塩

印刷された本の本文の体裁で画像化されたテキストです。付記に「scandal/lonelyohseven」と記載されています。 以下は本文の内容です。 「さむい……」 「ナマエちゃんじゃん！経営科なにやんの？」 「三奈ちゃんコス寒そうすぎる……いまから持久走だよ……経営者は体力が必要だからって……」 「持久走かあ……」 　体操服で寒そうに歩いているクラスメイトの彼女に声をかけた芦戸三奈は「授業で持久走はしんどいなー」と思った。ヒーロー科はこれから実技である。 「寒くないの？」 「寒いけど気合いっ！」 「さすがヒーロー科」 「つか爆豪もうすぐ通ると思うから待ってなよっ」 「爆豪くんのコスも寒そうだよね」 「あいつ冬はクソってキレてたよ」 「寒がりなのかな」 「ちがうちがう。個性の話」 「なるほど。共通点見つけたと思ったのに」 「ナマエちゃん寒がりなの？」 「そうだぞっ！ナマエちゃんは寒がりなんだ！」 「びっくりした！飯田じゃん！」 「飯田のコスは暖かそう……」 「夏はきついぞ！」 　急に会話に入ってきた飯田天哉に芦戸三奈は驚いた。この二人って幼なじみなんだっけ？と芦戸三奈が思った瞬間だった。 「ナマエちゃん、もうすぐ轟くんが来る。暖を取らせてもらえるよう俺から言おうか！？」

「え？」 「えー！？」 　芦戸三奈はクラスメイトの善意１００％の申し出を聞いて頬に手を当てた。と、とどろきに暖を取らせてもらうって……つまり密着するってこと！？爆豪の彼女のナマエちゃんが轟で暖取るって……やばすぎない！？もしかして爆豪ＶＳ轟見られる！？やばすぎる！てゆか誰か他にいないの！？誰かと話しながら見たいんだけど！と芦戸三奈が完全に恋愛リアリティーショーを見る体勢をとった瞬間だった。 「……あ？」 「爆豪くんじゃないか！轟くんはまだ来ないか！？」 「……神展開きたー！」 　芦戸三奈の口から本音が漏れた。まさかの彼氏が最高のタイミングで登場したのである。この感じ、爆豪キレてる！つまり聞いてたってことだよね！？愛、燃えてるよね！？ナマエちゃんどーすんの！？熱すぎる！ぜんぜん寒くない！芦戸三奈はハイになっていた。 「ンで半分野郎でこいつが暖取るんだよあ゛あ！？」 「君は知らないと思うがナマエちゃんは寒がりなんだ」 「おいおい委員長よォ……ちょっとこいつと付き合い長いからってマウント取ってんじゃねえぞ……」 「マウンド？俺はピッチャーじゃないぞ！」

「マウンティングの話をしとんだわ！」 「す、すごい……爆豪、飯田にもキレてるじゃん……ナマエちゃんどうすんの！？」 「いやそもそも轟くんで暖取るってなに……？取らないよ気まずいし」 「気まずいからだけ？」 「……」 　芦戸三奈は寒いからと腕を組んでくるクラスメイトの彼女を見て、私じゃなくて爆豪にやればいいのになと思った。 「爆豪くんが嫌だと思うことはしない」 「……超愛じゃん！？」 ★ 「マジで冬はクソ」 「爆豪くんも寒がり？」 「ちげーわスロースターターになんだよ」 「ふーん。わたしは寒がり」 「……知っとるわ」 　男は今日知ったことをあたかも前から知っていたかのようにつぶやき、腕の中の女を抱き直した。寮の部屋のベットに座り、膝の上に女を乗せて１ミリの隙間もなく抱きしめる。寒いからと言うのは詭弁であるとお互いわかっているが、離れ難い。どうしても。女は男の腕の中でつぶやいた。 「帰りたくないな」 　Ａ組とＫ組の寮は遠い。端から端である。寒い

し遠いから帰りたくない。そう思ってつぶやいた言葉は男の鼓膜には別の意味を持って響いたようで、抱きしめる力が強くなった。離れ難い。どうしようもなく。 ★ 　首筋にあたる吐息がいつもより近いことに気づき男は目を覚ました。アラームよりも前に目を覚ましたので時計を見ると、起きる時間の１５分前だった。二度寝は睡魔の質を下げると男はあくびをしつつすぐ近くで眠っている妻の顔を眺めた。寒いのはクソだけど寒がりなこいつがべたべたしてくるのだけは悪くない。男はそう考えながら脚や腕を絡めて眠っている女の寝顔を見つめる。暖房を入れるには季節的に早いがこいつが風邪引く方が厄介だなと、男が天秤を揺らす間もなく起き上がりリモコンを手にした瞬間だった。 「ん……かつきく、もう起きるの……？」 「……」 「まだ寝れるじゃん……さむいから起きないで……」 　はよ起きたし早めに走るかと思った男は寝起きの妻にふにゃふにゃ甘えられて「くっ……」と思った。アラームが鳴ってから起きて走れば十分間に合う時間である。俺はルーティンを崩さないことを選んだのであっておまえに絆されたわけではない。そう思いながら男はふたたび寝顔を見つめる。離れ難いと思ったので、思ってしまったので、まるい額に唇を落とした。

💥と経営科の彼女とマウントを取るｲｲﾀﾞ

※ナマエ固定拙宅設定なんでも許せる方向け

「あ、これセットしてるんだ。えーだけど服もお出かけ感ないし」 「うるさいうるさい！ボクがデートだと思えばデートだろうが！」 「じゃあ次からはデートってちゃんと言ってね」 「待て待て待て待てデートだと思ってなかった……？」 「え、うん」 「じゃあ今日は何の会だと思って……？」 「友だちと出かける的な」 「はあああああ？というか亜白と出かける時も〝ミナとデート〟とか言ってるだろ亜白はデートでボクは違うっておかしいだろどう考えても！」 「えーごめん」 　非常に軽い謝罪をした女はとある展示で足を止めた。手を繋いでいる男の足も止まる。 「待って待って怪獣エラ呼吸説！？さすがにやばすぎるちょっと手離して先行っててじっくり見るから」 「だからデートだから先に行くとかないし離さないって言っただろ」 　女は展示を見る前に男の顔を見た。展示を見ていると思ったのに、なぜか目が合ったなと女が目を瞬かせると男の頬が少し赤くなる。女はつぶやいた。 「チーク塗ってる？」 「……は？」 「なんでもない。デートならもう少しデート感出

せばよかったね。また次回」 「次回……いや待て待てデート感出してない！？これで！？」 「うん。わたしが見てる間、何食べたいか考えといて」 「……今日はきみが食べたいものでいい」 「え。……なんで？」 「……デートだからだろ」 　ぼそっとつぶやかれた言葉を聞き、女は眩しそうに目を細めた。窓がない地下には光が差さない。だけれどどうしても眩く自身を照らすので、女は目を伏せてつぶやいた。 「やっぱりヒールで来ればよかった」

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「手繋ぐの？」 「繋ぐだろ」 「……たぶんわたしたち、見るスピード違うよね？」 「……」 　女は普段通りのカジュアルな装いの男を見て「カジュアルな感じにしておいてよかった」と思い「デート路線で行かずよかった」と内心ほっとしていた。男の中では首がよれていない、手持ちの中で一番真新しい服であったのだが女がそれに気づくわけもない。デートだと思っている男は手を繋いだままつぶやいた。 「……み」 「うん？」 「見るスピードが違っても手は繋ぎますー！はぐれたらどうする！？きみにボクを探し出せるのか！？」 「電話する」 「ぐ……っひ、ひとごみで電話は迷惑やろがい」 「珍しくまともなこと言うじゃん。てゆかなんでわたしが鳴海隊長を探すこと前提なの？」 「……え」 「え、なにその顔」 「ボクをさがさないのか」 「……」 　女は目を瞬かせた。「飽きた！帰る！」とか言い出しそうなので現地解散かもなと思って驚いたのである。

「さがさない」 「……きみはなんて薄情な人間なんだきみが誘ったのにボクを探さないなどあってはなら」 「わたしは展示を見るのに夢中だから、鳴海くんがわたしをさがして」 　男は女の言葉に目を見開いた。探さないとはっきり言われてショックを受けて萎れていた男の心に、なんだかものすごく響いたのである。 「そうならないように手を繋ぐんだろ」 　早口で言われ、女は目を瞬かせた。――ヒールを履いてこればよかったかも。もっと近くで聞きたかったから。 ； 「〝水棲怪獣が鯨とともに泳ぐ姿を見たという記録があります〟……どう思う？」 「怪獣発生頻度は漁獲量と関係があるのか？」 「どうなんだろう。正確なデータってどこが出してる？討伐庁かな」 「さあ。興味がないな」 「この間大戸屋でさんま食べてたじゃん」 「話が飛躍しすぎだろ」 　博物館や美術館などは地下に作られていることが多い。怪獣大国であるがゆえに仕方がないのだろうが、建物内部に光が差すことはない。エスカレーターで下へと降りながら女は繋がれたままの手を見つめた。

「思ったよりもあっさり眺めるんだな」 「え？」 「もっとひとつひとつじっくり眺めるものだと思ってた」 「興味があるものはゆっくり見てるじゃん」 「うん。きみは案外わかりやすいなと思った」 「もっとじっくり見たかった？」 「ボクは興味ない」 「興味を持てば仕事に役立つかも」 「役には立たんだろ。役立てたいなら職場に戻って資料を見たほうがよっぽど有意義だ」 「えーここの展示も有意義だけど」 「どのあたりが？さっきからきみが足を止めるのは矛盾に気づいたときだろ」 「興味ないって言う割によく見てるね？」 　――展示には興味がないが、展示を眺めるきみには、興味がある。男はそう考えて握った手に力をこめた。ふだんよりも長い睫毛が、目を伏せたことにより影をつくるところを、もっと見ていたいと思った。 「わたしたちには討伐の対象でしかない生物を、ひとつの生物として展示している。たまには職場以外で見聞を広めないとなって思った。ずっと同じところにいると傲慢になるし」 「傲慢」 「わたしなんてずーっと同じ部署でずーっと同じことやってるからね。しかも無駄に芸歴が長いし」 「……歴の長さは関係ないだろ。結果と実力が」 「うん。鳴海隊長、いつの間にかわたしよりもずっと立場が上になっちゃったもんね」

