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久留米 恵

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成人済(高卒済)/昭和産アラフォー/イドアズ/読むのは雑食 夜中の独り言多め アイコン、ヘッダーはいなほゆらさん(@inahoyura.bsky.social)のフリーアイコン、フリー素材をお借りしています。

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でした!

Bluesky のユーザー数は現在 1,000 万人を超えており、私は #5,093,413 番目でした。

20.09.2024 15:46 — 👍 0    🔁 0    💬 0    📌 0

あれだけのミスを、悪意がないんだから責めたコッチが悪いって言った人の考えなど何もわからない。向こうの勘に触れば、またSNSで晒し上げられるんだろうな。

27.04.2024 18:22 — 👍 0    🔁 0    💬 0    📌 0

能動的に何かされるとは思ってないけど、ひどい人のレッテルを集団から貼られたあとだから、料理できるうんぬんはやり方を間違えるとあっという間にパクリ扱いされるような気がしてて。そんなことを気にしながら創作したくないっていうね。

27.04.2024 18:20 — 👍 0    🔁 0    💬 0    📌 0

6月の為の原稿してて普通に書けたけど、その後ボロボロ泣いてて、そこまでしてやるもんじゃないだろ趣味の二次創作、って呆れてる。
人間不信になる為に書いてるわけじゃないが、人間不信のまま書いてるから。

27.04.2024 18:15 — 👍 0    🔁 0    💬 0    📌 0
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イドアズ。(2/2)
このシリーズの話です。
www.pixiv.net/novel/show.p...

16.03.2024 16:42 — 👍 0    🔁 0    💬 0    📌 0
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イドアズ。
4年生になって、それぞれが研修に出て離ればなれに暮らしている前提の話。(1/2)

16.03.2024 16:41 — 👍 2    🔁 0    💬 1    📌 0
くるくるとハンドルを回してコーヒーを挽くと、良い香りがした。学生時代は紅茶ばかり飲んでいたが、この香りを嗅ぐとコーヒーもいいと思う。丸い金属のバスケットに挽いたコーヒー豆を詰め、マキネッタにセットする。研修先の先輩が恋人と暮らすことになって、大きなサイズのマキネッタを買い直して、不要になったものを貰ったのだ。
マキネッタはエスプレッソを淹れる器具だ。水を沸騰させた蒸気圧でコーヒーを抽出する。とはいえ、機械のように九気圧も掛けられないから、できるのはエスプレッソではなく少し濃いコーヒーだ。ここにミルクフォーマーで泡立てたたっぷりの低脂肪乳を注ぐのが、最近のアズールのお気に入りだった。朝食であれば、そこまでカロリーも気にならない。
フライパンに春キャベツとブロッコリー、半分に切ったプチトマト、千切ったキノコを入れて弱火でじっくりと焼く。マキネッタに水を入れ、隣のコンロで火に掛けた。戸棚からパン・オ・ショコラを取り出して、トースターに入れる。
マキネッタの中で湯が沸いて、部屋中にコーヒーの香りが広がった。パンが温まるまでの間に、温めた低脂肪乳も泡立てておく。大きめなカップにコーヒーを注ぎ、フォームミルクを注ぐ。バリスタがうまくやるとカプチーノの表面に葉の模様ができるのだが、自宅なのでそこまで手間は掛けない。ミルクの泡とコーヒーが混ざるように、飲む前によく混ぜれば良いだけだ。温まったパン・オ・ショコラも皿に並べた。フライパンの焼野菜を皿に取り、岩塩と黒胡椒を挽いて、最後にカッテージチースを千切って散らす。焼野菜とパン、カプチーノを食卓に並べた。

