暑くてどこへも行けず過去の沖縄旅の写真を見返してたら、新たに三振りが写り込んでいるのを発見
エメラルドビーチのカフェバーから撮影
@ccyasu.bsky.social
審神者・プロデューサーちゃん・賢者様・監督生 字書き(くりつる、時々その他) https://wavebox.me/wave/kmbtzjmzmzd8ohov/ https://www.pixiv.net/users/2827613
暑くてどこへも行けず過去の沖縄旅の写真を見返してたら、新たに三振りが写り込んでいるのを発見
エメラルドビーチのカフェバーから撮影
ちょっと大き目の4粒目、みたいな顔をしてる
24.06.2025 09:34 — 👍 24 🔁 5 💬 0 📌 0狐面のつるまるのイラスト
🦊🌕🦊
21.06.2025 13:58 — 👍 10 🔁 6 💬 0 📌 0・_・
11.06.2025 16:45 — 👍 69 🔁 11 💬 0 📌 2印刷された本の本文の体裁で画像化されたテキストです。付記に「小満 2025/05/21」、「安田@ccyasu」と記載されています。 以下は本文の内容です。 初夏の日差しが眩しくて、鶴丸は深く帽子を被りなおした。本日は晴天、畑仕事をするには少し暑い。早いところ済ませてしまって、日陰で涼みながら氷菓子でも食べるのがいい。 畑には所々、小さな苗が植わっている。支柱が建てられた一面の畑は、まだ緑が少なくどこか異様だ。ここが野菜でいっぱいになる頃には、すっかり真夏になっているだろう。収穫は楽しみだが、夏の暑さはどうにも苦手だった。かつて炉の灼熱から生まれたというのに、ままならないものである。 「よく育つといいね」 当番でもないのに暇さえあれば畑にいる桑名江が、畑を見渡してそう言った。本当に楽しそうに畑仕事をするものだといつも思う。 「今年は随分とこだわりがあったみたいだし」 「すまんな、無茶を言って」 「僕は楽しいよ。新しい品種がどう育つか、どんな味の違いがあるのか、楽しみなことだらけだ」 今年の苗を植える前に、鶴丸は審神者に一つ相談事をしていたのだった。品種
を増やしてみたい。広い畑に人数分の野菜を育てるのは至難の業で、だから難しいことではあるけれど。それでも、出来るうちにやってみたいことがある。 「トマト、たくさん成るといいね」 「あぁ」 「大倶利伽羅が好きなやつ」 「……。あぁ」 何度か季節を巡ってきたが、冬の頃にふと大倶利伽羅が言ったのだ。あの時あの店で買ったトマトは美味かった。普段は手に取らない品種のものを、ただふと手に取ってみたのだろう。そんなことを聞いたのは初めてだったので、その品種についてなんとなく調べ、なんとなく覚えておき、なんとなく今年は植えてみたいと思ったのだ。 「僕ら、いつまでこんな生活できるか分からないんだから、なんでもやってみたらいいいよ」 「だよな」 「大地はいつでもここにあるし、多分放っておいても野菜はいくらか育つだろう
けど、それを食べる僕らは今しかいないし」 「放っておいても育つかな」 「いくらかはね。まあでも、手入れは大事だよ。何事も」 肥料を足したり、水やりをしたり、雑草を抜いたり、虫に食われない工夫をしたり。 「美味しいトマトを大倶利伽羅に食べてもらうためにも、当番はさぼらないでね」 「分かってるよ。今年はちゃんとやるさ」 「いつもやってよ」 風が少し冷やりとするのが救いだ。まだ暑い日差しをうらめしく思いながら、鶴丸は気合を入れて足を踏み出した。
小満(くりつる)
