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さまなし

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アイコンとヘッダーは椿ノ都様の作品をお借りしています→ https://x.com/led_awaame gnsnの蛍受け中心 成人済み20↑ 作品タグ → #3m74ss 作品の使用・転載・AI使用禁止 今のところ壁打ち運用、反応鈍いです

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ように頭を撫でただけ。逆の立場だったなら自分も同じようにしていたはずだ。
 それなのにどうしてこんなにも鼓動が早くなるのか。言葉なくただ見つめているとハッとした蛍が慌てて手を引っ込める。
「ご、ごめんね。ついパイモンにしてるみたいにしちゃって」
「あ、いや……」
 撫でられる刺激が無くなって寂しさを感じてしまう。もっとしてくれていいのにと、欲が出る。それはすぐに口に出ていた。
「今の、もう少しだけいいか?」
「え?」
 驚いた様子の蛍は一度自身の手を見てこちらに視線を戻した。少ししてそろりと伸ばされた手を見てファルカは頭を垂れる。目を閉じて待っていると先程よりもゆっくりとした動きで頭を撫でられる。小さな手が何度も頭に触れては離れていった。
(……そうか)
 好きなのだ、と唐突に思った。彼女のことが、蛍が、好きなのだと。何故こんなにも突然なのか。
 いや、本当はもっと前から好きだったのだ。恋に落ちるとはよく言うが、その恋の上の薄氷に立ち続けて、いつ落ちてもおかしくなかった。それを今、踏み抜いた。
 自覚した瞬間に全てが欲しくなる。今すぐその小さな体を抱き寄せて、もっと近くで頭を撫でて欲しい。彼女の慈愛を一心に受けたい。
 しかし、いつまでもこうしてはいられない。ゆっくりと顔を上げると蛍の手は撫でるのを止めた。

ように頭を撫でただけ。逆の立場だったなら自分も同じようにしていたはずだ。  それなのにどうしてこんなにも鼓動が早くなるのか。言葉なくただ見つめているとハッとした蛍が慌てて手を引っ込める。 「ご、ごめんね。ついパイモンにしてるみたいにしちゃって」 「あ、いや……」  撫でられる刺激が無くなって寂しさを感じてしまう。もっとしてくれていいのにと、欲が出る。それはすぐに口に出ていた。 「今の、もう少しだけいいか?」 「え?」  驚いた様子の蛍は一度自身の手を見てこちらに視線を戻した。少ししてそろりと伸ばされた手を見てファルカは頭を垂れる。目を閉じて待っていると先程よりもゆっくりとした動きで頭を撫でられる。小さな手が何度も頭に触れては離れていった。 (……そうか)  好きなのだ、と唐突に思った。彼女のことが、蛍が、好きなのだと。何故こんなにも突然なのか。  いや、本当はもっと前から好きだったのだ。恋に落ちるとはよく言うが、その恋の上の薄氷に立ち続けて、いつ落ちてもおかしくなかった。それを今、踏み抜いた。  自覚した瞬間に全てが欲しくなる。今すぐその小さな体を抱き寄せて、もっと近くで頭を撫でて欲しい。彼女の慈愛を一心に受けたい。  しかし、いつまでもこうしてはいられない。ゆっくりと顔を上げると蛍の手は撫でるのを止めた。

「ん……ありがとな」
 物足りなさを感じつつも、感謝の言葉を述べる。気持ちを切り替えようと立ち上がり、みんなの元へと戻ろうとして、蛍が動かないことに気付いた。
「蛍? どう……っ」
 名前を呼ぶと蛍は顔を上げた。その顔を見た瞬間、ファルカは言葉を失った。何故か顔を赤くして少し潤む瞳をこちらに向けている。どうしてそんな顔をしているのか分からない。けれど恋心を自覚した今、その顔はいらぬ情欲を生んでしまいそうになる。何か言わなければと口を開くが言葉は出ない。苦肉の策で蛍の髪をぐしゃぐしゃとかき混ぜた。
「わっ! ちょ、っと、ストップ!」
 少し乱暴に扱うと慌てた様子の蛍がファルカの手を掴んで立ち上がる。
「もうっ! いきなり何?」
「いや、なに。お前が動かないから眠くでもなったのかと思ってな」
 怪しまれないようにそれっぽい理由を作ると、蛍は疑問に思わなかったようで乱れた髪を気にしている。鏡がないので乱れてしまった髪はいつまでも直らない。ファルカは悪いと言いながらその髪に触れた。柔らかな金色の髪を優しく拾いながら乱れを直していく。壊れ物を扱うように動かした手は震えてなかっただろうか。
「……よし、これでいいだろ。それじゃ、行くか」
 そう言って何事も無かったかのように今度こそみんなの元へと戻るために動き出す。それでも内心は酷く動揺していた。バクバクと激しく脈打つ心臓は激しい戦闘の最中でもそう感じたことがない。

