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夕星

@yu-zutsu.bsky.social

二次創作プラスタグ夢ネタを呟いたり、閲覧する用のアカウント。twstやtkrvその他ジャンル雑多。 中の人は夢/BGL(男女CP)/BL/GL色々好きです。 FRBご自由にどうぞ。私も自由にするのでお気遣いなく。 青空本アカ→ @risco-yuzutsu 詳細→ https://lit.link/yuzutsu16

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新書ページメーカーで作成した短編小説画像。五枚目。以下画像内文字起こし。

気付いたときには、フラフラと店の中へ足を踏み入れていて。「お好きな席どうぞ」の声に従って奥の席に腰を降ろしていて。お冷のグラスと共に「どうぞ」と手渡されたメニューの中から「この後お休みなら、カフェインレスのミルク珈琲とかもありますよ」と女の細い指が差したドリンクを、言われるがままにクロックムッシュとセットで注文していた。
まだ早朝だからなのか、細長い造りの小さな店内に、店員はひとり、客も獅音ひとり。カウンターに置かれた小さなスピーカーから流れている、どこかで聴いたことがあるような外国語の曲。冷えた水のグラスに口をつけると、ほんの仄かにレモンか何か、柑橘類の風味を感じる。食器同士が触れる音、火にかけられた湯が湧いていく音、次第に漂ってくる珈琲の香り。
「どうぞ、お先にミルク珈琲です。お食事もすぐお持ちするので、もう少しだけお待ちくださいね」
丁寧な仕草でテーブルに置かれたコーヒカップのソーサーには、銀の小さなスプーンと一緒に、同じく小さな、犬のかたちをしたクッキーがちょこんとひとつ乗っていた。摘んで口に放り込むと、サク、と微かな音の後でホロホロと溶けるように崩れる。バターの香りと素朴な甘みに、眠気でずっとボンヤリとしていた頭が、ほんの少しだけ明瞭さを取り戻す。
「お待たせしました、クロックムッシュです。熱いので気を付けてくださいね。ごゆっくりどうぞ」
続けて、食欲を刺激する香りと一緒にクロックムッシュが運ばれて来た。二枚重ねのしっかりしたサイズの食パンの上に、たっぷり乗ったホワイトソースとチーズがこんがりと良い色に焼けている。
「おぉ……」
うまそう。思わずそう呟いてから、獅音は端から垂れそうになるソースとチーズに注意しつつ、持ち上げたそれにかぶりついた。パンの間には厚切りのハムが挟んであって、ザクザクと噛む度にハムの塩気がパンの上のホワイトソースと混ざり、旨味が口の中いっぱいに広がっていく。

新書ページメーカーで作成した短編小説画像。五枚目。以下画像内文字起こし。 気付いたときには、フラフラと店の中へ足を踏み入れていて。「お好きな席どうぞ」の声に従って奥の席に腰を降ろしていて。お冷のグラスと共に「どうぞ」と手渡されたメニューの中から「この後お休みなら、カフェインレスのミルク珈琲とかもありますよ」と女の細い指が差したドリンクを、言われるがままにクロックムッシュとセットで注文していた。 まだ早朝だからなのか、細長い造りの小さな店内に、店員はひとり、客も獅音ひとり。カウンターに置かれた小さなスピーカーから流れている、どこかで聴いたことがあるような外国語の曲。冷えた水のグラスに口をつけると、ほんの仄かにレモンか何か、柑橘類の風味を感じる。食器同士が触れる音、火にかけられた湯が湧いていく音、次第に漂ってくる珈琲の香り。 「どうぞ、お先にミルク珈琲です。お食事もすぐお持ちするので、もう少しだけお待ちくださいね」 丁寧な仕草でテーブルに置かれたコーヒカップのソーサーには、銀の小さなスプーンと一緒に、同じく小さな、犬のかたちをしたクッキーがちょこんとひとつ乗っていた。摘んで口に放り込むと、サク、と微かな音の後でホロホロと溶けるように崩れる。バターの香りと素朴な甘みに、眠気でずっとボンヤリとしていた頭が、ほんの少しだけ明瞭さを取り戻す。 「お待たせしました、クロックムッシュです。熱いので気を付けてくださいね。ごゆっくりどうぞ」 続けて、食欲を刺激する香りと一緒にクロックムッシュが運ばれて来た。二枚重ねのしっかりしたサイズの食パンの上に、たっぷり乗ったホワイトソースとチーズがこんがりと良い色に焼けている。 「おぉ……」 うまそう。思わずそう呟いてから、獅音は端から垂れそうになるソースとチーズに注意しつつ、持ち上げたそれにかぶりついた。パンの間には厚切りのハムが挟んであって、ザクザクと噛む度にハムの塩気がパンの上のホワイトソースと混ざり、旨味が口の中いっぱいに広がっていく。