21.05.2025 21:27 — 👍 1 🔁 0 💬 0 📌 0印刷された本の本文の体裁で画像化されたテキストです。付記に「立夏 2025/05/05」、「安田@ccyasu」と記載されています。 以下は本文の内容です。 強い西風が吹いている。この時期にはよくある風だ。雲は瞬く間に流れていき、地上には晴れと曇りが交互に混じった。 鶴丸の羽織がその風にはためいて揺れるのを、大倶利伽羅は後ろから眺めていた。無言で歩いていくそこは、田んぼの畦道だ。一面に苗が植えられ、水面がきらきらと瞬いている。生命の息吹とはこういうものだろうかと思わせる、それは美しい光景だった。 刀を手に握ったまま、鶴丸はすたこら畦道を歩いていく。時折滴る血が地面を濡らし、大倶利伽羅はそれを踏みつけながら後ろに続いた。植え付けが始まった水田に被害が出なくてよかった、と思うようになったのは、実はここ数年のことだ。それまでは、戦であればそういうこともあろうという認識でしかなかった。本丸で暮らしていくうちに、歴史を守ることは人の生活を守ることなのだと思い知っていったのだ。 時間素行軍は殲滅したが、ここにはまだ戦の気配が残っていた。あとはこの時代の人間の問題なので、自分たちは介入しない。足元の悪い畦道を進むのは、ここが近道なのと、最後の見回りを兼ねてのことだった。 鶴丸の怪我は思ったより深く、だが手を貸すことはしなかった。というより、道が細くて並ぶことが出来ない。背負われるほどの傷ではないからと鶴丸はさっさとひとりで歩いていき、大倶利伽羅は殿よろしく後ろをついていくのみだ。殿といっても、他の仲
間たちとは別行動なのでただの後ろ前だが。 以前にもこのあたりに、別の季節に来たことがある。今よりもう少し前の季節で、田んぼの向こうには桜が立ち並んでいるはずだが、今はただ緑の深い山が広がっているだけである。秋には確か、山が疎らに赤や黄色に染まっていたはずだ。冬はそこら中が雪まみれで、歩くのにも苦労した。 鶴丸はどの季節でも、山や花を見ては綺麗だなあと笑っていた。桜は見事なものだったし、紅葉もまた美しい。水が張られた一面の田んぼだって、強風に煌めく水面の美しさといったらない。山の緑はあまりにも眩しく、青空はまだ少し薄い。 前を歩く鶴丸は、どんな顔をしているのだろう。痛みに歪んでいるか、それとも景色に見惚れて微笑んでいるだろうか。未だ血を滴らせながら、だが決して田には落とさないように踊るようにとんとん歩いていく鶴丸の顔を、大倶利伽羅は想像するだけである。
立夏(くりつる)
#くりつる企画
立夏(青空)+きらきら(少々)
印刷された本の本文の体裁で画像化されたテキストです。付記に「穀雨 2025/04/20」、「安田@ccyasu」と記載されています。 以下は本文の内容です。 風が生温く、雲が広がっている。蓋のように覆われているせいで熱気が逃げず、少し歩いただけでもほんのり蒸し暑さを感じた。もうそんな時期になっているのだな、と大倶利伽羅は畑に向かいながら思った。 本丸の畑は増える刀剣男士に呼応するように段々と拡張され、今や結構な広さの農地だ。人手があろうとも手作業だけでは到底足りず、数年前からトラクターが導入されている。当番の手も他より多く、食べるばかりとも言っていられない刀たちでいつも忙しない。 「鶴丸、」 「よう伽羅坊。手伝いに来てくれたのか」 トラクターで畑を耕していた鶴丸が手を振る。そうではない、と大倶利伽羅は首を振り、鶴丸の元に駆け寄った。 「雨が早まるらしい。今日の作業はこれまで。機械は濡れないうちに撤収を、とのことだ」 今日は夕方から雨になるから、昼過ぎまでには畑の作業を済ませるはずだった。まだ途中だろうが、こればかりはどうしようもない。
「雲次が来てから、天気予報の精度が上がったな」 「小屋に戻れ。俺は向こうにも伝えてくる」 「これに乗っていったほうが早くないか? ついでに耕せるし。伽羅坊も乗るといい」 広い畑に対応するように、トラクターは南海太郎朝尊により改造に改造を重ねられ、今や二人乗りが可能だ。とはいえ、大倶利伽羅はいつも一人用のものを使っているため、この大きさのものには乗ったことはない。 「いや…、」 「伽羅坊は大きいのは乗らないんだっけ。なら猶更、運転してみるといい。俺がちゃんと知らせるから。な?」 答えを待たずに、鶴丸は運転席からさっさと退いてしまった。どうぞ、と言いたげな笑顔に大倶利伽羅は黙り、仕方なく運転席に乗り込んだ。同じトラクターではあるのだし、多分そこまで勝手は違わないだろう。 「…なんだ」 視線を感じて問いかけると、鶴丸の満面の笑みとかち合った。嬉しそうな、少
