悲劇詩人 シリル・ターナー マルセル・シュオッブ
第九の欠落を含む十の詩篇 高橋睦郎
幻術の塔 多田智満子
非在の樹 時里二郎
『鉱石譜』より 高柳誠
室内 山尾悠子
だそうです。
悲劇詩人 シリル・ターナー マルセル・シュオッブ
第九の欠落を含む十の詩篇 高橋睦郎
幻術の塔 多田智満子
非在の樹 時里二郎
『鉱石譜』より 高柳誠
室内 山尾悠子
だそうです。
気になる本。『山尾悠子偏愛アンソロジー 構造と美文』(ちくま文庫)。 2026/3/12刊行予定です。
収録作は、
バベルの図書館 J・L・ボルヘス
時間の庭 J・G・バラード
アウトサイダー H・P・ラヴクラフト
落ちる娘 ディーノ・ブッツァーティ
燠火 A・P・ド・マンディアルグ
血まみれマリー 金井美恵子
壮麗館 アルベルト・モラヴィア
占拠された屋敷 フリオ・コルタサル
冥府燦爛 塚本邦雄
蘭房 澁澤龍彦
中世に於ける一殺人常習者の遺せる哲学的日記の抜萃 三島由紀夫
斬首されたカーリ女神 マルグリット・ユルスナール
続く
現実と虚構の境目が分からなくなっていくという幻想小説で、最終的にピーターがどちらを選ぶのか? 選ぶことが可能なのか? といったところも興味深いですね。
02.03.2026 11:46 — 👍 3 🔁 0 💬 0 📌 0
全てが創作ではなく、姉や恋人との関係などは、現実世界で実際にあった出来事を反映しているはずなのですが、それさえもが本当に事実を語っているのかが分からなくなっていきます。
現実世界と〈夢幻諸島〉、どちらが現実なのか? というところが大きなテーマになっているのですが、さらに〈夢幻諸島〉パートでは、タイトルにもある不死の技術が登場し、ピーターはそれに関して決断を迫られることになります。こちらの事件の結果として、さらに現実感覚が希薄化していくというのも面白いところです。
プリーストのライフワークともいえる《夢幻諸島》シリーズの最初の長篇です。別世界として〈夢幻諸島〉が登場するのではなく、現実の人間の自伝的作品の中に登場する架空の場所、フィクションとして登場してくるのがユニークなところ。
主人公ピーターは人生の様々な挫折のうえ、自身の人生を振り返ろうと自伝的な文章を書き始めますが、その内容はやがて現実から離れていってしまうのです。〈夢幻諸島〉がピーターの創作であると思って読んでいくわけですが、だんだんと〈夢幻諸島〉パートの存在感が増していき、現実パートの方が実はフィクションなのではないか? という疑いさえ出てきます。
クリストファー・プリースト『不死の島へ』(古沢嘉通訳 東京創元社)を読了。
1976年、父を亡くし、仕事は解雇、恋人グラシアとも喧嘩別れしたピーター・シンクレア。年配の知人エドウィンから、コテージの改修を条件に、一時的にそこに住むという話を持ち掛けられ、それを受け入れることになります。ピーターは自伝の執筆を開始しますが、メタファーの必要性を覚え、実在の人物や地名を別の名前に置き換えていきます。やがて舞台は現実を離れ、〈夢幻諸島(ドリーム・アーキペラゴ)〉に入り込んでいきます…。
クリストファー・プリースト『不死の島へ』(古沢嘉通訳 東京創元社)を読み始め。
現実的な問題を抱えた男が、自伝的な文章を書いているうちに、架空の世界〈夢幻諸島(ドリーム・アーキペラゴ)〉が現出してくる…という幻想小説です。
現実世界と〈夢幻諸島〉、どちらが本当の世界なのかが分からなくなってくるのですが、それ以前に認識していた現実世界の出来事さえもが怪しくなってくる…というあたり、この著者らしい読み味です。
児童文学枠で書かれた作品ですが、その救いのなさが凄まじいです。1968年発表ですが、現代でも通用するテーマを持った作品ではないでしょうか。これはほとんどホラー作品といっていい味わいですね。
28.02.2026 23:25 — 👍 18 🔁 2 💬 1 📌 0
