和邇彦

餃子を食べる藍曦臣と金光瑶

立冬
冬の始まりに餃子を食べる

同年代の少年達と夜狩をする際、金凌が料理をすることが仙門の噂になった。 江晩吟は、金凌に料理を止めろと叱る為に、そんなに料理がしたければ俺の生誕祝いの宴で料理を作れ、と怒鳴った。 江晩吟はそれで躾が済んだと思っていたが、金凌は叔父が自分の行動を制限しようとするのに反発した。 だから金凌は江晩吟の生日、藍思追達と一緒に何度も作った汁物を作ると、江晩吟に食べるよう迫った。 渋々汁物を飲んだ江晩吟は、汁物の味が江厭離の汁物にそっくりなのに驚愕する。 江家の家宴では門弟も宗主も皆料理をする。父や姉も料理をしていたが、江晩吟は一度も料理に参加しなかった。 そんな事は宗主のする事じゃない、と母が怒っていたからだ。 江晩吟は江家の家風に全く馴染まなかった。 魏無羨の料理の腕は壊滅的だ、食べ慣れた汁物でも、絶対に再現は出来ないだろう。 なのに、今、一体誰がこの汁物を作れたんだ？ どうして金凌がこの汁物を飲めたんだ？ 江厭離と温寧の汁物の受け渡しを全く知らなかった江晩吟には、全く分からなかった。

江晩吟生日快乐
金凌が夜狩で少年達と料理をしてると噂になってるから、宗主がそんな事をするなと叱ったんだ。
そんなに料理がしたければ、俺の生誕祝いに料理してみろと言われたからといって、本当に料理してくる奴があるか。

嗚呼、この汁物は姉さんの味に似てる。

江家の家宴では、門弟も宗主も自分で料理するのが慣いだった。

けど俺は、料理なんて私達のする事じゃない、と怒鳴る母さんが怖くて、父さん達と料理しなかった。

あぁ、江家の家風に馴染まなかった俺に料理は出来ない。
魏無羨の料理の腕は終わってる。あんなに食べ慣れたものだって、奴は絶対に再現出来ない。

なのに、どうして今、この汁物は出来てるんだ？

お菓子を配り歩く金光瑶と藍曦臣と聶明玦 綺麗な飴細工を鑑賞する聶懐桑と莫玄羽 貰ったお菓子を食べ歩く薛洋と阿箐と暁星塵と、食べ歩きはしない宋子琛 歯磨きの重要性を説諭する温情とお菓子を配る温寧 喧嘩する金子軒と江晩吟と、お菓子を配り歩く江厭離 貰ったお菓子を自慢し合う欧陽子真と藍思追と藍景儀と金凌 見つめ合う藍忘機と魏無羨

万聖節快乐

姑蘇の紅葉を見て、金光瑶の手と同じ大きさの葉を手に取る藍曦臣。 蘭陵の紅葉を見て、藍曦臣の手と同じ大きさの葉を手に取る金光瑶。

姑蘇の紅葉を見て、金光瑶の手と同じ大きさの葉を手に取る藍曦臣。 蘭陵の紅葉を見て、藍曦臣の手と同じ大きさの葉を手に取る金光瑶。

明日から11月

十数年ぶりに江厭離の汁物を味わって、涙が出た魏無羨。 汁物を渡して喜ぶ温寧と藍思追には、この涙は見せられない。 社会では泣くのは恥とされているから、自分達の贈り物で魏無羨を泣かせて恥をかかせたと知られたら、こんなに素晴らしい贈り物をくれた2人を、申し訳ない気持ちにさせてしまう。 泣き止みたいのに、涙が止まらない魏無羨の顔を、藍忘機は無言で覆い隠した。

魏無羨生日快乐
温寧が作ってくれた汁物が、師姐が作ってくれてた汁物にそっくりで、俺はすごく驚いた。
そういえば昔、師姐は温寧にも汁物をあげて、温寧はその汁物を阿苑達に食べさせて、感想を詳しく聞いてたっけ。
俺は温寧達に助けられた後でさえ、そもそもお前達温氏のせいで、と恨めしい気持ちもあった。なのに師姐は、恩があると知らないのに、温若寒の従兄弟甥の温寧に汁物をあげた。
俺は温氏を全員憎んで、彼等の親兄弟の遺体まで操り復讐した。なのに温寧は、自分達を害した金子勲の従兄弟に嫁ぐ師姐に、丁寧に汁物の礼をした。
2人はすごいな。
嗚呼、温情と思追に御礼を言いたいけど、今はまだ藍湛に顔を隠してもらいたい。