し照れたような顔だ。 「いや、君とこうして並んで乗り物に乗るのって、なんか楽しくて」 「…トラクターだが」 「トラクターでも、だ。俺たち、乗り物に乗って出掛けたりしないだろ。映像で見て、ちょっといいなと思ってたんだ」 「……。出発するぞ」 「おう」 がたん、と音を立てて、トラクターは揺れながら動き出した。思った以上に馬力があるな、と大倶利伽羅はハンドルを握る手に力を込めた。操作自体は難しくないが、大きさが違うとなかなか動かしにくい。 黙って運転する大倶利伽羅の隣で、鶴丸は「もう雪は降らないだろうなあ」とか「水やりの手間が省けてよかった」とか、飽きることなく喋っている。時々トラクターを止めては作業をしている当番の者に作業中止を伝え、また畑をゆっくり進んだ。雲の色が少しずつ濃くなり、風が冷たくなってきて、畑を一周してトラクターを小屋にしまう頃には、周囲はすっかり靄がかかっていた。もうあと幾
らもしないうちに、雨は降ってくるだろう。 「運転、ありがとな」 「別に」 「俺が車庫入れ苦手なの分かってて、代わってくれたんだろ。まったく可愛い奴め」 「……。別に」 鶴丸は機嫌がいい。余程トラクターの助手席というのが楽しかったのだろう。本丸には車も自転車も必要ないのだから、それも分かる気がしないでもない。大きな音を立てて揺れながら走る車に並んで乗るのは、まあ悪くはなかった。 「降られる前に戻るぞ」 「泥を落としたらおやつにしよう。ちょっといい茶菓子が手に入ったんだ」 どこそこの個数限定で、と話しながら足取りの軽い鶴丸についていく。遠くで雷の音が鳴ったような気がした。
穀雨(くりつる)
20.04.2025 15:56 — 👍 1 🔁 0 💬 0 📌 0印刷された本の本文の体裁で画像化されたテキストです。付記に「くりつる企画(4月)清明 2025/04/04」、「安田@ccyasu」と記載されています。 以下は本文の内容です。 春の陽気に近付いているとはいえ、海辺の風は少し肌寒い。漂う磯の香りを浴びながら、鶴丸は海を眺めている。重たい装束が揺れるほど、今日の風はいつもより強かった。 波間が煌めくのを見やりながら、大倶利伽羅は鶴丸の後姿を見つめていた。風で装束がぱたりと揺れ、髪もさらさらと舞い、海はちかちかと瞬く。日差しは暖かく、風は少し冷たい。磯の香りが強すぎて花の香りはしなかったが、春の花が枝や花壇を飾っていた。 「こんなにいい天気で気持ちのいい場所なのに」 鶴丸が呟いた。じっと眼前を見据えている。 「風情のない奴らだよなぁ…」 青い空と青い海、そしてあちこちに緑色の小さい島が浮かんでいるこの景色に、似つかわしくない暗雲が立ち込みはじめていた。急に風が冷たくなった気がする。遠くに響く雷鳴は、すぐに咆哮に変わるだろう。 「さっさと片付けて、花見でもしてながら帰りたいもんだな」 「まったくだ」
海の煌めきは消えることはない。春の風でも冬の風でも、同じように波は揺らいでその度に瞬く。ただ、鶴丸が同じ風に揺られて同じように煌めくのは、春だけだった。大倶利伽羅が、この季節に鶴丸と出陣するのを密かに楽しみにするほどに。春の日差しが似合う男なのだ。多分、本人はそんなこと思っていないだろうけど。 「では行くか」 「あぁ」 この景色を守り、人を守り、歴史を守り、ひっそりとしたこの時間を守るために。大倶利伽羅は今日も、鶴丸の隣を駆けていく。
清明(くりつる)
#くりつる企画
ツイッター重いね~エイプリル見せてほしい、それか延長しててほしい
01.04.2025 00:07 — 👍 1 🔁 0 💬 0 📌 0なかなかこっち活用できない
多分ほとんどツイッターと同じ人しかいないだろうけど一応こちらにも
泡沫は残1、委託通販は6/29までの期間限定です
くりつる本の通販
「泡沫の夢もどき」(2025/03/16発行・B6/44P・web再録8+書きおろし1)
ccyasu.booth.pm/items/6726562
「某月、某日、某所にて」(2024/06発行・A5フルカラー正方形/24P・web再録のみ)
※受注タイプの委託通販・2025/06/29まで
shimeken.com/print/consig...
