敵AIを「芸人」として組み上げ、プレイヤーが絡んでいて楽しい仕上がりを目指したリードプログラマー是角有ニ氏の仕事ぶりについて読めば、こちらもまた「小島監督作品はユーモアたっぷりで…」という大雑把な語りに変化が起き、どの部分に誰のユーモアが発揮されているのかに関心が出てくる。
小島組、チームの仕事への興味が湧いてくる一冊。
@missing-link.bsky.social
文学研究/翻訳者。 2月27日に『きみはメタルギアソリッドV:ファントムペインをプレイする』という翻訳短篇集が発売されました。ゲームファンも文学ファンも読んで頂けますと幸いです。 共著:『現代アメリカ文学ポップコーン大盛』共訳:タナハシ・コーツ『僕の大統領は黒人だった』デイヴィッド・マッツケーリ『アステリオス・ポリプ』メール→missing_link2390@yahoo.co.jp
敵AIを「芸人」として組み上げ、プレイヤーが絡んでいて楽しい仕上がりを目指したリードプログラマー是角有ニ氏の仕事ぶりについて読めば、こちらもまた「小島監督作品はユーモアたっぷりで…」という大雑把な語りに変化が起き、どの部分に誰のユーモアが発揮されているのかに関心が出てくる。
小島組、チームの仕事への興味が湧いてくる一冊。
23日に発売されたハーツハイム・ブライアン・ヒカリ『ゲームデザイナー 小島秀夫論』、とても面白かったです。
同時代の地政学的物語、映画的ストーリーテリング、テーマとリンクしたゲーム性、遊び心あるメタ的空間、といったコジマ作品に共通の要素をデスストに至るまでの全ての作品で分析。
素晴らしいのは、小島監督作品におけるスタッフの貢献、分業について論じられているところ。例えば、『MGS2』における強制無線は小島氏、任意の無線会話は福島智和&村田周陽氏が大部分を担当したという分業体制について読むと、ややもすれば1人の名前に帰されかねない功績も適切に理解される。
アサヒ(木石岳)さんが『きみはメタルギアソリッドV:ファントムペインをプレイする』を紹介して下さいました。20分超えの動画!
アフガニスタン情勢の説明もあるので、作品をもっと知りたい方にうってつけです。
笑えるのに怖くて興奮する魔術的体験への案内。
動画の中で非常に優れた指摘がありました。
タリバンを面白おかしくイジり、バカバカしく展開することはアフガニスタンにルーツを持つ作家でなければできない。日本文学からは決して出てこないもの、翻訳文学でしか読めないもの、他の作品で味わえない情動に出会わせる作品。
有難うございます。
www.youtube.com/watch?v=iZSh...
先日の京都のトークイベントにて、ウィリアム・ギャディスの『JR』以来2度目の翻訳大賞を受賞する可能性は高いだろうから、2回獲ったら翻訳大賞殿堂入りして審査する側に入るとか、実験的な翻訳作品に「木原善彦賞」を出すのはどうですか、という話をしたところでした。
ダーラ=木原さん、おめでとうございます。
本日、第11回日本翻訳大賞の大賞作品が発表されました。
・エヴァン・ダーラ著『失われたスクラップブック』 木原善彦訳(幻戯書房)
・鄭 執(ジョン・ジー/てい・しつ)著『ハリネズミ・モンテカルロ食人記・森の中の林』 関根謙訳(株式会社アストラハウス)
以上二冊の同時受賞です。
受賞者を招いた授賞式が、6月21日(土)13:00〜 東京御茶ノ水デジタルハリウッド大学・駿河台ホールで開催される予定です。
木原さんはギャディス『JR』以来、二度目の大賞受賞。おめでとうございます。
besttranslationaward.wordpress.com/2025/04/28/%...