「ん……ありがとな」  物足りなさを感じつつも、感謝の言葉を述べる。気持ちを切り替えようと立ち上がり、みんなの元へと戻ろうとして、蛍が動かないことに気付いた。 「蛍? どう……っ」  名前を呼ぶと蛍は顔を上げた。その顔を見た瞬間、ファルカは言葉を失った。何故か顔を赤くして少し潤む瞳をこちらに向けている。どうしてそんな顔をしているのか分からない。けれど恋心を自覚した今、その顔はいらぬ情欲を生んでしまいそうになる。何か言わなければと口を開くが言葉は出ない。苦肉の策で蛍の髪をぐしゃぐしゃとかき混ぜた。 「わっ! ちょ、っと、ストップ!」  少し乱暴に扱うと慌てた様子の蛍がファルカの手を掴んで立ち上がる。 「もうっ! いきなり何?」 「いや、なに。お前が動かないから眠くでもなったのかと思ってな」  怪しまれないようにそれっぽい理由を作ると、蛍は疑問に思わなかったようで乱れた髪を気にしている。鏡がないので乱れてしまった髪はいつまでも直らない。ファルカは悪いと言いながらその髪に触れた。柔らかな金色の髪を優しく拾いながら乱れを直していく。壊れ物を扱うように動かした手は震えてなかっただろうか。 「……よし、これでいいだろ。それじゃ、行くか」  そう言って何事も無かったかのように今度こそみんなの元へと戻るために動き出す。それでも内心は酷く動揺していた。バクバクと激しく脈打つ心臓は激しい戦闘の最中でもそう感じたことがない。

 ひたすら難しいことを考えて何とか落ち着こうとするがいつまで経っても落ち着きそうにない鼓動に、俺も若かったんだな、とファルカは思わず苦笑した。

 ひたすら難しいことを考えて何とか落ち着こうとするがいつまで経っても落ち着きそうにない鼓動に、俺も若かったんだな、とファルカは思わず苦笑した。

落ちるのは刹那(ルカ蛍)(3/3)

31.01.2026 09:33 — 👍 0    🔁 0    💬 0    📌 0
た。
「今の、もう少しだけいいか?」
「え?」
 今の、とは頭を撫でたことだろうか。蛍は一度自分の手を見てファルカに視線を戻す。その通りなのだろう、ファルカは蛍をじっと見ていた。
 蛍がそろりと手を伸ばすとファルカは頭を垂れて頭頂部を見せた。ゆっくりした動きでファルカの頭を何度か撫でる。ファルカはじっとしてそれを受け入れた。少し硬い髪が撫でつけられてはぴょこんと跳ねる。それが何だか。
(……かわいい)
 自分なんかより随分と大きな男が大人しく頭を撫でられている。蛍にはそんな姿がとても可愛いものに見えた。
 どういうつもりでこれを求めているのかは分からない。けれど少しでもファルカにとって良いものになるようにと蛍は願う。
 少ししてファルカの顔が前を向こうとしたので撫でるのを止めた。
「ん……ありがとな」
 そう言ってふわりと柔らかな笑顔を浮かべたファルカに、蛍の心臓がどくんと跳ねた。勝手に早くなる鼓動に混乱する。
 とても優しい笑顔だった。それこそ、兄の面影を感じてしまうような。
 けれど兄の笑顔にこんなふうに心臓が跳ねたことはない。ドキドキが止まらないなんてこともなかった。これは一体――何?
「うっし、流石に戻るか」
 ファルカが立ち上がる。けれど蛍は混乱が解けずしゃがみこんだまま立ち上がれない。