義兄弟は重陽節に登山に行く約束をし、 其々の家でそれについて話をする。 聶明玦は聶懐桑を義弟達との集いに誘う。 聶懐桑は、兄の義弟達なら芸術や美食でもてなしてくれる、と期待したが、目的は登山と聞かされる。 落胆した聶懐桑は、断り文句を3回唱えた。

藍曦臣は藍忘機に、自分の義兄弟達との登山への参加意思を問う。 藍忘機は藍曦臣の義兄弟達に興味がなかったが、金光瑶の縁を利用すれば魏無羨に会えるだろう、と期待した。 しかし藍曦臣は、藍忘機の目当てが自分の義兄弟達ではないと知ると、直に当人に会いに行くよう諭した。

金光瑶と金子軒は、馴れない相手の意図を探り合いながら会話する。 初めは二組で共に過ごす案を検討したが、次に、金子軒が聶明玦達にしでかす事を懸念し始める。 金子軒は金子勲を心配し、金光瑶は義兄達を心配した。 結局、当初の予定通りに別れて過ごす事にしたが、同じ懸念を共有した二人の距離は、初めより近くなっていた。

御剣で山に登る聶明玦・藍曦臣・金光瑶

重陽節快乐
高い山に登り、茱萸の実を食べて、邪気を祓う

瓦で梵塔を作る藍曦臣、火をつけて芋や果物を入れる金光瑶、梵塔を壊す聶明玦 焼けて甘味が増した芋や果物を皆で食べた。

霜降
瓦で作った塔に、芋を入れて火をつけ、瓦を壊す、送芋鬼
柿と林檎を並べれば、万事平安の祈願になる

甘露茶と胡麻団子を食べる、藍曦臣と金光瑶

寒露
肌寒い気候、胃の養生の為に胡麻を食べる。

居室で独り、金光瑶と聶明玦との楽しい談笑を思い出す藍曦臣 昔と違って今は外出しないから、佩玉は自家のものも、聶家金家のものも着けない。 昔と違って居心地には構わないから、座布団も茶も出さない。 雲深不知処に鮮やかな花は、藍夫人の離れの竜胆畑しかない。他には高潔や優雅を意味する淡い白花が些少あるだけで、植物の殆どは緑樹と蘭草だ。 蘭草の花言葉は“優しい思い出”と“躊躇”

藍曦臣生日快乐

聶宗主は私を丁重に扱っていたが、彼等が数千人を犠牲に力を得ているのを、私は止めずに加担した。
阿瑶を虐待する金家を咎めない藍家の私を、阿瑶は匿ってくれたが、私は彼を逃さなかった。
皆私には優しかったが、私は彼等に優しかっただろうか。

幼少期、藍家の躾に背けば母と面会出来なかった私は、藍家の良い子であろうと努めた。
母を軟禁から逃がそうなどとはしなかった。
そして母を失った。
その後も藍家の都合の良い子のまま、温若寒や金光善、世人や年長者に追従する生き方は、私から故人を失わせ続けた。