現代作品を挿げ替え続けてバランスをとった気になっている世界文学の編集方針は、結局のところ正典を強化しているに過ぎないことは、これまでに批判されてきた通り。しかし、それすら今回のジュノ・ディアスの件とは無縁。
23.04.2025 03:16 — 👍 1 🔁 0 💬 0 📌 0論点は、作品の政治性とは関係のない「政治性」についてであることをお間違いなく。
23.04.2025 02:25 — 👍 0 🔁 1 💬 0 📌 0何かが面白いかどうかというのは、つくづく、その対象にとっての自分が面白いかどうかである。
23.04.2025 02:21 — 👍 0 🔁 0 💬 0 📌 0ジュノ・ディアスは日本語訳ではスペイン語で書かれた部分が訳されてしまったから、文芸業界やMLAへの挑戦の文脈が軽く見積もられている可能性はある。アチェベやトニ・モリスンに比肩するという評価については、評価軸が少しずれていると思うが、バルガス=リョサを鮮やかに、かつ独創的に書き換えて更新してみせたのは偉業。
ジャミル・ジャン・コチャイの訳者解説で、パシュトー語とペルシャ語を翻訳してしまったことによって「翻訳罪」を負ったと書いた際には、『オスカー・ワオの短く凄まじい人生』の翻訳を念頭に置いていた。
どこにでもオタクはいる、というのは考えるべきことの手前で止まっている。どのタイミングで何をやったか歴史的に位置付ける作業が必要。
22.04.2025 14:42 — 👍 0 🔁 0 💬 0 📌 0ジュノ・ディアスのオタク性(otakuness) は、ゲバラやカストロをもオタクとして捉えるほどの射程を持ち、南米独裁モノが陥った隘路を抜け出す確かな力があった。
『アメリカン・サイコ』のオタク的描写を引き合いに出してディアスを下げている人がいるようだが、これほどの無理筋もないだろう。格が違いすぎる。
「最新版ノートン世界文学アンソロジーからジュノ・ディアスが削除されたことへの反論」(NY市立大学)
マサチューセッツ工科大やボストンレビューの調査では懲戒処分に値する根拠を見つけられなかったが、ディアスは社会的制裁を受けた。
今回の削除は右翼の焚書に等しい。
他の学問分野においては、道徳的信憑性によって研究可能性が否定されることは考えられない。例えば、ドナルド・トランプが悪行を重ねたとしても歴史研究から消去してはならない。
ディアスを擁護する気はないが、アンソロジーからの削除は文学史の担い手たちにとって恥ずべきこと。
www.chronicle.com/article/juno...
こちらのトークイベント、いよいよ明日に迫ってまいりました。まだお席はあいているようです。桜の終わった京都での海外小説・翻訳話はいかがでしょう? どうぞよろしくお願いいたします。
18.04.2025 01:00 — 👍 7 🔁 5 💬 0 📌 0きみはメタルギアソリッドV:
ファントムペインをプレイする
ジャミル・ジャン・コチャイ
訳 矢倉喬士
青山のプラダでやってる小島監督とレフンの展示会を知り衝動的に完読。インパクトのある表題作だけで満足していたことを後悔した。控えめに言って2025年マストリード文藝のワンオブ。収録された短篇のどれもが面白い創作アイデアなんだけど匣の外側の現実がそれをも凌駕していて正直僕はどう気持ちを表現すればいいのか言葉が見つからない。初めて俺の『文学なんておもしろければいいじゃん』が負けた。これをイスラムマジックリアリズム戦争文学ですと言ってしまうのは、あまりに簡単すぎるし軽すぎる。繰り返し、必読。
明後日19日の14時スタートの翻訳文学新刊トークイベント、前後が食事どきかと思いますが、サヴァブックスさんが近くのオススメ飲食店を紹介してくださっています。
中華「中国菜 燕燕」
en-en-kyoto.com
洋食「LION KITCHEN」
lionkitchen.com
和食「出町ろろろ」
tabelog.com/kyoto/A2601/...