印刷された本の本文の体裁で画像化されたテキストです。付記に「くりつる企画(3月)春分 2025/03/20」、「安田@ccyasu」と記載されています。 以下は本文の内容です。 「暑さ寒さも彼岸まで…」 空を見上げて、鶴丸が呟いた。ほとんど呻き声に近いといってもいい。暖かいのは結構なことじゃないかと大倶利伽羅は思う。昨日は冬の最後の足掻きとばかりに雪が降ったが、今日は麗らかな日を予感させる陽気で心地いい。木々も芽吹いてきているし、蕾は赤らんでいる。そのうち花見も出来るようになるだろう。 「もう寒いのはおしまいか」 名残り惜しそうというより悔し気なのは何故だろうか。冬の間は寒い寒いと言い続けていたのに。 「まあ仕方ないか。春は春でいいものだ」 どすんと大倶利伽羅の背に頭突きをして、鶴丸はため息をついた。背中が地味に痛いのでやめてほしい。鶴丸の言いたいことは分かっている。去年も一昨年も、その前も同じことを言っていたからだ。 寒くなくなったら君の布団に潜り込む理由がなくなってしまう。 年中ひっついてくるくせにそんなことを言うものだから、大倶利伽羅は部屋に冷房をつければいいだろうと返したのだった。馬鹿なことを言ったと毎年思い出
してはいたたまれなくなる。 「朝晩はまだ冷える。油断するなよ」 「分かってるさ」 それでも昼間は随分と暖かくなるだろう。夜だって、今ほど冷えることもない。少し薄い布団に変えて人肌で暖を取るくらいで、多分ちょうどいいはずだ。
春分(くりつる)
#くりつる企画
印刷された本の本文の体裁で画像化されたテキストです。付記に「啓蟄 2025/03/05」、「安田@ccyasu」と記載されています。 以下は本文の内容です。 寒の戻りで昨夜から降り続いていた雪が、そこそこの積雪となり庭を白く覆っている。早朝はまだ更に雪が降り続いていたが、朝餉を取っているうちに霙に代わり、風呂掃除を終えた頃にはすっかり雨となっていた。庭の雪はまだ残っていたものの、水分を含んでどさりと落ちる音がしており、このまま降り続けば日暮れを待たずにすっかり溶けてしまいそうだった。 「残念だったな」 庭を眺めていた鶴丸の隣に立ち止まり、大倶利伽羅も同じく庭を見つめた。そろそろ冬も終わりかと思っていたこの時期に雪が降ることは、そういえば昔もあった気がする。この本丸は審神者の出身地である東北の地の設定がされているので、天候はそれに左右されるのだ。懐かしいといえば懐かしい気候だった。 「雪遊びは出来そうもないな」 「おや、付き合ってくれるつもりだったのかい?」 「まさか。あんたを引っ張り上げる役目を思い出しただけだ」 毎年、雪が積もると鶴丸が雪に埋もれるのは恒例のことである。白に同化してみたくなるのだという。何年経っても人の体は寒さに耐えられるようには出来ていないということを鶴丸はすっかり忘れるようなので、そのたびに大倶利伽羅が雪の中から引っ張り上げては温めてやるのが常だった。夜のうちにそんなことを鶴丸はやらなかったので、今年はもうその役目はないだろう。 「この景色も今年は見納めかな…」 庭を彩る白は、真っ白で眩しいほどだった。日差しがなく反射しないので、これでもまだ見やすいほうではある。枯れた木々はまるで白い枝のよ
