/今度は敏感になる後輩の話
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20↑ 実玄
/今度は敏感になる後輩の話
14.03.2025 11:57 — 👍 3 🔁 0 💬 0 📌 0「おまえ今ケガしたらすげェ痛いぞ」
「ぇ、何、なんで…何が起きてんですか…」
「まぁ痛い思いなんざさせねェけどな」
身体が急に素直になった。今まで生きてきた中で、こんなことなかったのに。先輩の爪が痛い。顔にかかる熱い吐息がくすぐったい。指先が甘くて悔しい。こんなにたくさんの感覚を肌に感じるのは初めてだった。
「気持ちいいってことだけ感じさせてやるからな。覚悟しろ」
嬉しそうな先輩に、後輩はがむしゃらに頷くしかできなかった。
架空の話なのに褒められて、後輩は顔が赤くなるのが止められなかった。胸の奥がじゅわっと熱くて、背筋が伸びる。先輩の指先が無遠慮に袖の中に入ってきて、腕をそっと撫でていった。
「…ッ、あ」
「気持ちいいか」
「え?」
急な身体の反応に、後輩は混乱する。突然、先輩の手が変わった。
(変わったのはおれか!?)
腕を愛撫しながら、もう片方の手で後輩の頬の傷跡を撫でる。そんな先輩の動きに、びりびりと薄い肌が反応した。
「気持ちいいのか」
「…うそ、なんで」
初めての熱に、後輩が困惑しているのを先輩はあえて見逃した。
「で、副作用的にち◯こも鈍くなったとか何かそんな感じで」
「…へェ」
「先輩、顔、怖ぇです」
なぜか目を血走らせて先輩は怒っている。何がキーポイントだったのかわからない。後輩は怖くなって、掴まれたままの手を引こうとした。けれど離してもらえない。ますます強く握られて、引き寄せられる。強引に先輩の顔が近くなった。
「そんなあるかないかわからん前世におまえが振り回されてんのが気に入らねェ」
「ただのおれの勝手な解釈ですってば…」
「そもそもおまえの前世が悪ガキなわけねェだろ。どう考えても怪我しても奮闘するがんばりやさんじゃねェか。良い子だ。下げんじゃねえ」
そもそもいつからだ、と先輩に問いただされて、後輩は少し考えた。独身寮の後輩の部屋。当然のように先輩は入り浸っている。そして後輩が考えているその間にも、先輩は手首の骨のでっぱりをさすっている。別に気持ち良くはないが落ち着かない。たまに引っ掻かれたりつねられたりして、猛獣にじゃれつかれている気になった。
「気がついたら、です」
「そんな昔からか」
「昔っていうか、前世のおれがすげぇわんぱくだったんじゃないすかね。怪我ばっかりしてた悪ガキを見かねて、カミサマが気を遣ってくれたとか。これで痛くないだろ安心して怪我しろ、ってとこじゃないかと思ってて」
「…はァ?」
気持ち良いも悪いもない。ただキッショイと言っても先輩は「何かの拍子に気持ち良くなるかもしれないだろ」と話が通じない。とにかく勤務中はやめてくださいと怒れば、今度は夜勤の仮眠中に手を握られるようになった。
(これは、ちょっと、安心するかもしれない)
ぐっすり快眠してしまってから、もしかして絆されているのでは…?と気付く後輩。
そこから先輩による奇妙な習慣が始まった。おはよう代わりのデコピン。「イッテェ!」と叫べば「痛ェか」と嬉しそうに微笑む先輩。痛みよりもデコが吹っ飛びそうな衝撃と反射で声が出ただけだったけれど、仕事のできる後輩は黙っていた。
仕事中、身体が近ければ約束事のように耳を撫でられる。うっかり背後を取られれば頸に息が吹きかけられる。般若の顔で睨んでも、先輩は「気持ち良くなかったか」としれっとしている。