京都で何を食べようか迷う方はぜひご参考に。
『きみはメタルギアソリッドV: ファントムペインをプレイする』の解説に向けたメモが1万字近くになりました。訳者解説はそれなりにいい感じに書いたつもりですが、さらなる魅力をお伝えします。
MGS2は1に引き続きスネークが主人公と思わせておいて雷電が主人公になった。デススト2もそれを踏襲して、まだトレーラー映像に一切出てきていないキャラクターが主人公だったら、「やるな」と思う。
歩荷というキャラクターが出てきてストーリーを進めるのに立ち寄る必要がない場所に配置されているらしい。そこではないと思うが、山頂の鳥居にイベントがないのが残念だったので同じマップを使うなら何かやってほしい。
トマス・ピンチョンの新作が大したことなければいいのになと毎回願っているザック・スミスさん。
2006年に『重力の虹』全ページをイラスト化した本を出版された方。
序文はスティーヴ・エリクソンが担当。
↓本のURL
tinhouse.com/book/pictures-
x.com/ZakSmithSabb...
第一次トランプ政権は、1930年代のようだとよく例えられていた。その傾向は第二次トランプ政権でさらに強まったとも言える。
ピンチョンの新作は1932年を舞台にしている。それを見た瞬間に、2016年頃から書き進められてきて、1930年代を通して現代が描かれると直感した。
これまた直感だけど、最後の作品の気がする。ピンチョンが生まれる1937年に向けて円環が完成した。
なんとビッグニュース!
トマス・ピンチョンの新刊小説『シャドウ・チケット』が2025年10月7日に発売!
1932年、ミルウォーキーの私立探偵ヒックス・マクタガートがチーズ業界の要人を追跡し、世界各地でトラブルに巻き込まれる。
2013年の『ブリーディング・エッジ』以来、12年ぶりの長編小説。それも615ページの大作。
前作はNYが中心的な舞台で、もうピンチョンには百科全書的作品を書くパワーがなくなったなんて言われたものですが、5月に88歳になる作家の新作が世界を股にかける百科全書的小説です。
www.penguinrandomhouse.com/books/316427...
小説翻訳では「一字あけ」を禁じ手と考える柴田元幸さんは、詩の翻訳における「一字あけ」を羨みつつ、小説の翻訳で勝手に一字あけている学生を注意していたらしい(『佐藤君と柴田君の逆襲!!』)
エヴァン・ダーラの『失われたスクラップブック』は、その禁じ手の翻訳をやりまくりである。
『失われたスクラップブック』邦訳版を、英訳版と比較しながら分析おります。
コロンやセミコロンの扱いは高校までの英語教育で習っていない学生が多く、大学の授業でしっかり教えてきましたが、今回の本を訳していてコチャイさんが「セミコロンは時間だ」とおっしゃるので、また文法の経験値が増えました。
4月19日(土)に、ジャミル・ジャン・コチャイの短編集『きみはメタルギアソリッドV: ファントムペインをプレイする』とエヴァン・ダーラの小説『失われたスクラップブック』の刊行記念トークイベントを開催します。
cvbks.jp/2025/03/20/k...
本は出版されたら読者のものなのであれこれ言わないようにしていますが、トークイベントでは流石にあれこれ言おうと思います。
本全体の読み方に関わる作品解説、原著者とDMで作り上げる翻訳過程、大学授業での反応、現代翻訳文学の傾向と価値、翻訳賞運営の問題点など、木原善彦さんとお話できればと思っています。質問も受け付けます。ぜひご参加ください。
なんと、ジャミル・ジャン・コチャイの新刊短篇集『きみはメタルギアソリッドV: ファントムペインをプレイする』の読者である「きみ」が、コジマゲーム遍歴を振り返り、メタルギアの世界に入ったり出たりしながら、原作と比較して翻訳の再現度を確かめつつ、本を紹介するスタイルの書評が登場しました。
相当な時間をかけて書いてくださったと思います。「きみ」風にコメントしてくださる方もちらほらいらっしゃって嬉しいかぎりですが、一番気合が入っていました。収録短編「ハラヘリー・リッキー・ダディ」も気に入ってくださったようで、著者が喜ぶと思います。感謝。
note.com/surumeikaman...