くるくるとハンドルを回してコーヒーを挽くと、良い香りがした。学生時代は紅茶ばかり飲んでいたが、この香りを嗅ぐとコーヒーもいいと思う。丸い金属のバスケットに挽いたコーヒー豆を詰め、マキネッタにセットする。研修先の先輩が恋人と暮らすことになって、大きなサイズのマキネッタを買い直して、不要になったものを貰ったのだ。 マキネッタはエスプレッソを淹れる器具だ。水を沸騰させた蒸気圧でコーヒーを抽出する。とはいえ、機械のように九気圧も掛けられないから、できるのはエスプレッソではなく少し濃いコーヒーだ。ここにミルクフォーマーで泡立てたたっぷりの低脂肪乳を注ぐのが、最近のアズールのお気に入りだった。朝食であれば、そこまでカロリーも気にならない。 フライパンに春キャベツとブロッコリー、半分に切ったプチトマト、千切ったキノコを入れて弱火でじっくりと焼く。マキネッタに水を入れ、隣のコンロで火に掛けた。戸棚からパン・オ・ショコラを取り出して、トースターに入れる。 マキネッタの中で湯が沸いて、部屋中にコーヒーの香りが広がった。パンが温まるまでの間に、温めた低脂肪乳も泡立てておく。大きめなカップにコーヒーを注ぎ、フォームミルクを注ぐ。バリスタがうまくやるとカプチーノの表面に葉の模様ができるのだが、自宅なのでそこまで手間は掛けない。ミルクの泡とコーヒーが混ざるように、飲む前によく混ぜれば良いだけだ。温まったパン・オ・ショコラも皿に並べた。フライパンの焼野菜を皿に取り、岩塩と黒胡椒を挽いて、最後にカッテージチースを千切って散らす。焼野菜とパン、カプチーノを食卓に並べた。

並んだメニューを見て、アズールは一つため息をついた。パン・オ・ショコラなんて甘いカロリーの塊を自分から買ったりしない。だというのにこのパンがここにあるのは、マキネッタに一家言ある社員にアズールがマキネッタを所有したことが知れたからだ。彼曰く、マキネッタがあるなら朝食にはコーヒーとパン・オ・ショコラを用意するべきなのだそうだ。わざわざオススメの店で購入したというパンを押し付けられれば、食べ物を粗末にするのが嫌いなアズールは食べるしかない。そして高カロリーのパンは、できれば朝に食べたい。というわけで、アズールは先輩の思うとおりの朝食をとることになったわけだ。ここにジェイドかフロイドがいれば、パン・オ・ショコラを押し付けて、彼らの感想をそのまま先輩に伝えられたのに。
何かカロリーの消化を助けるものはないかと冷蔵庫を開けてみれば、作り置きのキャロットラペが入っていた。ジェイドがフロイドから貰ったオレンジと人参でラペを作ったらしい。そのラペが美味しかったと聞いて、アズールも作ってみたくなった。コツは塩と粒マスタード、お酢の使う量を可能な限り減らすことらしい。アズールが興味を持ったことに気付いたフロイドが、すぐにそのオレンジを送ってくれたので、アズールも同じように作ってみた。できあがったラペは果物の爽やかな酸味でにんじんの甘みが引き立って、とても美味しかった。ラペの味を報告したときのジェイドの嬉しそうな顔で、さらに美味しさが増したかもしれない。ラペの入ったタッパーを取り出し、皿の横に置いた。焼野菜の上に、ドレッシング代わりにラペをのせる。
一人きりの部屋でいただきますと誰も聞かない挨拶をしてから、アズールは朝食に手を伸ばした。じっくりと焼いた野菜は、岩塩の塩気と黒胡椒の刺激に甘みが引き立てられて美味しい。ラペは味がよく馴染んで、前とは少し味が変わっていてそれも楽しい。

並んだメニューを見て、アズールは一つため息をついた。パン・オ・ショコラなんて甘いカロリーの塊を自分から買ったりしない。だというのにこのパンがここにあるのは、マキネッタに一家言ある社員にアズールがマキネッタを所有したことが知れたからだ。彼曰く、マキネッタがあるなら朝食にはコーヒーとパン・オ・ショコラを用意するべきなのだそうだ。わざわざオススメの店で購入したというパンを押し付けられれば、食べ物を粗末にするのが嫌いなアズールは食べるしかない。そして高カロリーのパンは、できれば朝に食べたい。というわけで、アズールは先輩の思うとおりの朝食をとることになったわけだ。ここにジェイドかフロイドがいれば、パン・オ・ショコラを押し付けて、彼らの感想をそのまま先輩に伝えられたのに。 何かカロリーの消化を助けるものはないかと冷蔵庫を開けてみれば、作り置きのキャロットラペが入っていた。ジェイドがフロイドから貰ったオレンジと人参でラペを作ったらしい。そのラペが美味しかったと聞いて、アズールも作ってみたくなった。コツは塩と粒マスタード、お酢の使う量を可能な限り減らすことらしい。アズールが興味を持ったことに気付いたフロイドが、すぐにそのオレンジを送ってくれたので、アズールも同じように作ってみた。できあがったラペは果物の爽やかな酸味でにんじんの甘みが引き立って、とても美味しかった。ラペの味を報告したときのジェイドの嬉しそうな顔で、さらに美味しさが増したかもしれない。ラペの入ったタッパーを取り出し、皿の横に置いた。焼野菜の上に、ドレッシング代わりにラペをのせる。 一人きりの部屋でいただきますと誰も聞かない挨拶をしてから、アズールは朝食に手を伸ばした。じっくりと焼いた野菜は、岩塩の塩気と黒胡椒の刺激に甘みが引き立てられて美味しい。ラペは味がよく馴染んで、前とは少し味が変わっていてそれも楽しい。

