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澱粉

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燭へし 組み合わせ固定 成人済みの腐 私の、私による、私のための燭へし。 脊椎反射で思いついた内容を書き散らかしてるので見るときは薄目で見てください。 しょくへし沼の端っこで一人でちゃぷちゃぷしているだけです。 自我ポストも連ポスも不定期に削除します。

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この長谷部は明らかに燭台切が自分を好きだと確信してるから誘ってる。(自分も燭台切が好き)
燭台切は好きな相手だし、流されるまま抱いちゃったけどいろいろすっ飛ばしていきなり体の関係を持ってしまったせいで長谷部は慣れてて、手軽な相手として遊び相手の一人に加えられたと勘違いする。
でも遊び相手の一人であることに耐えられなくなって長谷部の誘いに乗らなくなる。長谷部は好き同士のつもりでいたから何で急に、まさか俺のことどうでもよくなったのかって勘違いする。で、一悶着あってからやっとちゃんとした恋人になると思う。

02.08.2025 11:58 — 👍 1    🔁 0    💬 0    📌 0

ここまでしかご用意ないです!!!!!すいません!!!!!

02.08.2025 05:45 — 👍 0    🔁 0    💬 1    📌 0

「ちゃ、茶屋……か、甘味は?」
「甘味? ……ああ、はは。なるほどな。それは帰りにな」
 ニィと笑った長谷部の唇が燭台切の顎に触れる。
「先にもっといいものを食わせてやろう」
 まさか、そんな、と戸惑いつつも状況を理解し始めていた燭台切も、ここまでくればさすがに長谷部の意図は理解する。
 躊躇いつつも寄り添っていた体、その腰に腕を回すと「いい子だ」という言葉と共にその薄くやわらかな唇が燭台切のそれに重ねられた。

02.08.2025 05:45 — 👍 1    🔁 0    💬 1    📌 0

極めた長谷部くんに出会い茶屋に連れていかれる初の燭台切ってこういうことですか?
出会茶屋の知識がなさすぎてあってるかわかんないな。

02.08.2025 03:36 — 👍 2    🔁 0    💬 1    📌 0

 戸惑うが、長谷部は躊躇うことなく店員と話して奥に進んでいってしまうため辺りを窺っていた燭台切は慌ててその後を追いかける。

 部屋に入り、中を見渡して燭台切は言葉を失う。
 そこには布団が敷かれており、自分が想像していた光景とは全く違う。
「燭台切……」
 長谷部の手が燭台切の首にかかり、引き寄せられる。
「は、長谷部くん……!?」

02.08.2025 03:36 — 👍 1    🔁 0    💬 1    📌 0

「おい、燭台切。今日は非番だったな? 時間はあるか」
「あるよ! どうしたの?」
「茶屋へ行かないか」
(昨日、乱くんたちが言ってた甘味を食べに行きたいのかな?)
「これから? うん、もちろんいいよ!」
 興味があったし、長谷部くんとデートなんて嬉しいな! と二つ返事で立ち上がる燭台切に満足そうに笑い、黒い裾を翻して歩き出す長谷部の後ろを追いかける。

「え、ここ?」
「そうだ」
 すたすたと中に入っていく長谷部。燭台切は来たことがない茶屋だった。店先は静かで、中は個室に分かれており乱たちが話していた店とは違う店だった。
(個室……? 珍しいタイプだな。実はお高いお店なんじゃ……)

02.08.2025 03:33 — 👍 2    🔁 0    💬 1    📌 1

 俺が鶴丸の部下だからと気を遣っているのかもしれないが、何も知らなかったとはいえ、そんな風に傷つけるのは不本意が過ぎる。
 自己満足でしかないが、謝らねば。傷つけておきながら、のうのうと横で過ごし飯の世話にまでなるなんて、そんなことできるわけがない。
 俺と長船が仲良くなってくれて嬉しい、とご機嫌な鶴丸とは裏腹に、俺はどうすれば贖罪できるかと暗澹たる気持ちで味のわからない焼き鳥を咀嚼するしかなかった。