　男は返された言葉に「間違えた」と思った。敬ってほしいわけではないのである。 「〝稼ぐようになったら奢って〟って言ってたな」 「うん」 　男は女と初めて食事に行った日のことを思った。会計時にそわそわしていたら伝票を取り上げられ「稼いでる方が出せばいいから」と初めてのデートで財布を出させてもらえずかっこつかなかったのである。ちょっといいなというか、ボクを食事に誘うということはボクのことが好きなのでは！？ま、まあ……そこまで言うなら……と何も言われていないのに浮かれていたがかっこつけさせてもらえず、面白くなくなっていた男に女は「わたしより稼ぐようになったらその時は奢ってね」と言ったのである。可愛かったから許したけどたぶんきみじゃなかったら許さないからなと、許した割に根に持っている男は続ける。 「だ、だから今日の食事は奢る。……デートだし」 「え」 「え？」 「デートなの？」 「は、はあ！？」 「え、まってデートなの！？えーうそ、違うと思って傲慢だなーとか反省したり、見聞広めないとなーとかえらそうな感想言っちゃった」 「で、デートだろ……」 「いやだってなんか……鳴海くんはいつもと同じじゃん？ほら寝癖が」 「寝癖じゃねーし！ワックスつけたし！」

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印刷された本の本文の体裁で画像化されたテキストです。付記に「workaholic?/lonelyohseven」と記載されています。 以下は本文の内容です。 「次の休みいつ？」 「なんで」 「〝鳴海と行きなさい〟って長官からもらった。博物館の特別展のチケット。海獣と怪獣展」 「……海獣と怪獣ぅー？興味ないな。どうせ海獣は怪獣と共存しているから人類も共存していく道を模索しましょうみたいな非現実的な展示だろ」 「共通点とか世間の最新の学説とか気になるじゃん」 「間違い探しをするために？」 「……やっぱり鳴海隊長とは行かない」 「はあ！？なんで！？誘ったのはきみだろ！」 「行きたくなさそうだし。盛り上がりに欠けるから行かない。ミナと行こ」 「行きたくないとは言ってない！」 「興味ないって言ったじゃん」 「……興味はないが行ってやってもいいとは思ってた」 「行ってやってもいい？」 「……」 　隊長室で辛ラーメンを食べていた女は箸をおいてじっと男を見た。男は居心地悪そうに目をそらした。デートの誘いかと思ったら“上司にもらった〝とチケットを見せられて「功さんが行けって言うからボクを誘ったのか」と面白くない気持ちになり意地悪を言ったら“もう行かない〟と言われたのである。折れたくないがここで折れねばデートはできない。男はそう思いぼそぼそとつぶやいた。 「ボクの次の休みは二日後だ」

「声ちいさっ」 「……特別展には興味ないが常設展は興味ある」 「あ、だよね？遠足で行った以来かも」 　女の台詞に男は内心同意しつつ、はじめての食事以外のデートに浮かれてつぶやいた。 「寝坊するなよ」 「いや鳴海隊長こそ。遅刻したら置いてくからね」 「……朝」 「うん」 「朝、起きたら電話して」 「……わたし早起きだけどいい？」 　そわそわしつつモーニングコールを強請った男は「早起きって何時だよ常識的な時間だろうな」と照れ隠しでつぶやいた。浮かれているのである。 ； 　鏡の前で女は服を選んでいた。――たくさん歩くかもしれないから歩きやすい靴がいい。だけどパンプスとかヒールがある靴の方がいいのかな。いやけど身長を気にするひともいるからフラットの方がいいのか？あのひと気にしそうだもんな。だけどスニーカーだとカジュアルすぎる？靴が決まらないと服も決まらないな。髪もまとめようか迷う。普段とは違う髪形でギャップを……とか雑誌かＳＮＳかで見たことあるけどどうしようかな。揺れる方がウケがいいからポニーテールがおすすめって書いてあったけど本当か？そもそも男性には狩猟本能があるから揺れるモチーフのものを身に着けたりする方が良いっていうのは都市伝説な

のか当たり前なのかどっちなんだろう。だけど鳴海くんはそういう王道でベタなのが好きそう。ザ・デート！って感じを出したほうがいいからワンピースで行く？いやけどこの間買ったブラウスが着たいかも……けどちょっとモードすぎるかもな。鳴海くんは引きそう。てゆか今日はデートなのかな。ごはんは行くけど一日出掛けたことはない。友だちと遊びに行く感覚かもなあ。鳴海くん、友だちいなさそうだけど。デートって感じの服で行って鳴海くんがスウェットで登場したら気合入れ過ぎたって恥ずかしいもんなあ。ビッグポニーのパーカーワンピにしよ。靴は厚底のスニーカーでいいか。エアジョーダンのハラコのやつ。 　女はそこまで考えてマルジェラのワンピースをクローゼットに戻してラルフローレンのワンピースを頭からかぶった。――肌はマットよりツヤの方がいいか。けどあんまりつやつやしすぎても「暑いのか？」とか言われそうだもんな。目元はあんまり色を入れずに自然な感じで、だけど涙袋は作っとこ。睫毛はもっとばさばささせたいけどやめとこ。ハイライトは塗ってシェーディングはちょっとひかえめにして、チークとリップは血色感は出したいけどナチュラルな感じで……いやこれなんか気合入ってるな。ウケを狙い過ぎてる気がする。女は途中で正気に戻り真顔になった。 「……」 　女は鏡に映る自分を見て、首を横に振った。そしてアイホールにラメを追加し睫毛をビューラーでふたたび上げてマスカラを塗った。そして迷う

なら値上げ前に買っとけと同性の上司に言われて自分で買ったティファニーのハードウェアを身に着け、鳴海ウケよりも自分ウケを優先したのである。が。 ； 「かっ……」 「なに？化粧濃い？」 「……いつもよりきらきらしてる」 「いつもきらきらしてるし」 「なるほど」 「なるほど……？」 　男は「待ち合わせの方がデートっぽいな」と思い博物館前で待ち合わせたことを後悔しつつ自分の胸を押さえた。遅刻したら置いていくと言われたことと「まあ食事以外では初デートだし？」と浮かれてちょっと早く来た男は待ち合わせ場所に現れた好きな女を見て「かわいい！」とわなわな震えていた。普段はもう少しきっちりした服装に白衣を羽織っているので、ラフな服装は休日感がありなんか良い。全体的につやつやしていてなんか良い。耳についてる知恵の輪みたいなものも揺れるたびに視線を持っていかれてなんか良い。ボクとデートだからか頬が赤いのもだいぶ良い。ボクとデートだからかふだんよりも目が潤んでいるのもだいぶ良い。男はそう考えながら女の手を握った。おまえとデートだから目が潤んだり頬が赤いのではない。化粧の効果である。 「え」 「え？」

付き合ってないけどデートだって浮かれてるnrm

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#怪8プラス #怪8夢

「えー……ないな。そもそも異性が周りにいない。共通の知人のみ」 「ふーん。ごちそーさま」 「よし、たこ焼き食べるかー」 「話振ったの二人じゃん！」 　急に塩対応になったので目を細めると、話を戻された。 「つかどこから浮気かって話」 「……勝己くんがわたし以外からの好意に満更でもないって思ったらそれはもう嫌かも」 「ナマエちゃんも案外重いじゃん」 「あいつあんた以外には塩どころか無だから安心しな」 「勝己くんはなんて言ってたの？」 「まーだいたい同じようなこと」 「そうそう。耳郎、マヨ取って」 「ん」 「えなに？二人とも急に興味ないじゃん」 「つかさー、ディズニー行きたくない？」 「行きたい！ナマエちゃんどう？」 「えー行きたいに決まってるじゃん」 「ユニバも行きたくない？」 「行きたいに決まってるじゃん」 ★ 「じゃあ爆豪はどこからが浮気だと思うわけ！？」 「はあ？てめェコーラで酔ってんのか」 「シラフで陽気なんだよ！」 「誰が陰気だコラ」 「爆豪くんってたまに卑屈や」

「陰気とは誰も言ってないよかっちゃん……」 　爆豪勝己は外野のツッコミにキレたあとぼそっとつぶやいた。 「あいつが俺に言えねーって思った時点でそうだろ」 「……なんだこいつ」 「クソロマンチストじゃん……」 「ねえ耳郎、今度ナマエちゃんにも同じこと聞こうよ」 「いいね芦戸。そうしよ」 「おい」 「なんだよ爆豪」 「おいって言うなし」 「……芦戸と耳郎」 「は？」 「うわめずらし」 　珍しく名前を呼ばれた二人は目を瞬かせた。明日は雨かと思い二人が天気予報を確認しようとした瞬間だった。 「聞いたら教えろ。言い値で買う」 「……じゃあ今度ナマエ貸して。一緒にディズニー行きたい」 「え、私も行きたい。つかユニバも行きたい」 「いいじゃん行こうよ。いいよね爆豪」 「言い値って言ったもんね爆豪」 「……てめェら……俺をクソ束縛男だと思ってンなあ……？」

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印刷された本の本文の体裁で画像化されたテキストです。付記に「scandal/lonelyohseven」と記載されています。 以下は本文の内容です。 「てゆかさー、浮気ってどこからが浮気だと思う？じゃあナマエちゃんから」 「なんでわたし？つまんないよ。響香ちゃんの方が気になる」 「だって芦戸」 「いやナマエちゃんに聞くのが面白いでしょ。爆豪すごいうるさそーじゃん」 「あいつナマエのことになるとものすごくうるさくてありえないほど近いもんな」 「耳郎ウケるー！」 　響香ちゃんと三奈ちゃんはコーラを飲んでいても酔っ払っているようなテンションで話せるのが強い。そう考えながらたこ焼きをひっくり返しつつわたしはつぶやいた。今日は響香ちゃんの家でたこ焼きパーティーなのである。 「なんで浮気の話？」 「この間のＡ組会で異性の友だちと二人で飲んでたらそれは有罪かどうかって話題になってさ」 「異性の友だち」 「けど正直Ａ組の男と飲んでも無罪じゃん？ね、耳郎」 「相手によるかもなー」 「えっなに！？やっぱ上鳴と！？」 「ないない。そうじゃなくて自分の彼氏が嫌だと思ったら、うちらがないと思ってもナシかなって」 「確かにそれは言えるかも。ナマエちゃん、ちなみに爆豪はなんて言ってたと思う？」 「えー……そもそも勝己くん異性の友だちいるのかな」 「いないっしょ」 「女友だちいない彼氏って最高すぎん？いいなー

ナマエちゃん」 「心配事は少なくていいかも」 「だよねー。てちがーう！そうじゃなくて！爆豪がなんて言ってたかって話！」 　三奈ちゃんの言葉にわたしは瞬きしたあとつぶやいた。 「〝有罪に決まってンだろ〟」 「ナマエ、いま爆豪のモノマネした？」 「全然似てなくてウケる」 「え、結構似てたと思ったんだけど……」 「似てねーよ」 「全然似てない。麗日がやってた爆豪のモノマネの方が似てた」 「お茶子ちゃん勝己くんのモノマネするの！？今度やってもらお」 「あれ似てるよね」 「麗日、意外と笑いに貪欲なのおもろいよね」 　Ａ組は本当に仲良しだなと思いながら笑っていると三奈ちゃんが正解をつぶやいた。 「爆豪は有罪って言ってた」 「でしょうね」 「じゃあどこからが浮気なんだよ、て聞いたらなんて言ったと思う？」 「ボケた方がいい？」 「ボケなくていい。ガチで当てにきて欲しい」 「ウチはちょっとボケてほしい」 「迷うな」 「ナマエちゃんボケようか迷ってる？」