うになり、常緑樹にも白が映える。積雪の朝にしか見られない光景なので、これを楽しみにしているものは多かった。大倶利伽羅もまた、そのうちのひとりである。いつもと同じ景色が一変するのは、なかなかどうして、面白い。 「なあ、伽羅坊」 鶴丸が大倶利伽羅の手を取り、その上に自分の手を重ねた。ぴたりと寄り添って腕と腕が密着する。大倶利伽羅の褐色の肌に鶴丸の白い肌が重なり、それはくっきりとした色合いを見せた。庭の景色と同じように。 「はは、これなら年中見られるな!」 「……ふ、」 まるで大発見かのように鶴丸がはしゃぐので、つい笑ってしまった。枯れ枝の雪と見紛う重なり方をしていては、その上から手を握るわけにもいかない。 鶴丸が手を離さず庭を眺め続けるので、大倶利伽羅も庭に目を移した。静かな雨音が聞こえる。雪は少しずつ溶け、枝から滴り落ち、雪がまたどさりと落ちていった。
啓蟄(くりつる)
05.03.2025 21:26 — 👍 0 🔁 0 💬 0 📌 0春コミ無配
ポスカ文学メーカーキャンペーンに申し込みさせていただきました
不備がなければあります
こちらは後日公開予定です
「泡沫の夢もどき」書き下ろし短編チラ見せ
sscard.monokakitools.net/textsdeco_vi...
「初恋」本文チラ見せ
sscard.monokakitools.net/textsdeco_vi...
春コミ新刊②「泡沫の夢もどき」
web再録8本+書き下ろし1本の短編集です
www.pixiv.net/novel/show.p...
春コミ新刊①「初恋」サンプル
以前くりつるwebオンリーで公開していたものと同じで、続きになります
これ1冊で完結です
www.pixiv.net/novel/show.p...
春コミ3/16 竜胆の咲く頃に9(くりつる)
東2 ト31a【悠久旅籠】
久しぶりすぎてほぼ初参加のようなものです。
文庫本(70P)、B6本(44P)の2種類(いずれも小説)持っていきます
文庫本は一部公開済、B6本は9割公開済なのでご注意ください
よろしくお願いします
明日は振り込みを忘れないこと 振り込みを!
23.02.2025 12:15 — 👍 0 🔁 0 💬 0 📌 0とはいえ予算の問題もあるし…頒布数、わからない…
20.02.2025 01:00 — 👍 0 🔁 0 💬 0 📌 0春コミ、思ったよりぷち参加のサークルさんが多くておののいてるところです
本の発注数ミスったかもしれん わたしの本だし…という思いと、甘く見るな…!というせめぎあい
印刷された本の本文の体裁で画像化されたテキストです。付記に「くりつる企画(2月・雨水) 2025/02/18」、「安田@ccyasu」と記載されています。 以下は本文の内容です。 このまま暖かくなっていくと思っていたのに、と大倶利伽羅は庭を眺めて思った。粉砂糖を散らしたような庭模様だった。とうに過ぎたと思っていた寒波が、再びやってきたというのだ。いくら冬とはいえ、もう春を待つばかりと思っていたらこれだ。 「難しい顔だな」 つん、と大倶利伽羅の頬を突いた鶴丸が、まん丸な目を少し細めてそう言った。どこか楽し気である。ふくら雀のように厚着で丸くなった姿を見て、大倶利伽羅は再び庭を見た。鈍い光が差してはいるが、かえって寒そうに見える。 「暦のうえでは、暖かくなる頃合いだとか聞いた」 「天気ってのはうまいこといかないもんだよなあ。珍しいな、伽羅坊がそういうのを気にするなんて」 春が近付いてくると言われれば寒波が襲い、真冬に沈んでいくと言われれば季節外れの暖かさをもたらしたりもする。どうにもならない自然現象に振り回されるのは、今は生き物としてここにあるからだろう。 「…あんたのようだと思って」 「俺?」 「何もかも、ままならない。思い通りにはいかないし、おおよその決まり通りにもいかない。ある程度の予測はついてもその通りにはならないし、なるときもある。先週まではこのまま春になるかと思ったのに、今日からまた真冬だ。雪も降らないかと思っていたがこの有様だ」 埋もれるほどの積雪にはならなさそうだったが、雲はまた太陽を覆い隠している。ひゅう、と鳴る風はまた雪を運んでくるだろう。散らされた粉砂糖は、一面のクリームになるかもしれない。