新書ページメーカーで作成した短編小説画像。六枚目(最後のページ)。以下画像文字起こし。

……うま。先程まで疲労によって端に押しやられていた食欲が一気に湧いてきて、獅音は大きく開けた口で更にひとくち、もうひとくちと、ソースが溢れ落ちそうな所を狙って次々齧り付く。合間に口をつけたミルク珈琲も、香りは深いのに苦味や酸味がほとんどなく、徹夜明けの胃と体をじんわりと優しく温めてくれるようだった。


「はい、三百五十円のお返しです。ありがとうごさいました」
「あー……ごっそーさん、うまかった、デス……」
「わぁ、良かった。またお待ちしてますね」

そうして会計のときにも、やはり女は相変わらず朗らかで。腹がすっかりくちくなった獅音は、店に入る前の荒んだ気持ちが嘘のように、帰り道をのんびりと歩いた。途中、会計時にレジ横から一枚取ってきたショップカードを、ポケットから出して眺めてみる。早朝から開店しているが、そのぶん閉店時間も比較的早めだ。……仕事帰り寄っても間に合わないから、次に行くとしたら休みの日だな。
獅音は帰宅すると、まず持ち帰ったショップカードを玄関にあるアクセサリートレイの横に置き、烏よりも適当にシャワーを浴びて、着替えて、そのままベッドに倒れ込んで、こんこんと眠った。腹が満たされているのとカフェインレスのミルク珈琲のお陰なのか途中で目が覚めることもなく、夕方目が覚めたときには、あんなに酷く纏わりついていた疲労感もだいぶマシになっていた。ドライヤーを面倒がったせいでボサボサになった寝起きの髪をガシガシと掻き、ぐわ、と大口を開けて欠伸をした獅音が、寝起きの頭でまず真っ先に思ったのは。


「あの店員、なんか、スゲェ可愛かったな……?」

───だった。

新書ページメーカーで作成した短編小説画像。六枚目(最後のページ)。以下画像文字起こし。 ……うま。先程まで疲労によって端に押しやられていた食欲が一気に湧いてきて、獅音は大きく開けた口で更にひとくち、もうひとくちと、ソースが溢れ落ちそうな所を狙って次々齧り付く。合間に口をつけたミルク珈琲も、香りは深いのに苦味や酸味がほとんどなく、徹夜明けの胃と体をじんわりと優しく温めてくれるようだった。 「はい、三百五十円のお返しです。ありがとうごさいました」 「あー……ごっそーさん、うまかった、デス……」 「わぁ、良かった。またお待ちしてますね」 そうして会計のときにも、やはり女は相変わらず朗らかで。腹がすっかりくちくなった獅音は、店に入る前の荒んだ気持ちが嘘のように、帰り道をのんびりと歩いた。途中、会計時にレジ横から一枚取ってきたショップカードを、ポケットから出して眺めてみる。早朝から開店しているが、そのぶん閉店時間も比較的早めだ。……仕事帰り寄っても間に合わないから、次に行くとしたら休みの日だな。 獅音は帰宅すると、まず持ち帰ったショップカードを玄関にあるアクセサリートレイの横に置き、烏よりも適当にシャワーを浴びて、着替えて、そのままベッドに倒れ込んで、こんこんと眠った。腹が満たされているのとカフェインレスのミルク珈琲のお陰なのか途中で目が覚めることもなく、夕方目が覚めたときには、あんなに酷く纏わりついていた疲労感もだいぶマシになっていた。ドライヤーを面倒がったせいでボサボサになった寝起きの髪をガシガシと掻き、ぐわ、と大口を開けて欠伸をした獅音が、寝起きの頭でまず真っ先に思ったのは。 「あの店員、なんか、スゲェ可愛かったな……?」 ───だった。

続き(2/2)

29.06.2025 13:05 — 👍 0    🔁 0    💬 0    📌 0
新書ページメーカーにて作成した短編小説画像。全六枚。以下画像内の文章文字起こし。