「うん」 「爆豪の返答で迷えよ」 　響香ちゃんのツッコミを流しながらかんがえた。勝己くんがどこから浮気って言うか。手を繋ぐ……は絶対アウト。ふたりで食事もアウト。あの人案外ロマンチストだから“自分に気があると確信した相手と仕事以外で接触したら〝とか？うーん。難しいな。“相手が不快だと思ったら〟とか？けどそれだとわたしがキスしてもいいよって思ったらキスも浮気じゃないという理論に……いや絶対嫌だけど……。 「わ、わからん」 「えーわかんないの！？」 「まったくわからん」 「じゃあナマエはどこから浮気って思う？」 「えー。急に聞かれたら迷うな」 「ナマエちゃんずーっと爆豪のだもんね。浮気されたことないでしょ」 「うん。されたら別れる」 「強」 「けど爆豪はナマエちゃんが浮気しても別れられなさそうだよね」 「つかあいつナマエと別れたら不能になるっしょ」 「わかる。一生引きずってそう」 「なんか曲作ったりしそうじゃん？仕方ないからそうなったら歌詞書いて歌ってやるか」 「えー耳郎やさしー」 「浮気しないし。勝己くん潔癖っぽいから絶対浮気したら捨てられるし」 「それが捨てられないんだなあ」

「捨てられはしないだろうけどなんかあいつ法の穴潜ってとんでもねーことしてきそうだよな」 「あーたしかに。法とコンプラとモラルのギリギリ攻めそうだよね」 「勝己くんのイメージ悪すぎない？」 　焼けたたこ焼きをお皿に盛り終えたので油を引く。響香ちゃんが生地を流し込み、三奈ちゃんがタコを入れていく。見事な連携である。 「なんか普通に勝己くん以外のひとを好きになれないと思う」 「芦戸いまの録音した？」 「してない。ナマエちゃんもう一回言って」 「いや言わないし」 「じゃあ言わなくてもいいからくわしく」 「いやふつうにわたしあんまり人のこと好きにならないし」 「じゃあ爆豪のことは！？どこを好きになったの！？あいつ性格ドブだったじゃん！」 「すげー言うな芦戸。なんか根に持ってる？」 「日頃の行い」 「ちりつもか。けどあいつナマエにはずっと優しいもんな。性格ドブだと思うことあった？」 「理不尽に怒ってくることはあったよ。喧嘩したこともあるし」 「けど爆豪しか好きになれないわけ！？なんで！？」 「う、うーん……わかんないけどたぶんそうなんだろうなって思う」 「言語化できないくらい好きなんだってよ」 「ふーん。じゃあ爆豪に言えないなって思ったこととかある？異性関係で」

💥の奥さんとじろ〜とｱｼﾐﾅでどこから浮気か話す話

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　何も言わなくなったので首筋から顔をあげると赤い瞳が揺れていた。好きって言われてないけど、なんかこれもう言われてるようなものだな。そう思ってけらけら笑っていると唇がふさがれた。言わなくてもわかるってことにしてあげよう。わたしはあなたの奥さんだから。

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「足、平気か」 「痛い」 「……」 　勝己くんはわたしの言葉にふたたび眉を顰めて、鞄から絆創膏やら消毒液やらを取り出した。そ、そうかこのひと仕事から直で来たからそういうの持ってきてるのか。そう思っているとベッドに座っているわたしの前に、勝己くんが膝をついた。勝己くんが。勝己くんが、膝をついた。 「え！？」 「あ？なに」 「だ、だいじょうぶ自分でできるというか放っておけば治るし乾燥させた方が」 「縄文時代かよいまは湿潤療法が基本だわ」 「な、なるほど……じゃあ自分で」 「うるせえな」 　勝己くんは自分の膝の上にタオルを敷いたあとにわたしの足をのせてしげしげと小指を眺めている。恥ずかしい。 「……」 　勝己くんの親指が、足の小指に触れる。できた傷を労わるように、関節を確かめるように触れられて、わたしはぼんやりと思った。――わたしの小指には、関節がふたつある。無個性であることのなによりの証左。勝己くんのような、個性を持つ人には、足の小指に関節はひとつしかない。

「痛むか」 「痛い」 「ちょっと沁みるけど我慢し……あ？」 　小指に触れている手を取る。そのまま握って、引くと、着痩せする身体は簡単にわたしの上に影を落とした。個性を持っていることは現代では珍しくない。その中でも特別な個性を持つ勝己くんの肩を押すと、簡単にベッドの上に倒れた。倒れた身体の上に乗って、顔を覗き込むと驚いたような顔をしている。まあそうだよなと思いながら唇を寄せると、後頭部に手が回された。唇が重なる。 「ん……」 「……なに」 「なんでもない」 「小指は」 「痛い」 「先に薬だけ塗っとけ」 「やだ」 「……あ？」 「あとでいいから」 「痛いならよかねーだろ」 　勝己くんはぐっと身を起こした。靴擦れなんてよくあることで、痛いかと言われたらわたしには痛いけれど、このひとにとっては痛くもかゆくもない程度だろう。大げさだしちょっと過保護だなと思うけれど、嬉しい。だけど、それよりも。 「いいから。……ね」 「……」

　――わたしの小指には、関節が二つある。人類の八割が授かっている自分だけの〝個性〟を、持たない、無個性。風当たりは以前よりは弱い。彼の幼なじみが、彼が、世界を、変えたから。だけど。 　勝己くんのかたくて分厚い上半身にしがみついて、首に手をまわしてじっと見つめると、彼が喉を鳴らすのがわかった。ずっとずっとわたしの心を雁字搦めにしている呪いを、どうでもいいと言い続けてくれるひと。ちょっとさわっただけで倒れてくれて、好きにさせてくれるひと。心配性で、過保護で、すぐ怒るくせにわたしには怒らないって言う。かわいいなんて言ってくれたことないし、名前だってあんまり呼んでくれない。好きだって言ってくれたことだってほとんどない。だけど嫌なことがあったら言わなくても気づくし、体調悪かったり疲れてたらすぐ気づく。気づかなくていいことでも。本当は、気づいてほしくないことでも。 「すき」 「……」 「勝己くんは？」 「……わ」 「わ？」 「わかるだろ察しろ行間読めや情緒がねえのかてめェは」 「ひどい」 　ひどいのはお互い様か。わたしもかっこいいって言わなかったし。そう考えながらネクタイをほ

どいて、ベストのボタンをぷちぷちと外すと腰に手を回された。足の小指がシーツに擦れて痛い。だけどそれよりも、目の前のこのひとが、自分のものだって、どうしても確かめたい。 「先にお風呂入る？」 「風呂は声響くけどいいんか」 「勝己くんが入るんだってば」 「無理」 「無理って」 「つか一旦退け。ゴム取る」 「はなれたくない」 「……ナマエちゃんよォ。ちょっとワガママすぎンだろーがあ゛あ！？」 「怒った」 「怒ってねーわ」 　勝己くんはわたしを抱き上げたままベッドを降りて鞄を掴んだ。はなれたくないって言ったことを尊重してくれたことが、なんだかとっても嬉しくて、そのまま勝己くんの首筋につぶやいた。 「ラウンジも行きたかったね」 「明日行けばいいだろ」 「ジムもあるって」 「……」 「明日早起きして行こうかなって思った？」 「……」 「わたしが起きるまで起きないで」 「……ンで」 「記念日ホカンスデートだから」 「……」

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印刷された本の本文の体裁で画像化されたテキストです。付記に「scandal/lonelyohseven」と記載されています。 以下は本文の内容です。 「かっ……」 「あ？」 「なんでもない」 「はあ？」 　今日は勝己くんの仕事の都合で流れに流れた記念日ホカンスデートである。なんなら今日も朝に出動要請があり無理かも？と思っていたのだけど、今回はどうにか大丈夫だったようで一安心した。本当は自宅から一緒に行く予定だったけど、間に合わなかったら最悪ひとりで泊まるか途中で合流と言われたのでわたしはふたりぶんの荷物と勝己くんのスーツと自分のちょっといいドレスとそれぞれの靴をキャリーケースに入れてごろごろ引きながら電車に乗った。遠いホテルを選ばなくてよかったな。近場にしておいてよかった。勝己くんは家でいいだろみたいな顔してたけど。けどそもそもリスケにリスケを重ねたわけだし。このホテル泊まってみたかったし。なかなか近場のホテル泊まることなんてないし。そう考えながらフロントに行くとチェックインは専用のラウンジでと言われてテンションが上がった。えーすごくいい部屋なのでは！？と思いエレベーターに乗ってラウンジへと向かいチェックインをした。館内施設などの説明を受けて部屋へと向かう。ガチスイートだった。さすが勝己くん。ラウンジで飲んだり食べたりできるとも伺ったけど、とりあえずごろごろしてサブスクでも見るかと思っていると、勝己くんから終わったと連絡がきていたのでチェックインしたという旨と部屋番号を送った。この感じだと夕食の時間には間に合うので嬉しい。さすがにひとりでレストランで食事は微妙なので、キャ

ンセルしてルームサービスを頼むかラウンジで何かつまむかと思っていたので嬉しい。いやまあラウンジで何かつまむでも全然いいんだけど、記念日だし。そう考えながらハンガーにかけておいたワンピースに着替えて髪を整えていると勝己くんがやってきたので、出迎えて着替えを渡した。そして。 「なんでもなくはねーだろ」 「なんでもない……」 「はあ？つか何か顔赤くねーか」 「熱ない。元気」 　仕事後だからとシャワーを浴びて、持ってきたスーツに着替えた勝己くんが新鮮で照れていると顔を覗き込まれて額と首に手を当てられた。勝己くんは熱がないことを確認した後、怪訝そうに眉を顰めてジャケットをばさっと羽織りうんざりしたようにつぶやいた。 「またサイズアウトかよ」 「ほんとだ。肩、きつそう」 「テーラーに連絡……つか別にスーツなんて着……いやジーパンにキレられンな」 「そうなの」 「ジャストサイズのフォーマルウェアを一着は持っておけってよ」 「まあそうか」 　大人だからそれもそうかと思いつつ、だけどプロヒーローがジャストサイズのスーツを持つのって難しくない！？とも思った。勝己くんは日々鍛え