「あんたに似ている」 「へえ、驚きをもたらしていると思うと嬉しいもんだが」 「いらん」 はは、と鶴丸は楽しそうに笑い、大倶利伽羅の頬に口付けた。にやりとした顔をしているが、大倶利伽羅にしてみればこれは予測の範疇だ。驚いた顔をしなかったのが不満だったのか、今度は唇に嚙みつかれる。これもまた、まあまあ思った通りではあったので、大倶利伽羅もやんわりと噛み返して至近距離で目を細めた。鶴丸の不満気な顔は、なかなか好きだった。 「では行ってくる」 「気を付けてな。重傷になって帰ってきたらぶん殴るぞ」 「自分のことを顧みてから言ってくれ」 今度は噛みつかずに、そっと口付けた。任務での時間は本丸時間とは違うので、大倶利伽羅にとってはしばらくの別れになる。どの時代のどの季節でどう過ごそうとも、帰還すればまたこの寒さの続きからだ。そう思うと気が滅入るようではあったが、もう一度くらい鶴丸と雪を見るのもいい。春はその先、またいずれ。
雨水(くりつる)
#くりつる企画
印刷された本の本文の体裁で画像化されたテキストです。付記に「くりつる企画(2月・バレンタイン+爆発) 2025/02/13」、「安田@ccyasu」と記載されています。 以下は本文の内容です。 どうせなら、悪い予感より良い予感のほうを当てたい。と、大倶利伽羅は最近思うようになった。鶴丸の機嫌がいいときは、ろくでもないことのほうが多いのだ。判断がつかない程度の場合も勿論ある。今はどちらなのか、大倶利伽羅には今一つ分からなかった。 「一緒に食おうぜ」 皿に並べられた小さくて丸いチョコは、どう見ても手作りだった。一口大の茶色い塊が六つ。菓子の祭典だったか、それともチョコを食べて健康を促進するのだったか、或いは全然別の何かだったか。刀としての意識が薄れていた頃の知識は、どうもあやふやだ。 「…あんたが作ったのか」 「光坊と一緒にな」 それなら、と少し安堵した。燭台切光忠は本丸の三大料理番長のうちのひとりだ。監督がいたのならば大丈夫だろう。それにいくら鶴丸とて、食に関することであまりにも突拍子な悪戯は仕掛けてこないだろう。 「あからさまにほっとするなよ」 「するだろ」 「しかし! そんな君に朗報だ。実はこの中に一つ、大当たりがある。それを引いたら互いになんでも言うことを聞く。というのはどうだい?」 「……大当たり?」 辛子や山葵でも仕込んでいるのだろうか。ついさっき、悪戯はないだろうと思ったばかりだというのに。あっさりと打ち砕かれた己はまだまだ甘いということか。 「ちなみに味は全部同じだ。それに包丁のお墨付き」 「なら何が当たりなんだ?」 「それは食べてみてのお楽しみということで」 鶴丸はにこやかに、大倶利伽羅に皿を差し出す。お先にどうぞ、ということだろう。少し形が不揃いではあるが見た目は同じ、味も同じとなれば中に何か入れているのだろう。酒や果物でも入っているのかもしれ