その、小さなカフェを。
そして、その女を、偶然見つけたとき。
斑目獅音は寝不足で、空腹で、疲れていて……。
要するに、だいぶボロボロの情けない状態だった。

事の起こりは、新幹線で片道約二時間の、ちょっとした日帰り出張だった。その地方都市には数年前からTENJIKUが季節毎のイベント等で協力している児童養護施設があり、打合せと報告会の為に定期的に訪問している。先方の職員や子供達とは既に知った仲で、有難いことに自分の外見について今更アレコレ気を使う必要もない。そんな比較的気が楽な仕事に、よし、帰りに駅で美味い駅弁とビール買って車内で晩酌だ〜!と、獅音は当日半ば小旅行気分で朝の新幹線に乗り込んだ。
そして実際、施設での打合せは滞りなく順調に終わったのだ。
初期からのメインスポンサーであるTK&KO他、天竺や東卍時代からの繋がりを使えるだけ使って集めた支援企業のリストが更に増えていることを先方は大いに喜んでいたし、次回のイベントに向けての企画準備も順調。無事に役目を終えた獅音は、余った時間を「獅音サマが来たー!」と無邪気に纏わりついてくる施設の子供達とグラウンドで恒例のドッジボール大会をして過ごした後、予定通りに気持ち豪華で旨そうな駅弁とビール、ついでにハイボール缶も一本買って、機嫌良く帰りの新幹線の席に着いた。平日の車両はたいした混雑もなく、隣は空席で益々最高。
ちなみに新幹線名物のバカみたいに硬いというアイスも実は毎回気になってはいるのだが、体質的にあんまり腹を冷やしたくなくて今だに食べられずにいる。閑話休題。
ところが、そんな至極順調だったはずの出張に突然ケチが付いたのは、それから約三十分後。

新書ページメーカーにて作成した短編小説画像。全六枚。以下画像内の文章文字起こし。 その、小さなカフェを。 そして、その女を、偶然見つけたとき。 斑目獅音は寝不足で、空腹で、疲れていて……。 要するに、だいぶボロボロの情けない状態だった。 事の起こりは、新幹線で片道約二時間の、ちょっとした日帰り出張だった。その地方都市には数年前からTENJIKUが季節毎のイベント等で協力している児童養護施設があり、打合せと報告会の為に定期的に訪問している。先方の職員や子供達とは既に知った仲で、有難いことに自分の外見について今更アレコレ気を使う必要もない。そんな比較的気が楽な仕事に、よし、帰りに駅で美味い駅弁とビール買って車内で晩酌だ〜!と、獅音は当日半ば小旅行気分で朝の新幹線に乗り込んだ。 そして実際、施設での打合せは滞りなく順調に終わったのだ。 初期からのメインスポンサーであるTK&KO他、天竺や東卍時代からの繋がりを使えるだけ使って集めた支援企業のリストが更に増えていることを先方は大いに喜んでいたし、次回のイベントに向けての企画準備も順調。無事に役目を終えた獅音は、余った時間を「獅音サマが来たー!」と無邪気に纏わりついてくる施設の子供達とグラウンドで恒例のドッジボール大会をして過ごした後、予定通りに気持ち豪華で旨そうな駅弁とビール、ついでにハイボール缶も一本買って、機嫌良く帰りの新幹線の席に着いた。平日の車両はたいした混雑もなく、隣は空席で益々最高。 ちなみに新幹線名物のバカみたいに硬いというアイスも実は毎回気になってはいるのだが、体質的にあんまり腹を冷やしたくなくて今だに食べられずにいる。閑話休題。 ところが、そんな至極順調だったはずの出張に突然ケチが付いたのは、それから約三十分後。

新書ページメーカーにて作成した短編小説画像。二枚目。以下画像内の文章文字起こし。

不意に新幹線がブレーキを掛けたかと思うと、途中駅でも何でもない辺り一面を田圃に囲まれた場所で停車して、そのまま動かなくなってしまったのだ。
「……あ?」
不可解な急停車に、獅音が粗方食べ終えていた駅弁から顔を上げて窓の外や車内を見回していると、ややあって車内に急停車を詫びる乗務員のアナウンスが流れた。
停止信号がなんたら、判明次第かんたら……という、どうにもハッキリしない取り急ぎの説明が付け足され、アナウンスはそこで一旦切れる。途端に車内のあちこちから幾つかの小さな溜息が上がり、獅音も例に漏れず「はぁ〜?」とつい不満げな声を出した。とはいえ、この時点ではまだ。
ツいてねえー…、まァ少し待てば動くだろ、明日午前半休にしといて良かったワ、そんでやっぱハイボールも買っといて良かったなー……等と、割と呑気に構えていたのだが。
そんな甘い予想に反して、先行する列車の結構深刻な車両故障によって獅音はそのまま一晩中車内に閉じ込められ続け。未明にようやくノロノロと動き出した新幹線が降車駅に到着したのは、朝日が昇るほんの少し前の時刻だった。