だというのに、何か物足りなく感じるのは三人で朝食を食べた三年の寮生活が長かったからだろうか。夢中になると他を疎かにしがちなジェイドはちゃんと食べているだろうか。忙しい研修先に当たってしまったフロイドは、食事の時間を確保できているだろうか。これではまるで親のようだと思うが、恋人の二人が健やかでいることがアズールの喜びなのだから仕方がない。ここ数日はアズールも忙しくて、二人に連絡を出来ていなかった。今晩は久しぶりに二人に連絡をして、パン・オ・ショコラを食べた話でもしようか。
ジェイドはきっと、アズールが意に沿わない高カロリーな食事をしたことに皮肉を言うだろう。フロイドは拗ねるだろうか、笑うだろうか。アズールが高カロリーな食事をする機会を全部側で見たいと強請るような強欲な人魚だから、怒るかもしれない。一緒に居るときは、拗ねた二人の機嫌を取るのがあんなに面倒だったのに、些細なことで拗ねる二人を今は見てみたい。
恋人に今晩の予定を訪ねるべく、アズールはスマホを取り出した。

だというのに、何か物足りなく感じるのは三人で朝食を食べた三年の寮生活が長かったからだろうか。夢中になると他を疎かにしがちなジェイドはちゃんと食べているだろうか。忙しい研修先に当たってしまったフロイドは、食事の時間を確保できているだろうか。これではまるで親のようだと思うが、恋人の二人が健やかでいることがアズールの喜びなのだから仕方がない。ここ数日はアズールも忙しくて、二人に連絡を出来ていなかった。今晩は久しぶりに二人に連絡をして、パン・オ・ショコラを食べた話でもしようか。 ジェイドはきっと、アズールが意に沿わない高カロリーな食事をしたことに皮肉を言うだろう。フロイドは拗ねるだろうか、笑うだろうか。アズールが高カロリーな食事をする機会を全部側で見たいと強請るような強欲な人魚だから、怒るかもしれない。一緒に居るときは、拗ねた二人の機嫌を取るのがあんなに面倒だったのに、些細なことで拗ねる二人を今は見てみたい。 恋人に今晩の予定を訪ねるべく、アズールはスマホを取り出した。

イドアズ。
4年生になって、それぞれが研修に出て離ればなれに暮らしている前提の話。
このシリーズの話です。
www.pixiv.net/novel/show.p...

09.03.2024 18:08 — 👍 0    🔁 0    💬 0    📌 0
朝、アラームに起こされて顔を洗い、着替えてラジオと共にキッチンへ向かう。キッチンで流すのは、面白みのないニュースだ。世界情勢になど興味は無いが、恋人との会話を楽しむために、毎日必ず聞いている。ボウルを取り出し、カッテージチーズを入れ、卵も割り入れる。初めて片手で卵を割って見せたときは目を輝かせて驚いてくれた恋人も、すぐに片手で卵を割れるようになっていた。努力家で負けず嫌いで、恋人のそんなところにも惚れている。
スプーンでボウルの中身を適当に混ぜ、砂糖をスプーン一杯、塩は三振りほど加えてまた混ぜた。ラップを敷いたまな板に、生地をスプーンで掬ってのせて、丸く形を整える。柔らかい生地は扱いづらく、形を整えようとするとぺったりとスプーンに張り付いた。薄力粉を増やすと扱いやすくなるのだが、軽い食感のためにできれば粉は増やしたくない。苦戦していると、ラジオから軽快な音楽が流れ出した。CMが始まったらしい。春らしい温かい日を喜ぶ明るい声が、音楽に乗って聞こえる。実際はまだまだ肌寒い日が続いているのに。
フライパンにバターを落として溶かし、いびつに丸くなった生地をのせる。小麦粉の焼ける匂いとバターの焦げる匂いがする。海に居た頃は知らない匂いだったのに、二つともすっかり食欲をそそる匂いになってしまった。この匂いを嗅ぐと、恋人が嬉しそうに頬を緩ませるからかもしれない。
市場でオマケに貰ったオレンジの変種を一つ手に取り、くるくるとリンゴのように包丁で皮を剥く。薄皮が厚く食べづらい品種だと聞いたから、薄皮も丁寧にはずした。
傍らのフライパンの中身をひっくり返してじっくり焼き色とつけ、皿にのせてオレンジとスライスアーモンドを散らした。仕上げにたっぷりと蜂蜜を掛ける。チーズをたっぷり使ったこのパンケーキは、スィールニキというらしい。ティーバッグを入れたマグカップに湯を注ぎ、スィールニキの皿と共にテーブルに並べた。スマホを取り出して、パチリと一枚写真を撮る。ラジオも皿の隣に並べた。相変わらず、ラジオは淡々とニュースを読み上げる声を流している。