ているし夏と冬で戦い方が微妙に違うらしいので筋肉の付き方が変わるらしいのである。知らんけど。このひと着痩せするタイプなんだよなあ。服着てるとあんまりわかんないけど、脱いだりヒーローコスチューム着てたりするとやっぱり上半身が分厚い。けどこうして服着てるとあんまりわかんない。そう考えながらわたしはスーツケースから靴を取り出した。 「ひさしぶりにヒール履くから足痛くなりそう」 「ンな歩かねーだろ」 「ごはん食べたらバーにも行きたい」 「……」 　勝己くんはわたしの言葉に黙った。これは「ラウンジで飲めばタダだけど記念日デートでそれを言うのは微妙」という顔である。わたしはダメ押しすべくつぶやいた。 「だってひとりで行くって言ったら怒るし」 「普通に行かせるわけねーだろ」 「じゃあ今度切奈と行くと言っても怒るだろうし」 「ひとりよりふたりの方が声掛けやすいだろうがわかれや」 「そうなの？」 「アホ面が言ってた」 「そもそも切奈はたぶん行ってくれないし」 「それは知るかよ」 「勝己くんと一緒に行きたい」 「……最初からそう言えや」 　ぼそっと言われたあとにこめかみあたりに

ちゅっとされたのでハグしようか迷い、やめた。 「……はあ？」 「いやファンデーションついたら申し訳ないなって……」 「どうせクリーニング出すわ」　 「じゃあいっか」 　背中に手を回すときゅうっと抱きしめられたので、なんかもうご飯行くのやめてこのままお部屋にいてルームサービスでもいいかなと思ったけどキャンセルは迷惑すぎるのでつぶやいた。 「ね、はなして」 「あ？……ンで」 「いきたくなくなっちゃうから」 「……てめェ……そういうのはあとで言えや！」 「最初からとかあとでとかタイミングに細かいな」 「うるせえ」 ； 　創作中華は美味しかった。フレンチか迷ったけど勝己くんの反応的にも中華にしておいてよかったなと思いながらバーに行って夜景を見ながらお酒を飲んで、部屋に帰ってきてようやく靴を脱いだ。いつか片方失くしてまた買ってもらったジミーチュウのパンプスが床に転がる。ひさしぶりに履いたらやっぱり痛いな……と思いながらとりあえずバスルームで足だけを洗った。ベッドに座りタオルで拭きながら赤くなった小指を眺めていると、ジャケットを脱いだ勝己くんが眉を顰めていた。

プロヒ💥と記念日ホ力ンスデート

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知らんけど。 「ただいま」 「……え！？」 　洗面室から顔を出して出迎えるとまさかの帰宅後即ハグをされそうになりわたしは慌てて勝己くんの胸に手を置いた。ぎゅってされたら絶対ばれる。勝己くんの胸にパールが当たる。なんだこれってなる。それは避けねばと思っているとハグを拒否られたと思ったらしい勝己くんはわたしの額と首に手を当てた。体調が悪いと思われている。 「元気だよ」 「……ならいいわ」 　いや全然よくないじゃん。不服そうな顔をしているので顎にちゅってするとそのまま顔が近づいたので、頬にちゅっとキスをした。両頬にしたあとに勝己くんはぼそっとつぶやいた。 「風呂入んのはえーな」 「汗かいたから。お風呂入る？」 「ん」 「ごはん、いまから作ろうと思ってたから入ってきて」 　これはかなりアカデミー賞に近いんじゃないだろうか。演技上手すぎない？と自画自賛していると勝己くんの赤い瞳と視線が重なる。この色、好きなんだよなと思っていると顔が近付いて唇が重なる。下唇をちゅっちゅっと吸われて、思わず首

に手を回した瞬間にわたしは「しまった！」と身体を強張らせた。抱きついたらバレるじゃん。バカすぎる。 「……あ？なに」 「な、なんでもない」 「……ナマエ」 「うん？」 　不自然に身体を強張らせたわたしを勝己くんは訝しんでいる。こうなると、か、かなり厳しい。 「なんかまた妙なことに」 「何にもない！大丈夫！」 「はあ？じゃあ何隠しとんだ吐けやコラ」 「今日はハグじゃなくてキスがしたい日」 「……あ？」 「かがんで」 　なんとかごまかし、ふたたびこれはかなり流れがいいのでは？と自画自賛しつつかがんでもらい、おでこやほっぺにちゅっちゅしてると勝己くんがわたしの身体を洗面台に持ち上げた。そのまま唇が重なって、勝己くんの身体が足の間にあるからはらはらするけどワンピースの丈は長い。両手をそれぞれ繋いでキスを続けていると片方の手を離されそうになったのでそのまま指を絡める。これでなんとか、もうお風呂に入ってくれと祈っていると足の間にかたいものが当たった。い、いやこれ。かなり悪い流れかもしれない。いつの間にかキスは深くてほぼ前戯みたいになってる。

「ん、ン……っ、ふぁ」 「ン」 「ご飯作って待ってるから、おふろ」 「風呂はゴムないからダメ」 「勝己くんがお風呂入るんだってば」 「明日なんか予定あんのか」 「な、ないけど」 「アレにしては早くねーか」 「……ち、ちがうけど」 「気分じゃねーのか」 「……」 　ぐっと目線を下げられて、上目遣いで両手を握られて問われて思わず揺れた。ずるい。普段やらないことやるのずるい。というか先にベッドで待ってるからって言って脱いでおけばいいのでは！？そう思った瞬間、勝己くんがそっと片手をわたしの手から外してすっと太腿をなぞった。 「……あ？」 「……ひゃっ」 「ンだこれ、すげー溢れてねーか」 「……ぬ」 「ぬ？」 「ぬかった……」 「はあ？」 つづく

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印刷された本の本文の体裁で画像化されたテキストです。付記に「scandal/lonelyohseven」と記載されています。 以下は本文の内容です。 「あれ、ダイナマの嫁じゃん。よく会うな」 「こんにちは」 　今日は休日だけど夫は元気よく仕事をしているのでお買い物をしようと外出したところ、お会いしたのはラビットヒーローミルコさんだった。彼女はオフのようで私服である。私服、こんな感じなんだと思っていると彼女も同じことを思ったようだった。 「買い物？旦那は？」 「今日は仕事で」 「ふーん？私には呼び出しなかったのなんでだよ」 「お買い物ですか？」 「まあ。今時間ある？」 「あります」 「お、いいね。付き合えよ」 　勝己くんはきっと夕方には帰ってくると思うから、それまでには帰りたいと告げるとミルコさんは目を丸くしたあとににやにやと笑った。あんまり勝己くんのこと言うと勝己くんに怒られるかな。怒られたくない。そう考えながら着いて行った先は商業施設内のとあるお店だった。 「え！？」 「ここ私のスポンサーのひとつ。で今日は買い物」 「事務所に外商来ないんですか！？」 「事務所構えてねーし」 「なるほど」 「せっかくだから試着すれば？選んでやろうか」 「……えー」

　訪れたのはランジェリーショップだった。確かにインスタの広告でミルコさんが着てるの見たことあるな。下着を新調するのはまあ……悪くはないけど夫の同業者に見立ててもらうのか……と思うとなんとなく気が引ける。というか勝己くん怒りそう。なんとなく切奈と来るのも気が引ける。勝己くんの知り合いと来るのは気が引けるんだよな。なんとなく。だから基本的にはオンラインで買うけど、オンラインだとたまに失敗するんだよな……こんなに透けてると思わなかった的な……。けど新調したとしても勝己くんとその……致すときは、勝己くんあんまり見てないし……。上下揃ってないから嫌！て言った時も「どうでもよすぎるわ」て言ってたし……とぐるぐる考えているとミルコさんは店員さんと話をしてそのまま奥へと案内されたようだった。ＶＩＰルームあるんだ。そう考えながら手招きされたのでついていくと。 「すげー王道でセクシーなのなんかある？」 「こちらは如何でしょうか」 「おーいいじゃん。ど？」 「ほぼ紐……こ、これはさすがに」 「旦那喜ばねーの？」 「着る勇気がないし喜ばない気がします」 「そーか？人参ぶら下げた馬みてーになるかも」 「いやなんかこういういかにも！ていうのは逆効果なような」 「小せえ男だな」 「こちらは如何でしょうか。フェミニンでお客様の雰囲気にも合っているかと」 「透けてる！けどパールは可愛い！」 「いいじゃん。買ってやろうか」

「いや買うか迷うな……」 「お。こっちは響かなくてよさそーだな。これとセットのソングある？」 「ございます」 「買うわ。えーっと名前なんだっけ」 「ナマエです」 「ナマエちゃんどーすんだよ。買わねーの」 「……か」 「か？」 「買います……」 「お」 「こちらのセットですとソングかオープンクロッチのものがあり」 「ひえ」 「両方買っとけ買っとけ。つけといて」 　ツケで買い物する人って本当にいるんだ。そう思いながらミルコさんに紙幣を渡したものの受け取ってもらえず、じゃあ電子マネーを送金と食い下がったら「いやスマホ持ってねーんだわ」とスマホを触りながら言われた。申し訳ないと思っていると、彼女はとんでもないことをつぶやいた。 「それ着てダイナマの士気ぶちあげてくれればいーから」 「……あ、あがらないかも」 「はあ？」 ； 　そもそもＶＩＰルームっていうのがよくなかった。だって何も買わずに帰れない雰囲気だったし。流されて買っちゃったけどこれ本当に着るのか？

と思いながらとりあえず帰宅してシャワーを浴びて身につけてみた。洗面台の鏡で自分の姿を眺める。黒いレース素材のハーフカップの部分は透けているし着けていてなんの意味もない。なんか本当に実用性はない感じ。肩紐の部分がパールになってて可愛いけど、これずっとつけてると痛そう。肌に跡ついても嫌だし……と思いながらデザインをじっと眺める。両肩紐からそれぞれ谷間に向けてパールが通った二本の紐が出ていて、谷間の真ん中で一本の紐になってそこにもパールが通っている。試しに胸を寄せてみたらパールが谷間に埋まった。いやこれも汗かいたら荒れそう……と思いつつショーツに目をやる。同じくレースなので透けてるし面積が小さいし何よりもクロッチがオープンになっていて真ん中にパールが通っている。いやこれ……と、着てみたはいいものの正気に戻ってしまった。とりあえず脱いで……いやまって勝己くん帰ってきたらすぐ洗濯するよね！？この下着洗濯機いける！？いやいけないよね！？手洗い！？洗った後はどこに干すの！？とあわあわしていると玄関のドアが開く音がした。え、帰ってくるの早くない？そう思いつつ勝己くんは帰宅後即シャワーを浴びるに決まっているのでさらにあわあわしながら部屋着のスウェット素材のワンピースを頭からかぶった。と、とりあえず勝己くんがシャワーを浴びているうちに下着を着替え……捨て……いや捨てるのもったいなくない！？買ってもらったし……えーけど洗濯問題……こっそり隠しておいていないときに洗う？けどそもそもこっそり隠しておくというのが無理「おかえり！」とりあえず足音が聞こえてきたので元気よく挨拶をした。挨拶は全てを解決するのである。

💥の嫁と三ルコ

※ナマエ固定　拙宅設定　途中で終わる
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デルト口のフランケンシュ夕インすごくよかった……🧌

