虎らっこ

のみやくんとはやぶさ

背後に気配を感じる。また“アレ”についてこられていることに気づいた。ここまでしつこいと、その真意につい興味が湧きそうになってしまう。後ろを向くと予想通り小さな姿がそこにあった。
「ねぇ、君…」
こちらを見上げる小さな瞳と目が合う。
『なんで僕についてくるわけ？』
途中まで言葉が出かかったが、声にするのはやめた。こちらから声なんてかけて、万が一変に懐かれては嫌だったから。

前を向き直し行き先を変え執務室の方向へ歩みを進める。迎えに来るのを待っていたらいつになるかわからない。さっさとアレを引き渡してしまおう。

じゅにゃもちゃ世界のじゅにあくんと京浜

「俺にとって季節の行事というのは、それにかこつけて兄さんと何かしらのコミュニケーションを図るためのものなのに、今とある異分子にそれが脅かされている」
「もうちょっと簡潔に」
「イベントごとの時期になるともちゃ野郎の顔が思い浮かんで嫌だ」
「自業自得では？」

「なんで俺が季節のイベント特集の売り場を見ながら“そういや去年は…”ってアイツのことを思い出さにゃならんのだ」
「知らないよ。恋じゃないの」

「道子にも例の動画の話をしたらね、時々ヒヨコちゃんたちの様子を動画で送ってくれるようになったの」
「なんでそうなったの？」
「かわいいのよ〜」
「喜んでるならいいか…」

↑
「アレってやっぱ対抗心で？」
「違うわよ。陽子がすごく楽しそうに話すから、それならヒヨコたちの動画でも喜ぶかと思って送っただけ」
「違わなくない？」

某あざらし動画と陽子さん

「あざらしがバズってると聞いたんだけど！！」
「ああ、今話題のライブ配信のやつね」
「だからうちの子たちもライブ配信しようって言ったのに〜」
「あの子たちは普通のあざらしとはちょっと違うし、こっちの言うことも敏感に理解する子たちだから、常に誰かに見られてるとわかってる状態で生活するとなると大変だしね…」
「うん…そこを考えると仕方ないのよね…でも」
「でも？」
「あざらしちゃんたちのかわいさを世に知らしめたかった…！！」
「生き物としてのあざらしがかわいいのはすでに世の常識だから今更だと思う」

ヒヨコの個体差？の話つづき

京浜「普段もちゃくんにはあれだけ怒ってるのにヒヨコたちにそういうのされるのは良いんだ」
じゅに「あんなムカつくもちゃ野郎と兄さんの愛らしいヒヨコを一緒にするな！！！」
京浜「どこでキレてんの」

じゅに「いいか、よく考えてみろ。仮にヒヨコがもちゃ野郎と同じ仕組みだとしたら、あれは小さい兄さんが俺に抱きついたり(タックル)、頭に乗ったりしているということになる」
京浜「はぁ」
じゅに「な？」
京浜「ゴリ押しで納得させようとするのもだし、都合の良いところだけ一緒にするのもどうかと思う」

小さい兄さんいるいない話
じゅにあくんと京浜

「お前の助言を受けて小さい兄さんを探す旅に出てきた」
「助言した覚えは一切ないけど、一応結果は聞いてあげるよ」
「まあ今回は小さい兄さんを発見できなかったが…逆に“いない”という証拠も見つからなかった。ということは存在しないとも断言できないわけだ。つまり可能性がある以上は小さい兄さんはこの世にいると言っても過言ではない」
「過言だよ」

小さい兄さんいるいないの話

兄さん「─ということをこの前弟が言っていた」
山陽「確かに見たことないな〜うちの500系みたいな子ってことでしょ？」

山陽「実はがんばったら人型になれるのかも！よし！がんばれがんばれ！」
🐤（むり）
兄さん「うちの子をいじめないでもらっていいか」

兄さん「ひよこ1匹とあのサイズの人型では質量の差がおかしいことになるだろう」
山陽「じゃあ何匹か集まったらひとつの大きな個体に」
🐤（むり）🐤（むり）
兄さん「いじめないでもらっていいか」

「明らかに目が合ったのに黙って避けるのは人付き合いとしてどうかと思いますよ上官」
「す、すまない…」
「何か急ぐ用事でもおありですか？」
「いや…なんでもない」
「私を探していたと京浜東北から聞きましたが」
「えっ！？…っと、それはだな…」
「なんでしょう」

「はやぶさを探していて…」
「…は？」
「その…はやぶさたちが見当たらなかったから…お前のところにいるものだと…」
「監督不行き届きが改善されていないことにも苦言を呈したいところですが、まずその予想が出ること自体おかしいとは思いませんでしたか？」