―続く。

25.05.2025 03:13 — 👍 1    🔁 0    💬 0    📌 0

 君は正直者だからなあ、と笑われて肩を落とすしかない。その通りだ。俺は感情や思考を隠すのはそんなにうまくない。
 客先相手ともなればスイッチが入るというか、一枚仮面をかぶるようなものだから腹芸だってこなせるが、同僚とすらうまくやれてない事実は変えようもない。
 実際、鶴丸の期待を俺は裏切ってしまっている。
 いつどんな内容だったかまで明確に記憶はしてないが、間違いなく長船に対してモテるであろうことを揶揄することを言っている。マスクのことだって気づかず連れまわしてしまった。
 つまりは、長船は俺に対しても苦い気持ちを抱いていて、それでもあの笑顔で飲み込んでしまったということだ。

25.05.2025 03:08 — 👍 1    🔁 0    💬 1    📌 0

 さながら、誘蛾灯のような。
「アイツ、女関係でトラウマがあるから、モテるだろう、とか女に困らないだろうとかそういった類のことを言われるのがめちゃくちゃ嫌いでな。でも、そういうことをいじらずにいられるやつって案外いないんだよ。だがお前は他人の色恋とかそういうのに全然興味ないだろ? だから、お前なら光坊と仲良くなれると思ったんだよな」
「……そういうことは先に言ってくれませんかね……」
 枝豆の空になった鞘を弄ぶ鶴丸に俺は思わず拳を握る。やりようのない憤りというか、無念さというか。
「言ったら言ったで、お前意識するだろう。こいつ、そんなモテるのに女にトラウマがあるんだ……って変な顔するぞ」

25.05.2025 03:03 — 👍 1    🔁 0    💬 1    📌 0

 社交的ではないから、たとえ話しかけられてもろくに返せないし、そもそも話しかけられない。反して長船は、多分いつでも誰かに話しかけられていて、話しかける隙を見つける方が大変そうな。
「アイツはなあ……変にモテるからやっかみとかトラブルが多くてな。無難な立ち回りばっかりうまくなって、敵は作らないが仲がいいやつも作らなくなっちまった。だからこんなふうにプライベートを過ごす相手ができたのは本当に久しぶりなんじゃないか? せっかくだから仲良くしてやってくれ」
「……そうなんですか?」
 確かに、先日の食事の際もちょっとマスクを外していただけなのに人の目をやたら攫っていた。不思議な魅力のある男だとは思う。

25.05.2025 02:59 — 👍 1    🔁 0    💬 1    📌 0

+ + +

 細かいことは省いて、俺が長船に弁当を作ってもらうことになった経緯を聞いた鶴丸さんは枝豆を口に放り込みながら楽し気に笑った。
「アイツ、面白いだろ。いいやつだし」
「まあ、そうですね」
 面白いかどうかはわからないが、いいやつなのは確かだ。他人にあれだけ一線引いておきながら、ちょっと親しくなっただけの俺に弁当まで作ってくれるんだからお人好しにすら思える。
「アイツ、友達少ないからさ、仲良くしてやってくれ」
「いや、さすがにそれは嘘でしょう」
 それを言うならむしろ俺の方だ。学生時代で言えば、常に友達の中心にいるのが長船で、教室の隅で一人で本を読んでいるのが俺。

25.05.2025 02:53 — 👍 1    🔁 0    💬 1    📌 0

連ツイで整合性保って同じノリのまま書ける人すごいな
勢いだけで書いてるから段々性格とか出来事がブレてきてる気がする

23.05.2025 11:18 — 👍 0    🔁 0    💬 0    📌 0

「ない、他にはないよ。大丈夫。その、それこそ鶴さんみたいにいきなり知らない人と会わせるとか、そういうことは長谷部くん、しないだろ?」
「しないな。鶴丸さんのあれは……悪癖だからな……普通はしないだろ」
「そうだよね。それなら、大丈夫」
「わかった。何かあればすぐに言えよ」
 これ以上、後から気を遣わせたとか嫌な思いをさせたと気づくのはこりごりだ。無礼だと小父つつも指さしながら強めに言うと、長船は今度こそ楽し気に笑っていた。
 それに安心して俺は、ようやく冷めかけてチーズが少し硬くなったハンバーグの残りを口に突っ込んだ。