た。 「今の、もう少しだけいいか?」 「え?」  今の、とは頭を撫でたことだろうか。蛍は一度自分の手を見てファルカに視線を戻す。その通りなのだろう、ファルカは蛍をじっと見ていた。  蛍がそろりと手を伸ばすとファルカは頭を垂れて頭頂部を見せた。ゆっくりした動きでファルカの頭を何度か撫でる。ファルカはじっとしてそれを受け入れた。少し硬い髪が撫でつけられてはぴょこんと跳ねる。それが何だか。 (……かわいい)  自分なんかより随分と大きな男が大人しく頭を撫でられている。蛍にはそんな姿がとても可愛いものに見えた。  どういうつもりでこれを求めているのかは分からない。けれど少しでもファルカにとって良いものになるようにと蛍は願う。  少ししてファルカの顔が前を向こうとしたので撫でるのを止めた。 「ん……ありがとな」  そう言ってふわりと柔らかな笑顔を浮かべたファルカに、蛍の心臓がどくんと跳ねた。勝手に早くなる鼓動に混乱する。  とても優しい笑顔だった。それこそ、兄の面影を感じてしまうような。  けれど兄の笑顔にこんなふうに心臓が跳ねたことはない。ドキドキが止まらないなんてこともなかった。これは一体――何? 「うっし、流石に戻るか」  ファルカが立ち上がる。けれど蛍は混乱が解けずしゃがみこんだまま立ち上がれない。

「蛍? どう……っ」
 名前を呼ばれた蛍は立ち上がったファルカを何とか見上げた。その顔を見た瞬間、ファルカは言葉を詰まらせた。そして一度何かを言いかけて、動けない蛍の髪をわしゃわしゃとかき混ぜる。
「わっ! ちょ、っと、ストップ!」
 少し乱暴に扱われて蛍は混乱している場合ではなくなり、慌ててファルカの手を掴むと立ち上がった。
「もうっ! いきなり何?」
「いや、なに。お前が動かないから眠くでもなったのかと思ってな」
「だからってこんなの」
「悪い悪い。ほら」
 どこかしら絡まっている髪がある気がする。そう思いながらぐしゃぐしゃになってしまった髪を手櫛で直していると、手を伸ばしたファルカが先ほどとは違い優しい手つきで蛍の髪を直し始めた。距離が、近い。一度落ち着いた鼓動が少しだけ早くなる。蛍は無意識に胸の前で緩く拳を握り込んだ。
「……よし、これでいいだろ。それじゃ、行くか」
 そう言って先にみんなの元へと戻るファルカの背を見つめる。どうしてこんなにドキドキしているのか、分からない。
 少しの混乱を残したまま、蛍はその背を追って動き出した。


 一方で、表には出さないもののファルカは内心酷く動揺していた。ついさっき、自覚してしまったのだ。――自分がこの少女に恋していることを。

「蛍? どう……っ」  名前を呼ばれた蛍は立ち上がったファルカを何とか見上げた。その顔を見た瞬間、ファルカは言葉を詰まらせた。そして一度何かを言いかけて、動けない蛍の髪をわしゃわしゃとかき混ぜる。 「わっ! ちょ、っと、ストップ!」  少し乱暴に扱われて蛍は混乱している場合ではなくなり、慌ててファルカの手を掴むと立ち上がった。 「もうっ! いきなり何?」 「いや、なに。お前が動かないから眠くでもなったのかと思ってな」 「だからってこんなの」 「悪い悪い。ほら」  どこかしら絡まっている髪がある気がする。そう思いながらぐしゃぐしゃになってしまった髪を手櫛で直していると、手を伸ばしたファルカが先ほどとは違い優しい手つきで蛍の髪を直し始めた。距離が、近い。一度落ち着いた鼓動が少しだけ早くなる。蛍は無意識に胸の前で緩く拳を握り込んだ。 「……よし、これでいいだろ。それじゃ、行くか」  そう言って先にみんなの元へと戻るファルカの背を見つめる。どうしてこんなにドキドキしているのか、分からない。  少しの混乱を残したまま、蛍はその背を追って動き出した。  一方で、表には出さないもののファルカは内心酷く動揺していた。ついさっき、自覚してしまったのだ。――自分がこの少女に恋していることを。

