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田村尚也

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軍事・戦史関係記事執筆、アニメ軍事考証など。『イラストでまなぶ!用兵思想入門』『萌えよ!戦車学校』(絵:野上武志先生)など。

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この図のシンプルな捉え方。
部隊の機動は、領土とか空間の支配を争ってたら「近接エリア」、それ以外の機動は全部「マニューバーエリア」。
(ある意味「鉄砲玉」の特殊部隊を含む)射撃は、ぜんぶ「射撃エリア」。
射撃と機動以外は、全部「支援エリア」。
こう考えると簡単では?
「戦略」レベルと「作戦」レベルの区分は、ちょっとむずかしいけれど、それ以外は案外シンプルともいえそう。
細かい定義を言い出すと面倒なことになるんですけどw

25.05.2024 03:13 — 👍 2    🔁 1    💬 0    📌 0


 繰り返しになりますが、このフレームワークの中の各エリアは、地理的な空間や関係によって定義されているわけではなく、あくまでも概念上で区別されています。
アメリカ陸軍は、このような概念図を使って、MDOを視覚化して整理しているんですね。
そして、このMDOフレームワークによって、MDOの指揮官は、味方と敵対者および敵の能力が相互に作用するあらゆる場所と時間を、図上に視覚化して把握できるようになる、としています。
といっても、すぐにはなかなか把握できないですよねw

24.05.2024 13:31 — 👍 3    🔁 1    💬 1    📌 0

具体例をあげると、前線部隊の司令部や補給部隊などは、このエリアに含まれます。これらは、射撃や機動(マニューバー)を行なう部隊ではなく、そうした行動を支援して可能にしている部隊ですね。

24.05.2024 13:29 — 👍 1    🔁 1    💬 1    📌 0

③戦術的支援エリア
こちらは、近接エリア、縦深マニューバー・エリア、縦深射撃エリアにおける作戦を支援して、それらを直接的に可能にしているエリアです。
敵は、通常の機動する(マニューバー)部隊に加えて、情報戦や不正規戦の能力、戦術的な火力(たとえば歩兵火器はこれに含まれます)、さらには作戦的な火力(前述の作戦的支援エリアを狙える射程を持つ火器はこれに含まれます)も、戦術的支援エリアの味方や住民、行政当局に対して指向する、とされています。
また、戦術的支援エリアの味方は、脅威となる射撃に耐えるとともに、敵の地上部隊の近接エリアへの潜入や侵入を撃退する準備をしなければならない、とされています。

24.05.2024 13:28 — 👍 1    🔁 1    💬 1    📌 0

②作戦的支援エリア
このエリアには、アメリカ統合軍の指揮能力や射撃/打撃(ストライク)能力、それに各種能力を維持する能力のカギが数多く配置されています。そして、このエリアでは、敵は偵察や情報戦能力、さらには射撃(作戦次元の射撃で「作戦的(オペレーショナル)射撃」と呼ぶ)で狙っており、作戦的支援エリアで活動する味方部隊は敵と接触することもありえる、とされています。
具体例をあげると、在日米軍やアメリカ空軍の第5航空軍の司令部(第5航空軍の司令官は在日米軍司令官を兼務)が置かれている横田基地や、有事の際にアメリア軍の兵站の中継点となる相模原総合補給廠なども、このエリアに含まれるかと思います。

24.05.2024 13:25 — 👍 1    🔁 1    💬 1    📌 0

この戦略的支援エリアを、敵は戦略的な致死性および非致死性の兵器、特殊作戦による偵察や攻撃のリーチ(効果の到達範囲)の優位を活用して、作戦的支援エリアへのアクセスを得ようとする味方部隊とその能力の展開や増援を混乱させて弱体化させるとともに、近接エリアに移動しようとする、とされています。
具体例をあげると、アメリカ本土を出発した遠征部隊の輸送船団が西太平洋に向かう航路は、この戦略的支援エリアに含まれます。敵は、その輸送船団を長射程の対艦ミサイルや特殊部隊などで攻撃して混乱させるとともに、上陸部隊を台湾本島などに送り込む、といったところでしょうか。

24.05.2024 13:21 — 👍 1    🔁 1    💬 1    📌 0

また、前述した武力紛争未満の「競争」(コンペティション)と武力紛争の両方で、MDO(マルチドメイン・オペレーションズ)の戦役(キャンペーン)の支援に必要とされる兵站の維持機能は、このエリアから発しています。
少し古い言葉でいうと「策源地」ですね。

24.05.2024 13:18 — 👍 0    🔁 1    💬 1    📌 0

この支援エリアは、各エリアで一般的に運用されている能力に応じて、左側から「戦略的支援エリア」「作戦的支援エリア」「戦術的支援エリア」の3つに区分されています。
 ①戦略的支援エリア
このエリアは、統合軍司令部間の調整、海と空の戦略的な連絡線、そしてアメリカ本土のエリアです。
アメリカ側の核、宇宙、サイバースペースの各能力や重要なネットワーク・インフラのほとんどは、この戦略的支援エリアに配置されて管理されています。

24.05.2024 13:17 — 👍 1    🔁 1    💬 1    📌 0

 次に、その左側の3つのエリアです。
(1) 支援エリア(サポート・エリア)
支援エリアとは、アメリカの統合軍が行動の自由、スピード、敏捷性を最大限に維持するために、さまざまな領域で味方の部隊、インフラ、住民への攻撃に注力する敵に対抗しようとする空間の総称、とされています。
かなり抽象的な言い回しで分かりにくいんですが、少し乱暴にまとめると、統合軍の行使した能力が影響を発揮するのは既述の3つのエリア(縦深射撃エリア、縦深マニューバー・エリア、近接エリア)であり、その能力を低下させるために敵がアプローチしてくるエリアはすべて支援エリアに含まれる、と捉えていいかと思います。

