『成瀬は都を駆け抜ける』(宮島未奈,新潮社)を読む。
昨年から、私は本を読むことが習慣になった。読書の面白さを知ったからだが、その面白さを教えてくれたのは、この「成瀬あかり」シリーズである。
今作はシリーズ完結作。まだまだ成瀬やその周りの人たちがどう巻き込まれていくのか、その成瀬史を見届けたい気持ちもありつつ、自分の人生にどう成瀬を取り入れていくかを考えていきたいと、前向きな気持ちになった。
最高の小説。
#読書記録
@akitsuki-cinema.bsky.social
映画や読書の感想文を書きます。 note | https://note.com/autumoon_movie
『成瀬は都を駆け抜ける』(宮島未奈,新潮社)を読む。
昨年から、私は本を読むことが習慣になった。読書の面白さを知ったからだが、その面白さを教えてくれたのは、この「成瀬あかり」シリーズである。
今作はシリーズ完結作。まだまだ成瀬やその周りの人たちがどう巻き込まれていくのか、その成瀬史を見届けたい気持ちもありつつ、自分の人生にどう成瀬を取り入れていくかを考えていきたいと、前向きな気持ちになった。
最高の小説。
#読書記録
『Voice 令和七年十二月号』(PHP研究所)を読む。
特集1はあらゆる面から政治指導者に求められるあり方を考察。多党化の良い面を上手く乗りこなす力が問われるのではないだろうか。
また、子どもの学力低下問題はSNSの利用時間の影響が予想されるが、もしかしたら大人も同様なのではないか。違いは自己判断を持って、主体的に使いこなすことではあるが、果たして受動的な快楽を強めているSNSに大人が、学習時間を確保できるようになっているのか。自制と自省。
#読書記録
『中央公論 令和7年12月号』(中央公論新社)を読む。
「ルポ・中国人留学生たちのリアル」は身内の世界を求めるのは常だとして、ネット世界まで拡がることで、日本という場所の問題が薄れてしまうことを指摘されている。「もったいない」交流の希薄さはどうなっていくのだろうか。
また、地政学と経済安全保障を掛け合わせた地経学の特集も興味深かった。もう少し深く勉強をしてみたい。
#読書記録
『ナイトフラワー』を観る。
母親・シスターフッド・アングラの掛け合わせに期待して観たが、「母」という面が強く出ていた。「母」映画には「父親」が不在となりがちだ。今作も例に漏れず父親は実質的に登場しない。そればかりか敵のようでもある。しかし、実際に被害に遭うのは娘と父親ではない男である。父親はここでも排除された。
つまり、結局、彼女らはこの世界から脱することはできないのだろうか?という疑問がついて回る。
もしかしたら、一夜にしか咲かない花は、その後を描く必要が無いのだろうか…?いや昼に咲く花は運命に負けないのかもしれない。
#鑑賞記録
『果てしなきスカーレット』を観る。
細田守映画は全作品を映画館で観るくらいに好きだが、今作は擁護できないレベルで面白くない。ここ10年で最も最悪な映画に感じた。
一つに「争いのない平和」の象徴として、渋谷が登場するが、全く意味が分からない。渋谷区の広報映画なのか?そこに商業映画の限界を感じると同時に、日本の都市イメージが最悪なものに繋がるという現実にディストピアを見てしまう。日本(およびエンタメ業界)、大丈夫か?
