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奇妙な世界

@kimyonasekai.bsky.social

短篇小説・翻訳小説・怪奇幻想小説大好きアカウントです。ファンタスティックなものが好み。読書ブログ「奇妙な世界の片隅で」をやってます。怪奇幻想小説専門の読書会「怪奇幻想読書倶楽部」主宰。ブックガイド系同人誌も作ってます。#日本怪奇幻想読者クラブを主宰しています。

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ホラー小説としてはこれが正道なのでしょう。
ポスターから抜け出る馬、というのは、伝統的な怪奇小説のテーマである「絵画怪談」の現代的なバリエーションといっていいでしょうか。媒体が「ポスター」というのが、いかにも安っぽく思われてしまうのですが、作者の丹念な描写の積み重ねもあって、作品の雰囲気は損なわれていません。さすが、雰囲気派の巨匠といったところでしょうか。
リーダビリティも高く、思春期の青年を描いた青春ホラー小説として、上質な作品といっていいかと思います。

03.08.2025 10:20 — 👍 5    🔁 0    💬 0    📌 0

ダンは馬を止めようと奔走することになります。
ホラー小説の主人公である「孤独で内気ないじめられっ子」というのは、ある種のステレオタイプではあるのですが、この作品では、その鬱屈した日常がこれでもかと描かれます。
その鬱屈が溜まりきったときに、怪物が現れるわけですが、それまでの主人公の境遇が非常に救われないものなので、読んでいて、ある種のカタルシスがあります。しかし、作者は単純なカタルシスを否定し、事件を終息させてしまうのです。このあたり、読んでいて非常に不満がたまる展開ではあるのですが、

03.08.2025 10:20 — 👍 4    🔁 0    💬 1    📌 0

両親との確執から家を飛び出したダンは、折悪しく連続殺人鬼に襲われてしまいますが…

周りに虐げられている内気な青年が、ある出来事をきっかけに超常的な力を発揮する…という物語です。
ただこの作品の場合、超常現象は、青年自身ではなく、青年の部屋のポスターに描かれた馬が実体化するという形をとります。
馬は、主人公ダンが憎しみを向ける人物のもとに現れ、次々と殺害していきます。ダン自身がコントロールすることはできず、いつの間にか人々の元に現れるのです。やがてダンがふと不満を抱いた、ダン自身の母親やガールフレンドにまで、その魔の手は迫り、

03.08.2025 10:19 — 👍 2    🔁 0    💬 1    📌 0
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チャールズ・L・グラント『ペットの夜』(竹生淑子訳 ハヤカワ文庫NV)は、繊細な青年が不思議な出来事に出会うことになるというホラー長篇です。

獣医になることを夢見ている、孤独な高校生ダンは、自分の部屋に飾られた剥製の動物やポスターなどに話しかけることを日課にしていました。
教師である両親からは獣医の夢を否定され、学校では父親と対立する教師からにらまれたり、いじめっ子からは目を付けられるなど、ダンは悶々とした日々を送っていました。
時を同じくして、町には連続殺人が起こり、ダンの知り合いの女子生徒が殺されます。

03.08.2025 10:19 — 👍 20    🔁 0    💬 1    📌 0

作中作「魔法少女おじさん」が登場したりと、メタフィクショナルな作りなのですが、演出面でいろいろ工夫がされているようで、そのあたりを考察するのも面白いです。
「唄うと死ぬ歌」や「魔法少女」といったファンタスティックな要素が登場するのではありますが、かなり現実的な路線で展開されるお話です。単純にホラーとはいいにくいのですが、人間の心理やありかたについてのグロテスクな物語という意味では、広義のホラーとは言えるでしょうか。

03.08.2025 10:13 — 👍 3    🔁 0    💬 0    📌 0

貝塚青年はなぜその歌詞を知っているのか? といった謎を追っていくことになります。
二話目で展開される、山田正一郎のドキュメンタリー部分がものすごくリアルで痛々しいのですよね。努力家ではありながら空回りを続ける山田が、おそらく悲劇的な結末を迎えてしまうだろうことが予測出来て、実際そのような結末を迎えるようなのですが、それが「唄うと死ぬ歌」にどうつながるのか、といったところが大きな謎となっています。オカルト的な「呪い」なのか、それとも現実的に解釈できる「トラウマ」なのか…。そのあたりが分からずに進む展開もサスペンスフルですね。