「さ、最悪……マジで最悪……ありえねぇ……」
獅音の身長では二座席繋げて使ったところで狭くて安眠できる筈もなく、時折ウトウトはしたものの殆ど徹夜に近い状態で、体はバキバキ。こんなことならハイボールどころかいっそ酔い潰れられるくらい酒買っとけば良かったと思わずにはいられない。せめてもの救いは、昨夜のうちに本部の武藤から届いていた『明日は一日休んで明後日午後からの出勤でいいぞ』という内容のメールくらいだろう。昨夜獅音が新幹線の車内から掛けた9割愚痴の電話報告の後、どうやらテレビのニュースで事態を把握して流石に本部の連中も同情したらしい。

新書ページメーカーにて作成した短編小説画像。二枚目。以下画像内の文章文字起こし。 不意に新幹線がブレーキを掛けたかと思うと、途中駅でも何でもない辺り一面を田圃に囲まれた場所で停車して、そのまま動かなくなってしまったのだ。 「……あ?」 不可解な急停車に、獅音が粗方食べ終えていた駅弁から顔を上げて窓の外や車内を見回していると、ややあって車内に急停車を詫びる乗務員のアナウンスが流れた。 停止信号がなんたら、判明次第かんたら……という、どうにもハッキリしない取り急ぎの説明が付け足され、アナウンスはそこで一旦切れる。途端に車内のあちこちから幾つかの小さな溜息が上がり、獅音も例に漏れず「はぁ〜?」とつい不満げな声を出した。とはいえ、この時点ではまだ。 ツいてねえー…、まァ少し待てば動くだろ、明日午前半休にしといて良かったワ、そんでやっぱハイボールも買っといて良かったなー……等と、割と呑気に構えていたのだが。 そんな甘い予想に反して、先行する列車の結構深刻な車両故障によって獅音はそのまま一晩中車内に閉じ込められ続け。未明にようやくノロノロと動き出した新幹線が降車駅に到着したのは、朝日が昇るほんの少し前の時刻だった。 「さ、最悪……マジで最悪……ありえねぇ……」 獅音の身長では二座席繋げて使ったところで狭くて安眠できる筈もなく、時折ウトウトはしたものの殆ど徹夜に近い状態で、体はバキバキ。こんなことならハイボールどころかいっそ酔い潰れられるくらい酒買っとけば良かったと思わずにはいられない。せめてもの救いは、昨夜のうちに本部の武藤から届いていた『明日は一日休んで明後日午後からの出勤でいいぞ』という内容のメールくらいだろう。昨夜獅音が新幹線の車内から掛けた9割愚痴の電話報告の後、どうやらテレビのニュースで事態を把握して流石に本部の連中も同情したらしい。

新書ページメーカーにて作成した短編小説画像。三枚目。以下画像内の文章文字起こし。

まだ薄暗い夜明け前の駅構内、在来線ホームのベンチでぼんやり始発を待って乗り込み、ようやく自宅の最寄駅まで辿り着いた頃には既に疲労困憊の獅音だったが、悲しいかな本当のゴールは最寄駅ではなく自宅である。新幹線での出張だったので通勤用バイクは当然自宅に置いたままだ。基本バイク移動だしと家賃の安さを優先した駅から徒歩15分の距離を今日ばかりは心底憎みながら、重たい体を引き摺るように歩きだす。

あー……帰ったら速攻寝たい。……けど腹も減ってんなァ……もう疲れすぎて飯食うのも面倒くせェ……けど腹減ったままだと眠れねェかも……あー……クソ……疲れた……最悪……。

そうして寝不足で鈍った頭の中で、延々愚痴と悪態をループさせながら、ようやく道を半分程進んだとき。

───カラン、カラン……。

不意に自分の進行方向、それもごく近い場所から響いた音に、俯き気味で足元ばかりを見て歩いていた獅音は、反射的に足を止めて顔を上げた。見れば彼が足を止めた数歩先で道に面した建物のドアが開いて、そこから黒いエプロンを身に付けた若い女が木製の立看板を抱えて出て来る所だった。
店構えを見るに、どうやら小さいカフェか喫茶店らしい。ブラックボードの立看板には、白いチョークで『モーニングセット 十一時まで』の見出しと、シンプルなメニューが幾つか並んでいた。ドリンク+百円トーストセット(自家製ジャム付)、+二百円ハムトースト……。そして『+二百五十円特製クロックムッシュセット』の文字が目に入った瞬間、獅音は疲労と空腹の間でグラグラ揺れていた己の天秤が僅かに空腹の方へと傾くのを感じた。