朝、アラームに起こされて顔を洗い、着替えてラジオと共にキッチンへ向かう。キッチンで流すのは、面白みのないニュースだ。世界情勢になど興味は無いが、恋人との会話を楽しむために、毎日必ず聞いている。ボウルを取り出し、カッテージチーズを入れ、卵も割り入れる。初めて片手で卵を割って見せたときは目を輝かせて驚いてくれた恋人も、すぐに片手で卵を割れるようになっていた。努力家で負けず嫌いで、恋人のそんなところにも惚れている。 スプーンでボウルの中身を適当に混ぜ、砂糖をスプーン一杯、塩は三振りほど加えてまた混ぜた。ラップを敷いたまな板に、生地をスプーンで掬ってのせて、丸く形を整える。柔らかい生地は扱いづらく、形を整えようとするとぺったりとスプーンに張り付いた。薄力粉を増やすと扱いやすくなるのだが、軽い食感のためにできれば粉は増やしたくない。苦戦していると、ラジオから軽快な音楽が流れ出した。CMが始まったらしい。春らしい温かい日を喜ぶ明るい声が、音楽に乗って聞こえる。実際はまだまだ肌寒い日が続いているのに。 フライパンにバターを落として溶かし、いびつに丸くなった生地をのせる。小麦粉の焼ける匂いとバターの焦げる匂いがする。海に居た頃は知らない匂いだったのに、二つともすっかり食欲をそそる匂いになってしまった。この匂いを嗅ぐと、恋人が嬉しそうに頬を緩ませるからかもしれない。 市場でオマケに貰ったオレンジの変種を一つ手に取り、くるくるとリンゴのように包丁で皮を剥く。薄皮が厚く食べづらい品種だと聞いたから、薄皮も丁寧にはずした。 傍らのフライパンの中身をひっくり返してじっくり焼き色とつけ、皿にのせてオレンジとスライスアーモンドを散らした。仕上げにたっぷりと蜂蜜を掛ける。チーズをたっぷり使ったこのパンケーキは、スィールニキというらしい。ティーバッグを入れたマグカップに湯を注ぎ、スィールニキの皿と共にテーブルに並べた。スマホを取り出して、パチリと一枚写真を撮る。ラジオも皿の隣に並べた。相変わらず、ラジオは淡々とニュースを読み上げる声を流している。