03.08.2025 10:13 — 👍 2    🔁 0    💬 1    📌 0

映画を実際に見てみることになりますが、そこには、魔法少女の格好をして、子供に勉強を教える「魔法少女おじさん」こと山田正一郎の姿が写っていました…。

TXQ FICTIONのモキュメンタリーシリーズの新作です。
「唄うと死ぬ歌」として知られる歌を探っているうちに、その歌を作った男、山田に辿り着きます。離婚して娘とも引き離され、志した教育にも挫折した中年男性山田が、魔法少女の格好をして子供に勉強を教える試みをしていたことが分かります。歌もその一環として作られたらしいのですが、なぜそれが「唄うと死ぬ歌」として広まっているのか? 山田はどうなったのか?

03.08.2025 10:13 — 👍 1    🔁 0    💬 1    📌 0

TXQ FICTIONの新作『魔法少女山田』(全3話)を視聴しました。
ネットで「唄うと死ぬ歌」として知られている歌をラジオ番組で聞いた青年・貝塚は、自分がなぜか歌の歌詞を知っていることに気付き驚きます。さらにテレビのバラエティー番組で、「魔法少女を怖がる少女」が登場し、催眠療法の最中にその歌の一部を歌っている場面を目撃します。曲のことを調べていると、「唄うと死ぬ歌」の元ネタが収録されているという、三田愛子監督の自主製作映画「魔法少女おじさん」を取り上げるブログに辿りつきます。

03.08.2025 10:13 — 👍 10    🔁 0    💬 1    📌 0

書籍版は、番組のスタッフだった女性が番組終了後も調査を続け、兄の元に送られてきたその資料を公開する…というコンセプトになっています。
番組では、実際に何があったのかは予測はできるものの断言はできない、というスタンスだったのですが、書籍版では読み通すと、何があったのかははっきり認識できるようになっています。番組のように、いろいろ考察をするというよりは、番組の視聴後の答え合わせ的な意味で、書籍版を読むと楽しめるのではないでしょうか。
番組のスチール写真など画像がふんだんに使われているので、さらっと読めます。

03.08.2025 09:40 — 👍 11    🔁 1    💬 0    📌 0
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夜馬裕『イシナガキクエを探しています』(KADOKAWA)を読了。テレビ東京で放送されたモキュメンタリー番組『イシナガキクエを探しています』の書籍版です。
番組は、1969年に失踪した女性「イシナガキクエ」を何十年も探し続けているという高齢男性、米原実次(よねはらさねつぐ)の依頼を受けて、公開捜査番組が放送される…という体裁のフェイクドキュメンタリー作品でした。
単純な人探しのドラマかと思っていると、背景に超自然・オカルト的な要素が見え隠れして、異様な雰囲気になっていく…というところで、ホラーモキュメンタリーの秀作だったように思います。

03.08.2025 09:40 — 👍 20    🔁 1    💬 1    📌 0

皮肉屋文庫「さなぎおに」
山岳地帯の中腹には、かって巨大な宗教施設が建てられていました。そこに入り込んだ少年たちが見たのは異様な光景でした…。
山の中に作られた謎の宗教施設の秘密を探るルポルタージュ風のホラー作品です。施設の目的とは何なのか? 異様な現象の背後には想像を絶する目的が隠されていた…というユニークなホラー作品です。インタビューされた男性が語る、複数の幻覚のような描写には迫力があります。

03.08.2025 09:04 — 👍 3    🔁 0    💬 0    📌 0

芦花公園「噛み砕くもの」
医者の家系の裕福な家に生まれながら、生まれつき能力が低く落ちこぼれた大輔は、そのためらいなく暴力を振るえる性向から、半グレ集団に拾われて重宝されることになります。しかしその集団には、歯を捧げることで何でも願いを叶えてくれるという存在を信奉していました…。
歯を捧げる邪霊のような存在の怖さもさることながら、大輔が身を置くことになる裏社会の殺伐さの方が印象に残ります。衝動的に暴力を振るい、人生を捨ててしまっているにも関わらず、家族から非難されたときに素直にショックを受けてしまう大輔のキャラクターが印象的ですね。