 最近、悪いとは思いつつキャパオーバーして姿を消してしまうことが増えた。そして偶然その場に蛍たちが居合わせるたび、アンセムに代わって自分を探しに来る。アンセムからは簡単に逃げられても、蛍たちは少し時間がかかったとしても必ず自分を見つける。若干それが悔しいと思いつつ、二人に見つかるのを楽しみにしている自分がいた。
 今日もそうだった。さすがにそろそろ戻ろうと思っていた矢先、テントの方から楽しそうな声が上がった。もしかして、と少し待っていると思っていた通り蛍が姿を見せたので、よっと手を挙げる。いつもなら寝たふりをしているので、手を挙げたことに蛍は驚いた様子で近付いてきた。
「今日は寝たふりはしてないんだね」
「あぁ、そろそろ戻ろうと思ってたところだったからな。そんなときにお前たちが来たことに気付いて、すれ違いにならないように待ってた」
 すると少し呆れたように蛍は笑みを浮かべた。
「あんまりアンセムさんを困らせちゃだめだよ」
「はは、そうだな。気を付けてはいるんだが……そういえばパイモンはどうした?」
 二人が拠点に来た理由とここまでの経緯を聞いて、いつもよりも賑やかな声の理由にファルカは納得する。そして説明を終えた蛍は踵を返して戻ろうとしたが、ファルカはその後を追う気になれなかった。
「戻らないの?」
「ん? あぁ……そうだなぁ……」
 今は落ち着いてきたとはいえ、完全な平和とは言い難く平時でも完全に気を抜くことは出来ない。そんな状況の中で響く部下たちの賑わう声に、ここが戦場近くだということを忘れてしまいそうに

 最近、悪いとは思いつつキャパオーバーして姿を消してしまうことが増えた。そして偶然その場に蛍たちが居合わせるたび、アンセムに代わって自分を探しに来る。アンセムからは簡単に逃げられても、蛍たちは少し時間がかかったとしても必ず自分を見つける。若干それが悔しいと思いつつ、二人に見つかるのを楽しみにしている自分がいた。  今日もそうだった。さすがにそろそろ戻ろうと思っていた矢先、テントの方から楽しそうな声が上がった。もしかして、と少し待っていると思っていた通り蛍が姿を見せたので、よっと手を挙げる。いつもなら寝たふりをしているので、手を挙げたことに蛍は驚いた様子で近付いてきた。 「今日は寝たふりはしてないんだね」 「あぁ、そろそろ戻ろうと思ってたところだったからな。そんなときにお前たちが来たことに気付いて、すれ違いにならないように待ってた」  すると少し呆れたように蛍は笑みを浮かべた。 「あんまりアンセムさんを困らせちゃだめだよ」 「はは、そうだな。気を付けてはいるんだが……そういえばパイモンはどうした?」  二人が拠点に来た理由とここまでの経緯を聞いて、いつもよりも賑やかな声の理由にファルカは納得する。そして説明を終えた蛍は踵を返して戻ろうとしたが、ファルカはその後を追う気になれなかった。 「戻らないの?」 「ん? あぁ……そうだなぁ……」  今は落ち着いてきたとはいえ、完全な平和とは言い難く平時でも完全に気を抜くことは出来ない。そんな状況の中で響く部下たちの賑わう声に、ここが戦場近くだということを忘れてしまいそうに

なった。そして部下たちに交じって同じ賑わいを味わうのもいいが、もう少しここでこの賑やかさを聞いていたいと思ったのだ。そう思ってのことだったが蛍はじっとこちらを見つめて問う。
「もしかして体調が悪い?」
「いや、体調はすこぶる良好だ。ただみんなも休憩に入っただろ? もう少しここに居てもいい気がしてな」
 もう少しこのままでも怒られはしないだろうと座ったままでいると、何故か蛍がファルカの隣にしゃがみこんだ。
「ん? 先に戻っててもいいぞ? 心配しなくてもちゃんと戻る」
「ううん、そこは心配してないよ。ただこうやって楽しそうな声、聞いていたいなって」
 なるほど、彼女も同じように思ったのか、と少しだけ表情が緩んでしまう。頬を緩やかに撫でていく風に、思わず平和だな、などと思った。酷く、穏やかな時間だった。
「書類仕事だって大事な仕事だってことは分かってはいるんだがなぁ」
 しばらくその賑やかさに耳を傾けたあと、流石に戻らなければと思いつつ自然に溜息が出てそんなことをつい漏らしてしまった。愚痴ったところで仕方ないのは分かってはいても、苦手なものは苦手なのだ。そんなファルカの呟きに蛍がクスリと笑ってファルカの頭を撫で始めた。
 最初何をされているのか分からなかった。撫でられているのだと理解しても、思わず目を丸くし蛍を見る。その瞬間、ドッと大きく心臓が跳ねた。
 少女の行動に深い意味はないのだろう。弱音を吐いた自分に、ただ微笑みを湛えて幼い子にする