ない。 燭台切と包丁藤四郎がついていたとなれば、そうそうひどいことにはならないだろう。ならば、と大倶利伽羅は手前の一つを手に取り、少し見つめてから口に入れた。小さいものなのでそれは一口で収まり、歯を立てればぽろりと崩れた。どうやら外側がコーティングされていて、中央にも別のチョコがあったようだ。少し柔らかいそれを嚙み砕くと、口の中でぱちぱちと音がし始めた。何かが弾けて口の中を跳ねている。 「どうだい?」 「…悪くはない」 以前、こういった弾ける飴を食べたことがある。砂糖を雲のようにふわふわにさせた菓子に混ざっていた、口の中で溶けるときに軽やかに跳ねるものだ。それをチョコに混ぜたのだろう。チョコ自体は少し苦めの味がして、大倶利伽羅の好みの甘さだった。こういった調整と手腕はさすがと言ったところか。 「それじゃあ、俺も一つ」 ひょいと一つ口に摘み入れ、鶴丸はご機嫌だ。散々味見もしただろうに、単純にこういうものが好きなのだろう。味はすべて同じだと言っていたが、鶴丸はもう少し甘めのほうが好みだったはずだ。大倶利伽羅の好みの味で作ったのだろうことは想像に難くない。 「で、当たりとはどんなものなんだ」 二つ目はふたり同時に口に入れた。一つ目と同じ味だし同じ食感だ。見たところ鶴丸にも変わった様子は見られず、当たりは残り二つのうちのどちらかなのだろう。鶴丸は大当たりと言っていたが、このチョコのどこにそんな要素があるのか。聞いても答えはないと思っていたが、鶴丸はふむと唸ってあっさり口を開いた。 「実はな、この弾ける飴を十倍にしてある。楽しそうだろう?」 「……は?」
楽しいことは黙っていられない、といったふうで、鶴丸の目が輝いている。十倍と言ったか。 「何が」 「ん?」 「何が十倍なんだ?」 「弾ける飴だ」 「そんな量入るのか、この大きさに」 「量じゃなくて威力だ。こう、ばーん、と」 「威力…」 口の中で弾けるこの食感が、十倍。 あぁ、やはり悪い予感というのは当たるものなのだなと、大倶利伽羅は頭の片隅で思った。良い予感だけ当たってほしい。 「それは爆発では?」 「別に頭が砕けたりはしないぞ、ちゃんと南海先生と大慶に監修してもらったからな」 「なお悪いじゃないか。先に言え」 燭台切と包丁の名前だけで信じた己が馬鹿だった。自分は甘すぎる。別に南海太郎朝尊も大慶直胤も、悪気があるわけではないのは重々承知している。彼らはただ、研究が好きなだけなのだ。それは分かっている。分かっているがしかし。ここは戦場ではないのだし、死なねば安いなどと言いたくはない。ただチョコを食べるだけなのに。 「ほら、最後の一つずつ、せーので食べるとしよう。どっちがいい?」 「…大当たりを引いたら言うことを聞くのだったな」 「おう。なんでもいいぞ」 なぜ大倶利伽羅が当たりをひく前提で話すのか。皿に残った二つを眺め、大倶利伽羅は一つを手に取った。鶴丸が残りを手に取り、にやりと笑う。 「それではいただきま、」 「仕方ないからなんでも聞いてやる。先に確認しなかった俺の落ち度だ」
す、と同時にチョコを口に入れた鶴丸の、その口に手に取ったそれを押し込んだ。二つのチョコを一度に口に入れることになった鶴丸が、驚きの目で大倶利伽羅を見つめた。口がぽっこりしていて栗鼠のよう、なんてことがふと思い浮かぶ。すまない、さすがに骨は拾おう。 「か、からぼ」 ぱちぱちどころではない、ばちばち、ずどん、どかん、という音が響き、大倶利伽羅はそっと目を逸らした。手入れ部屋は使わせてもらえるだろうか。
ハッピーバレンタイン~(くりつる)
(バレンタイン+爆発)
Xの企画ものだけど一応タグつきでこっちにも
#くりつる企画
「パリピ孔明 THE MOVIE」音楽バトルフェスに岩田剛典、水森かおりら参戦!MCは宮野真守(宮野真守コメントあり / 動画あり)
https://natalie.mu/music/news/610250
#パリピ孔明
@krtbk.bsky.social TOUKENRANBU FAMART Do NOT use without my permission.