新書ページメーカーにて作成した短編小説画像。三枚目。以下画像内の文章文字起こし。 まだ薄暗い夜明け前の駅構内、在来線ホームのベンチでぼんやり始発を待って乗り込み、ようやく自宅の最寄駅まで辿り着いた頃には既に疲労困憊の獅音だったが、悲しいかな本当のゴールは最寄駅ではなく自宅である。新幹線での出張だったので通勤用バイクは当然自宅に置いたままだ。基本バイク移動だしと家賃の安さを優先した駅から徒歩15分の距離を今日ばかりは心底憎みながら、重たい体を引き摺るように歩きだす。 あー……帰ったら速攻寝たい。……けど腹も減ってんなァ……もう疲れすぎて飯食うのも面倒くせェ……けど腹減ったままだと眠れねェかも……あー……クソ……疲れた……最悪……。 そうして寝不足で鈍った頭の中で、延々愚痴と悪態をループさせながら、ようやく道を半分程進んだとき。 ───カラン、カラン……。 不意に自分の進行方向、それもごく近い場所から響いた音に、俯き気味で足元ばかりを見て歩いていた獅音は、反射的に足を止めて顔を上げた。見れば彼が足を止めた数歩先で道に面した建物のドアが開いて、そこから黒いエプロンを身に付けた若い女が木製の立看板を抱えて出て来る所だった。 店構えを見るに、どうやら小さいカフェか喫茶店らしい。ブラックボードの立看板には、白いチョークで『モーニングセット 十一時まで』の見出しと、シンプルなメニューが幾つか並んでいた。ドリンク+百円トーストセット(自家製ジャム付)、+二百円ハムトースト……。そして『+二百五十円特製クロックムッシュセット』の文字が目に入った瞬間、獅音は疲労と空腹の間でグラグラ揺れていた己の天秤が僅かに空腹の方へと傾くのを感じた。

新書ページメーカーにて作成した短編小説画像。四枚目。以下画像内の文章文字起こし。

時間早ェけど店開いてんのか……? ぼんやりそう思いながら、視線を看板から店のドアの方へと動かしたとき。
「よい、しょ……。……? あ、おはようございます」
無事に看板の位置を調整し終えて身を起こした女が、ようやく獅音の存在に気が付いた。女は店の前に突っ立っている男の姿を見るなり、ほんの一瞬キョトンと目を瞬き。しかしすぐに笑顔を浮かべたかと思うと、朗らかな声で朝の挨拶を口にした。
剃ったり立てたり特攻服を着たりしていた十代の頃に比べれば比較的落ち着いたとはいえ、それでも顔に墨はあるし決して親しみやすい外見ではない自覚がある獅音は、そのあっけらかんとした女の態度に少々面食らう。そのせいで辛うじて返せた「……ッス」という声は挨拶と呼ぶには余りにお粗末だったが、女は気にした様子もなく笑顔のまま続けた。
「夜勤帰りとかですか? お疲れさまです。えっと、うちのモーニング結構美味しくて、お得なので、良かったらぜひ」
そう言って軽く会釈をすると、彼女は再び店内へと戻っていく。先程自分の足を止めた、カランコロン、というドアベルの音色を再び聴きながら、獅音は暫し店の扉をボーッと眺める。

「………」

先述の通り、そのときの斑目獅音は寝不足で、空腹で。そして本当に、本当にすごく疲れていたので。笑顔で言われた「お疲れさま」の言葉が、ちょっと、驚くほど染みてしまった。