なった。そして部下たちに交じって同じ賑わいを味わうのもいいが、もう少しここでこの賑やかさを聞いていたいと思ったのだ。そう思ってのことだったが蛍はじっとこちらを見つめて問う。 「もしかして体調が悪い?」 「いや、体調はすこぶる良好だ。ただみんなも休憩に入っただろ? もう少しここに居てもいい気がしてな」  もう少しこのままでも怒られはしないだろうと座ったままでいると、何故か蛍がファルカの隣にしゃがみこんだ。 「ん? 先に戻っててもいいぞ? 心配しなくてもちゃんと戻る」 「ううん、そこは心配してないよ。ただこうやって楽しそうな声、聞いていたいなって」  なるほど、彼女も同じように思ったのか、と少しだけ表情が緩んでしまう。頬を緩やかに撫でていく風に、思わず平和だな、などと思った。酷く、穏やかな時間だった。 「書類仕事だって大事な仕事だってことは分かってはいるんだがなぁ」  しばらくその賑やかさに耳を傾けたあと、流石に戻らなければと思いつつ自然に溜息が出てそんなことをつい漏らしてしまった。愚痴ったところで仕方ないのは分かってはいても、苦手なものは苦手なのだ。そんなファルカの呟きに蛍がクスリと笑ってファルカの頭を撫で始めた。  最初何をされているのか分からなかった。撫でられているのだと理解しても、思わず目を丸くし蛍を見る。その瞬間、ドッと大きく心臓が跳ねた。  少女の行動に深い意味はないのだろう。弱音を吐いた自分に、ただ微笑みを湛えて幼い子にする

落ちるのは刹那(ルカ蛍)(2/3)

31.01.2026 09:33 — 👍 0    🔁 0    💬 1    📌 0
「んー? もしかして、またか?」
 パイモンが右手で太陽光を遮りながら見つめる西風騎士団の拠点の奥。作戦会議用のテントの前ではぁと溜息を吐いているアンセムの姿に、蛍もパイモンと同じ感想を抱いた。
「こんにちは!」
「あぁ、お二人ともこんにちは」
 笑顔を見せてくれるものの、少し疲れたような表情のアンセムに蛍は苦笑する。
「また?」
「えぇ、今回も急ぎの書類はないのでいいのですが……またか、という気持ちです」
 何が、とは言わずとも通じてしまう。それだけファルカの逃走はおなじみになりつつあった。
 書類仕事が苦手であるファルカはキャパオーバーになると時々姿をくらましてしまう。そんなファルカを最近はアンセムが探しているようだが中々見つからないらしい。それを聞いて以来、ファルカが姿を消した場に居合わせた時は、蛍たち二人がファルカを探しに行くのが恒例になっていた。
「また探してくるよ」
「いつもすみません……それはそうと、今日はどのようなご用件ですか?」
 アンセムは蛍が手にする荷物をちらりと見る。今日はいつもより多くの荷物を持参したので気になったのだろう。
「みんなの意見が聞きたくて」
 そう言って目の前に差し出したのはベレナと作った新作のパンダフル・キノコだ。自分たちではなかなかの出来だと思っているのだが、色んな人の意見を聞いてみたいとこうして拠点に訪れた。