3月28日の『週刊読書人』に書評を書きました。
堂本かおる著『絵本戦争──禁書されるアメリカの未来』(太田出版、2025年)は、アメリカで2020年以降に急増した禁書要求をめぐる状況を整理した本です。
北アメリカでの最初の禁書は、1650年にウィリアム・ピンチョンの『我等の救済のありがたき代償』がピューリタニズムへの異端的解釈であるとの理由で為された処分でした。
私の書評では、そこから現代までの検閲と禁書の歴史を簡単にまとめた上で、2020年代に激化した禁書戦争状況を改善するための抵抗戦略について論じました。
www.ohtabooks.com/publish/2025...
今日、このあと17時からTBSラジオ『こねくと』にて、ジャミル・ジャン・コチャイの短篇集『きみはメタルギアソリッドV: ファントムペインをプレイする』の書評があるそうです。
↓YouTubeで現在もライブ中継されています↓
youtube.com/live/tFlhrLK...
#radiko #石山蓮華 #でか美ちゃん #tbsradio #こねくと954 #こねくと
マンガ座談会「飯田一史×岩下朋世×西原麻里 IPを支える物語以外の要素とは」
macc.bunka.go.jp/5550/
現在の紙媒体・電子媒体のマンガ環境が語られた後、2024年に大きなインパクトを与えたマンガ出版としてサウザンブックス社の『アステリオス・ポリプ』が登場します。ありがたいことです。
トゥーヴァージンズ社の活動もとりあげられています。『ローミング』(原作:マリコ・タマキ、作画:ジリアン・タマキ、訳:金原瑞人、2024年)、かつしかけいた『東東京区区』(2023年)、海外版が先に出版された草原うみ『mothers』(2024年)など。海外も視野に入れたオルタナティブな出版。
関西の、特に京都あたりにお住まいの方で、翻訳とか現代小説にご興味のある皆様。4月にこんなイベントをすることになりました。どうぞよろしくお願いいたします。木原善彦×矢倉喬士トークイベント エヴァン・ダーラ『失われたスクラップブック』&ジャミル・ジャン・コチャイ『きみはメタルギアソリッドV:ファントムペインをプレイする』刊行記念イベントです( cvbks.jp/2025/03/20/k... )
20.03.2025 09:10 — 👍 55 🔁 28 💬 3 📌 5コルソン・ホワイトヘッド原作の映画『ニッケル・ボーイズ』をAmazonプライムで鑑賞。
原作小説の叙述トリックを映像化するなら当然その撮り方だろうということで、そこには驚かないけど、黒人少年たちが鞭うたれる瞬間に白黒写真資料が映されるところには唸らされた。
「その瞬間」には到達できない、というわけだ。
『それでも夜は明ける』にてまざまざと見せつけるように映された、鞭うたれる黒い背中と血しぶきとは好対照。
『ニッケル・ボーイズ』は資料の列挙に留まっていて作品として練り上げる時間が足りなかった部分があると柴田元幸さんが原作小説に対して言っていたことが、映画ではやや改善されている。
イベントの詳細はまだ決まっていませんので、またいずれお知らせします。インタビューでは、ゲームはもちろん、今のアメリカの状況や次作についても伺っておきます。乞うご期待!
13.03.2025 11:20 — 👍 1 🔁 0 💬 1 📌 0『きみはメタルギアソリッドV:ファントムペインをプレイする』翻訳者の矢倉喬士氏があとがきで、原書は単語レベルでパシュトー語やペルシア語が使われており、そのリサーチに時間を要したが、原書の英語話者にはその部分の意味が通じないという設計が無効になってしまうという「翻訳罪」も背負うことになってしまったと書いているけど、その苦労は計り知れないし、翻訳家って自分の得意言語じゃない言語も翻訳しないといけないって初めて知った。そりゃそうか
12.03.2025 12:16 — 👍 11 🔁 2 💬 1 📌 0丁寧に読んでいただいて有難うございました。最近の作家たちは、支配的言語で創作することに何らかの抵抗をする人が少なくないので、他の言語の専門家と協力して数人体制で翻訳することもあります。
来月京都でこの本の刊行記念トークイベントを行ったり、作者インタビューも予定しておりますので、作品の魅力がもっと広まるように活動していきます!