CM、音大きすぎてびっくりしますよね！下げるとまたセリフが聞き取りづらいですし🫠
ほしくんかわゆいです〜🌟🤩最近mojojojoにハマってからぬいぐるみ系アツいので気になりすぎます🧸

エスパ〜とエスパ〜じゃないふたりがだいだいだいすきだからダミア二ャも好きだしシンア夕も好き🥹エスパ〜じゃない方が圧倒的に愛！！！でエスパ〜の心読める難点をカバ〜するのが良すぎるんだよな…🫠

突然のリプ失礼致します🙇‍♂️ものすごくわかります！！ぼそぼそ話すのは聞き取りづらいので家で見てたら音量上げるもBGMが非常に大きくなりびっくりするし全体的に薄暗いシーンが多すぎて🧐となります😭そして購入されていたお星様可愛いです🌟😍

印刷された本の本文の体裁で画像化されたテキストです。付記に「scandal/lonelyohseven」と記載されています。 以下は本文の内容です。 「帰国後は日本食が食べたくなるな。ジャストフィットデニムを履いているような安心感がある」 「出汁の味がほっとする」 「センパイ寿司とかじゃなくてよかったんスか」 「爆豪、なぜ私には聞かない。紙原ではなく私にも聞いてくれ」 「パリコレいいなあ。メットガラもおふたりで行かれてましたよね」 「これは土産だ。２人で食べてくれ」 「爆豪の細君はチョコレートが好きだとオールマイトから聞いていて」 「パトリックロジェだ！ありがとうございます！」 　勝己くんがお世話になっているプロヒーローのおふたりとのお食事会になぜか誘ってもらった。接待係か！？と思って気合を入れてきたものの大皿で出てくるタイプのお店ではなく安心した。取り分けが不要というだけでだいぶ気が楽になる。いちいち嫌いなものあるかとか確認するのだるいし。あとはドリンクのおかわりのタイミングだけ……とおふたりのグラスをじっと見ていると隣の勝己くんに膝で膝を押された。 「見過ぎだろ」 「そろそろ次のお飲み物をと」 「気を遣わなくてもいい。自分で頼むよ」 「せ、先輩……かっこいい……」 「待て待て爆豪だけでなく爆豪のワンアンドオンリーまで紙原推しなのか？私は？」 「ジーニストさんももちろん尊敬しています。一時期目覚ましをジーニストさんの声にしていたこともあり」

「何だって……？私をモーニングデニムに？」 「俺はつっこまねーからな」 　勝己くんが「ジーパンの声はやめろ」と言ったのですぐに八木さんに変えたんだけど、八木さんの声で起きるのも微妙なのでいまは普通のアラーム音に戻している。まあその話はしなくていいか。そう思っていると先輩が微笑みながらつぶやいた。かっこよすぎ。 「爆豪、長期休暇は取らないのか？」 「しっかり休みワークデニムバランスをとることは非常に大切だ。我々もこうして毎年パリに」 「パリ羨ましいな」 「行きてーのかよ」 「え、うん。けど勝己くんと行くなら観光よりリゾートの方がいいかも」 「つか円安だし微妙じゃねーの」 「海外は人目を気にしなくて良い。おまえは日本では目立つからな」 「２人で旅行したことは？」 　先輩に話を振られてわたしはかっこよ、と思いながら答えた。 「あります。温泉とか。海外もあるよね」 「香港と韓国行った」 「ほう」 「仲睦まじいな」 「香港は物価高くて勝己くんキレてたよね。韓国も新大久保で事足りるってキレてたような」 「……爆豪、ちょっとこっちに来なさい」

「あ゛あ！？食ってんだろうが」 「いいから矯正タイムだ。そもそも食べ終わってるだろう」 「……」 　勝己くんはジーニストさんに言われて個室を出て行った。先輩はその様子を見て肩をすくめている。 「説教だな。……爆豪を嫌いにならないでやってくれ」 「え、頼まれた！？」 「海外旅行中にパートナーの機嫌が悪くなると嫌だろう」 「うーん、それよりも敵が現れたりして置いていかれる方が不安かもです」 「……だから観光よりリゾート？」 「人が多いとそれだけリスクが上がりますからね」 「……ハワイは……いや日本人が多いから騒がれるな」 「物価安いところがいいかな。勝己くんキレるし」 「東南アジアは？セブ島やバリ島などはどうだろう」 「治安良いです？」 「バリ島の方が治安が良いと聞く」 「じゃあバリかな。行ってみたいです」 「爆豪と？」 「はい」 　わたしの言葉に先輩はふっと微笑む。勝己くんは謎に先輩ウケがいい。みんな勝己くんのことを話す時は、可愛くて仕方ないと言うような顔をし

ている。 「先輩もジーニストさんも勝己くんが大好きなんですね」 「わかるか？」 「可愛くて仕方ないって顔してます」 「きみを見る爆豪も同じ顔をしてる」 「……え」 「自分の細君が可愛くて仕方がないって顔をしているよ」 「……か」 「か？」 「かわいいって言われたことないので気のせいでは？」 「……説教だな」

💥と🥷と👖

#hrakプラス

Twitter、基本的に重くない？？私のTwitterだけ？🥹あ　Twitterってもうないのか　Xだもんね

「鳴海と行ってあげなさい」 「鳴海く……鳴海隊長と行っても盛り上がりに欠けます」 「鳴海と行きなさい」 「ええ……」

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印刷された本の本文の体裁で画像化されたテキストです。付記に「workaholic?」、「lonelyohseven」と記載されています。 以下は本文の内容です。 「長官就任おめでとうございます」 「……めでたいことでもない」 「この魚って食べられるんですか？」 「……」 　四ノ宮功は「それを聞いたのは２人目だ」と言おうか迷い、やめた。長官室の水槽の中で泳ぐ観賞魚を見つめながら女はつぶやく。 「餌は長官が？」 「いや」 「まあそうですよね。ペットとか飼われてましたっけ？お嬢さんはいまご自宅に？」 「娘はカリフォルニアに留学している」 「それは寂し……ちがうか。優秀なんですね。自慢のお嬢さんだ」 「……その処世術はどこで学ぶんだ」 「普通では？寂しい気持ちももちろんあると思いますけど、こういう時は自慢したいんだろうなって誰でも思いますよ」 　女は水槽を見つめながら続ける。 「わたしも金魚でも飼おうかな。……いややっぱりお世話ができなさそうだからやめよ。水族館にでも行こうかな」 「……」 　男は女の独り言を聞きながら、手渡された資料に目を通し終えた。 「よくまとまっている」 「ありがとうございます。ＦＳ－１００２の調子はどうですか？先日のメディカルチェックの結果に合わせ

て調整しましたが」 「申し分ない。実戦で使う頻度が減ることが惜しいほどにな」 「使われることの方が少ないじゃないですか。識別怪獣兵器がなくても長官はお強いですし」 「慢心が隙を生む」 「それもそうですね。定期的なメンテナンスも今まで通り続けます」 「あれの調子はどうだ」 「Ｒｔ－０００１ですか？」 　男の言葉に女は水槽から目を離し、じっと男を見つめた。 「どうしても酷使すると神経に影響を与えますからね。使用時間を徐々に伸ばしていけるように調整していると現場のチームが」 「違う。鳴海の話だ」 「識別怪獣兵器の話ではなく？」 「本体の話だ」 「……どうしてわたしに？」 「噂は耳に入っている」 　女は目を瞬かせてつぶやいた。 「噂って？」 「あの馬鹿と懇意にしているんだろう」 「……まあ、食事に行ったりはしてます。年齢が近いし。芸歴はわたしの方が長いですけどほぼ同期のようなものですし」 「……」 　女は「このひとがこういう話を振ってくるのは意外だな」と思ったが、「いやけどこの人職場結婚してる

し案外恋バナが好きなのかもな」と思い直した。四ノ宮功は別に恋バナをしたいわけではない。 「長官もやめとけって仰います？」 「……やめとけ？」 「よく言われます。鳴海だけは頼むからやめてくれって」 「あいつの日頃の行いか」 「そうです。絶対に合わないよって」 　女の言葉に男はすっと目を細めた。 「逆だろう」 「逆？」 「共通点が多い。価値観も似ている」 「……え、どのあたりが？」 　女は目を丸くした。 「身寄りがないところ？ここ以外に居場所がないところとか？」 「……明け透けだな。似ているようで少し違う」 「と言うと」 　男は唇を開く。 「自身の出自に共感や同情を求めていないところが似ている」 「……確かにそうかも」 「そしてもう一つは」 　男は自身とも似ている点をつぶやいた。 「怪獣の殲滅を何よりも望んでいるが――殲滅した後

の世界を思い描けないところが、酷似している」 「……」 　女は男の言葉に目を瞬かせた。 　――そうだ。生きるために働いている。怪獣を倒すために働いている。誰もが平穏な世界で生きられるように、暗い世界に光を灯せるように、識別怪獣兵器の研究を続けている。だけれど、その先の未来が思い浮かばない。想像できない。全く。本当に怪獣が殲滅して、誰も悲しむことがない世界になったとしたら。その世界で自分がどう生きればいいのか、何も思い描けない。きっとそれは彼もそうで、そして目の前のひとも――、 「それは長官も同じでは？」 「そうだな」 「やっぱり防衛隊以外でのコミュニティを作った方がいいですかね」 「と言うと？」 「先日、討伐庁のシンポジウムにお邪魔したんですけど。そこで討伐庁の方に食事に誘われて」 「……ほう」 「行かなかったんですけど行けばよかったのかも。もっと世界を広げた方がいいですよね」 「……」 　男はなんか余計なことを言ったかもしれんと思いながら、机の上にチケットを置いた。 「招待券を知人からいただいてね。鳴海と行くといい」 「これ……博物館の特別展じゃないですか！〝海獣と怪獣〟の！行きたかったから嬉しいです！え、ミナと行こ」

のちにnrmの彼女になる女といさぴ

※拙宅設定、なんでも許せる方向け
#怪8プラス

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のでリップだけささっと塗った。 「ただいま」 「！お、おかえり」 　コンコンした後に扉を開けるとゲームをしつつそわそわしている彼氏がいた。怒ってるかと思ったけどあんまり怒ってなさそうでよかった。そう思いながら隣に座ってつぶやく。 「こっちにいるの珍しいね」 「明日休みだからな」 「そうなんだ。どっか行く？」 「行かん」 「行こうよ。わたし観たい映画ある」 「どれ？鬼かチェンソーか」 「ウェスの新作」 「どれだよ」 「てゆか両方ともミナと観たし」 「はあ！？ボクと観に行けばいいだろ！なんで亜白と！？」 「いや弦くんのことだからすぐサブスクで配信されるとか言いそうだし」 「い、言わねーし！ＩＭＡＸかＤｏｌｂｙかって迷ってたし！」 「ふーん」 「聞いてないだろ」 「聞いてる」 　膝の上に頭を乗せようか迷って、そのまま寝ちゃいそうだと思ってやめる。お酒を飲んでるわけではないけれど眠たくなってきたので、呟いた。 「明日起きたら連絡して。おやすみ」