「セクハラです」
「人をヘタクソ呼ばわりすんのかテメェ」
さらに痛みだけでなく気持ちいいことにも鈍いと判明。
「…不感症かよ」
「そんな大袈裟な」
「どの程度だ。肩たたきされてもわかんねェくらいか」
「んー…もうちょい」
「マッサージされても気持ち良くないぐらいか」
「……へへ」
「もしかして」
「正解」
たちません、と朗らかな笑顔で答える後輩に、先輩は頭を抱えた。
できてないポ川の先後/🍃🍉
どうやら不感症らしい後輩の話
顔にお揃いに傷がついた後、痛みには強いと言っていた後輩。よくよくヒアリングしてみれば単純に「皮膚感覚が鈍い」というだけだとわかり先輩は眉をひそめた。
「そりゃあ痛みに気付かないトンマが怪我にも気付かず働き続けておっちんじまうって話じゃねェか」
「怪我をしても動けるって警察官的にはアドバンテージじゃないすか?」
「程度によるわァ」
「気付いたかァ?」
「…兄ちゃんは、何者?」
「さてねェ。ただの長生きした蛇さ。巳神様なんかじゃねぇ。でもそれはおまえの兄貴もそうだな」
「うん…兄貴も、神様なんかじゃない」
いつも通り、優しく笑う蛇の兄ちゃん。
「えらいな。げんゃ。みんな神様じゃねェ、間違えるんだ。だから自分で考えろ。…愛してるぜ」
そうしていなくなった真っ白な蛇と、残された兄弟が手を繋ぐ話。
「ふざけんな、テメェはげんゃの兄じゃねぇ!こいつの兄貴は俺だけだ!」
「じゃあどうして辛く当たった?ニンゲンってぇのはわかんねぇ生き物だな」
蛇の兄の腕の中、弟は、自分を抱きしめるその力が徐々に強くなっていることに気がついていた。
そうして、こちらを強い視線で射抜く兄も、昔から変わらない、弟を心配する瞳だ。
どちらも同じ、兄の顔をしていた。
「どっちが本当の兄ちゃん…?」
低い空に、鴉が甲高く鳴いている。
…蛇の兄ちゃんは、一度だって自分を神様だと言ったっけ?
「げんゃ!」
「あ、兄貴?なんで」
「何してんだ、そいつは何だ!戻ってこい!」
「え…」
「おいおい、いきなり現れてひでェじゃねえか。こいつは望んでここにいるんだぜ?」
「テメェはひっこんでろ!げんゃ!俺のところに戻ってこい!」
「げんゃ、行かないよな?兄ちゃんとずっと一緒だって言ってくれたもんなァ?」
「あ、兄ちゃん…?兄貴…?」
「げんゃ!そいつを信じるな!尻尾を見ろ!瞳を見ろ!そいつは俺じゃねェ!」
「今更ムダだぜ。おまえが弟を突き放した。可哀想になァ、こんなに兄ちゃんを慕ってくれてるってェのになぁ」
蛇の化身だとわかっている。本物の兄貴じゃないってわかっている。
だけど、この温かさは本物で、偽物の兄だとわかっていても弟は離れがたくなり、夢中になっていった。
がんばったことを報告する相手はこの蛇の兄。辛い時に甘えるのもこの兄。本物の兄と同じ顔をして、弟が望むままに振る舞い甘やかしてくれる都合の良い兄が偽物だとはどうしても思えなくなってきた。
家に帰る時間がだんだんと遅くなり、部活のない日も帰ってこないことに、兄が気付かないわけがなかった。放課後、校門を出る弟の後をつけて山へと入っていく。そこで兄が見たものは、大きな蛇の尾を引きずった、兄によく似た男にしなだれかかる弟の姿だった。
兄とうまくいっていない弟が願ったのは、ただその姿でそばにいて欲しいこと。疎まないでほしい。頭を撫でてほしい。部活も勉強も、よくやったなって褒めて欲しい。
本当の兄は弟を見ればすぐに怒るから。どれだけ頑張っても認めてくれない。それどころか、もう弟のことは嫌いになったのかもしれない。