このラジオは恋人から貰ったものだ。ある日彼の我が儘を聞いたら、対価だといってくれたのだ。普段は少しの報酬をマドルでくれるだけだったから、フロイドは突然のプレゼントに驚いた。添えられた手紙には、テレビではなくラジオを使用してみてはどうかと短く書かれていた。研究に忙しかったとき、チカチカとめまぐるしく変わる画面を眺めていると疲れると零したことを覚えていたらしい。
手紙に寄れば、このラジオには波の音などリラックスするための雑音を流す機能もあるという。くるくるとダイヤルを回して聞いてみたが、波の音も木々のざわめく音も、深海育ちのフロイドには慣れない苛立つ音でしか無かった。恋人がフロイドの嗜好を見誤るのは珍しい。全然眠れなかったよ、そう言って笑おうと思い、最後の雑音にダイヤルを合わせると、聞き覚えのある声が流れてきた。このラジオに、契約書で奪ったのではない、恋人本来の歌声が入っている。流れてきたのは、優しい子守歌だった。そういえば、ラジオの箱には開封した後があった。恋人のことなので何か考えがあるのだろうと思って気にしていなかったが、歌声を吹き込むために一度開封したらしい。
手紙を見返しても、子守歌のことなど一言も書かれていない。そのくせ、リラックスさせるための音が数種類入っているようですから、寝る前に使ってみると良いですよなどと書かれているのだから笑ってしまう。どんなリラックス音よりも、恋人の子守歌のほうが良いに決まっているのに。
忙しくて休みたいのに疲れすぎてうまく眠れないことを、恋人に話しただろうか。そんなみっともない弱音を零したか。それとも声や様子で気付かれてしまったのか。ともかくフロイドは、恋人の子守歌のおかげでぐっすり眠れるようになった。片割れにこのラジオの話はしていない。二人の取り扱いがとびきりうまい恋人のことだから、片割れにだって何か素晴らしい対価を贈っているだろうけど、このラジオのことは二人だけの秘密にしておきたかった。

このラジオは恋人から貰ったものだ。ある日彼の我が儘を聞いたら、対価だといってくれたのだ。普段は少しの報酬をマドルでくれるだけだったから、フロイドは突然のプレゼントに驚いた。添えられた手紙には、テレビではなくラジオを使用してみてはどうかと短く書かれていた。研究に忙しかったとき、チカチカとめまぐるしく変わる画面を眺めていると疲れると零したことを覚えていたらしい。 手紙に寄れば、このラジオには波の音などリラックスするための雑音を流す機能もあるという。くるくるとダイヤルを回して聞いてみたが、波の音も木々のざわめく音も、深海育ちのフロイドには慣れない苛立つ音でしか無かった。恋人がフロイドの嗜好を見誤るのは珍しい。全然眠れなかったよ、そう言って笑おうと思い、最後の雑音にダイヤルを合わせると、聞き覚えのある声が流れてきた。このラジオに、契約書で奪ったのではない、恋人本来の歌声が入っている。流れてきたのは、優しい子守歌だった。そういえば、ラジオの箱には開封した後があった。恋人のことなので何か考えがあるのだろうと思って気にしていなかったが、歌声を吹き込むために一度開封したらしい。 手紙を見返しても、子守歌のことなど一言も書かれていない。そのくせ、リラックスさせるための音が数種類入っているようですから、寝る前に使ってみると良いですよなどと書かれているのだから笑ってしまう。どんなリラックス音よりも、恋人の子守歌のほうが良いに決まっているのに。 忙しくて休みたいのに疲れすぎてうまく眠れないことを、恋人に話しただろうか。そんなみっともない弱音を零したか。それとも声や様子で気付かれてしまったのか。ともかくフロイドは、恋人の子守歌のおかげでぐっすり眠れるようになった。片割れにこのラジオの話はしていない。二人の取り扱いがとびきりうまい恋人のことだから、片割れにだって何か素晴らしい対価を贈っているだろうけど、このラジオのことは二人だけの秘密にしておきたかった。

子守歌を贈ってくれた恋人の喜ぶ顔が見たくて、少し余裕の出てきた最近は彼の喜ぶことを探している。朝食に作ったスィールニキも、彼に食べさせるための試作だ。スィールニキの生地は思ったよりももっちりとしていて、食べ応えがあった。カロリーは少なめだし、きっと気に入るだろう。でも彼はこんなにシロップをかけないだろうから、他に何か味にアクセントが欲しい。レモン汁をかけるか、いっそアラザンを散らして変わった食感をトッピングするか。
恋人のセンスで選ばれたスタイリッシュなラジオは、雑然とした家からは少し浮いている。心配しているとすら言えずに対価だと言って心配を寄越す彼に、何を返そうか。フロイドは、興味を持てない社会情勢を流し続けるラジオを、指先でピンと弾いた。

子守歌を贈ってくれた恋人の喜ぶ顔が見たくて、少し余裕の出てきた最近は彼の喜ぶことを探している。朝食に作ったスィールニキも、彼に食べさせるための試作だ。スィールニキの生地は思ったよりももっちりとしていて、食べ応えがあった。カロリーは少なめだし、きっと気に入るだろう。でも彼はこんなにシロップをかけないだろうから、他に何か味にアクセントが欲しい。レモン汁をかけるか、いっそアラザンを散らして変わった食感をトッピングするか。 恋人のセンスで選ばれたスタイリッシュなラジオは、雑然とした家からは少し浮いている。心配しているとすら言えずに対価だと言って心配を寄越す彼に、何を返そうか。フロイドは、興味を持てない社会情勢を流し続けるラジオを、指先でピンと弾いた。

イドアズ前提フロアズ。
4年生になって、それぞれが研修に出て離ればなれに暮らしている前提の話。
このシリーズの話です。
www.pixiv.net/novel/show.p...