「は、はあ！？」 「え、なに」 「泊まってくんじゃないのか」 「……え。わたし、泊まってくの？」 「明日は休みでここは隊長室じゃないしきみはボクの彼女だろ」 「……着替えとかないし」 「……貸すから」 　そうは言ってもと思ったけど、ゲームを一時停止してじっと見つめられたので断れずにわたしはぐっと唇を噛む。 「泊まって」 　その言葉に、何度か鼓膜を無遠慮に揺らされたセリフを思い出した。 「彼、ちゃんと避妊してるよね？」 「夜も最強なんですか？」 　何か言えるわけもない。だって、弦くんとはキスしかしてないのである。付き合い始めたばかりの頃に隊長室で迫られて割と本気でキレてから、彼は怖気付いたのか関係を先に進めようとしなくなったのである。怪獣９号災害のことやナンバーズスーツの調整開発などでそんなことしてる場合ではなかったことも理由としては挙げられるけれど、やっぱり拒絶したことが原因なんだろう。たぶん。いやけど絶対に隊長室でなんて嫌だし。カメラついてるだろうし。鍵だってスペアを四ノ宮副隊長が持っていてもおかしくない。長谷川さんは持ってたし。そう思いながらまあ彼氏の部屋に泊まるくらいは……と思い頷くと、着替えを渡された。「誠意」と書かれたＴシャツを持って部屋に備え付けられているお風呂でシャワーを浴びて、とりあえず着

替えをお借りして部屋に戻ると。 「……」 「……ね、ねてる……」 　彼氏は寝ていた。流れ的にいちゃいちゃするのかいやしなくてもキスくらいはするだろうと思ったら寝落ちしていた。そんなことある！？と思いながら机を見ると、栄養ドリンクの瓶が置いてあったのでしげしげと眺めると。 「アリナミン……ナイトリカバー……」 　なんで寝る前に飲むタイプのやつ飲んでんの？と思ったけれど叩き起こすのも意味がわからないのでとりあえずベッドを借りることにした。おやすみ。 つづく？

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印刷された本の本文の体裁で画像化されたテキストです。付記に「workaholic?」、「lonelyohseven」と記載されています。 以下は本文の内容です。 「いやさすがに僕と小此木ちゃんが２人でご飯っていうのは……コンプラ的にあれやん？実はこの間長谷川さん主催のコンプラ研修が」 「そんな！私は副隊長をハラスメントで訴えたりなんてしませんよ！」 「それどんな研修だったんですか？」 「いやなんか……〝部下が挨拶をしてきたり微笑みかけてきたとしても、あなた方に気があるわけではありません。勘違いです。勘違いして食事に誘ったり個人的な連絡先を聞いても立場上、部下は断れません。勘違いです〟て耳にタコができるくらい言われたわ」 「いや保科副隊長は爆モテで最高だから勘違いではないのでは？」 「確かに。副隊長に憧れる隊員は沢山いますし」 「討伐マジックやろ。しかも漫才スーツのおかげで最近はそれもないと思うし」 「逆に……ギャップ萌えなのでは！？」 「たしかに。隙がある保科副隊長可愛いってなるのかも」 「なるかい」 　今日はふたりはミナと３人で食事に行く予定だったらしいのだけれど、ミナが残業になりたまたまその辺にいたわたしが誘われて食事に行くことになったのである。なんでも２人で食事はコンプラ的にアウトではと保科副隊長が気にしているらしい。小此木さんとは初対面だけど、ナンバーズのスーツのことで開発チームの意見も聞きたいとのことだったのでありがたく同伴させてもらうことにした。彼女が優秀なオペレーターだということは耳に入っているので、勉強熱心で偉いなあと思いながら保科副隊長に「無礼講や」と言われながらお酒を注がれている様子を見る。わたしは今日もウーロン茶である。

「飲まんの？」 「あ、はい」 「ナマエさんお酒苦手ですか？」 「飲めるんですけどその」 「彼氏がうるさいんやって」 「あ、そっか……ナマエさんって鳴海隊長の……！」 「彼氏、この会知っとる？店の場所教えてないよな？」 「知ってます知ってます。終わったら機嫌を取りにゆくので大丈夫です」 「あ、あの！」 「はい小此木さん」 「学校？」 小此木さんが手をあげたので名前を呼ぶと、小此木さんは顔を真っ赤にして呟いた。これは照れているのか酔っているのかどっちなんだろう。 「おふたりの馴れ初めは！？」 「どーせ鳴海隊長の一目惚れやろ」 「え！そうなんですか！？」 「いや勘。ナマエちゃん見た時に〝あーあの人こういう子好きそーやな〟って思った」 「たしかに……！」 「いや普通にわたしから、仕事終わったらご飯行きましょって誘いました」 「え！じゃあナマエさんが一目惚れ的な！？」 「そうそう」 「絶対嘘やん」 　まああの時は別に好きではなかったしなあ。嘘と言えば嘘かも。そう思いながらウーロン茶を飲む。 「それでまあ……仕事終わりにご飯行ったり。作りすぎたものをお裾分けしてみたりとかしていくうちに」

「お裾分け！？つ、妻じゃないですか！」 「何作るん？僕も食べたいわ」 「保科副隊長、それコンプラ違反ですよ」 「鳴海隊長、出された料理に文句言いそうやん。そっちの方がコンプラやろ」 「むしろ料理渡す方がコンプラですかね」 　弦くんはそもそも料理に興味がない。食べられればいいくらいにしか思っていないのである。三日連続カレーをタッパーに入れて持って行っても普通に何も言わずに食べる。タッパーを洗って返してくれないと２度と作らないと言うと洗って返してくれるけど、洗い方が普通に甘いのでもう一回部屋で洗う。メニューに文句言いそうだけど言わないんだよなあ。まあそれもそうか。その日のメニューに文句を言えば別のものが出てくるような生活を、わたしも彼も送ったことはないのだから。 「あ、あの！こんなこと聞くのはコンプラかもしれないんですけど！」 「はい小此木さん」 「みんなコンプラにびびりすぎてておもろいわ」 「鳴海隊長って、夜も最強なんですか？」 「……小此木、アウトー」 「え……小此木ちゃんってそういうこと言うん……？大丈夫？酔ってる？」 「酔ってないれす！」 「保科副隊長、飲ませすぎですよ。コンプラ違反」 「え、僕？」 　女子会のノリになってきたところでお開きになった。保科副隊長が女子ノリに引いてたの、面白かったなと思いながらタクシーに乗る。歩いて帰れるけどなんやかんや彼氏がうるさいので基地内まで入ってもらい、降りて清算した後に彼氏の部屋に向かう。タクシー

乗ったかうるさいから領収書もらっておけばよかったな。てゆかタクシー代を保科副隊長に出してもらったって言ったら怒られそうだな。おつりは今度返そう。いらないって言われそうだけど。そう思いながら部屋に向かい扉をコンコンするけれど一向に返事がない。扉を開けようとしたら鍵がかかっていたので、とりあえず電話をかけた。 「弦くん？いまどこ？」 「部屋にいる」 「いま弦くんの部屋の前にいるけど鍵かかってる」 「……ナマエちゃん、どこの部屋の前にいる？」 「隊長室の前」 「ち、ちがーう！ボクの！部屋だ！」 「え、珍し」 「ナマエちゃんが……そ、その……」 　言い淀んだ様子を聞きわたしは目を瞬かせた。そう言えば付き合うことになってから隊長室で迫ってくるたびに「ここじゃ絶対無理」「本当に嫌」って拒否しまくったなと思い出したのである。最近忙しいから忘れてた。 「いまから行くから待っててね」 「……うん」 　早く来いとか言われるかと思いきや言われなかったのでそのまま通話を切り、彼の私室の方へ向かう。最初からどっちか聞いておけばよかったなと思いながら部屋の前に辿り着き、鞄から鏡を取り出して念のために顔を確認しておく。リップがちょっと取れてる。飲み会リップって嘘じゃん。普通に落ちるし。高かったのに。そう思いながら塗り直そうか迷い、グロスでつやつやてかてかしてると弦くんはキスする時に嫌がる

nrmの彼女とhsnとokngちゃん

※なんでも許せる方向け、拙宅設定、ナマエ固定、途中で終わる
#怪8プラス #怪8夢
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チェもウェスの新作も観たいけどいけるかな🥹チェは長くやりそうだけどザザコルダ2週目ですでに一日一回……🥹終わる前にいけるかな🥹

印刷された本の本文の体裁で画像化されたテキストです。付記に「ファインドアウト」、「lonelyohseven」と記載されています。 以下は本文の内容です。 　修羅場を何とか乗り切った女は振動し続けているスマートフォンに手を伸ばす。女は夥しい数の不在着信を見て「今日なんか約束してたっけ？」と思いながら、無数の液晶画面に囲まれたデスクで伸びをした。腰が痛い。とりあえず部屋の中を散歩しようと女が立ち上がった瞬間だった。インターホンが鳴り響く。女は首を傾げた。来客の予定はない。とりあえず誰が来たか確認しようと女がのろのろと動いた瞬間、２度目のインターホンが鳴る。誰だよと女が思った瞬間、３度目が鳴り響く。連打である。宅配？ウーバー頼んだっけ？いや絶対頼んでない。じゃあ誰。もしかして。女がそう思った瞬間だった。玄関から今まで聞いたことがない音が聞こえてきたのは。 「え……」 　大きな音に女は驚き、慌てて玄関へ向かうとドアだったものが不安定にゆらゆらと揺れていた。そしてその傍にはドアをドアだったものにした男が蹴破ったままのポーズで不気味に佇んでいた。日本人で初めてＵＦＣ王者になったプロ格闘家である。おまえの力は民家のドアを蹴破るためにあるのではない。 「あ？生きてんじゃん」 　男は悪びれもせずにドアだったものを再びガン！と蹴飛ばし、驚いている女に近づく。女はへなへなと腰を抜かした。男は靴を脱いだあと、女の目線に合わせるようにしゃがみ込んだ。 「なんで会ってくれねーの？既読無視ひどくね？」 「し、修羅場だった」 「じゃあそう言えって」

　男はだるそうにつぶやいた後、鋭い眼光で女の瞳を射止めた。 「他に男でもできたのかと思った」 「お、おとこ！？できるわけないじゃん」 「俺はダメなのに他の男がナマエちゃんに触ってると思うとやばい」 「やばいの」 「やばい。ふつーにぶっ殺すと思う」 「殺す！？」 「うん。だからもし他に男作りたかったら弱い奴はやめてくんね？つまんねーから」 「比喩だよね！？」 「そう思いたいなら思ってていいぜ」 　男は口角を釣り上げ、続ける。 「つか俺そこそこ怒ってるからさあ」 「……連絡無視したから？」 「わかってんじゃん。悪ィ女」 　男は女にふれぬよう気をつけながら、距離を詰めた。 「俺の機嫌取って」