だから、蛇の神様に願った。昔の兄ちゃんのように愛してほしいと。
「おまえはこんなに甘えん坊でちゃんと世の中を渡っていけてんのかァ?」
「い、いつもはちゃんとやってるし…!」
「兄ちゃんにだっこされてねェとすぐにぐずぐず鼻水垂らす泣き虫がねェ」
「それは…!兄ちゃんの前だけだから」
🐍🍃と人間🍉で🍃🍉
鴉に追いかけられていた蛇を助けてあげたら懐かれた弟。
「礼に願い事を叶えてやるよ」
「うわしゃべった」
「喋る蛇はお気に召さないか?じゃあテメェが信じる神様ってやつを思い描いてみろ」
その瞬間、蛇の姿は真っ白な着物と真っ白な髪を持った男の姿に化けた。
「あ、兄貴…!」
「へェ、悪くねぇな。ほら次だ。なんか願い事を言え」
「そんなこと急に言われても…」
「なんでもいいぞ。金か?女か?権力か?欲しいものを言ってみろ」
「なんでも…?」
「そうだ。なんでも叶えてやる」
「じゃあ…俺の兄ちゃんになって」
100年経って、同じようにベッドの中で長男は次男を乞う。
「げんゃが欲しい」
だから次男も同じように、「兄ちゃんが欲しい」って返すのだ。幸せの涙を流しながら。
兄が欲しがってくれたなら。きっと次男は何があっても喜んで自分を差し出すのに。
28.12.2024 05:29 — 👍 5 🔁 0 💬 1 📌 0みんなで狭い布団でくっつきあって眠る夜。長男が珍しく隣に来てくれる。そして布団の中で手を伸ばして次男の手を握ってくれるのだ。まるではないちもんめをするように。優しい顔で次男に笑いかけて「げんゃが欲しい」そう言ってくれる。
次男は嬉しくて嬉しくて、同じように「兄ちゃんが欲しい」って笑い返す。そうしたら、長男は次男の鼻をつまんで「泣き虫」って、また笑った。
別に次男はそれで良かった。兄ちゃんが一番に欲しがられるのは当然だし(兄ちゃんは格好いいしみんな大好き!おれも大好き!兄ちゃんが一番なのはあたりまえ!)、弟妹たちに悪気はない。みんなが楽しく遊べているならそれが何より。
だけど本当は、ほんのちょっとだけ、自分も呼ばれたかった。「げんゃ兄ちゃんがほしい!」って言われたいな。少しだけ寂しく思う夜もあったり。
幼少🍃🍉
子供たちの好きな遊び、はないちもんめ。兄弟みんなで二組に分かれて手を繋いでもやっぱり一番人気なのは長男。
「さねみ兄ちゃんがほーしい!」
何回やっても何度組分けをしても誰もが長男を欲しがって取り合いになった。
次に呼ばれるのはみんなに可愛がられている小さな末っ子。その次が欲しがられないと拗ねてしまう下から2番目。妹たちは女子同士で呼び合うし、次男はいつも最後まで残ってしまう。優先順位が低くてもげゃ兄ちゃんは怒らないからという理由で後回しにされちゃう。
さねみは知っていた。
どれだけげゃが寂しがりか。どれだけ自分のことを愛してくれていたか。そして自分がどれだけげゃに執着していたか。
「とりあえずまた一年よろしく頼むぜ神様」
大人になったからできることも増えたんだとげゃに手を差し出す青年に、姿の変わらない辰の神はまた顔を赤くして笑った。
「悪いおとなの顔だ」
「悪くて結構。もう二度と手離す気はねぇからなァ」
この男には、神様のルールも通用しないらしい。そう覚悟して、げゃはさねみの手を取った。
干支が一周して、また辰年になった。
あの時の少年は立派な大人になっているだろうか。子供を連れて参拝にでも来てくれないだろうか。一目でもいい。顔が見たい。
参拝客の顔を見るために境内をのぞいたげゃは、見覚えのある白髪頭の青年と目があった。
さねみだ!