03.08.2025 09:04 — 👍 4    🔁 0    💬 1    📌 0

櫛木理宇「やどりこ」
あるときから左目に痛みを抱えるようになった「私」。かって社内にいた派遣の女性も同じように眼の疾患を抱えていたというのです。運の悪さから「フコウさん」と呼ばれたその女性は行方不明になってしまったといいますが…。
眼に疾患をかかえる女性たちの間には不思議な因縁があった…という物語。遺伝的な因縁とは別に、超自然的とも思える関係性も描かれ、その理不尽さにも怖さがあります。

03.08.2025 09:04 — 👍 1    🔁 0    💬 1    📌 0

さらにつきあっていた彼氏が原因不明の病にかかってしまいますが…。
夢見た通りに他人に不幸を呼んでしまう現象に見舞われた「私」。原因はおそらく後輩で彼女には呪いの力があるのでは…という、呪いテーマのホラー作品です。
明らかに嫌ったり憎悪している人間だけでなく、愛しているはずの人間にまで不幸が及んでしまい、本当に彼らを愛していたのかも問われることになる、という部分でシビアな作品となっています。

03.08.2025 09:03 — 👍 1    🔁 0    💬 1    📌 0

引越し先には異様な信仰があった…という不気味なホラー作品です。「かんのさん」の正体は神様なのか悪霊なのか、それもはっきりせず、それにもかかわらず人々が素直にそれを信じて行動しているのです。結末はろくなことにはならないだろうと予想するのですが、案の定嫌な結末に。最後の場面はもしかして、シャーリイ・ジャクスンの「くじ」のオマージュでしょうか。

木江恭「夢見鳥」
同じ部署に配置され、「私」の部下となった深山蝶(ひらり)。短期間に何度も異動を繰り返していると聞きますが、働きは優秀で「私」になついていました。その矢先、ハラスメント発言を繰り返し「私」が嫌っていた課長が怪我をして休職になってしまいます。

03.08.2025 09:03 — 👍 3    🔁 0    💬 1    📌 0

主人公の心の歪みを描く怖さとは別に、超自然的な事態が惹き起こされ、そちらの不条理さ・不気味さも相当です。ふりをしているうちに本当になってしまう…という教訓的な部分も怖いですね。

尾八原ジュージ「かんのさん」
離婚して娘と引っ越した「私」。隣家には小向井という中年女性が住んでいましたが、周囲の人は皆が皆隣家のことを「かんのさん」と呼んでいるのを知ります。「かんのさん」を見ると幸せになるといい、「かんのさん」を見るためには家の前に贈り物をする必要があるのだとも。家の前に異様な物を置いていく人々がいるなか、娘の実緒の様子もおかしくなっていきますが…。

03.08.2025 09:03 — 👍 1    🔁 0    💬 1    📌 0
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『おとどけものです。─あなたに届いた6つの恐怖─』(新潮文庫nex)を読了。現役作家たちによるホラー小説のアンソロジーです。

斜線堂有紀「カタリナの美しき車輪」
卒業後も母校の聖カタリナ愛心学園を愛する「私」は、SNS担当の教師のふとした投稿から炎上が広がった一件に義憤を感じていました。わざと炎上を引き起こしそうなアカウントを作り、そこを炎上させれば、他のささいな失言から目をそらせると考えた「私」は、複数のアカウントを作ることになりますが…。
正義感から偽の炎上用アカウントを作ることになった女性の物語です。その歪んだ正義感が思いもしなかった結果を起こしてしまいます。