一点だけ良かった点は声優・歌手としての芦田愛菜のレベルの高さに驚いた。しかし『竜とそばかすの姫』のように音楽そのものがテーマと違うので、映画の評価に繋がらない。
#鑑賞記録
『羅小黒戦記2 ぼくらが望む未来』を観る。
最初から最後までアクションシーンたっぷりで、常に動き続けるキャラクターたち。とはいえ、酔わない・見失わない。ストーリーもシンプルに分かりやすく、尚且つ前作よりもパワーアップしている気もする。
中盤の航空機を助けるシーンは『スーパーマン:リターンズ』を思い出すし、妖精会館が世界に点在して執行人がいる様は『ジョン・ウィック』シリーズを思わせる。全体的にバランスの取れた良作。続編が楽しみ。
#鑑賞記録
『「話が面白い人」は何をどう読んでいるのか』三宅香帆,新潮新書
書題のキャッチーさと新書というフォーマットでありながら、内容はどちらかというとエッセイに近い。騙されたという気持ちもなくはないが、内容はなかなか面白く、筆者の現代に関する疑問から読み解いていこうとする姿勢は学びになる。
その姿勢こそが「本を読む」ということであろう。
#読書記録
『国宝』吉田修一,朝日新聞出版
映画も一緒に感想を記す。
3時間近くある映画を観て「物足りない…!」と思ってしまった。一人の歌舞伎役者の人生を描く上では短すぎるのだ。ダイジェストのように感じてしまった。
原作である小説は後追いで読んだ。想像通り端折られている登場人物やストーリーがあり、そこも映画で観たかったなと思うと同時に、舞台に初めて立ち観客に「見られる」という経験(ベンヤミン)は映画でしか出来ないものである。
#読書記録 #鑑賞記録
『爆弾』
観ていて気づいたのは佐藤二郎の口・目・眉などの顔のパーツにそれぞれの複数のパターンがあり、それらを組み合わせることで無限に表情を作っていることが分かる。
都内の爆弾テロのシーンは毎回同じような見せ方をしてくるし、無駄にアクションシーンを入れたがるのはテレビ映画的でもあるが、一方で動きの少ない取調室がメインとして映画を保つのは、彼の怪演のおかげではないか。
#鑑賞記録
本をいっぱい買いました。
でも読みたい本は、まだまだいっぱいあります。
なので、積読している本を、いっぱい読まなければなりません。
読むために買ったのか、買うために読むのか。
『チェンソーマン レゼ篇』をみる。
映画になることで、よりカタルシス味が増し、レゼの魅力がより高まっていた。
note.com/autumoon_mov...
#映画感想文
先月号も読んだのに、読書感想文を書き忘れている。不徳。
01.11.2025 12:30 — 👍 0 🔁 0 💬 0 📌 0『中央公論 令和7年11月号』中央公論新社
座談会「平成以降の「新しい古典」を決めよう」で大澤聡氏が言う「紙の本はそれ自体が空間的ですから」に首を何度も縦に振ってしまった。映画館で映画を観ることにも同じことが言えるが、紙媒体の書籍を読む意味がある。
また「自民党が直面する日本政治の地殻変動」(飯尾潤)は、執筆時期からして少し前の論考だが、先日の公明党の連立離脱から始まる政局を予期しているようでとても面白い。なるべくしてなったような感覚を得た。
#読書記録
上橋菜穂子,津田篤太郎『ほの暗い永久から出でて 生と死を巡る対話』文春文庫
AIや蓑虫の生態などとの比較をしながら、生物としての人間の生や死に関する意味を解きほぐしていく二人の対話。とてもハッとさせられる言葉が多く、深々と身に沁みる読書体験であった。
生という無限性、そして死という有限性のそれぞれを認識する人間は、だからこそ「物語」を作ることができるのかもしれない。
#読書記録
レム・コールハース『S,M,L,XL+ 現代都市をめぐるエッセイ』ちくま学芸文庫
原著を大学の図書館で読んだのは10年前。その直後に邦訳がようやく出版されて手にしたのも10年前。久しぶりに10年経てレムの思想に触れたが、書題名の通り様々なスケールや視点で描かれる建築と都市に関する論考は書かれた30年前から力を未だに持っているように思える。つまり、時すらも超えているのだ。
原著も久しぶりに読みたいが、手に入れづらい…?
