Yumeji.

楓「リンが話す枷葉の話も枷葉が話すリンの話も大体内容は同じだが、なんでそんなに考えてる事が似てる？不思議と歳を重ねるにつれ2人は内面が似てきてる、時折大丈夫か？って思う。リン、あんな当たり障りのない人間になっちゃダメだ。」

枷葉「毎日俯いて仕事してるから、時折ふと顔を上げると季節が変わっててビックリする。」

枷葉「仕事で知った少し高級な洋食店に彗を連れてきた。ここの店の海老グラタンが美味しいから彼女なら再現してくれるかも？って思って。食べさせたら笑ってウンウンと頷いて、出来るよって言った。後日そっくりなものを作ってくれた、すごい。彗は昔からこれができる、天才。最高。」

赤穂「髪が長いと大変じゃないかと人に言われる。大変だから早く切りたいんだけど、まだそのタイミングは来なさそうだ。」

赤穂「藍が実家の記憶を失っているのは本当に残念な事だ。出来るなら取り戻して、父と母の話を聞かせて欲しい。小さい頃の藍は今にも増して内向的で気が強く、学校でも友達を作れなかった。火事の後から性格が開放的になった様に思う。昔を思い出したら、また今とは違う彼女になってしまうのかな。」

藍「山で育ったので海沿いの人たちの話を聞くのは面白いですね。海の街と山の街だと食べ物も自生してる植物も違うので集まる鳥や虫も少し違うみたい。生きているうちにいろんな場所に短期間づつ住んでみたいものです。」

楓「枷葉が休みらしく俺の部屋で色々話している。本を読んでコーヒーを飲んだり煙草を吸って窓の外を見たり。俺はいつも通り布団に丸まって寝ている。香を焚く習慣があるからか、枷葉や彗と部屋の匂いが違うようだ。鵠はこの匂いが好きと言っていた、舶来雑貨店の匂いだってさ。」

鵠「久しぶりに診察の予約を守って学会で枷葉に会った。カウンセリングセッションは50分の仮眠時間だけど、夢の中にいると5時間ぐらいに感じるんだ。夢で彼と話して沢山の事を聞いた。僕も僕なりに色々生活を反省している。」

枷葉「夢境管理人の能力者は時折自分が夢にいるのか現実にいるのか分からなくなる。次元の見極め基準として現実の世界に印をつけていて、世界の基準として機能する。そのシンボルは決して他人に教えてはならない、基準が壊れると夢遊病になるって言われてる。」

鵠「赤穂にキリルのどこが好きなのか聞いたら全部って言ってた。同じことをキリルに聞いたら"素直な性格と顔"って言ってた。主人とペットの感想みたいで笑っちゃった。他人の恋愛の話って訳わかんないしゾッとするから面白いね。」

枷葉「俺たちとは関係ないんだよ彗の生活は。考えてもごらんよ、俺たちは彗がいなくなったら困るけど、俺たちがいなくなっても彗はあんまり困らなさそうじゃん。困るのも悲しいのとは別だよ」
楓「何言ってんの？」 【桃傷李仆】

楓「鵠は生まれ持った顔が綺麗だから得してるって彗が言ってた。俺は目つきが悪くて損してるから羨ましい。でもあのツラで中身に問題があるからバランスが取れてるよ、性格が聖人だったらとっくに死んでただろ。」

枷葉「リンは放っといても伸び伸び生きているから心配してないが、彗はちょっと危なっかしいから心配な事が多い。時折ぐったり元気が無くなって寝込んだりしているからバイオリズムがあるんだろうな。家族や友達が健康に元気で過ごせる事を願ってる。」

肉体関係にまで及んでいるというのにやけに白々しく、普段は性的な目線や振る舞いを一切投げかけてこない。皆を交えて会った時でさえ、影に隠れて卑しくこっそり欲情したり、机の下でひっそりとちょっかいをかけてくるなんて真似は絶対にしない。【オーガズム】