03.08.2025 09:02 — 👍 26    🔁 4    💬 1    📌 0

小粒ながら読み応えのある作品です。ティーン向けに書かれているということですが、子供たちが次々と殺されてしまうなど、結構容赦がないですね。

03.08.2025 08:17 — 👍 3    🔁 0    💬 0    📌 0

押し入れの中にある宇宙船との描写が煌めいていますね。

澤村伊智「しゃぐらどりの娘」
不登校になっている幼馴染の政人を訪ねた「わたし」は、彼が霊能力に目覚めたことを聞かされます。クラスメイトの秘密を言い当てた政人の能力を聞かされた者たちは信じ始めます。その直後、クラスメイトの桑北が行方不明になってしまいますが…。
悪霊に立ち向かう少年少女たちを描くホラー作品です。引きこもりから立ち上がる少年とそれを応援する幼馴染やクラスメイトといった、子供たちの友情・愛情関係が青春小説風に描かれる裏で、恐ろしい怪異現象の背後にも悲しい事実があった…という、

03.08.2025 08:17 — 👍 4    🔁 0    💬 1    📌 0

サイコロの目の数だけ、振った者の体に災難が降りかかるようで、生きたまま脱出できるのか?というのが読みどころですね。災難の種類も後になるほど質が悪く、単純なケガですまなくなっていく…というところに怖さがあります。

伴名練「押し入れの宇宙飛行士」
悠真は幼い頃、親が預かっていた隣家の娘・シエルと日常を長く過ごしていました。シエルは自分が実は宇宙人であり、自宅の押し入れに宇宙船を隠していると明かします…。
幼い少女が明かした秘密は本当だったのか? 成長してから隣家の真実を知り、それでも幼い頃に感じた心のおののきは真実だったのではないか?というエモーショナルな作品です。

03.08.2025 08:17 — 👍 2    🔁 0    💬 1    📌 0

学園での怪異現象の謎を調べていくというオーソドックスなゴシックホラーです。雰囲気が良いですね。

藤ダリオ「サイコロあそび」
クラスの中でも目立たない男子生徒・颯太が祖父の家から持ってきたという古い木箱。中にはサイコロのようなものが入っていました。転がした瞬間に教室の外は闇に包まれ、生徒たちは閉じ込められてしまいます。サイコロを振り続けないと出られないと考えた宏人は、サイコロを振りますが、出た目の数だけ体に切り傷が出来ていました…。
サイコロの魔力によって教室に閉じ込められた生徒たちを描くデスゲームテーマのホラー作品です。

03.08.2025 08:17 — 👍 2    🔁 0    💬 1    📌 0

報告書の書きぶりが非常に冷ややかで、後半では人間が実験対象のような形にもなっているというところに残酷味がありますね。異世界転生特有の用語が「不明語」とされているところにブラックユーモアもあります。
異世界の側からの転生者についての報告書という、異色のモキュメンタリー作品となっています。

内藤了「CHURCH ―恐界―」
聖リリス女学院では、亡くなったスミス神父の幽霊が目撃されていました。朱里は図書室で先生たちの息子であるらしい少年ヒロムと知り合いになります。居合わせた高木先輩と共に学園の建築を調べているうちにある秘密に気付きますが…。

03.08.2025 08:16 — 👍 2    🔁 0    💬 1    📌 0
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『学校の怪談じゃ、ものたりない? 君に綴る5つの恐怖』(角川文庫)を読了。ティーン向けのホラーアンソロジーで、それぞれ「お化け、恐怖物件、青春、デスゲーム、モキュメンタリー」といった、人気のテーマを題材に書かれているとのこと。

梨「イオ」
その世界では、様々な場所で新種の生命体「イオ」が確認されていました。彼らの特徴について報告がまとめられつつありました…。
何と異世界転生を扱ったホラー作品です。転生先の世界に現れた人間が異世界においてはいかに特異であるか、ということが報告書のような形で語られていきます。

03.08.2025 08:16 — 👍 11    🔁 0    💬 1    📌 0

川合少年による評論、そして少女たちと田村との間でも繰り広げられるミステリ談義、ミステリ論など、作品のあちこちでミステリに関わるエッセイ・評論的な要素が埋め込まれており、それらの部分が作品の重要な要素ともなっています。言及されるミステリや本は著者の実際の読書遍歴が反映されているのでしょう。
田村が書いていた推理小説には探偵N・Aが登場するのですが、その探偵の「正体」も曖昧模糊、作品全体の幻想的な雰囲気も相まって、最終的に全てが茫洋としていきます。そのあたりが《本格推理の幽霊》と称する所以でしょうか。
ミステリとしては無理のある作品なのだと思いますが、幻想小説としては非常に魅力的な作品でした。