#読書記録
坂牛卓『教養としての建築入門 見方、作り方、活かし方』中公新書
建築家である著者が、建築(および建築学)を副題の三つの視点で、建築を専門としない人に向けた新書。しかし、建築の初学者(建築学科一二年生)や、専門家のスタートに立ち返るための論旨としても機能しているように思える。
建築を学んでいた私にとって、一から学び直す良い機会になった。
また、内容とは別に、本書の構成(章立てや文体)に建築家っぽさを感じたのは面白い。
#読書記録
宇野常寛『ラーメンと瞑想』ホーム社
著者と著者の友人であるTさんが食と瞑想を通じて「都市に生きる」過程を描くエッセイ。
個人的な話だが、高田馬場で働いていた期間があり、本書で登場する飲食店をいくつか知っていたが、どこも入ったことがなかった。そもそも当時通っていた高田馬場の飲食店はどこも潰れてしまった。著者やTさんのようにいかに自分が食に本気じゃなかったのか、そして都市に・生きることに集中していなかったのかにも気づいた。
今の職場では、付近の食を開拓したいが、辺鄙なところで、マクドナルドしか選択肢がないことに絶望している。
#読書記録
村田沙耶香『世界99』集英社
帯に書かれているように、ピョコルンという人間の"機能"を代替する生き物が造られた世界はどうなるのかという思考実験であり、この世界に生まれてこなくて良かったぁと思うほどのディストピアが拡がる。
しかし、そう思ったと同時に、私の生きる世界が本当に世界99やピョコルンがいない世界なのか?と、完全な否定を出来ないことに気付き、吐き気を覚えてしまう。
それほどに、ここで描かれる物語はグロテスクなのである。
#読書記録
『中央公論 令和7年9月号』中央公論新社
特集「戦後80年「終戦」の真実」では、主に当時の日本政府がどう終戦に向けて動いていたか政治的な動向を丁寧にかつ様々な視点で読み解かれる。一撃講和論とソ連頼みになっていたことが挙げられる。
また、第二特集の「自分史を書く、先祖をたどる」も面白かった。
歴史は国や組織だけでなく、個人の歴史にも面白さや意義は隠されている。こんな自分にも歴史があるということを再認識させてくれる一冊であった。
#読書記録
長谷正人『ベンヤミンの映画俳優論 複製芸術論文を読み直す』岩波書店
著者は複製芸術論文を第一(基本概念)、第二(映画俳優論)、第三(映画観客論)セクションに切り分けた上で「スマートフォンの普及によって、カメラの前で演じるという映画俳優的な経験の大衆化が起きている現代においては、第二セクションの意義についてこそ再考されるべきだと考えられる。」(p72)と述べる。本書は複製芸術論文を現代批評としてアップデートし、とても分かりやすく解説する試みでもある。
私も観客論の文脈で読んでいた節がある。スクリーン(観客)だけでなく、カメラ(俳優)の視点で、映画と場所の考察を進めていきたい
#読書記録
田中輝美『関係人口の時代 「観光以上、定住未満」で地域とつながる』中公新書
関係人口についての入門書として分かりやすく、かつ人口減少の日本社会への提言書でもある。
個人的な話だが、関係人口という言葉が拡がり始めた約十年前に地域に入って活動していた時期がある。「関係人口」というグループや人は存在せず、具体的で固有の名前を持っているということだ。本書でも具体的な地域と団体名や制度名が多く登場するのはそれを示唆されているのだと思う。
また、本書の議題とは異なるかもしれないが、東京の"郊外"住みの私にとって、「都市(東京)ー地域」という対軸構造をどう受け取ればいいのか、モヤモヤする
#読書記録
『「核抑止論」の虚構』豊下楢彦,集英社新書
核保有国は「狂気」という論理のもと、「核抑止」を機能させ、「核の傘」も含めたそれらの「虚構」について本書では論じていく。
「これまで、核抑止力の重要性を主張する考え方を「現実主義」、核の廃絶を訴える考え方を「理想(空想)主義」と対比して論じられてきたが、本書での検討を踏まえるならば、正しくは「狂気」と「文明」の対比として捉えるべきである。」p301-302
人類社会がこの「狂気」に振り回されていないことはかつてあったのだろうか。またはそういった未来は来るのだろうか。もし来た時に人類は生存しているのだろうか。そんなことを思うこの頃。
#読書記録