24.05.2024 13:14 — 👍 1    🔁 1    💬 1    📌 0

 その左側のエリアです。
(1) 近接エリア(クロース・エリア)
こちらは、味方と敵の部隊(フォーメーション)やシステムが物理的に切迫して接触(コンタクト)しており、作戦目標を達成するために物理的な空間の支配権を争っているエリアです。
このエリアには、陸地に加えて海上の沿岸部やこれらの地域を覆う空域も含まれます。つまり、このエリアだけは物理的な地物が関係しているんですね。
逆にいうと、物理的な空間の支配権を争っていないエリアは、縦深マニューバー・エリアか縦深射撃エリアに区分されるはずです。

24.05.2024 13:12 — 👍 1    🔁 1    💬 1    📌 0

また、火力の投射や特殊作戦など、その効果が一過性に終わることも多い縦深射撃エリアに比べると、こちらの縦深マニューバー・エリアは地上や海上のマニューバー部隊が持続的に存在できるので、作戦をはるかに長く継続することができる、とされています。

24.05.2024 13:09 — 👍 1    🔁 1    💬 1    📌 0

次に、その左側のエリアです。
(1) 縦深マニューバー・エリア(ディープ・マニューバー・エリア)
 こちらは通常のマニューバー(地上または海上)が可能なエリアです。
前述の「縦深射撃エリア」よりも多くの味方部隊とその能力が、このエリアに影響を与えたり活動したりできるレンジ(射程)とサバイバビリティ(生残性)を備えている、とされています。
言い方を変えると、前述の縦深射撃エリアは長射程の巡航ミサイルなどの射撃と特殊部隊のマニューバーに限定されているエリアですが、こちらの縦深マニューバー・エリアは一般の地上部隊や艦艇部隊もマニューバーが可能なエリア、ということです。

24.05.2024 13:07 — 👍 1    🔁 1    💬 1    📌 0

このフレームワークを、たとえばアメリカ軍の特殊作戦部隊によるビン・ラディン殺害のような特殊作戦や、テロ組織幹部の乗った乗用車への無人攻撃機(UAV)によるミサイル攻撃に適用すれば、いずれもこの縦深射撃エリアに含まれることになるかと思います。

24.05.2024 13:04 — 👍 1    🔁 1    💬 1    📌 0

この「縦深射撃エリア」は、さらに「戦略的(ストラテジック)縦深射撃エリア」と「作戦的(オペレーショナル)縦深射撃エリア」の2つに区分されています。
戦略的な影響を与える(情報能力や仮想能力の行使も含む)射撃は「戦略的縦深射撃エリア」に、作戦的な影響を与える射撃は「作戦的縦深射撃エリア」に、それぞれ含まれるわけです。

24.05.2024 13:01 — 👍 1    🔁 1    💬 1    📌 0


(1) 縦深射撃エリア(ディープ・ファイアズ・エリア)
このエリアは、通常戦力が実行できるマニューバー(機動)の範囲を超えているが、統合火力(ジョイント・ファイア)と特殊作戦部隊、それに情報能力および仮想(バーチャル)能力を使用できるエリア、と定義されています。
縦深“射撃”エリアと呼ばれていますが、特殊作戦部隊だけはマニューバーを行なうエリアです(逆に言うと、通常の部隊はマニューバーを行えないエリア)。

24.05.2024 13:00 — 👍 1    🔁 1    💬 1    📌 0

 では、図を見ていきましょう。
図の中央やや下寄りの左右方向に伸びる7つに区切られた帯状の部分。その右端2つの「戦略的(ストラテジック)縦深射撃エリア」と「作戦的(オペレーショナル)縦深射撃エリア」からです。

24.05.2024 12:59 — 👍 1    🔁 1    💬 1    📌 0

ただし、このフレームワークの中の各エリアは、地理的な空間や関係によって定義されているわけではなく、あくまでも概念上で区分されたものです。なので、状況と場所によっては、たとえば(詳しくは後述しますが)縦深マニューバー・エリアと作戦的支援エリアが物理的には隣接していることもありえます。

24.05.2024 12:53 — 👍 1    🔁 1    💬 1    📌 0

たとえば情報のように、それ単体では物理的な存在ではない抽象的な要素も、ある時点でシステムや人々を介して、どこかの場所でその効果を物理的に発揮します。たとえばソーシャル・メディアを通じて流布されるプロパガンダは、だれかのスマートフォンの画面に文字として表示されて、それが読まれることによって効果を発揮するわけです。なので、そうした抽象的な要素も、それが物理的に効果を発揮するエリアで分類して整理しています。

24.05.2024 12:51 — 👍 1    🔁 1    💬 1    📌 0

このMDOフレームワークは、アメリカの統合軍と同盟国軍などのパートナー、武力紛争未満の「競争」(コンペティション)の段階における「敵対者」(アドバーザリー)および武力紛争における「敵」(エネミー)による、あらゆる領域(ドメイン)、電磁スペクトラム(エレクトロマグネティック・スペクトラム、略してEMS)、情報環境にわたる行動を、おもに双方が使用できる能力の組み合わせによって、一部は物理的な地物によって、それぞれ整理しわかりやすく視覚化(図化)したもの、とされています。

24.05.2024 12:50 — 👍 1    🔁 1    💬 1    📌 0
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「マルチドメイン・オペレーションズ・フレームワーク」(MDOフレームワーク)について、ちょっと解説してみようかと思います。
upload.wikimedia.org/wikipedia/co...

24.05.2024 12:43 — 👍 9    🔁 9    💬 1    📌 0