―つづく。

23.05.2025 10:58 — 👍 1    🔁 0    💬 1    📌 0

「外を歩く分には、マスクをしてるからいいんだろ? 人目があるところで外すのがよくないんだよな。だったら、食事とかそういうのは人目がないところだけにしよう。それなら大丈夫だろう?」
「大丈夫、だけど」
「けど、なんだ。何かあるか? あるなら今のうちに言っておいてくれ」
「いいのかい? その、僕の勝手な都合なのに」
「悪いわけがないだろう。人前でマスクを外さなければいいだけなら、そんなに難しいことじゃない。むしろ、気になることとか嫌なことはあらかじめ言っておいてくれ。後から気づく方がキツい」
 どうなんだ、と視線で問えば長船は胸の前で両手を振って見せた。

23.05.2025 10:55 — 👍 1    🔁 0    💬 1    📌 0

「気づかなくて、すまん」
「いや」
「お前、こういうのが嫌だから常にマスクをつけてるのか」
 俺の問いに、長船は眉尻を下げて笑ったようだった。
「なんでかね、妙に見られるんだよね。ひどいときには結構しつこく声を掛けられたりもするから、予防のためにね」
「言えよ……。本当はマスクを外したくなかったんだろう」
「ごめん、なんか言いづらくて」
 俺は飯を食っていくか、と誘った時に長船が見せた一瞬の逡巡を思い出して唸りそうになってしまった。気づけなかった。あれはそういうことだったのだ、
と。
「今度からは個室の店か、どちらかの家だけにしよう」
「えっ?」

23.05.2025 10:52 — 👍 1    🔁 0    💬 1    📌 0

 普通に食事をしているだけなのに、雑誌に載ってそうだな、などと思っていると通りすがりの人の視線が不意に気になった。
 主に女性が、長船に視線を送っている。
 あからさまにそれを見返すわけにもいかず、食事を口に運びながらもそっと周囲を窺えば何組か長船の様子を窺っている奴らがいることに気づいてしまった。
 それは長船も同じだったようで、僅かに表情を曇らせると俯きがちになり、無言のまま先ほどまでとは比べ物にならないペースで食事を済ませると、すぐにマスクをつけてしまった。
 俺はのろのろと自分の分を口に運びながらも、また失敗してしまったのだと気づいて憂鬱になる。

23.05.2025 10:48 — 👍 1    🔁 0    💬 1    📌 0

 なんだか随分気安い感じだが、実際のところ長船とは帰り道に話をするようになっただけで、一緒に食事をするのはこれで三回目だ。
 鶴丸さんにだまし討ちのように引き合わせられた初回、昨夜長船の家に招かれて食事を取った二回目、そして、この昼食。
 気が合いそうだから、と期待していた鶴丸さんを連絡先すら交換しなかったとがっかりさせたが、今俺たちの携帯端末の中にはお互いの連絡先が収まっている。
「このハンバーグ、チーズ掛け過ぎじゃないか? うますぎる」
「いいの? 悪いの?」
「最高だな」
「よかったね」
 ふふ、と笑いながら長船もパエリアを口に運ぶ。

23.05.2025 10:44 — 👍 1    🔁 0    💬 1    📌 0

「何か食いたいものはあるか?」
「うーん、僕よりも長谷部くんの食べたいものがいいかな。今後の参考にしたいし」
 そんなふうに言われて、お前への礼も兼ねて飯を食いに行きたかったのに結局それも俺のためになるのかと頭を抱えそうになる。だが、固辞して長船の食べたいものを聞き出すのも憚られて、結局俺たちは目に付いた洋食屋に入ることにした。
「洋食好きなの?」
「和食が嫌いなわけじゃないけどな。割とハンバーグとかオムライスとか、ベタなものが好きなんだ」
「なるほどね、僕も好きだし、いいと思う。参考にするよ」
 俺はハンバーグセット、長船はパエリアのランチセットを頼んで一息つく。

23.05.2025 10:38 — 👍 1    🔁 0    💬 1    📌 0

 話を聞きながら、目の前に広がるたくさんの弁当箱を前に俺は唸るしかなかった。想像以上に種類がある。
 長船のアドバイスがなければ途方に暮れていたかもしれない。
 結局俺はステンレスのシンプルなものを選んだ。洗いやすく、色移りしにくく、パーツも少ない。
 目当ての物を手に入れたら、あとはスーパーで食材を買い込んで長船の家に行き、弁当に詰めるおかずを作っていくことになるわけだが、気づけば時間は昼に差し掛かるところだった。
「なあ、もう昼だしスーパーに行く前に何か食っていくか」
 俺の問いかけに、一瞬きょとんとした長船は視線をぐるりと一周巡らせた後、そうだねと頷いた。