#あなたの絵柄好きだよ~って人がいいねしてくれるよ見た絵師さんもやってみてね
01.02.2025 10:53 — 👍 201 🔁 53 💬 1 📌 2印刷された本の本文の体裁で画像化されたテキストです。付記に「立春 2025/02/03」、「安田@ccyasu」と記載されています。 以下は本文の内容です。 鶴丸が布団から出てこない。寒い朝だった。頭まで布団をひっかぶり、猫のように丸くなっている。 「おい、そろそろ起きろ」 布団の上からぺちんと叩いても、鶴丸は呻くばかりで顔を出しはしなかった。部屋の暖房は先ほどつけたが、鶴丸が出てくるほどの暖かさにはまだ少し時間がかかりそうだった。 ひとりで朝食に向かってもいいのだが、そうするとあとで絶対に文句を言われる。というか、不貞腐れる。なんで置いてったんだ、なんて、いつまでも布団から出てこない己のことは棚に上げるのだ。一緒に食べたいのだと言われると、ならば早く起きろと言いたくもなるが、どうしてもその言葉をいつも飲み込んでしまう。だから待つしかない。 部屋にある湯沸かしポットで、茶を淹れた。緑茶の粉を湯呑に入れて湯を入れるだけの、簡易的なものだ。湯呑が冷たいせいで茶はすぐに温くなるが、これはこれで便利だと最近思うようになった。鶴丸が猫舌気味で、熱いものは少し冷めてからでないと飲めないからだ。手で持つのにも丁度いい。 茶を飲みながら、落花生の殻を割った。ゆうべ、豆まきで撒いたものだった。最初に本丸で豆まきをしたときに、審神者が購入して寄越したのが落花生だったのだ。どうやら地域性があるだとかで、掃除も楽であるし、この本丸の豆まきはもっぱら落花生だ。 ゆうべの鶴丸を思い出す。毎年そうであるが、今年も張り切って豆を撒いていた。というより、ほぼぶん投げていた。力の限り、太刀の強さで投げられたら鬼もさすがに怖かろう。ぼりぼりと食べながら口の中に残る豆の欠片を茶で流し込み、布団を見やるがまだ動きはなかった。積雪のときは早起きするくせに、ただ寒いだけの朝にはとんと弱い。 「鶴丸、そろそろ朝食に行きたいんだが」 寝起きに落花生では少し物足りないし、やはり食指
は動かない。贅沢なものだが、本丸にいるとどうしても朝食には白米に味噌汁が恋しくなる。すっかり人間のような生活に慣れてしまったことにはあまり目を向けないようにして、最後の豆を咀嚼した。鶴丸にようやく動きが見え、布団の先っちょから銀のひかりが漏れてきた。それでもまだ、頭の半分だ。 「茶を淹れてやるから起きろ」 冷たい湯呑に粉を入れ、湯を注ぐ。揺らめいた湯気はすぐに薄くなり、鶴丸が布団から顔を出す時には茶も飲み頃になるはずだ。部屋もだいぶ暖かい。まったく、立春の朝だというのに文字通りの春とはいかないものだ。 「置いてくぞ」 そんなことされないと鶴丸は分かっているだろうが、これは最後の掛け声のようなものだ。発破をかけているだけだと、ちゃんと分かっている。だからもう、顔を出すだろう。俺の期待に応えないことはないのだ。期待。ただ寝起きを待っているだけだが、これはこれで鶴丸が裏切ることはない。 「……おはよう、伽羅坊…」 全然早くないが、声を出しただけマシなほうだ。ようやく出てきた鶴丸は、布団の奥で縮こまっていたせいで寝巻がゆるゆるに着崩れている。寒いのはそれのせいじゃないだろうか。髪は寝癖がひどいし、瞼はまだ重そうだ。それでも見惚れるほど、鶴丸はいつでも腹立たしいほど美しかった。俺の目はもうすっかりおかしいのだろうといつも思う。 「お茶ありがとうな」 温くなった茶に役に立たなさそうなほど弱い息を吹きかけ、鶴丸はゆっくりと茶を飲む。それが喉を通るのを隣からじっと見つめ、明日はタイマーで部屋を暖めておこうと決めた。
立春(くりつる)
03.02.2025 21:17 — 👍 1 🔁 0 💬 0 📌 0おためし1冊の入稿した 早め早め…
27.01.2025 23:50 — 👍 4 🔁 0 💬 0 📌 0お祝い🥂
21.01.2025 15:41 — 👍 49 🔁 6 💬 0 📌 0数珠丸さんの祝装準備
18.01.2025 12:20 — 👍 56 🔁 12 💬 0 📌 0