「んー? もしかして、またか?」  パイモンが右手で太陽光を遮りながら見つめる西風騎士団の拠点の奥。作戦会議用のテントの前ではぁと溜息を吐いているアンセムの姿に、蛍もパイモンと同じ感想を抱いた。 「こんにちは!」 「あぁ、お二人ともこんにちは」  笑顔を見せてくれるものの、少し疲れたような表情のアンセムに蛍は苦笑する。 「また?」 「えぇ、今回も急ぎの書類はないのでいいのですが……またか、という気持ちです」  何が、とは言わずとも通じてしまう。それだけファルカの逃走はおなじみになりつつあった。  書類仕事が苦手であるファルカはキャパオーバーになると時々姿をくらましてしまう。そんなファルカを最近はアンセムが探しているようだが中々見つからないらしい。それを聞いて以来、ファルカが姿を消した場に居合わせた時は、蛍たち二人がファルカを探しに行くのが恒例になっていた。 「また探してくるよ」 「いつもすみません……それはそうと、今日はどのようなご用件ですか?」  アンセムは蛍が手にする荷物をちらりと見る。今日はいつもより多くの荷物を持参したので気になったのだろう。 「みんなの意見が聞きたくて」  そう言って目の前に差し出したのはベレナと作った新作のパンダフル・キノコだ。自分たちではなかなかの出来だと思っているのだが、色んな人の意見を聞いてみたいとこうして拠点に訪れた。

「あれ? これって今話題になってるやつですよね!」
 そう声をかけてきたのは近くにいたナニアだ。今話題に、とはライトキーパーたちの間で人気になっているという話かもしれない。
「もしかしてその袋の中身全部……? これ、どうしたんですか?」
「いくつか新作を作ってみたからみんなの意見が聞きたいの。味ごとに分けて入れてあるから、それぞれ感想でも改善点でもなんでもいいから教えて欲しくて」
「それ、俺たちも食べていいんですか?」
 いつから聞いていたのか、背後からヴィンフリートが声をかけてきた。更にその後ろからエックベルトが覗き込むように袋を見ている。そのうち盛り上がりに気付いた他の騎士団メンバーも集まりだし、折角だから休憩にしようと飲み物を準備し始めた。そんなメンバーを一通り眺めて、蛍はパイモンに声をかける。
「パイモン、私ファルカさんを探してくるね」
「ん? オイラも行くぞ?」
「ううん、先に食べてていいよ。多分いつものところにいるだろうからすぐ戻ってくるし、パイモン、凄くお腹空いてるでしょ?」
「う、バレてたか……」
 実はさっきからお腹が鳴りっぱなしなんだ、とお腹を押さえたパイモンに思わず笑みを零す。自分の分も食べていいけれど、ファルカの分は残しておいてとお願いをして、蛍は拠点の入り口の方へと足を向けた。
 少し歩いた先で騎士団のメンバーに見つからないように道を逸れ、テントの背後にある石壁を登

「あれ? これって今話題になってるやつですよね!」  そう声をかけてきたのは近くにいたナニアだ。今話題に、とはライトキーパーたちの間で人気になっているという話かもしれない。 「もしかしてその袋の中身全部……? これ、どうしたんですか?」 「いくつか新作を作ってみたからみんなの意見が聞きたいの。味ごとに分けて入れてあるから、それぞれ感想でも改善点でもなんでもいいから教えて欲しくて」 「それ、俺たちも食べていいんですか?」  いつから聞いていたのか、背後からヴィンフリートが声をかけてきた。更にその後ろからエックベルトが覗き込むように袋を見ている。そのうち盛り上がりに気付いた他の騎士団メンバーも集まりだし、折角だから休憩にしようと飲み物を準備し始めた。そんなメンバーを一通り眺めて、蛍はパイモンに声をかける。 「パイモン、私ファルカさんを探してくるね」 「ん? オイラも行くぞ?」 「ううん、先に食べてていいよ。多分いつものところにいるだろうからすぐ戻ってくるし、パイモン、凄くお腹空いてるでしょ?」 「う、バレてたか……」  実はさっきからお腹が鳴りっぱなしなんだ、とお腹を押さえたパイモンに思わず笑みを零す。自分の分も食べていいけれど、ファルカの分は残しておいてとお願いをして、蛍は拠点の入り口の方へと足を向けた。  少し歩いた先で騎士団のメンバーに見つからないように道を逸れ、テントの背後にある石壁を登