新書ページメーカーにて作成した短編小説画像。四枚目。以下画像内の文章文字起こし。 時間早ェけど店開いてんのか……? ぼんやりそう思いながら、視線を看板から店のドアの方へと動かしたとき。 「よい、しょ……。……? あ、おはようございます」 無事に看板の位置を調整し終えて身を起こした女が、ようやく獅音の存在に気が付いた。女は店の前に突っ立っている男の姿を見るなり、ほんの一瞬キョトンと目を瞬き。しかしすぐに笑顔を浮かべたかと思うと、朗らかな声で朝の挨拶を口にした。 剃ったり立てたり特攻服を着たりしていた十代の頃に比べれば比較的落ち着いたとはいえ、それでも顔に墨はあるし決して親しみやすい外見ではない自覚がある獅音は、そのあっけらかんとした女の態度に少々面食らう。そのせいで辛うじて返せた「……ッス」という声は挨拶と呼ぶには余りにお粗末だったが、女は気にした様子もなく笑顔のまま続けた。 「夜勤帰りとかですか? お疲れさまです。えっと、うちのモーニング結構美味しくて、お得なので、良かったらぜひ」 そう言って軽く会釈をすると、彼女は再び店内へと戻っていく。先程自分の足を止めた、カランコロン、というドアベルの音色を再び聴きながら、獅音は暫し店の扉をボーッと眺める。 「………」 先述の通り、そのときの斑目獅音は寝不足で、空腹で。そして本当に、本当にすごく疲れていたので。笑顔で言われた「お疲れさま」の言葉が、ちょっと、驚くほど染みてしまった。

書き途中のsio君夢、一万字書いてもまだ全然終わらないので尻叩きに途中のキリの良い部分だけ載せてしまう…。全体としてはsio君とjikuメン(+α)の愉快な仲間達に夢主を少し添えて…みたいな話になる予定です。(ラス軸社会人sion🦁君)(1/2)
#tkrvプラス #tkrv夢

29.06.2025 13:02 — 👍 0    🔁 0    💬 1    📌 0

#tkrvプラス ひとりで集中して机に向かい作戦練ってる間hnmを自室に待機させていたksk君、作戦タイムを終えたら待ってる間ゲームして暇つぶしていた筈のhnmがいつの間にか姉お手製の焼うどんやら天かすおにぎり等をモリモリ食べており「…はぁ!?」となる。

12.04.2025 14:40 — 👍 0    🔁 0    💬 0    📌 0

#tkrvプラス 最終車由でkskの姉してるナマエさん、ある日帰宅すると台所で細身長身の男子が食べ物を物色しているのに鉢合わせて目が合い、(初めて見たけど弟の新しいお友達…?)と思いながら「お腹空いてるの?」て聞くと頷くので、適当に軽食を作って与えたら妙に懐かれてしまい、以降会うたび手料理を強請られている。(hnm)

12.04.2025 14:33 — 👍 0    🔁 0    💬 1    📌 0

#tkrvプラス kkcho🦋君と恋人になって初めての冬、自宅デート中の夜ふとお互いの素足が触れた瞬間に🦋が突然「……はぁ!?」てデカい声出して「冷た……っ!?…え!?まさか凍ってんのか!?!?」て超ビックリ+大慌てされて「さすがに凍ってはいないかな…」と妙に冷静になる冷え性ナマエさん。🦋君は自分が全身ポカポカタイプなので衝撃&信じられない気持ち。

09.02.2025 14:54 — 👍 0    🔁 0    💬 0    📌 0

(タグ付失敗してしまったので再投稿です)

13.01.2025 16:18 — 👍 0    🔁 0    💬 0    📌 0
(テキストのスクリーンショット画像。以下テキスト)

小学校のクラスで1番可愛いけれど気の弱い女の子なナマエちゃん、同クラスの体が大きい意地悪なガキ大将男子に(好きな子に意地悪するやつの結構悪質な感じで)「こいつオレの奴隷だから」と毎日のように虐められていたのだけれど。

ある日ガキ大将が取巻き達と一緒に、隣のクラスの痩せっぽちで服はヨレヨレで成績も悪くて要するに家庭環境に問題がありそうな見窄らしい男の子を意地悪のターゲットに定めて、ナマエに「お前、アイツに好きです彼氏になって下さいって嘘付いて騙してこいよ。その後バラして皆で笑ってやろうぜ」と命令する。ナマエはガキ大将が怖くて逆らえないので、言われた通り放課後に校庭の隅でひとりでいるその男の子の近くに言って、「好きです」と嘘の告白をしてしまう。
男の子はポカンとして最初は「はあ?嘘だあ」「なんで」と言ったけれど、ガキ大将に怒られたくないナマエが頑張って(嘘の)好きな所を話すうちに男の子はジワジワと頬を染めてムズムズと恥ずかしそうな、でも嬉しそうな表情になって……そこにニヤニヤ笑いながら現れるガキ大将。