『ネットはなぜいつも揉めているのか』津田正太郎, ちくまプリマー新書
ソーシャルメディア(とくにX)での”揉めごと”は、当事者でなくても目にするだけで心を削られることがある。本書は、そうした現象の背景を、社会論のさまざまな視点から丁寧に読み解いている。
ソーシャルメディアに見られる分断・個人化・シニシズムが、現実の世界や空間・場所にどのように表れるのかに私は関心がある。具体的には政治を思い浮かべるが、アメリカに比べると日本はまだ「マシ」に見える。それは、本書で述べられる「不寛容な寛容社会」という日本的な特質ゆえかもしれない。
「誰も言えない」自分の一日を大切にしていきたい。
#読書記録
『休養学』片野秀樹,東洋経済新報社
"休む"は簡単なようで、つい経験的・暗黙的に考えてしまうが、科学的・医学的に捉え直すと、自分の生活における改善点が見えてくる。
特に、活動→疲労→休養→活力→活動…といった"活力"を加えた休養サイクルは、本書の最も重要な部分かもしれない。
また、「疲労したから休むのではなく、疲労しそうだから先に休んでおく」(p192)というのは目から鱗。土曜日を週のはじまりと捉えてみよう。
#読書記録
『Newton 2025年10月号』
海洋大の中村准教授の鯨研究は特に面白かった。クジラヒゲの隙間からしかみつかっていない生き物がいるというのは驚き。
他には、都市をまるごとデジタルツインとして再現する取組(バーチャル・シンガポール)も大変興味深い。建築のBIMも含めて、災害対策に役立つであろうと思う一方で、「日本建築ビジュアルガイド」で紹介される唐招提寺金堂といった伝統的な構造から学ぶこともとても多い。
#読書記録
『ハンナ・アーレント 屹立する思考の全貌』森分大輔,ちくま新書
アーレント研究に向けて。
時系列順に著作の分析を行いながらアーレントの政治思想や哲学を入門的に取り扱う。全ての著作を取り上げているわけではないが、各分析が分かりやすく学びになった。
世界には「リンゴ」のように手に触れられるものだけでなく、音楽、あるいは海上の風のごとく急襲する「悲しみ」、また、それに彩られた他者の「物語」が実在する。「思考」は、そうした「不可視なものを「現象」へと移すことのできる道具」である。(p258より)
#読書記録
『フランクフルト学派 ホルクハイマー、アドルノから21世紀の「批判理論」へ』細見和之,中公新書
ドイツから発せられた思想に惹かれてきた自分にとって、ベンヤミンやクラカウアー、アーレントを含むフランクフルト学派は自然と繋がっている存在だと感じた。
哲学や思想は難解に見えても、実は日常の小さな経験から立ち上がる。本書を通じてその近さを実感する一方で、アドルノら第一世代が生きた時代を本当に理解するのは容易ではないとも思った。だからこそ、その思想に少しでも近づこうとする姿勢が、現代を生きる自分にとって重要なのだと感じる。
#読書記録
『同志少女よ、敵を撃て』逢坂冬馬,早川書房
撃つべき「敵」とは何か。ひたすらにそれを問いかけてくる戦争小説。
現在、ロシアとウクライナは、両者とも相手を「ナチス」というレトリックをもってその正当性を主張している。つまり、歴史的記憶としての「ナチス」が、現在もなお強力なナラティブになっていることを、本作はあらためて考えさせる契機となった。
#読書記録
『ファンタスティック4:ファースト・ステップ』
ギャラクタスを人型で描いた挑戦が評価できる一方で、キャラクター描写や世界観の統合に対しての挑戦はない。
MCUにおける臨界点を示す作品である。
#映画感想文
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『21世紀を生きる現代人のための哲学入門2.0:現代人の抱えるモヤモヤ、もしも哲学者にディベートでぶつけたらどうなる?』富増章成,2023
『21世紀を生きる現代人のための哲学入門2.0:現代人の抱えるモヤモヤ、もしも哲学者にディベートでぶつけたらどうなる?』富増章成,2023
最近、哲学に関係する本を読むようになって、哲学の歴史的な繋がりに躓くことが多いので、俯瞰的に学ぶために読んでみた。ディベート形式で、現代の悩みから様々な哲学者の思想を学ぶことが出来て、読みやすく面白かった。著者の東洋哲学の本も面白そうなので、機会を見て読んでみたい。
#読書記録