#skmtプラス gk 現パロ
※ナマエ固定、短い、途中で終わる、何でも許せる方向け

　女は手渡されたチュッパチャプスを舐めながらキレている男を見つめる。男は物欲しそうに見つめられて「マジでこいつはよォ……素面ンときにやれや！」とキレていた。 「念のために避妊薬を出しておくよ。避妊具越しだと粘膜接触にならないからね。行為の直前にふたりで飲むこと。いいね」 「ありがとうございます。わたしはその……個性がないから。遺伝しないか心配でこどものこともまだ」 「言わなくてもいいよ。あんたの人生だから好きにしたらいいさ。こいつが強引に事を進めようとしてきたら通報しな」 「しねーわ！そもそもリスクあるのはこいつなのに俺がどうのこうの言うのは筋がちげーだろ」 「……リスクって無個性遺伝リスクってこと？」 「はあ？ちげーわ。出産にはリスクあるだろ。てめェに何かあったら困ンの誰だと思ってんだ」 「えーっと、わたしのお母さん」 「ちげーだろ俺だわ！おまえの母親も困るだろうけど文脈的に俺だろうが！」 「爆豪あんた……今度コミュニケーション概論じゃなくて私の授業で講師を」 「やらねーわいい加減にしろ」 「キス……」 「しねーわチュッパ食ってろ」 ； 「い、いまからするの！？」 「俺は忙しいンだよ先延ばしにしててめェをひとりで家に置いておけるか」 「家から出ないよ」 「宅配とか誰か来たらどうすんだわかれやリスクマネジメントをしろや」

「置き配するし居留守使う」 「うるせェな俺を仕事に集中させろっつってんだわ」 「すごい怒ってる……ご、ごめんね」 「おまえには怒ってねえ」 　帰宅してキスして手を洗いキスしてうがいをしてキスしてと、妙な個性にかかった妻に散々煽られた男は状況にキレていた。そもそもしたくないことはやらない男である。男の中ではセックスは愛情表現でありタスクではないのである。強いられて行うものではなく流れで盛り上がって行うものであると、クソロマンチストな男は考えているので非常に癪であった。さらには粘膜の接触というのも非常に癪である。 「じゃあなにに怒ってるの？」 「……」 　ベッドにのせた女に喉にキスされて男は思わずごくりと喉を鳴らした。 「ゴムつけずに挿れンのが不本意」 「……ま、まあそれはそうだけどお薬飲んだし」 「……」 「じゃあ三十分キスする？」 「現実的じゃねえ」 「そうか……。てゆか男の人ってその……つけずにしたがるんじゃないの？」 「……あ゛？それ誰の話だ」 「ＳＮＳなどでよく見る気がする」 「理解できねー。ガキ作るっていう目的があるならともかく……しかも出すモン出してノーリスクの男がゴム外したがるのがモラルねーだろ普通に引くわ」 「勝己くんは立派だなあ」 「はあ？誰に言ってんだ」

　キスの合間に褒められて男は思わず唇を追いかけて吸った。 「……てめェのナカには出さねえ」 「え」 「だからてめェも我慢しろ。三十分」 「……んん？」 つづく

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印刷された本の本文の体裁で画像化されたテキストです。付記に「scandal」、「lonelyohseven」と記載されています。 以下は本文の内容です。 「いい加減にしろまたてめェかクソナードが……！」 「ご、ごめんかっちゃん……！僕のクラスの生徒の個性が暴走して……ＯＧ訪問に来ていたミョウジさんに……」 「〝ミョウジさん〟……！？」 「ナマエさん。爆豪ナマエさん」 「まあまあ今回は大したことがなくてよかったじゃないか。ふたりともチュッパチャプスをお食べ」 「ナマエは」 「麻酔で寝てるよ」 　雄英高校の保健室で男は元気よくキレていた。幼なじみで同級生のクソナードから妻がまたもや何かに巻き込まれたと連絡があり、仕事を終わらせて駆けつけたのである。とりあえず大事ではなさそうだとベッドで眠っている妻の顔を見つめ、男はつぶやいた。 「麻酔？ンで」 「そ、その……」 「この子が誰彼構わずチューするからさ。私はいいけど緑谷にはねえ」 「……おい出久」 「ひっ」 　緑谷出久はどこまでも冷静な幼なじみの声に肩を揺らした。この声は普段のキレ芸ではなくガチギレである。 「してないしてない！してないから！オールマイトに誓ってしてない！そ、その……迫られたけど！怪我させちゃいそうで僕が困っていたらリカバリーガールが麻酔を」 「オールマイトじゃなくて俺に誓えんのか」 「誓える！だからその顔やめて！こわいよ！」

「たかだかチューくらいで大げさだねえあんたは」 「うるせえなつか他には」 「他って？」 「他にこいつとキスしたやつはいるのか」 「が、ガチギレだー！」 「この子も運が悪いねえ。こんな心が狭い男と結婚して」 「はあ！？」 「そもそもあんたが最初に聞くのは〝誰とチューしたのか〟じゃない。個性の解除方法だよ」 「……」 　妻が〝キス魔になる個性〟にかかった男はぎりぎりと歯ぎしりをし、つぶやいた。 「個性の解除方法は。……時間経過か」 「そ、その……」 「私から言おうか緑谷」 「お願いします……」 　顔を真っ赤にしている緑谷出久を見て男は眉を顰めた。――このクソナードが言えねえってことは厭な予感しかしねえ。なんだ。 「五分間の粘膜接触だってさ。つまり」 「……っざけんないい加減にしろ」 　男は舌打ちをしたあと、ジャッ！と音を立ててカーテンを閉めた。そして麻酔で眠っている女の肩を揺らした。 「起きろ」 「……ぅん、勝己くん……？」

　ゆっくりと目を開けた女は男を見て嬉しそうに目を細めた。そして。 「ん……、」 「……」 　唇が重なる。男は「ふざけるな」と思いながらスマートウォッチでタイマーを五分にセットし、口づけながらベッドに腰を下ろして膝の上に女を抱き上げた。 　――粘膜ってことは口ン中か。そう思い舌を吸って舐ってとしているとあっさりタイマーが鳴る。男はくちびるを離し、じっと女を見つめた。 「……解けたかよ」 「うん……」 「……」 　ちゅ、と唇を吸われて男はキレた。 「解けてねーじゃねえか！適当なこと言ってんじゃねえ！」 「五分経ってないのでは」 「経っとるわ！つかやめろＴＰＯ考えろ」 「身体が勝手に」 「はあ！？」 　カーテンの外側で五分間待っていたふたりは内側から聞こえてきた会話を聞き顔を見合わせた。 「緑谷、あんたはとりあえず授業戻りな」 「お、お任せしてもいいでしょうか……」 　保健室のドアが完全にしまったところで、リカバリーガールはつぶやいた。

「あんたは無個性だったね」 「……ふぁい」 「関係あんのか」 　男は女の口を手のひらでふさぎながらカーテンを開けた。リカバリーガールはゆったりと仮説を告げる。 「無個性ってことは身体に個性因子が全くないってことだ。つまり」 「個性があるやつよりも鈍いってことかよ」 「普通は五分間で解除されるものが……うーん、体重的にも六倍ってところか」 「ふぉくはい」 「三十分間の粘膜接触」 「そうだねえ。三十分間のチューは……現実的じゃあないね」 「……」 　男はぎりぎりと歯ぎしりをした。粘膜接触。キス以外。つまり。 「そう絶望的でもない。幸いにもあんたたちは結婚しているし。こどもの予定はあるのかい」 「おい明け透けに聞いてくんなハラスメントだろうが！センシティブ！ばあさんてめェキャラ的に許されると思ってんだろ！」 「ふぁいへふ」 「おまえはだーってろ……だいたい結婚したら次はこどもだとか家買わねーのとか外野がうるせェんだよ……こいつが体調崩す度におめでた？とかよォ……生き辛ェわ干渉してくんな！」 「口をふさがれていて苦しくないかい？チュッパチャプスをお食べ」 「ふぁい」

💥の嫁がキス魔になる個性事故篇

※センシティブ
※ミョウジナマエ固定、拙宅設定、本当に何でも許せる方向け、途中で終わる

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#hrakプラス #hrak夢

印刷された本の本文の体裁で画像化されたテキストです。付記に「workaholic?」、「lonelyohseven」と記載されています。 以下は本文の内容です。 「ナマエちゃん、彼氏できたって本当？」 「セクハラでは？」 「ひどいなあ。僕のことはお父さんだと思ってくれていいんだよ」 「お父さんに彼氏ができたって報告します？」 「してよー。きみのパパからも頼まれてるからさあ」 「次、何飲まれます？」 「気が効く娘だなあ。鱧にはやっぱり冷酒だよね」 　緒方ジュウゴは本部へ赴くたびに食事をする相手を見て目元をゆるめた。親子ほどに年齢が離れている相手であり、親子のような間柄ではあるがふたりで食事をしているところを他者に見られると妙な噂が立つ可能性がある。いつも通り行きつけの店で個室を用意してもらい、見目麗しい料理に舌鼓を打ちながら男は女に酒を勧めた。 「わたしはお酒飲まないので」 「飲めないっけ？」 「お付き合い程度には飲めます」 「あ。わかった。彼が怒るんだね」 「……」 「やっぱり彼氏ができたんだねえ。おめでとう……おめでとうなのかな？」 「え、おめでとう以外にあります？」 「だって彼、安心してきみを任せられる相手じゃないし」 「強いですよ」 「いやいやそういう問題じゃなくて。恋人としても結婚相手としてもいい相手ではないでしょ。僕が言うのもアレだけど」 「本当ですよ」 「それどこにかかってる？」 「緒方隊長が言うのもアレだけど」

「そこかあ。ナマエちゃんは厳しいなあ。お母さんに似てるよ」 「お母さんに」 　女は烏龍茶を飲みながら目を瞬かせた。 「お母さんも反対しますかね」 「相手が僕なのにお酒を飲むなって言うような男はやめとけって言うに決まってるよ」 「それ私情では？」 「私情でしょ。かわいいナマエちゃんを拐かしてさあ」 「拐かすって」 　女は肩を揺らして笑った。男は神妙な顔をしてつぶやいた。 「絶対にセクハラで訴えないで欲しいんだけど」 「えー。聞きたくないなあ」 「僕しか言える人いないと思うから言わせてもらうよ。訴えないでね」 「内容によります」 　女の瞳を見て、男は言いたくないことをつぶやいた。 「ちゃんと避妊してるよね？」 「……緒方、アウトー」 「いやこれガチね。ガチ。彼とのこどもができたらおめでとういつまでも幸せに暮らしましたとさ、では終わらないからね。相手がきみなら尚更」 「日本最強の対怪獣戦力だから？」 「うん。あとはまあ……ヒカリの娘の細胞が四種類の識別兵器に適合したでしょ」 「……ナンバーズの適合には遺伝的要素が強いと話題になっていますね」

