密かに抱いていた恋心を裏切られてしまったように思えて心に壁を作ってしまった、なんて言えるわけない。

雪の日の歌(2018年学生時代ver)
雪の日の歌(2025年再会ver)

こんな演奏しといて責任取らないの藤枝君それは罪だよ

藤枝さんと練習2.m4a

藤枝さんと練習1.m4a

歌の伴奏して、ポケットに隠したスマホで録音した2度と聴くことはないであろうデータがどこかに残っている人間には効くのでやめようね………

この物語の最大のハイライトは、紋別港を遥か遠方に望む高台の公民館にて、彼が即興のピアノ伴奏でいくつもの断片的なフレーズを奏で、その上に詩を紡ぐように笹目さんが歌を乗せ、オホーツク沿岸の初冬の美しさ全てを詰め込んだような雪の降り頻る朝の光を逆光に笹目さんがくるくると踊るシーンなんだよね。

笹目さん(基本一人が好き、家族の中では兄と一番話が合う、趣味は音楽鑑賞）、高校2年の終わり、クラスの皆が憧れるようなサッカー部イケメン男子が放課後公民館のピアノを借りて練習しているところを目撃してしまい、初めて知る感情の断片が恋なのだと気づくまでのぎこちない道のりを辿る二人の交流が始まり、笹目さんの歌と彼のピアノの伴奏でスマホに録音した音源が、24歳になっても消すことのできないかけがえのない思い出になるんだよね。

笹目さんの恋愛、描きたいけど絶対まともな、幸せな恋をしてハッピーエンドにならない、切ない何かが起こる予感しかしない

笹目雪(17)←かわいい
笹目雪(24)←かわいい

「髪の毛なんて長くしても暑苦しいだけだし基本ショート、中学生の頃から使ってる縁太めのメガネ、結局これが一番落ち着く。通学用のリュックサックと防寒上着も兄のお下がり。自分でも地味だって、可愛げないって思うけど、変に意識して男子に言い寄られるくらいなら地味なくらいでちょうど良い。」
いつか北海道なんて出てやるんだ、そう思っていた高校生時代。名前に雪なんてつけて、と恨めしく思う。いつだってこの街が、この風景が嫌いだった。

ちなみに私は、5年ほどまえに北海道札幌市の地下にあるアングラLPレコ店にて、1970年代ブルースミュージックのLPを熱心に掘っては、「おじさん〇〇(黒人アーティスト)の入荷ないの〜？」と聞く黒髪バスケ部系女子高生（リュックサックにフェルトのキーホルダーつき）を見かけて、概念の強さに脳が焼かれてそのまま真顔ですすきのの夜を徘徊したことがあります。あの夜から人生が少しずつ変わってしまったのです。

あっ！！！あっあっあっあっ！！！！あっあっ！！？？

へにゃり

高濃度の男女おつきあい様相を脳内に流し込まれてぐるぐる目になっている

これだけ創作男女の話をしているが、本にするときは何か運命的な出会いかのように描写して、結局何も変わらない、出会いも、変化もない人々の短編漫画を集めたアンソロも作りたいな。

あっ！！あっあっあっあっ！！！あっ！？

バーのお姉さん、男性にズブズブに溺れて恋煩いした女の子から色々お話聞きたかったのに、出てくる話がこの間一緒に初詣いきました。その時の男性さんですとか、お花見しました、綺麗でした。これお花見団子食べてる男性さんです。とか、〇〇町にできたカフェがすごく雰囲気良くて、1人だと心細いので、男性さんにもついてきてもらおうと思って、みたいな話しか出てこなくて、今までの女の子たちみんな軒並み男性さんと付き合ってメンタルやられちゃってメチャクチャになっていたのに、この子…新しいタイプかも……と、異形のものとして扱い始めてほしい。
付き合ってるの？って聞かれて、えっ、いいえ？って返されて余計？になってほしい

今年もそろそろ終わりですね…って、こたつ入って和んでるとき、ふと、あれ、この人なんでうちにいるんだ？？？？となるけど「すみません、おじゃまでしたか？」とみかんをむいて半分女の子に渡す男性と「おじゃま〜…では、ないと思いますが」「えへへ、よかった。あっ、この神社、初詣で熱燗振る舞われるんですよ、楽しみですね」「そうですね(一緒に行くんだ？)」「ポストに入ってたこの初売りどうします？結構混みそうだなって」「そうですね(一緒に行くんだ？)」「あっ、おせち、どうしますか？俺作りましょうか」「そうですね(作れるんだ…)あ、いや、スーパーで申し込みしてた分受け取りに行くから大丈夫ですよ」みたいな男女が

ドリンクを作りながら、「恋しちゃったんだ」と意地悪そうに笑うお姉さん。指の先でグラスの足元に溜まっている水滴の指の腹で伸ばしながら「揶揄わんでくださいよ」と先ほどの男性とは真反対の方、壁にかけられた絵を注視する。「危ないよー、気をつけないと」「…具体的には」「あんた、一途なんだもん。そういう子はあの手の男に人生めちゃくちゃにされちゃうの」「はぁ…」と、恐る恐る男性の方へ視線を戻す。骨ばった華奢な手だ。と、気づけばこちらに不思議そうに視線を向けている。少し首を傾け、「どうも」とでもいうように微笑まれ、カーッと熱が湧き上がった。その頬に、よく冷えたグラスをちょんと当てられ飛び上がる。