る。すると案の定、ファルカはそこにいた。予想外だったのは今回も寝たふりをしているかと思ったのに、すぐこちらに気付いてよっと手を挙げたことだった。
「今日は寝たふりはしてないんだね」
「あぁ、そろそろ戻ろうと思ってたところだったからな。そんなときにお前たちが来たことに気付いて、すれ違いにならないように待ってた」
 すっかり蛍たちが探しに来るのが当たり前になっているファルカに、少し呆れたように笑みを返す。
「あんまりアンセムさんを困らせちゃだめだよ」
「はは、そうだな。気を付けてはいるんだが……そういえばパイモンはどうした?」
 自分たちがここに来た理由とここまでの流れを説明するとふむと納得した様子だったが、じゃあ戻ろうか、と踵を返そうとしたところ動く気配の無いファルカに蛍は首を傾げた。
「戻らないの?」
「ん? あぁ……そうだなぁ……」
 どこか歯切れの悪い返答に蛍はファルカの顔をじっと見つめた。
「もしかして体調が悪い?」
「いや、体調はすこぶる良好だ。ただみんなも休憩に入っただろ? もう少しここに居てもいい気がしてな」
 確かに急いで戻る理由は無くなった。ファルカにも早めにパンダフル・キノコを食べて欲しいな、とは思うが早く戻ればその分仕事の再開も早くなる。また、ファルカが相手だとそんなこともないだろうが、部下たちが賑わう場に上司が現れるということは、その賑わいに水を差すこともある。

る。すると案の定、ファルカはそこにいた。予想外だったのは今回も寝たふりをしているかと思ったのに、すぐこちらに気付いてよっと手を挙げたことだった。 「今日は寝たふりはしてないんだね」 「あぁ、そろそろ戻ろうと思ってたところだったからな。そんなときにお前たちが来たことに気付いて、すれ違いにならないように待ってた」  すっかり蛍たちが探しに来るのが当たり前になっているファルカに、少し呆れたように笑みを返す。 「あんまりアンセムさんを困らせちゃだめだよ」 「はは、そうだな。気を付けてはいるんだが……そういえばパイモンはどうした?」  自分たちがここに来た理由とここまでの流れを説明するとふむと納得した様子だったが、じゃあ戻ろうか、と踵を返そうとしたところ動く気配の無いファルカに蛍は首を傾げた。 「戻らないの?」 「ん? あぁ……そうだなぁ……」  どこか歯切れの悪い返答に蛍はファルカの顔をじっと見つめた。 「もしかして体調が悪い?」 「いや、体調はすこぶる良好だ。ただみんなも休憩に入っただろ? もう少しここに居てもいい気がしてな」  確かに急いで戻る理由は無くなった。ファルカにも早めにパンダフル・キノコを食べて欲しいな、とは思うが早く戻ればその分仕事の再開も早くなる。また、ファルカが相手だとそんなこともないだろうが、部下たちが賑わう場に上司が現れるということは、その賑わいに水を差すこともある。

 それに元々キャパオーバーで姿をくらましているのだ。仕事から離れられる時間を長く出来るのならその方が嬉しいのかもしれない。それに。
 少し考えて蛍はファルカの隣にしゃがみこんだ。
「ん? 先に戻っててもいいぞ? 心配しなくてもちゃんと戻る」
「ううん、そこは心配してないよ。ただこうやって楽しそうな声、聞いていたいなって」
 何を話しているかまでは聞き取れないが、わいわいと賑やかな声が届く。頬を緩やかに撫でていく風に、まるでアビスの脅威なんてものがどこにもないと錯覚してしまいそうなほど、平和だな、なんて思ってしまう。ファルカがここにいる理由が同じかは分からないが、いつまでもこうならいいのにと思うほど酷く、穏やかな時間だった。
 しばらく二人でその賑やかさに耳を傾けていると、ファルカが小さく溜息を吐いた。
「書類仕事だって大事な仕事だってことは分かってはいるんだがなぁ」
 愚痴っていても仕方ないのは分かってはいてもつい吐き出したくなったのであろう心境に、蛍はクスリと笑ってファルカの頭に手を伸ばしよしよしと撫でた。いつも頑張っているもんね、と無意識に出てしまった行動に、ファルカは目を丸くして思わず蛍を見る。そのファルカの動きに一瞬どうしたのかと思った蛍もすぐにハッとして慌てて手を引っ込めた。
「ご、ごめんね。ついパイモンにしてるみたいにしちゃって」
「あ、いや……」
 大の大人にするようなことではなかったと内心慌てふためく蛍に「なぁ」とファルカは声をかけ