09.03.2024 16:56 — 👍 7    🔁 0    💬 0    📌 0
年に数回、陸に上がった愛息子から食材や調味料が届く。リストランテを経営する妻は、息子からの贈り物をいつも楽しみにしている。そして年に一度だけ、その荷物には可憐な黄色い花が添えられている。息子のことだからきっと花にも意味があるのだろうと思ったが、聞いても特に意味はないと誤魔化されてしまった。ならば息子が花を添えた意図を説き明かしてみようと思ったのだが、海に住む人魚の私が陸の風習を調べるのは難しかった。しばらく調べて、添えられていたのはミモザという花だと分かった。大きく育つ木に咲く花だそうで珍しくもなく、魔法薬の材料になるわけでもない。そもそも陸の花は海では長く保たない。だというのにミモザを、わざわざ魔法を掛けてまで海底まで届ける理由があるはずなのに。
年頃だからか、息子はあまり本心を話してはくれない。私は彼の母と再婚して父になっただけの、血の繋がらない人魚だから尚更かもしれない。それでも私によく懐いたいい子なのだ。
彼は海に上がって全寮制の学校へ入り、翌年には寮で飲食店を経営しながら寮長を務めている。努力家なのだ。また、妻が喜ぶからと陸の食材や調味料を贈ってくれた。彼の祖母に向けて、珍しい魔法薬の材料を贈ってくれることもある。血の繋がらない私宛の荷物が無いことを少し寂しく思いつつも当然だと思っていた。私はまだ数年しか彼の父ではないのだから。だというのに、妻は帰省した息子に向かって何故私宛の荷物は無いのかと聞いてしまった。きっと彼は気まずい思いをするのだろうと、私は申し訳なく思った。しかし彼は不思議そうな顔をして小首を傾げただけだった。そして贈った食材で妻が作った料理を義父である私が食べるのだから、二人に宛てて送ったつもりだと言ったのだ。嬉しそうに笑う妻を前にして、私は泣いてしまいそうだった。彼は、とっくに私を家族だと認めてくれていたのだ。
そんな息子が年に一度、同じ日にミモザの花を贈ってくるのだから、この花にもきっと嬉しい気持ちがこもっていると思うのに、どうにも理由にたどり着けずにいた。

年に数回、陸に上がった愛息子から食材や調味料が届く。リストランテを経営する妻は、息子からの贈り物をいつも楽しみにしている。そして年に一度だけ、その荷物には可憐な黄色い花が添えられている。息子のことだからきっと花にも意味があるのだろうと思ったが、聞いても特に意味はないと誤魔化されてしまった。ならば息子が花を添えた意図を説き明かしてみようと思ったのだが、海に住む人魚の私が陸の風習を調べるのは難しかった。しばらく調べて、添えられていたのはミモザという花だと分かった。大きく育つ木に咲く花だそうで珍しくもなく、魔法薬の材料になるわけでもない。そもそも陸の花は海では長く保たない。だというのにミモザを、わざわざ魔法を掛けてまで海底まで届ける理由があるはずなのに。 年頃だからか、息子はあまり本心を話してはくれない。私は彼の母と再婚して父になっただけの、血の繋がらない人魚だから尚更かもしれない。それでも私によく懐いたいい子なのだ。 彼は海に上がって全寮制の学校へ入り、翌年には寮で飲食店を経営しながら寮長を務めている。努力家なのだ。また、妻が喜ぶからと陸の食材や調味料を贈ってくれた。彼の祖母に向けて、珍しい魔法薬の材料を贈ってくれることもある。血の繋がらない私宛の荷物が無いことを少し寂しく思いつつも当然だと思っていた。私はまだ数年しか彼の父ではないのだから。だというのに、妻は帰省した息子に向かって何故私宛の荷物は無いのかと聞いてしまった。きっと彼は気まずい思いをするのだろうと、私は申し訳なく思った。しかし彼は不思議そうな顔をして小首を傾げただけだった。そして贈った食材で妻が作った料理を義父である私が食べるのだから、二人に宛てて送ったつもりだと言ったのだ。嬉しそうに笑う妻を前にして、私は泣いてしまいそうだった。彼は、とっくに私を家族だと認めてくれていたのだ。 そんな息子が年に一度、同じ日にミモザの花を贈ってくるのだから、この花にもきっと嬉しい気持ちがこもっていると思うのに、どうにも理由にたどり着けずにいた。