住人たちが、自分たちが属する「藩」と主君である「殿さま」を信用しきっているがために、その社会の異常さに気が付かず、気が付いているにしても、その考えを圧殺されてしまう…。封建的な時代を舞台にしてはいるのですが、そこには恐るべき管理社会が現れています。
登場人物たちが「当たり前」「幸せ」と思っている物事が、実のところ残酷極まりなかった…ということが分かっていくという展開が本当にショッキングです。正面から弾圧を加えたりといった表立った支配ではなく、狭い世界観を作ってそれに則った教育をすることによって、思考の枠組みから支配してしまう…という考えるほど恐ろしい社会が描かれていますね。
藩には基本、侍しかおらず、彼らがしている生業は「ユメミの実」の生育のみ。その実を使うと勇ましい戦の夢を見れるというのです。平和なはずの藩で、そうした麻薬のような実を育てている…というのもおかしいのですが、さらに異常なのが子供たちの扱い。
子供たちは六歳で「やさしいむすめ」「やさしいわかもの」になるという習俗があるのですが、これの具体的な内容はなかなか明らかになりません。儀式であったり、通過儀礼的なものかと思っていると、その内容が明かされたとき、そのとんでもなさに慄然とします。
上野瞭『ちょんまげ手まり歌』(中公文庫)を読了。
「やさしい殿さま」が支配する「やさしい藩」で、数少ない侍とその家族は、特産物である「ユメミの実」を育てて生計を立てていました。子供たちは六歳になると「やさしいむすめ」「やさしいわかもの」にするという習俗がありました。家老の玄蕃から、娘のみよが「やさしいむすめ」に選ばれたということを聞いた池之助は喜びますが…。
日本のいつとも知れぬ過去の時代を舞台にした時代ディストピア小説です。よい為政者のもと、幸せに暮らしている小さな村の人々を描いた作品…と一見は見えるのですが、段々とその異常性が明らかになっていきます。
日下三蔵編『死体を無事に消すまで 都筑道夫エッセー集成』(東京創元社)を入手したので、パラパラと拾い読みしています。単行本未収録の文章が沢山入っていて貴重です。
都筑道夫、すごく影響を受けた作家の一人なので、この企画シリーズは嬉しいですね(全三巻とのこと)。
登場人物たちが「当たり前」「幸せ」と思っている物事が、実のところ残酷極まりなかった…ということが分かっていくという展開がショッキングです。これはほとんどホラー作品ですね。
28.02.2026 11:26 — 👍 9 🔁 2 💬 0 📌 0
上野瞭『ちょんまげ手まり歌』(中公文庫)を読み始め。「やさしい殿さま」が支配する「やさしい藩」で、数少ない侍とその家族は、特産物である「ユメミの実」を育てて生計を立てていました。子供たちは六歳になると「やさしいむすめ」「やさしいわかもの」にするという習俗がありました。家老の玄蕃から、娘のみよが「やさしいむすめ」に選ばれたということを聞いた池之助は喜びますが…。
日本のいつとも知れぬ過去の時代を舞台にした時代ディストピア小説です。よい為政者のもと、幸せに暮らしている小さな村の人々を描いた作品…と一見は見えるのですが、段々とその異常性が明らかになっていきます。
ディオニュソス祭の話では、漁師が助けを求めたキリスト教会の関係者が異教の人外だった…という展開もあり、これなどホラー味も強いお話になっていますね。
著者ハイネの、古代の神々への愛、その裏返しとしてのキリスト教批判的な意見も垣間見えて面白い書物でした。ヨーロッパの怪奇幻想小説が好きな方は、副読本として参考になる本だと思います。短いのですぐ読めますし(200ページ弱)。
「流刑の神々」も「精霊物語」と同じようなテーマではあるのですが、こちらの方が古代の神々がどう「流浪」していたのか、が描かれるエピソードが多く紹介されていますね。