私はもう藍家の都合の良い子で居られなくとも構わない。
私はもっと躊躇して居たい。

作った月餅が拉げてるのを見て大笑いする暁星塵 摘み食いしながら均整な月餅を作る薛洋 月餅を捏ねる宋子琛 月餅を食べる阿箐

団子を作る江厭離 餅を捏ねる温寧 団子を奪い合う金子軒と江晩吟 団子を食べる温情

狩った鳥を焼く藍思追・金凌・藍景儀・欧陽子真

餅をつく聶明玦 餅をこねる藍曦臣 団子を作る金光瑶 団子を食べる聶懐桑

中秋節快乐

餅をつく聶明玦 餅をこねる藍曦臣 団子を作る金光瑶 団子を食べる聶懐桑

狩った鳥を焼く藍思追・藍景儀・金凌・欧陽子真

明日から10月

卵を立てる金光瑶と、絵を描く藍曦臣

秋分
卵を立て、秋牛図を描いて縁起を担ぐ

仲良しの3人だけで盃を交わす聶明玦と藍曦臣と金光瑶 聶明玦は不公正な言動が多い。 温家が劣勢になって温家を裏切った宗主達は責めずに仲間扱いで、温若寒を弑虐した金光瑶は裏切り者と責めて切りかかる。 他人を害した事や主人を裏切った事が悪いと金光瑶を責めた理屈に照らすなら、他人を害さず主人に忠実だった温情一族は賞賛すべきなのに、悪い主人を討とうとした宗主達は良い、悪い主人から良い待遇を受けるだけで討たなかった温情一族は悪、処刑すべきと主張する。罪の基準を変えたのではない、金光瑶の事も変わらず責め続けている。 自分と同格の宗主層には同調し続けて、格下の臣下層には加害欲をぶつけ続ける為に、 相手の身分次第で態度や罰を変えて、詭弁を弄している。 けれど、3人の仲が良かった頃の聶明玦は、部下の大勢が金光瑶を身分差別していた時、部下達の差別行為を咎めた。多数派に媚びて身分差別に加担しなかった。 だから、聶明玦が差別と自分良がりに満ちた言動をするようになったのは、刀霊に負けて憑かれてしまったからじゃないか、と疑うことが出来る。 藍曦臣は家や世人に諂って、被害者に残酷な事が多かった。 母は優しい人だ、幽閉は窮屈だと思っていても、父や家規が母に罪と罰を定めていれば、“本当かどうか”も“母の理由”も、知りたくもない。 “温情や金光瑶は臣下扱いだから、宗主の温若寒や金光善に諫言するには、命も危うかった”という意見を持っていたのに、聶明玦は説得し辛い人だからと、聶明玦の説得を止めてしまった。温情の擁護を止め、金光瑶に我慢を強いるだけだった。 “臣下の立場で宗主の説得は無理”なら、誰が宗主を諫めるのか。息子で相続人という確かな立場があっても父や家の年長者を説得しない、独立した権力も武力も持った宗主同士という確かな立場があっても聶明玦も金光善も説得しない。 加害者達は誰にも咎められずに悪行を続けて、被害者達は辛いままだ。 けれど、独りになった藍曦臣は反省した。“自分は悪くない、悪いのは魏無羨や金光瑶”と言い逃れる藍啓仁や仙門百家に同調しなかった。母の犯行動機さえ“知りたくもない”と言っていたのに、金光瑶のことをちゃんと考えようとしている。 金光瑶は、母や子の復讐の為や父の命令の為には、大勢を害した。 けれど、眺望台で大勢の人を助けたし、自分の不利益になるとしても、無辜の温情一族や思思は害さなかった。気高く意思が強かった。 大勢を害した罪があるのは3人共通だけど、弱い立場で苦しみながらも大勢を助けた金光瑶に対して、武力も権力も持ち合わせていた聶明玦と藍曦臣が人を助けた事例はとても乏しい。 けれど、金光瑶と仲が良かったことから鑑みると、この2人にも良い所が見出しやすい。

白露
霧が集まる収穫の候
新米で作ったお酒を飲む

天灯を飛ばす金光瑶と、見守る藍曦臣 金光瑶は、温寧達への謝罪は口にしなかったけれど、 金光善や金子勲は温情一族に酷い事をしたし、諫めきれなかった私は悪い事をした、と考えてはいただろうと思う。 魏無羨は方夢辰にさえ、お前の両親は俺の姉を害した仇ではないのに害して悪かった、とは一言も謝罪しなかったが、 射日や不夜天では残酷過ぎる事をした、と考えてはいた。 温情は蓮花塢襲撃後の魏無羨には、うちの一族や宗主で義父の温若寒は江家に酷い事をした、諫めなかった私は悪い事をした、とは謝罪しなかったけど、 乱葬崗で仲良くなって以降の魏無羨には、謝罪や礼を言うようになった。 重い罪だと認めていても、謝罪を言えない事例はある。 謝罪を口にしていない事は、罪を認めていない事の証明としては不十分だ。 金光瑶は、若年には金光善達の意向に反して、温寧達を窮奇道に助けに行った魏無羨の行動は正しい事だった、と発言していて、 晩年には乱葬崗で仙士達を殲滅するべき時でも、温情一族の凶屍達には攻撃を止めた。 金光瑶は、母や子の復讐の為や、父親である金光善の命令の為には、連座での族滅等、酷い事をしてきたけれど、 金光瑶はずっと“無辜の人は傷付けない”という信条を持ち続けていたと考えると、 こういった、金光瑶自身には不利益しかないのに、金光瑶が態々行ってきた悉の理由が腑に落ちる。 金光瑶は故人の為の灯に、きっと大勢を偲んだだろう。

中元節
故人の苦しみの浄化と冥福を祈る

盃を交わす聶明玦と藍曦臣と金光瑶

天灯を見送る金光瑶と藍曦臣

明日から9月

破かれた外衣を縫って見せる金光瑶 糸車を持ちながら縫い方を見て学ぶ藍曦臣

七夕節快乐
裁縫の技術上達を目指す、見習いと師

逆立ちしながら家規を写す罰を受ける藍景儀と藍思追の元に、魏無羨と藍忘機が来る。 藍景儀の字には誤りや乱れが多く、書き直しを申し渡された。

藍景儀生日快乐

温先輩と一緒に夜狩したのを藍先生に咎められた。
思追は、温先輩は自分が呼んだと言って、独りで罰を受けようとしたけど、俺もかってでた。
温先輩と夜狩するのを悪事と叱られるのは馬鹿らしいし、罰は辛いから受けるのは嫌だけど、
思追独りに罰を負わせるのも嫌だし、自分で望んでやった事だから。