23.05.2025 10:31 — 👍 1    🔁 0    💬 1    📌 0

 それなら現状お弁当を作っていて、知見があるであろう長船を素直に頼った方がいいだろうと思われた。
 実際、雑貨屋を巡りながら長船が語ったお弁当に関する知見は俺にはない視点のもので助かった。スープジャーは自分で作りたければ導入してもいいが、そうじゃなければインスタントの味噌汁などで十分問題ないとか、ビジネスバックに入るタイプの細いお弁当箱は便利だが容量を確保するために二段になってしまってバッグの容量をかなり食うから、邪魔でも大人しく別のバッグでお弁当を持っていった方が便利でいいとか。
 二段の弁当箱はスリムで持ち運びはしやすいが洗い物は増える、角はない方が洗いやすい、など。

23.05.2025 10:25 — 👍 1    🔁 0    💬 1    📌 0

 そしてそれを言葉にするまでもなく、俺の表情で察したらしい長船は馬鹿にするわけでもなく微笑みながら、せっかくだから明日一緒に買いに行こうかと誘ってきた。お弁当箱を買いに行って、帰りにスーパーに寄って、そのままうちに寄っておかずを持って帰るといいよ。その完璧に思える提案に、俺は申し訳なさを覚えつつも首を縦に振ることにした。
 そもそもこの提案を断った場合、俺はこの後どう振舞えばいいのかわからない。当てもなく弁当箱を探して、見つけたら俺を待っている長船の家に行くのか? それはそれで問題ない気もするが、そもそも俺は弁当箱の大きさや形など、どういったものがいいかなど少しもわからない。

23.05.2025 10:13 — 👍 1    🔁 0    💬 1    📌 0

 俺が想像するよりも乗り気だったらしい長船に誘われて、翌日の土曜日に二人連れだって弁当箱を買いに出かけることになった。
 おかしな話だが、今まで弁当など母が勝手に出してきて、返却すれば翌日また中身の詰まった弁当箱を差し出してきていたものだから弁当箱から自分で用意しなければ存在しないという至極当然のことにすら俺は思い至らなかったのだ。
 長船に「長谷部くん、念のために聞くけどお弁当箱はある?」と聞かれて初めて、そうだ、俺は弁当箱など持っていない、と気づいた。

23.05.2025 10:10 — 👍 1    🔁 0    💬 1    📌 0

「なるほど。それならできそうな気がする」
「じゃあ決まりだ」
「すまん、助かる」
「全然いいよ。常備菜にできないもので、入ってたら嬉しいものは自分で作るか冷凍食品を使えばいいから。作り方がわからないものは教えてあげるね」
 あまりのありがたさに、いっそ長船に後光でも刺してきそうな勢いだ。
 だが、先ほどの考察から察するにやはり長船もいろいろ女関係で面倒なことを経験してきたのだろう。だからこそここまで親身になってくれるのかもしれない。
 好意に甘える形で申し訳ないと思いつつ、こうして長船に昼飯の面倒を見てもらうことになったのだ。

―つづく。

11.05.2025 10:14 — 👍 3    🔁 0    💬 1    📌 0

「ああ、まあそうか。いや、だが弁当を作るったってどうするんだ? お前が朝何時に出社してるのか知らないが、出社前に落ち合うのは結構面倒じゃないか? お前に出張があるのかは知らないが、俺は出張や外出もあるしな」
「あー、それはそうかも」
 再び腕を組んで考え込む長船に倣って俺も考えてみるが、長船に弁当を作ってもらうのは正直現実的ではない気しかしない。
「じゃあさ、毎週土日どっちかうちに来れる?」
「土日?」
「そう。お弁当に使う常備菜は基本的に週末に作ってるんだよ。だから、長谷部くんが週末どちらか取りに来てよ。で、お弁当に詰めるのは長谷部くんが自分ちでやればいいよ。朝じゃなくて夜詰めてもいいし」

11.05.2025 10:09 — 👍 1    🔁 0    💬 1    📌 0

 どこまでお人好しなのか、長船はそんなこと考えてもいなかったようで腕を組んで考え込んでしまった。
 だが対価と言っても、考えたところで手間賃を出すくらいしかできそうにないが。
「そうだ、じゃあ少し多めに材料費出してくれない? 割り勘じゃなくて、長谷部くんが1.5、僕が0.5くらいでどう? そしたら僕は大して手間が増えるわけじゃないのに節約が捗るし。メリットとして十分だと思う」
「いや、材料費は当然出すつもりだったが……そんなものでいいのか」
「言うけどね、一週間分なんだから意外と馬鹿にならないよ。冷凍食品とかも買うわけだし」