藍「座礁鯨。　…それノイローゼですよ　過労の度に永埜の虚構を…結核が治っても兵役に出てもそれは治らないんですねえ」【蚕食鯨呑】

赤穂「十歳頃までの藍は山を吹き抜ける強い風に当たると軽すぎて宙に舞ってしまうほどだった。雪にしっかり足を踏み入れてもダメで、結核前までは俺が抱えて歩き回ってたんだ。母や父も心配して吹雪の日は絶対に外に出さなかった。」

赤穂「嘴の黄色い分際で何を生意気な………、いや、いい、お前は生意気でいい。失敬。」【闘魚】

枷葉「リンは1人でどこへでも行くので時折旅行で居なかったり急に習い事を始めてたりする。この間は染め物の体験に行ったと言ってた。1人でも生きていける人だなと感心する、だから敢えて選んでくれてる事に感謝してるよ。」

彗「昨日読んだ雑誌の星座占いが最下位だったから暫く外には出歩きたくないと鵠が言う。何言ってんの？バカ言ってないでどっか行って。」

彗「こうやって誰かを抱きしめたりするの、いつぶりかな。夜景なんか見たりさ…」
赤穂「じゃあ、これからはいつでも、何度でも」
彗「赤穂、私、貴方と…」 【蓝宝石・上】

枷葉「人間、人生の半分は睡眠に捧げるのだから睡眠の問題を解決すれば人生の問題の半分も軽減する。って형が言ってた。一理ある。仕事辞めれば俺の悩みは全部無くなる。」

枷葉「藍ってなかなか渋い名前だよなと本人に言ったら、特に由来は知らないそうだ。母親の名前は翡翠だったらしいし、兄貴が赤穂ならその母親が色の名前にこだわってつけたんじゃないかな？雪国は白黒の世界だから、命にせめて彩りをって願う人も多いみたいだしね。」

枷葉「楓と彗が2人だけで話しているのを見ると、楓ってこんなにお喋りだったんだってびっくりする。俺にあんな感じで話しかけてきたこと無いから。もっとおしゃべり出来る関係になれたらいいなと思う、こまめに話しかけるようにしよう。」

鵠「昔は赤穂も色々プレゼントをくれた。一度腕時計を貰ったけど、僕の中の誰かが街で乱闘になった時にその時計を拳に巻いて相手を殴ったらしく粉々になった。何か貰っても壊すのが判ってるから欲しくない。でも今使ってる万年筆は長生きしてるな。」‬

鵠「昔のことは結構覚えてる、どれも忘れられないからね。7歳ごろに仲良くしてた友達が脚気で死んだり、流行病の高熱で死んだりするのがザラだった。僕は幸いにも生き延びたがいつ何が起きてもおかしくない世界で必死に生きていたから、とにかく闇雲に何にでも縋った。」

枷葉「リンが鵠と話してお土産に指輪を描いてもらったらしい。おしゃれだねって言ったら"口説く気満々だったよ"だってさ。試しに口説かれてみればいい、それで君が彼になびくなら単純に俺の落ち度だね。」

枷葉「仕事が仕事なだけにプライベートの誘いを貰うことが多い。食事だけなら良いが、もっと様々な事を期待されたりする、好きだと告白されたり色々ね。治療がうまく行っている証拠でもあるけど次のステップの為に断らざるを得ない。そうやってみんな回復し俺から巣立つのを見届けてきた。」

枷葉「楓は彗が良いならなんでも良いってよく言うけど、彗と同じぐらい楓の意見も聞きたいのに話してくれないんだ」

赤穂「鵠が画材を買いに行くというので一緒に行った。昔から何故か画材だけは自分の金で買う奴なので大したもんだ、初めて会った頃は彼はまだ絵を描くことを知らなかった。能力に合わせて監獄の中で身につけ、監獄の中で開花させた力だと言って良い。絵画は彼が唯一薬より続けている事だ。」

藍「楓くんは苗字が白檀で随分雅な響きですねと尋ねたら「多分苗字では無い」とのこと。育ての親の方が勝手につけたものらしく本当の苗字なのかはわからないそうです。肉親の顔を知らないのも思い出せないのもお互いに辛いものですね。でも育った環境は私より彼の方が豊かな感じがします。」