若い漁師がたびたび船出を頼まれる三人の不審な人物を怪しみ、先をつけたところ、それはディオニュソスの祭だった…というお話や、メルクリウス神が商人として霊魂の移動を仕事として持ち掛けてくる話、島で零落して暮らすユピテルの話など、古代の神々がキリスト教布教後にどう暮らしていたのか…が描かれるエピソードが多いです。これらのエピソード、どこかユーモラスでモダン・ファンタジー的な味わいがあります。
ヨーロッパの幻想小説のモチーフとしてよく見る題材もたびたび言及されていて興味深いです。例えば、とある騎士が球技の最中、邪魔になった指輪を大理石の異教の女神の像の指にさしておくと、抜けなくなってしまい、それ以後婚約をしたとみなした像に悩まされる…という話。これはプロスペル・メリメの名作怪談「イールのヴィーナス」と同じモチーフですね。
また大きく取り扱われているものでは、「ヴェヌスの山」のエピソード。山に潜むヴェヌスの美しさの虜となった男性がキリスト教会に助けを求める…というお話。こちらはワーグナーの『タンホイザー』や多くのドイツ・ロマン派作家の作品の中で似たモチーフが扱われています。
ハインリヒ・ハイネ『流刑の神々・精霊物語』(小澤俊夫訳 岩波文庫)を読了。
ドイツの詩人ハイネ(1797-1856)による神話・民俗学的エッセー二篇を収めた作品集です。テーマは、零落した古代ギリシャ・ローマの神々で、キリスト教布教後、追いやられ「悪魔化」されたギリシャ・ローマの神々がどのように語られてきたのか、といったところが記されています。
「精霊物語」では多くの民話や伝説が語られ、それだけで面白いです。日本でも類話のある羽衣伝説のお話、理屈っぽく人間をだます悪魔(トイフェル)のお話、古代の彫像に魅了されてしまうお話など。
『SFが読みたい!2026年版』を読みました。刊行予定で気になったのが、マンリー・ウェイド・ウェルマン『罪は戸口に潜む(仮)』(アトリエサード)、アダム・サックス『感覚器官』(河出書房新社)、『ジェフ・ライマン傑作選(仮)』(国書刊行会)、《ジーン・ウルフ・コレクション》(全三巻 国書刊行会)、キジ・ジョンスン『ハッピーエンドは特権』(東京創元社)など。
詳細はまだ分かりませんが、岡和田晃さんのコメントで触れられていた『19世紀アルゼンチン幻想文学短編集』というのも気になります。
阿部拓児『アケメネス朝ペルシア 史上初の世界帝国』、池上俊一『魔女狩りのヨーロッパ史』、中島俊郎『英国流 旅の作法 グランド・ツアーから庭園文化まで』、Sho建築士『建物は物理学である』です。
27.02.2026 13:50 — 👍 5 🔁 0 💬 0 📌 0ティム・ジェイムズ『世界の見方が変わる元素の話』、アーロン・アフーヴィア『人はなぜ物を愛するのか 「お気に入り」を生み出す心の仕組み』、小塩隆士『経済学の思考軸 効率か公平かのジレンマ』、古谷博和『幽霊の脳科学』、クラフト・エヴィング商會『ただいま装幀中』、飯田一史『町の本屋はいかにしてつぶれてきたか 知られざる戦後書店抗争史』、ALT236『リミナルスペース 新しい恐怖の美学』、コーディー・キャシディー『とんでもないサバイバルの科学』、トム・スタンデージ『謎のチェス指し人形「ターク」』、佐々木閑『世界史のリテラシー 仏教は、いかにして多様化したか 部派仏教の成立』、
27.02.2026 13:50 — 👍 3 🔁 0 💬 1 📌 0
ブログを更新しました。
最近読んだノンフィクション作品について紹介しています。紹介タイトルは、アリク・カーシェンバウム『まじめにエイリアンの姿を想像してみた』、レス・ジョンソン『人類は宇宙のどこまで旅できるのか』、スコット・A・スモール『忘却の効用 「忘れること」で脳は何を得るのか』、萬屋博喜『SFマンガで倫理学 何が善くて何が悪いのか』、ピエール・バイヤール『読んでいない本について堂々と語る方法』、ジャン=クロード・レーベンシュテイン『猫の音楽 半音階的幻想曲』、
kimyo.blog50.fc2.com/blog-entry-2...