(テキストのスクリーンショット画像。以下テキスト) 小学校のクラスで1番可愛いけれど気の弱い女の子なナマエちゃん、同クラスの体が大きい意地悪なガキ大将男子に(好きな子に意地悪するやつの結構悪質な感じで)「こいつオレの奴隷だから」と毎日のように虐められていたのだけれど。 ある日ガキ大将が取巻き達と一緒に、隣のクラスの痩せっぽちで服はヨレヨレで成績も悪くて要するに家庭環境に問題がありそうな見窄らしい男の子を意地悪のターゲットに定めて、ナマエに「お前、アイツに好きです彼氏になって下さいって嘘付いて騙してこいよ。その後バラして皆で笑ってやろうぜ」と命令する。ナマエはガキ大将が怖くて逆らえないので、言われた通り放課後に校庭の隅でひとりでいるその男の子の近くに言って、「好きです」と嘘の告白をしてしまう。 男の子はポカンとして最初は「はあ?嘘だあ」「なんで」と言ったけれど、ガキ大将に怒られたくないナマエが頑張って(嘘の)好きな所を話すうちに男の子はジワジワと頬を染めてムズムズと恥ずかしそうな、でも嬉しそうな表情になって……そこにニヤニヤ笑いながら現れるガキ大将。

騙されたな馬鹿。コイツ、オレの奴隷なんだぜ。ナマエはオレが強くて怖いからオレの言うことなら何でもきくんだよ。告白は嘘。残念でした。仲間達と一緒にゲラゲラ笑うガキ大将に、痩せっぽちの男の子は再びポカンと呆けた後、クルッと振り返ってナマエの顔をジッと見て。……そして次の瞬間、ガキ大将に飛び掛かるなり迷いなくその顔面を殴りつけた。倒れたガキ大将に馬乗りになって、更に殴る。細い体からは想像がつかないような暴力に、周りの取巻きもナマエも動けずにいるなか、鼻と口から血を流しつつ必死に抵抗して男の子の下から這い出たガキ大将が泣きながら逃げ出し、それを見て我に返った取巻き達も慌てて後を追うようにして逃げて行った。
立ち上がった男の子が振り返り、その場に残されたナマエの顔をジッと見つめる。
「オレの方がアイツより強えから、そしたらナマエちゃん、もうアイツのじゃなくて、今度はオレのってことだよな?」
そういうしくみだよな? そう言って嬉しそうに無邪気に笑う、痩せっぽちの男の子。彼の頬と手には、返り血が付いている。それをぼんやりと眺めながら、ナマエはまるで霧がかったようにはっきりしない頭で、呆けた表情で、しかし確かにコクリと明確に頷いた。大嫌いな苛めっ子から一瞬で自分を奪い取った彼のことを、ナマエはこの時にはもう、すっかり好きになってしまっていたから。
ついさっきまで話したこともなかった、隣のクラスの彼の名前を、ナマエは頑張って思い出そうとする。その目線が、彼の薄汚れたTシャツの胸に刺さっている名札に辿り着く。

「うん。わたしね、しおん君のになる。なったよ」

そこからずっと、『獅音君の』になったナマエさんの話。

騙されたな馬鹿。コイツ、オレの奴隷なんだぜ。ナマエはオレが強くて怖いからオレの言うことなら何でもきくんだよ。告白は嘘。残念でした。仲間達と一緒にゲラゲラ笑うガキ大将に、痩せっぽちの男の子は再びポカンと呆けた後、クルッと振り返ってナマエの顔をジッと見て。……そして次の瞬間、ガキ大将に飛び掛かるなり迷いなくその顔面を殴りつけた。倒れたガキ大将に馬乗りになって、更に殴る。細い体からは想像がつかないような暴力に、周りの取巻きもナマエも動けずにいるなか、鼻と口から血を流しつつ必死に抵抗して男の子の下から這い出たガキ大将が泣きながら逃げ出し、それを見て我に返った取巻き達も慌てて後を追うようにして逃げて行った。 立ち上がった男の子が振り返り、その場に残されたナマエの顔をジッと見つめる。 「オレの方がアイツより強えから、そしたらナマエちゃん、もうアイツのじゃなくて、今度はオレのってことだよな?」 そういうしくみだよな? そう言って嬉しそうに無邪気に笑う、痩せっぽちの男の子。彼の頬と手には、返り血が付いている。それをぼんやりと眺めながら、ナマエはまるで霧がかったようにはっきりしない頭で、呆けた表情で、しかし確かにコクリと明確に頷いた。大嫌いな苛めっ子から一瞬で自分を奪い取った彼のことを、ナマエはこの時にはもう、すっかり好きになってしまっていたから。 ついさっきまで話したこともなかった、隣のクラスの彼の名前を、ナマエは頑張って思い出そうとする。その目線が、彼の薄汚れたTシャツの胸に刺さっている名札に辿り着く。 「うん。わたしね、しおん君のになる。なったよ」 そこからずっと、『獅音君の』になったナマエさんの話。