のみやくんとはやぶさ世界ののみやくんとほぐ

（なんだ思ったより早く出くわしたな）

向こう側から歩いてくる上官を見つけた。

「あ…」

目が合う。こちらに気づいた様子だ。そのまま声をかけてくるかと思いきや、隠れるように角を曲がっていった。

（ふぅん？）

その段階で若干の苛立たしさはあるが、後を追い声をかける。

のみやくんとはやぶさ世界ののみやくんとけーちゃん

「あ、ねえ。さっき東北上官が探してたよ」
「僕を？」
「焦ってる様子だったけど、君また何か言ったんじゃないの」
「心外だなぁ。決めつけはよくないよ」
「それならいいけど…ってどこ行くの。上官だったらあっちの方に…」
「急ぎの用事だったら向こうから来るでしょ」
「自分から会いに行く気はないわけね…」

じゅにゃもちゃ世界のじゅにあくんとけーひん

「ふと思ったんだけど」
「なんだ？」
「君がいつも言ってるもちゃくんって500系の人型みたいなものなんだよね？山陽上官を小さくしたみたいな姿の」
「そうだな」
「それに確か君、前に北陸上官のところにもそういうのがいるらしいって言ってたじゃない」
「ああ…」
「じゃあ君のお兄さんのところにも同じようなのがいたりはしないの？」
「え？」
「いや、新幹線があって同じような生き物もいるなら、小さい東海道上官みたいなのもいるのかなって…」
「お前天才か？」
「しまった。余計な発想を与えない方がよかったかもしれない」

「…というわけで、今回はここまでとしよう」
「長かった…」
「さて、次回はアドバイザーとして山陽に来てもらおうと思っている」
「次回開催まで決まってるじゃん…何聞く気？」
「聞くところによると、山陽は獣たちを上手く付き合いながら行動範囲も管理しているようだし、確か“遠くに行きすぎた獣は本線が回収してくる”と言っていた」
「ああ…しつけ方とか聞くの？」
「いや、本線とどうやって良好な関係を築いているかを聞いて参考にしてみようかと」
「そっちは絶対参考にならないからやめな」

「…なので、はやぶさが宇都宮についていくのはまた違った理由があるはずで…」
「長いなぁこの講義。履修登録ミスったかも」
「ペンギンは群れで生活をするのだろう？集団を作ったり列を成して歩いたり…ということは、はやぶさのアレは仲間意識ゆえの行動の可能性もあるのではないかと思うのだが」
「宇都宮のこと仲間のペンギンだと思ってるってこと？」
「そうなるのか？」
「面白い。それ絶対宇都宮に言ってね」
「わかった」※怒られます

のみやくんとはやぶさ世界のほぐとえつ②

「今回の議題は“はやぶさは何故宇都宮についていくのか”についてだ」
「なんで僕参加させられてんの？」
「前回は はやぶさの自由行動をどう管轄するかについて策を練ったが、今回はその行動の理由に着目しようと思う」
「まあ改善しようとする心がけは悪くないか…」
「まず野生のペンギンは普段の生活圏におらず得体の知れない人間を見ると、敵か味方か判断するためについてくるという話もあるそうだが、はやぶさたちは生物としてはある意味特殊な存在で、生まれた時から人間に囲まれた生活を送っている。なので、こうした事例には当てはまらないのではないかと私は思」
「講義？」

9州←陽子
「迷惑かも」の気持ちが勝ってどうしても贈り物を渡せない陽子さんと説得するさんようさん

「大丈夫だって」
「そうかしら…」
「よく考えてよ、例えば俺がお高めの花屋で買った良いブーケと東海道がその辺で摘んだねこしゃらしだったら多分ねこじゃらしの方がアイツは喜ぶんだから」
「…その考え方でいくと私があげても喜ばないじゃない」
「ｱｯ違う違う、説明が良くなかった。アイツは“良い物をもらえるか”より“誰にもらうか”を重視する男だよって言いたいの」
「……」
「ね？そういうことだよ」
「じゃあやっぱり私があげても困らせるだけじゃない…？」
「伝わんないなぁ」

しれっと同居している陽海世界のさんようとえつ

「うち、基本的に一番風呂は向こうが入るんだけど」
「ふーん」
「たまに“先に入っていいぞ”って譲ってくれることがあって」
「へえ」
「で、それが冬場に多いからなんでかな〜って思ってたら」
「うん」
「冬の浴室って寒いじゃん？俺に先に使わせてあっためさせるつもりで譲ってることに気づいたんだよね」
「一回怒っていいんじゃないの」
「いやいや流石に毎日じゃないよ、めちゃくちゃ寒い日だけだから」
「それで“じゃあオッケー”にはならないんだよ」