03.08.2025 02:50 — 👍 5    🔁 0    💬 0    📌 0

ホラー作家として活躍する男が、中学時代に書いていた推理小説に再会することになる…というメタフィクショナルなミステリ作品です。かっての若書きである推理小説そのものは登場せず、友人川合によるその評論のみが登場するため、小説そのものでなく間接的にその作品を想像しなくてはならない…という異色の構成となっています。
さらに、川合の娘だとして出会う少女・千春と千夏、さらに後には千秋という「三人」の少女たちが本当に三つ子なのか、そもそも実在するのか?という部分も怪しく、このあたりも含めて全体的に幻想性が高めになっていますね。

03.08.2025 02:49 — 👍 6    🔁 0    💬 1    📌 0
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飛鳥部勝則『N・Aの扉』(復刊ドットコム)を読了。
推理小説の賞を受賞した石塚成文は、デビュー作の受賞パーティで、大学時代の後輩であり、既に活躍していたホラー作家・田村正輝と再会します。田村との話の中で、彼は《本格推理の幽霊》についての話として、ある出来事を語り始めます。
中学時代、共に小説を書き批評をしあっていた友人・川合和重から手紙が届きます。川合の家を訪ねた田村は、そこで娘だと称する双子の少女・千春と千夏と出会いますが…。

03.08.2025 02:49 — 👍 21    🔁 0    💬 1    📌 0

「魂の結合者」は、不気味な怪奇小説。ソンポーリエフは、たびたび訪ねて来る若い友人ガルモーノフを鬱陶しがっていました。二人の性格の違いにも関わらずなぜ自分たちがつきあっているのか考え込んだソンポーリエフの前に、奇妙な小男が現れます。彼は本来の一つの魂が二人の人間に分かれていると言います。一人はソンポーリエフ、もう一人はガルモーノフ。そして小男はその二つの魂の結合者だと…。
二つに分かれた魂を一つにすると称する、悪魔のような小男と出会った男の物語です。アイデンティティーへの悩み、完全なる魂への憧れ…。分身譚のバリエーションではあるのでしょうが、何とも不思議な味わいの怪奇小説です。

03.08.2025 02:28 — 👍 7    🔁 0    💬 0    📌 0

「地のものは地へ」は、父子二人暮らしの少年を描く物語。何をしても許してくれる優しい父のもとにありながら、常に暗い情念を抱き続ける少年サーシャは、父を困らせようと何度もいたずらを働きますが…。
幸福な環境や親切な人物に囲まれながら、不安を抱き続ける少年の心理が繊細に描かれる文芸作品です。作中では死にはしないのですが、いずれ死を選んでしまうだろうと予想させる少年の不安定さが印象に残ります。

03.08.2025 02:28 — 👍 7    🔁 0    💬 1    📌 0

地上にはそんなものは存在しないのでは、と思った矢先に奇跡的な出来事が起きることになります。
天使の生まれ変わりの原因となった事件につながるような、円環構造のお話の展開が素晴らしいですね。

「少年の血」は、ローマ帝国の兵士たちに、人殺しと罵った勇気ある少年とその友人たちが皆殺されてしまった後で、殺したはずの血まみれの少年が現れる…という物語。殺しても殺しても血まみれの子供が現れ続けるという怖いお話です。

03.08.2025 02:28 — 👍 5    🔁 0    💬 1    📌 0

表題作「いい香のする名前」は、人間に生まれ変わった天使の物語。貧しい病気の娘の前で踊って慰めるようにとの神の命令を断ったことから、地上に落とされ人間に生まれ変わってしまった天使。王女として生まれ変わった天使はマアガレットと名付けられますが、生まれつき、なぜ日光が聞けないのか、ばらの匂が見えないのか、そして名前はいい香がしないのか、疑問に思っていました。
求婚者の一人マキシミリアン王子は、王女の求めに応じて、「いい香のする名前」を探しに出かけることになりますが…。
人間に生まれ変わった王女が、天使だったときの素晴らしい感覚を求め続ける…という物語です。

03.08.2025 02:27 — 👍 5    🔁 0    💬 1    📌 0

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