小🏫生のmdrm sion🦁君と夢主(ナマエちゃん)についての妄想メモ書き。 #tkrvプラス

13.01.2025 16:18 — 👍 0    🔁 0    💬 0    📌 0

これはmoch🍡夢の話ですがmochの彼女さんに対するhitn(ra)の評価が「mochのヨメ、あの娘超良いよな〜^^」でmoch凄く嫌な顔するんだけど続くraの台詞が「マジでmochみたいなゴリラがドタイプで、俺みたいなのに明らかに全然興味ないとこが本当に良い^^」で何とも言えない微妙な顔になるmoch…。(raは割と素直にmochヨメを「良い娘だね」と誉めているつもりだしmochも一応それを分かってはいる) #tkrvプラス

22.12.2024 15:27 — 👍 3    🔁 0    💬 0    📌 0

(🎴×夢前提bntn🦋)恋人関係だった🎴を亡くして抜殻状態になった夢(幼馴染)の身柄を引き取って王の忘れ形見として長く大事に囲って守っていたつもりのbntn🦋がある日「本当は”🎴を永遠に忘れらず壊れた私”のままでいて欲しいでしょう?その為に守るふりで此処に閉じ込めているんでしょう」と微笑みながら指摘されて目を瞠る仄暗共依存🦋夢。🦋が設えた女の部屋は二人にとっての王様が纏っていた朱や彼の瞳と同じ紫に囲まれている。女は随分前から正気だし、🦋の「そんなに泣くな」も「ちゃんと食べて元気になれ」も「また昔みたいに笑って欲しい」も、全部嘘だと、ちゃんと知っている。 #tkrvプラス

17.12.2024 16:37 — 👍 1    🔁 0    💬 0    📌 0

最終軸のイザナ君は多分ネンショー回避しているような気がするんだけど、もしそうだとしたら「チーム作るから強いやつ集めにいくぞ」て強い奴の噂を頼りにモチムチョ灰谷の所に順々に殴り込みに行っては仲間を増やすポケモソ的ムーブで面子を揃えたんだろうか。

19.11.2024 07:45 — 👍 0    🔁 1    💬 1    📌 0

#tkrvプラス (最糸冬軸成人済🦋)施設出身で🎴の妹分でもある🦋の嫁🚺の話。🦋🚺の家で時々夕飯食べる🎴(3人中唯一の喫煙者)が🚬吸う時に黙って律儀にキッチンの換気扇下に移動するのを内心「優しいなあ」と思ってる🦋🚺が、休日2人で出掛けたIK◯Aで「これ🎴の一服用にしよ」と小さいキッチンスツールを買って帰る。後日「これ、🎴が煙草吸う時用に買ったんだよ」と🚺に言われてそのキッチンスツールを見た時の「ハァ?」と不機嫌そうな顔を浮かべようと努めながらも口元を嬉しそうにムズムズさせてる🎴の表情を見て、🦋🚺は🎴のことが更にもっと好きになるし、すごく幸せな気持ちになる。happy🦋🚺+🎴。

17.11.2024 12:52 — 👍 0    🔁 0    💬 0    📌 0

#tkrvプラス (🏍️)夜の帰り道で突然雨に降られて傘もなく、近くの既にシャッターが閉まっていた店の軒下に逃げ込んで雨宿りしている所に急にシャッターが中から少し開いて顔を出したsnicr君と恋に落ちたい。「おわ!」と驚かれ勝手に雨宿りしてた事を慌てて謝ったら「ちょっと待ってな」と言って一度店の中に引っ込んだかと思うと『粗品』の熨斗巻いて薄いビニール袋に包んである小さいタオルを手に出てきて目の前でビニールをブチブチって雑に破いて薄くてちょっとゴワゴワのタオルを差し出してくれるsnicr君と…。

17.10.2024 10:26 — 👍 1    🔁 0    💬 0    📌 0

主に◯◯プラスネタを呟く用に夢用別アカウントを追加してみました。しばらくはXのポストと重複する可能性が高いのでミュートやブロック等は良きに計らって頂けたら幸いです。見切り発車の試運転です。

17.10.2024 09:42 — 👍 0    🔁 0    💬 0    📌 0

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