「……久しぶりだなァ。迎えに来たぜ」
干支は12年に一度巡ってくる。辰年が終われば辰の歳神であるげゃは退き、新たに巳の歳神が司る。
「今までありがとう」
さねみの額に祝福の口付けを施して、げゃの姿が消えていく。ふざけるな。そんなのさねみは許さない。
「なんだよそれ!また辰年になれば帰ってくるんだろ!?待ってるからな!俺は忘れねェぞ!絶対だ!」
でもげゃは知っていた。干支が一回りもすればさねみは大人になっている。子供の頃に遊んだ相手のことなんて忘れてしまうだろう。歳神にとっては瞬きのような一瞬でも、ヒトにとっての11年は長い。
「おれのことなんて忘れて、自分の人生を歩むんだ。結婚して子供も作って、幸せになって……さねみ」
だけど年の暮れのある日、いつものように神社に向かったさねみを出迎えたのは、元気のない様子のげゃだった。
「どうしたァ?」
「ごめんな、さねみ。お別れだ」
本当のところは、げゃは怒らせると怖い神様だった。母親やそこいらの先生なんか目じゃない。空が裂け、大地が沈むほどの怒りを顕在化させるげゃは間違いなく人ではあらず、神秘的で、近寄りがたい存在だった。
(でも、俺は一緒にいたい)
いつしかさねみはそう思うようになる。げゃのそばを離れたくない。癇癪持ちだけど傷つきやすく、ヒトを守ろうとするげゃを自分が守ってあげたい。そう決意して、さねみは毎日げゃの元へと通った。
(🐉🍉と人間🍃でさねげん/🍃🍉)
辰の歳神様であるげゃと仲良くなった少年さねみの話。
古びた神社で出会った🐉🍉は見た目こそ10代後半の年上だったけれど、すぐに怒ったりよく笑ったり、🍃にとっては弟みたいだと思える良い友達だった。
ツノやでかい尻尾を触らせてもらえば、くるくる表情の変わる顔を赤くし大きな瞳を潤ませるのが可愛くて、相手が神様だということも忘れてさねみはげゃをよくからかった。
「そんなことでちゃんと歳神様できてんのかァ?」
「うるせぇな!できてるよ!おれにそんなこと言うのさねみくらいなんだからな」
でもこの次男はきっと 生えてきたらすぐ長男に報告する
疲れて帰ってきた長男を玄関まで喜び勇んで出迎えた次男(ほかほか風呂上がりのしっとり濡れ髪)
「兄貴おかえり!ほら見て見て!見て!」
じゃーん!って言いながらハーフパンツをおもむろにずり下ろして ち○ち○の根本に生え始めたふわふわ産毛を嬉しそうに長男に見せつける次男
「俺も大人になったぜ!」
🍃白目むいてフリーズ
そんな兄に訝しげに近づく🍉(風呂上がりいい匂い)
「兄ちゃん?大丈夫?」
大丈夫じゃない未来が待ち受けるのは遠くない話
風呂上がり鬼の形相でリビングに戻ってきた🍃を心配する次男
「どうしたんだよ兄貴…って」
響く次男の絶叫 無言の長男にずり下されるジーンズ かろうじて死守したボクサーパンツ 爆笑する四男・末っ子
自分の見たものしか信じない長男による確認作業に次男の癇癪は大爆発
「行動に移すのが早すぎるって俺いつも言ってるよなあ兄貴!」
「…ハイ」
「言葉が足りねえってのもずっと言ってるよな俺?100年前から!何回も!」
「…仰る通りで」
「普通に言葉で聞けばいいだろいきなり脱がさなくてもさあ!」
「…スミマセン」
正座させられて弟から説教くらう元風柱様と それでも兄のことはなんでも許してしまう甘い弟
(できてない軸の現代🍃🍉)
下の男子二人を風呂に入れて湯船でくつろいでる🍃 に末っ子
「実兄ちゃんもしゃもしゃ」
「大人は生えるんだよォ」
「え〜でも玄兄ちゃんぼくといっしょ」
って言われて真顔になる🍃
「そうそう玄兄まだ生えてないんだよな」
と四男の援護射撃にさらに表情筋が消える🍃
(高校生で?まだ?つるつる?成長が遅いのか大丈夫か?背は高いし筋肉もついてんのにかァ!?)