ミモザが届いた翌日、店へ出掛けたら黄色い髪飾りをした女性がいた。よく見れば、それはミモザの花でできた髪飾りだった。魔法で作られた空気の泡に包んだミモザの花を、かんざしのように挿しているらしい。
「髪に挿した花、美しいですね」
声を掛けると、女性はパッと振り向いた。花を挿していたのはリーチ家の奥方だった。
「そうでしょう? 息子達が贈ってくれたんですの。アズールくんに感謝しなくちゃいけませんね」
「息子に?」
「ええ。陸ではお世話になった女性にミモザの花を贈る日があるんですって。アズールくんがお母様に贈る手配をしていたから、一緒に用意したとジェイドさんが話してくれました」
「そうだったんですね」
「子供はあっという間に大きくなりますね。この間まで悪戯を叱ってばかりだったのに、気付けばこんな風に感謝のお花を贈ってくれるんですもの」
「ええ。妻も喜んでいました」
「まあ、やっぱり! 息子からプレゼントを貰うのって、母にはとっても嬉しいことですわ」
弾んだ声で話した後で、リーチ家の奥方は店を出て行った。どうやら息子から贈られたミモザの花を自慢したくて、髪に挿していたようだ。あの花は、感謝の気持ちを込めて妻に贈られていたのか。
私も急いで家に帰って、妻にミモザの花の事を教えなければ。きっと妻は喜ぶだろう。そして愛息子であるアズールへの仕返しを考えるに違いない。普段は対価にこだわるくせに、肝心なことはちっとも話してくれない慈悲深い息子を、どうやって驚かせようか。楽しくなりそうだと思いながら、私は尾鰭を揺らして家路を急いだ。

ミモザが届いた翌日、店へ出掛けたら黄色い髪飾りをした女性がいた。よく見れば、それはミモザの花でできた髪飾りだった。魔法で作られた空気の泡に包んだミモザの花を、かんざしのように挿しているらしい。 「髪に挿した花、美しいですね」 声を掛けると、女性はパッと振り向いた。花を挿していたのはリーチ家の奥方だった。 「そうでしょう? 息子達が贈ってくれたんですの。アズールくんに感謝しなくちゃいけませんね」 「息子に?」 「ええ。陸ではお世話になった女性にミモザの花を贈る日があるんですって。アズールくんがお母様に贈る手配をしていたから、一緒に用意したとジェイドさんが話してくれました」 「そうだったんですね」 「子供はあっという間に大きくなりますね。この間まで悪戯を叱ってばかりだったのに、気付けばこんな風に感謝のお花を贈ってくれるんですもの」 「ええ。妻も喜んでいました」 「まあ、やっぱり! 息子からプレゼントを貰うのって、母にはとっても嬉しいことですわ」 弾んだ声で話した後で、リーチ家の奥方は店を出て行った。どうやら息子から贈られたミモザの花を自慢したくて、髪に挿していたようだ。あの花は、感謝の気持ちを込めて妻に贈られていたのか。 私も急いで家に帰って、妻にミモザの花の事を教えなければ。きっと妻は喜ぶだろう。そして愛息子であるアズールへの仕返しを考えるに違いない。普段は対価にこだわるくせに、肝心なことはちっとも話してくれない慈悲深い息子を、どうやって驚かせようか。楽しくなりそうだと思いながら、私は尾鰭を揺らして家路を急いだ。

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🐙の父の話。根底にイドアズがあるけど匂わせすらない。
ご挨拶代わりの短編として置いておきます。

08.03.2024 16:00 — 👍 0    🔁 0    💬 0    📌 0

Bluesky初めてみました。今のところ閲覧用のつもりです。

08.03.2024 07:32 — 👍 0    🔁 0    💬 0    📌 0