 それに元々キャパオーバーで姿をくらましているのだ。仕事から離れられる時間を長く出来るのならその方が嬉しいのかもしれない。それに。  少し考えて蛍はファルカの隣にしゃがみこんだ。 「ん? 先に戻っててもいいぞ? 心配しなくてもちゃんと戻る」 「ううん、そこは心配してないよ。ただこうやって楽しそうな声、聞いていたいなって」  何を話しているかまでは聞き取れないが、わいわいと賑やかな声が届く。頬を緩やかに撫でていく風に、まるでアビスの脅威なんてものがどこにもないと錯覚してしまいそうなほど、平和だな、なんて思ってしまう。ファルカがここにいる理由が同じかは分からないが、いつまでもこうならいいのにと思うほど酷く、穏やかな時間だった。  しばらく二人でその賑やかさに耳を傾けていると、ファルカが小さく溜息を吐いた。 「書類仕事だって大事な仕事だってことは分かってはいるんだがなぁ」  愚痴っていても仕方ないのは分かってはいてもつい吐き出したくなったのであろう心境に、蛍はクスリと笑ってファルカの頭に手を伸ばしよしよしと撫でた。いつも頑張っているもんね、と無意識に出てしまった行動に、ファルカは目を丸くして思わず蛍を見る。そのファルカの動きに一瞬どうしたのかと思った蛍もすぐにハッとして慌てて手を引っ込めた。 「ご、ごめんね。ついパイモンにしてるみたいにしちゃって」 「あ、いや……」  大の大人にするようなことではなかったと内心慌てふためく蛍に「なぁ」とファルカは声をかけ

落ちるのは刹那(ルカ蛍)(1/3)
#ルカ蛍 #varklumi #3m74ss

🌙4時点・ルカ未実装時点の話です。
砦でルカを探すミニイベの内容含みます。

ポイピクで一気読みはこちら→
poipiku.com/2912622/1270...

31.01.2026 09:33 — 👍 0    🔁 0    💬 1    📌 0

一緒に見回りをしていたイル蛍。途中ぬかるんだ足場でこけてしまいそうになって🪶に助けてもらう。そういえば前にもこんなことあったな……あの時は🍄に助けて貰ったんだっけ、との懐かしんでいると🪶が怪我でもしてしまいましたか?と聞いてきたので、同じようなことがあったと話す✨。
その話を聞いて「その方は……男性ですか?」「✨さんはその方と親しいんですか?」ともやもやした気持ちを抱きながら色々と確認してしまう🪶。まだ無自覚な🪶でもいいし、自覚済みだからこそヤキモチ焼いてしまう🪶でもいい。

29.01.2026 16:01 — 👍 0    🔁 0    💬 0    📌 0

イル蛍の小ネタ。再会するたびに成長していく🪶。何度目かの再会時にもう子供に見えないほどすっかり大人になった🪶に「もうすっかり大人だね」と少し昔を懐かしむように言う✨。それに対して「君はいくつになっても可憐で美しいですね」って言う🪶。個人的にまだ付き合ってないと美味しい(🪶→✨軸)

29.01.2026 16:00 — 👍 0    🔁 0    💬 0    📌 0

現パロまだ付き合ってないイル蛍(ほた©恋心自覚無し)ネタ。
体育祭にンズが内緒でほた©連れてきて、驚きつつも情けないところは見せられないと頑張るイル。
借り物競争ではおなじみ好きな人を引いちゃって、ほた©を……とはならず、ニキを連れて行くイルに坊ちゃま……となっちゃうンズ。
一方ほた©は好きな人でニキを連れて行ったイルに義父さんのこと大好きなんだなぁってにこにこしてて、イルの思いに気付かず、それに気付いたンズがまた坊ちゃま……ってなっちゃう。

22.01.2026 13:40 — 👍 1    🔁 0    💬 0    📌 0
Preview
[できた] R18(4757文字) - さまなしのポイピク

ルカ蛍R18SS。
#ルカ蛍 #varklumi #3m74ss

poipiku.com/2912622/1265...

15.01.2026 13:05 — 👍 2    🔁 1    💬 0    📌 0

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