じゅにゃもちゃ世界の本線ズ

「原点回帰って大事だと思わないか」
「？」
「現状に慣れるとどうしても気が緩んでくるだろ？」
「そうだな？」
「時には初心に立ち返って新鮮な気持ちを思い出す必要があるんじゃないかと」
「まあ言いたいことはわかるが…さっきから何の話だ？」
「アイツのことを撫でようと躍起になっていた頃を忘れてすっかり腑抜けちまったお前の話だ」
「なんっ…なんっだお前！！！」

あきたにアドバイスを乞う

「シャチ逃げたことないからわかんない」
「聞いておいてなんだがそうであってくれ」
「あんなの逃がされたらたまったもんじゃないよ」

シャチ＝でかい。常に腹を空かせている。

兄さんにアドバイスを乞う

「そもそも逃げるという意味がわからん。アイツらを管理するのも我々の仕事だろう」
「……」
「あーあ、正論すぎて黙っちゃったよ」

「でも動いちゃうもんは仕方ないよねぇ？」
「そうですよ、仕方ないですよ。だって生き物ですから」
「そっちの逃してる組はなんで開き直ってんの」

さんようさんにアドバイスを乞う

「うちの子はみんな自由にさせてるよ」
「怒られたりはしないのか？」
「う〜ん、今のところないかな。お客さんの前とか会社の外には行かないように言ってるし」
「なるほど、しつけか…」
「それに遠くに行きすぎても本線が回収してきてくれるし」
「ホンセンガカイシュウ？」
「急にカタコトになっちゃった」
「本線との関係性が異文化すぎて理解できないんだよ」

陸弟にアドバイスを乞う

「はやぶさ？…ああ、噂には聞いてますけど」
「参考までに獣たちをどう管轄しているか聞きたいのだが」
「うちのはあまり参考にならないと思いますけど…」
「まあ確かにいるかって逃げなさそうだよね、ほぼ寝てるし」
「はい。あまり動き回りませんし、大きいのでどこかに行ってもすぐ見つかりますから」
「いや逃げてるじゃん」

のみやくんとはやぶさ世界のほぐとえつ

「はやぶさの自由行動について何か対策を練ろうと思う」
「どうしたの急に」
「これ以上迷惑をかけるのは流石に宇都宮に悪い気がして」
「逆に今まだ許されてると思ってるところがすごい。この前もしこたま怒られてたのに」

「うーん…常に9州に見られてると思って動く、とか」
「ああ、いいですね。意識が変わりそうで」
「よし！何はともあれ頑張るわ！応援しててね本線！💪」
「そうですね、まずはそのマッスルポーズやめましょうか」

9州←陽子の陽子さんと本線の駄弁り

「今までの私ってだいぶ気が抜けてたと思うのよ」
「はあ」
「だからね、いつ何時9州に見られても恥ずかしくない淑やかな所作を目指そうと思うの」
「無理では？」
「もう少し歯に衣着せてくれる？」
「いやまあ、やる気になってるなら止めませんけど…具体的にはどんな風に？」
「変なことしないように気をつける」
「フワフワしてんなぁ」

「もう1回聞きますよ？このチョコは俺がもらっていいんですね？」
「いいわよ」
「俺の物ってことにしますよ？」
「どうぞ！」
「じゃあこれを俺がどこで誰と食べようが、文句言いませんね？」
「あれ、なんか嫌な言い回し…どこ行くの本線」
「ちょっと用事ができたので失礼します」
「アッ！？絶対9州の所行く気でしょ！？待ちなさい！！」
「待ちません」
「上官命令！！！」
「ズルい使い方しないでください」

「何年このやり取りやるつもりですか？いい加減本命に渡せるようになってくださいよ」
「だって〜渡したところで迷惑に思われるかもしれないって思うと渡せなくなっちゃうんだもの…」
「9州上官はそんなこと思う人じゃないですよ多分」
「そもそも甘いものが好きじゃないかもしれないし」
「本人に聞けばいいじゃないですか」
「そんな簡単に聞けるなら今頃そのチョコは9州の手元に渡ってるわ」
「日和ってないでメンタルもたくましくあってくださいよ」

9州←陽子のバレンタイン

陽子さんが9州さんに渡せなかったチョコの供養先にされ続けている本線と、そんな本線にめちゃくちゃ怒られている陽子さん

「あのね本線」
「なんでしょうか」
「このチョコ…もらってくれる？」
「…渡す相手を間違えてませんか」
「えへへ…」
「えへへじゃない！なんでまた俺の所に持ってくるんですか！！」
「だって渡せなかったんだもの！！」
「開き直るんじゃない！！！」

ブルスカって300文字打てるんだ…「いつか描こう」みたいな長文妄想書き溜められるじゃん…

逃げ道はたくさんあるに越したことはないからね