「ナンバーズの開発チームのひとりであるきみと鳴海隊長が……となるとどうもね。下世話なことを考える人間は必ず出てくる。あとは」 「あとは？」 「普通に心配。彼、だらしなさそうだし。本当に大丈夫？僕から言おうか？」 「やめてください」 「だって長谷川副隊長とか絶対言えないでしょ。僕くらいしか言える人いないって」 「長谷川副隊長は……まあそうですね。というかわたしもいまは仕事に集中したいので……将来のこととか想像つかないな」 「じゃあ結婚はまだってことだよね！？」 「嬉しそうですね」 「普通に僕と二人で飲むのも反対するような男、きみのパートナーとして嫌すぎるよ」 「みんな似たようなこと言うなあ」 ★ 「緒方と食事……？店は……？」 「弦くん、食べログチェックとかするタイプじゃないじゃん」 「いいから店を教えろ」 「送った」 「……住所非公開……？完全紹介制……？ふざけるな！トリキかサイゼでいいだろ！」 「いや両方最高の飲食店だけどトリキでわたしと緒方隊長が飲む方がやばくない？」 「……確かにボクと行けばいいしな……」 「これは恒例だから。わたしが長野に行ったら一緒に蕎麦を食べるし、隊長が東京に来たら」 「うるさいうるさい！ボク以外の男と食事したらそれはもう浮気だろ！」 「じゃあ弦くんも一緒に行く？」 「行かん」

「早く帰ってくるから。お土産買ってくるし」 「……酒は飲むなよ」 「了」 「……それはやめろ。きみはボクの部下じゃない」 「はーい」 「……か、かわいいからってきみはいつも……このボク様が折れると！折れると思ってるな！」 「理解がある彼氏最高。弦くん心広すぎ。来週トリキ行こうね」 「行かん。ウーバーがいい」 「行こうよ」 「行かん」

nrmの彼女が心配なogt
※拙宅設定、ナマエ固定、ちょっとアレ
#怪8プラス #怪8夢

らぎ〜くんの恋人への愛情の大きさの尺度は金銭でははかれないから道に咲いてる花プレゼントしたからって彼女を大事にしていないわけではないけど、我々(というか我)はその価値観では生きられないので普通に「彼氏に大事にされてない」と思ってしまい大大大好きだけどお別れすることにな　やめろ　ブ口ットがたまるのでこの話はもうやめます

ラギ〜くんのことは大大大好きだし付き合えたら嬉しくて天にも昇る心地だと思うんだけど、彼女への誕プレに一銭もかけずに道に咲いてた花とかだったらそりゃあ彼氏にもらったら嬉しいけど家帰ってすごい病みそうだしかと言って彼女への誕プレに金かける彼は彼じゃないからお別れしたのはもっと前のことだったような(ray)になるんだ……あんまり泣かなくなっても靴を新しくしても……😭いやふつうに私が稼げるようになればいいから起業だ！！！！！え？？？なに？人生そんなに甘くないんですけど　すみませんでした

「ふつうに癪だろ。てめえは俺のモンだろうが」 「……お、漢……！」 「……わたしはものじゃないし」 「はあ？」 「手首痛いから保健室行きたい」 「だから見せろっつってんだろ」 「なんで捻ったってわかったの？」 「てめェの芝居が下手だから」 「わたしはこれでも経営科のロバートデニーロと呼ばれて」 「デニーロに謝罪しろや大根役者」 「あ、え、あ……俺も付き添った方が良い！？」 「てめェは空気を読めや」 「爆豪くんに付き添ってもらう。ありがとう切島くん。ごめんね」 「う、ウン……俺の方こそ……」 「つか棄権するなら最初からしろや実力差わかってンだろ」 「爆豪くん、棄権しろって言うの意外すぎ。最後まで戦えって言いそうなのに」 「おまえは別だろ」 「なんで？」 「……」 「怪我したら癪だから？」 「……」 　こ、このふたりマジでわかんねえ。爆豪、説教してんのに聞いたことねえような声だし嫁も言い返してるけど爆豪の腕にもたれてるしなに！？なにこれ！？よ、よくわかんねーけどなんか仲良さそうだしい、いっか！最高のヒーロー、烈怒頼雄斗はそう考えながらふたりの後ろ姿を眺めて親指を立てた。爆豪、嫁には優しいんだな。安心したぜ！と。

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印刷された本の本文の体裁で画像化されたテキストです。付記に「scandal」、「lonelyohseven」と記載されています。 以下は本文の内容です。 「えー、君たちが捕獲するのは凶悪な敵だけとは限りません。中にはたまたま暴走してしまったり魔がさしたと言う一般人もいます。そんな相手に君たちヒーローが全力を出して怪我をさせてしまったらどうなると思う？そう、訴えられます。正しいことをしたのに訴えられるのは実に非合理的です。つまりね、今回の組手は２年Ｋ組の一般人の皆さんに来ていただいています。一対一ね。体育祭のアレみたいな感じです。相手はくじで合理的に決めました。怪我させないようにね」 「やりづらい！」 「カンペ読んでる！」 「やけに説明的だ！」 「ちなみにＫ組のみなさんは来週のプレゼンの準備で鬱憤が溜まってるそうなので個性を全力で出して鬱憤を晴らしにきます。怪我させないようにね」 「相澤先生！」 「なんだ飯田」 「戦闘向きではない個性の持ち主もいると思いますが！」 「Ｋ組の皆さんは公式動画を見て独学でガンヘッドマーシャルアーツを学んでるそうです……独学ねえ」 　カンペのようなものを読みながら怠そうに説明している担任に麗日お茶子は「独学で！？Ｇ・Ｍ・Ａを！？」と驚いていた。独学で会得できる格闘技ではないが、護身術にもなる入門編がＹｏｕＴｕｂｅ公式チャンネルにて投稿されているのである。余談であるが「おうちでガンヘッドマーシャルアーツ初心者編」は宅トレやダイエット動画としても人気が高い。 「ゴリゴリ近接戦闘タイプの俺、超やりづらい」 「わかる。飯田とかいいよな。個性で場外出せば勝ちだろ」

「女子に合法的に……触れる！」 　近接戦闘タイプの切島鋭児郎と砂藤力道は担任に縛られているクラスメイトを横目に嘆いていた。やりづらい。せめて相手が同性であってくれと二人が祈った瞬間だった。 「……」 　切島鋭児郎は組手の相手を見て頭を抱えた。ミョウジナマエ。ツレの嫁である。 「……切島」 「わ、わかってるって爆豪！怪我させねえから！」 　ツレに珍しくガチなトーンで名前を呼ばれて切島鋭児郎は焦った。心友のカノジョに怪我させるなんて漢らしくねえよな。つかそもそも爆豪のカノジョの個性って……なんだ！？まあなんでもいいけど俺の個性って好戦的じゃないと使いにく……いやいや個性をどうのこうの言うのは漢じゃねえ！とにかく初手で捕獲して場外に出すのが一番確実、と切島鋭児郎が考えている間に〝心友〟の組手はあっさり終わった。片腕でもあっさりと経営科相手にマウントを取り「棄権しろ」と凄んでいる様子にギャラリーは「おまえが敵」「素行治せ」「ヒーローとは思えぬ悪人顔」とヤジを飛ばしている。そして。 「な、なにとぞ……よしなに……」 「……」 　棄権したそうに登場したツレの嫁を見て切島鋭児郎は「や、やりづれえー！」と思った。いやこれ、俺が一番やりづらくね？相手がか弱そうな女子っていうだ

けでもだいぶ……いやそういうのは今はよくねえのか。とにかく戦闘力の差と俺の戦闘スタイルとダチの嫁っていうだけでかなりやりづらいし本人も棄権したそうだしやっぱり初手で場外が一番いいよな！？そうだよな！？とりあえず相手の個性もわかんねえし安無嶺過武瑠で相手の戦意を削いで短期決戦狙いで、と思い漢がミョウジナマエに向かって走り出して拘束しようとした瞬間だった。あまりの勢いに後ずさった女はバランスを崩し尻餅をついた。そして。 「待って怖い！タイム！棄権する！怖い！」 「こ……こ、こわい！？」 　最高の必殺技である安無嶺過武瑠スタイルをツレの嫁に「こわい」と言われ、漢はショックで硬化を解いた。お、おれ……怖いの！？怖がらせた！？一般人は俺が怖いのか！？漢が自身の手のひらを見つめて場外で戦慄いていると。 「切島くん！」 「ば……爆豪のカノジョ……」 「ごめんね、試合前に棄権するって言えばよかった」 「い、いや俺の方こそ……怖がらせてごめん……そうだよな、あれちょっと怖いよな……」 「あ、ちがうちがう！あの必殺技は熱くてよかった。そうじゃなくてその……日常生活で本気で自分に向かって走ってくる人っていないじゃん？だからそのびっくりしちゃって」 「本気で自分に向かって走ってくる人」 「切島くんが怖いというよりは勢いが怖かった的な……。相手が爆豪くんでも怖いって言うと思うし」 「相手が爆豪でも……」 「はあ？」

　相手が彼氏でも怖いって言うのは流石に俺に気を遣ってるよな？と漢が思った瞬間、〝彼氏〟の声が聞こえた。漢は慌てて頭を下げる。 「ば、爆豪！すまねえ！俺はおまえの嫁を怖がらせた……ダチの嫁をよ……そんなのは漢じゃねえ……」 「嫁ってわたし？」 「文脈からしてそうだろ」 「ダチの嫁を怖がらせて棄権させるなんて俺は……」 「嫁ってわたしであってるよね？」 「消去法でそうだろ」 「漢じゃねえ……俺はみんなを守れるヒーローに……」 「これまだ続く？長くない？」 「ンなことより手首見せろや。捻ってんだろ」 「え」 「捻った！？痛くねえか！？す、すまねえ爆豪の嫁と爆豪……俺はダチとの約束も守れねえ……！」 「約束？」 「爆豪と約束したんだ。嫁には怪我させねえって」 「……なんで？」 「あ？」 「エッ」 「なんで？わたしが無個性だから？」 　なんか急に変な空気になったなと漢が思った瞬間だった。男は女の、捻っていない方の手首を握り怠そうにつぶやいた。 「……怪我してェのかよ」 「したくない。爆豪くんがわざわざ言うのはなんでかって聞いてる。わたしが弱い無個性だから？」 　爆豪の嫁、強。つか無個性なんだな。漢がそう思っていると。

💥のカノジョと演習で組手する✂️

※拙宅設定、ミョウジナマエ固定、なんでも許せる方向け
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#hrakプラス #hrak夢