途中までいったい何が起こっているのか、どんな小説なのかが見当がつかない作品で、詳しいあらすじを紹介しない方がよいタイプの作品だと思います。
当初予想されたのとは全く違う方向性の作品で、読み終えて、なるほどこういう作品だったのか…と得心する感じですね。当初の展開とは異なるものの、やはり冒険小説ではあり成長小説でもあるという作品でした。前情報をあまり入れずに読むと楽しめる作品だと思います。
アレステア・レナルズ『反転領域』(創元SF文庫)を読了。
19世紀、船医として小型帆船デメテル号に乗り込んだ外科医サイラス。航海の目的はノルウェー沿岸の極地探検で、そこには古代に建造されたらしき未知の大建築物があるというのです。現地に到達した一行が目的の建築物を発見したとき、不測の事態が起こります…。
航海に同行した船医が古代遺跡を目指す…というワクワクする題材で、ジュール・ヴェルヌの冒険小説を彷彿とさせる展開なのですが、とある事実の発覚から内輪揉めが発生し、予期せぬ事態に。と思ったら場面が突然代わり、何が起こったのか分からなくなっていくという不条理な展開です。
京極夏彦、多田克己、村上健司、黒史郎『ひどい民話を語る会』(角川文庫)を読み始め。
昔話の中でも、あまり表だって語れないような「ひどい民話」が存在し、その面白さを語るという本です。数人による座談会の形でいろいろな民話が語られるのですが、確かに「ひどい」お話が多いですね。具体的には、艶笑譚を除いた「下の話」で、品は全然ないものの、その発想の妙や話の勢いに感心します。
平山夢明「そして家族全員、焼きそばス」
人里離れた図書館内で、高齢男性たちを相手に朗読をするという高額バイト。雇われた男女は読み上げる小説の文章がおかしなものばかりなのに不審の念を抱きますが…。
目的も知らぬまま、小説の朗読のバイトを受けおった男女が描かれるホラー作品です。読み上げる小説の内容、さらに文章もところどころおかしく、不条理風のホラー作品なのかなと思っていると、朗読の目的と秘密が明らかになり、俄然戦慄が襲ってくることになります。「最後」の朗読者と共に訪れるカタストロフにも唖然としてしまいます。
タイトルにもある「焼きそばス」のインパクトが強烈ですね。
背筋×平山夢明『最恐ホラー 呪われた図書館』(講談社)を読了。テーマ別に競作されたホラー小説のアンソロジーの第一弾です。この巻のテーマは「図書館」です。
背筋「笑う女が立っている」
岸井良太は、図書館で読書している際に、そばで奇妙な男が突然朗読を始めたことに驚きますが、それをやり過ごします。それ以後、岸井が読む本には得体の知れない笑う女が毎回のように登場するようになっていました…。
本の中に現れる不気味な女の恐怖を語ったホラー短篇です。ミステリやホラーだけでなく、明らかに違和感のある時代小説の中にも登場してくる…というところで恐怖度が高いですね。
本日の購入本📚
『英国幽霊いまむかし』やっと入手。《怪奇の本棚》シリーズは集めていきたい所存。
『ちょんまげ手まり歌』蛙坂さんの解説読むのが楽しみ。
『未来世界から来た男』ブラウンSF短編全集の文庫化第1弾。こちらも揃えていきたい。
意外な展開で面白いのですが、思ってたのと違う…と怒る人もいそうですね…。
24.02.2026 12:30 — 👍 1 🔁 0 💬 0 📌 0アレステア・レナルズ『反転領域』(創元SF文庫)は後半に突入。謎の古代建築物をめぐる冒険譚…かと思っていたら、全然違う方向に。こういう話だとは思いませんでした…。
24.02.2026 12:08 — 👍 14 🔁 0 💬 1 📌 0