そしたら魏先輩が来て、
俺の同年代の宗主達は、禁止された飲酒をしたってだけの事でも、俺独りに罰を押し付けて黙りしてたのに、お前ときたら、含光君並の気概だな。
なのに、力も知識も足りないんじゃ、どうやって生き残るんだ？
って言うんだ。

力も知識も、これからついてくるんだよ。

酸梅湯を飲む藍曦臣と金光瑶

処暑
酸梅湯を飲んで、体の熱を冷ます

温情の生日祝の宴 飲み比べで魏無羨を負かした温情は快哉を上げ、 温寧と阿苑は倒れた魏無羨を介抱した。

温情生日快乐

私は負けず嫌いだから。
あの温宗主にも、許可されると思えた諫言は、ちゃんとしてきた。

江家も含めた他家への侵攻は、諫められなかった。
温宗主が何度も弱小仙家を侵攻しても、権力も武力も持ってる藍家や聶家の宗主達は黙従したまま。
武力も無く、温宗主の「恩情」頼みの権力しかない私独りが、温宗主の横暴を諫めるなんて、無理としか思えなかった。
負けず嫌いも路線を捻じ曲げてた。

なのに貴方は、権力は私と相似たりで、武力も仙門百家を制圧出来る程ではないのに、
私達を仙門百家から守るなんて無理を、頑張ってくれた。

そんな貴方と居ると、私やっぱり、
貴方に負けていられないと思えてきたわ。

西瓜を食べる藍曦臣と金光瑶 早々に食べ終えて、2個目の西瓜を切り始める聶明玦

立秋
西瓜を食べて、涼をとり秋に咬みつく

砂浜で家族の砂像を作る金光瑶と藍曦臣

温情の生日を祝う温寧と阿苑と魏無羨

明日から8月

大暑船を担いで歩く義兄弟達と、幸福を祈る沿道の人々

大暑
豊作と疫病退散を祈願して、大暑船を送る。
木造の船にお供えを載せて街を歩き回った後、海に送り出して焼灼する。

宋子琛の凶屍が立つ義荘の中で、暁星塵と阿箐の遺体を寝かせながら、全く復讐せずに過ごした2年半を思い起こす薛洋

薛洋生日快乐

7歳の俺を裏切り轢いた常慈安と、
仙士の常慈安の暴行には諂って、孤児の俺を腹いせに殴った町人を恨んでいる。

破落戸の風体の俺と町人の諍いだと見做せば問答無用で俺に殴りかかり、金氏の客卿と町人の諍いだと聞けば剣を下ろす暁星塵、
連座で温情一族を鏖した仙門宗主達には媚び諂って、俺が常一族を連座で鏖すと極刑を強訴した暁星塵、
手前勝手に剣を振り回す暁星塵に怒り復讐したのは、俺の人生の道理だ。

なのに、
無理だと痛感するばかりなのに、
飴をくれた道長にまた会いたいと、
どうしようもなく思っている。

並べられた書画を鑑賞する金光瑶と、大切な衣を干す藍曦臣

小暑
衣服や書画を虫干しする

金鱗台の暑さで熱中症になりかける藍曦臣と金光瑶 全仙府中で唯一、市街地の高層建築の金鱗台は、他の仙府より暑そう

生日祝いの縁起物を食べる、阿箐と薛洋と暁星塵と宋子琛

明日から7月

麺を食べる藍曦臣と金光瑶 店の壁には魏無羨の麦酒宣伝ポスターが貼ってある

夏至
夏に収穫した新麦を食べる候
熱い麺を食べると魔除けになる

父亲节、江楓眠の為に料理を作っている江厭離と魏無羨を、江晩吟は見ていることしか出来なかった。 調理をして虞紫鳶に怒られるのが怖くて、自分が魏無羨の作った料理を捨てた様に、江楓眠が自分の作った料理を捨てたらどうしよう、と萎縮していたから。 しかし、江厭離と魏無羨は調理を終えると、厨房の外にずっと居た江晩吟にも料理を持たせて、前後を挟んで江楓眠の元へ歩き出す。 父親に何を言えばいいかわからないまま、憮然とした顔で、江晩吟も歩き続けた。

父亲节快乐
手作りの料理を配膳しに父親の元へ

送花神をする藍曦臣と金光瑶

芒種
花の神を送別するために、木の枝や花をリボンで飾り、供え物を並べる。

送花神の藍曦臣と金光瑶

父亲節の魏無羨と江晩吟と江厭離

明日から6月

足水をしながら、廻る水車を眺めて枇杷を食べる、藍曦臣と金光瑶

小満
農業や蚕業が動き始める頃
水車・牛車・糸車の３つの車を司る白竜を祭る