11.05.2025 10:03 — 👍 1    🔁 0    💬 1    📌 0

 長船の想像がやけに細かくて、うっかりそんなことを口にしたら珍しく険しい顔で見返されてしまった。どうやら触れてはいけなかったらしい。
「じゃあどうしたらいいんだ」
「僕が作るよ」
「はぁ!?」
「僕だったら生半可な女の子には負けないしね」
「いや、そうかもしれんが、そこまで手間を掛けさせるわけにはいかない」
「一人分作るのも二人分作るのも手間はそんなに変わらないから気にしなくていいよ」
「しかしだな……お前にメリットがないだろう」
「メリット」
「ああ。確かに俺は助かるが、お前が俺に弁当を作るんなら相応の対価が必要だろう」

11.05.2025 09:59 — 👍 1    🔁 0    💬 1    📌 0

「なに?」
「その手のこっちの都合を考えないタイプの人がお弁当を持ってるくらいで引き下がるかな? 後日、自分もお弁当を持ってきて一緒に食べましょうって言い出すのがオチじゃないかな。もしくは、お弁当作ってあげるとか言い出すんじゃない?」
「じゃあ、彼女に作ってもらったと言えばどうだ」
「ううん……お弁当のクオリティによっては『私の方が料理できますよ』アピールしてくる子はいると思う。彼女いらないって言ってるのに諦めないようなタイプなんだろ? 付け込む隙があると判断したらそれくらいのことはしてくる子も世の中にはいるよ」
「……経験談か?」

11.05.2025 09:56 — 👍 1    🔁 0    💬 1    📌 0

「どんな話でも構わないよ」
 目の前で最早すっかり見慣れてしまった美しい顔面に微笑まれて、俺も今更取り繕っても仕方ないかと、全て正直に話すことにした。
「昼になると女性社員にランチに誘われるのをいちいち断るのが面倒くさいんだ」
「ああ、それでお弁当があれば断りやすいし、その後も誘われないから?」
「そう。そもそも俺は会社で彼女はいらないと公言しているんだが、それでも放っておいてくれない女が何人かいてな……下心が見え見えではあるんだが、あまり邪険にしすぎると後が面倒だし、周りのおせっかいややっかみも鬱陶しい。だからそもそも誘われないようにしたいんだ」
「なるほど。でもそんなにうまくいくかな?」

11.05.2025 09:47 — 👍 2    🔁 0    💬 1    📌 0

 改めてダイニングに腰を下ろして待っていると、マグカップ二つと砂糖、ミルクの乗ったトレイを持って長船が戻ってきた。
 なんでこんな洒落たトレイがあるんだ。俺の家にはないぞ。こういうところが俺と長船の違いなんだろうなあなどと思わずにはいられない。
「はいどうぞ。それで、お弁当作りを知りたいってだけの割に深刻な顔してるのは何でなの?」
「……そんな顔してるか?」
「うん。何か事情があるんだろうな、って思うくらいには」
 そんな顔をしてしまっていただろうか、と自分の頬を手のひらで撫で擦ってみる。自分ではよくわからないが、長船が言うのだからそうなのかもしれない。
「その、くだらない話なんだが」

11.05.2025 09:36 — 👍 1    🔁 0    💬 1    📌 0

「でも何か理由があるんだ?」
「まあ……そうだな」
「理由は聞いてもいいの?」
「いいが、別に面白い話でもないぞ」
「構わないなら聞きたいな。お弁当の中身にも影響するかもしれないし、一応ね」
 はい、と最後の皿を渡されて濯ぎ、水切りの上に乗せる。調理器具は料理の合間に片付けてしまったようで、本当に食器と長船の弁当箱しか洗うものはなかった。
 頭から尻尾まで手際の良さに感心するしかない。
「じゃあコーヒーでも淹れようか」
 これ以上手間をかけるのもなあ、と思わないでもなかったが話をするのに何もないの味気ないかと頷くと、長船はニコリと笑った。
「オーケー、座って待ってて」

11.05.2025 09:32 — 👍 1    🔁 0    💬 1    📌 0

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