「ソニアは気分悪いのか?これが嫌か?」
ダンデに上目遣いで見つめられ、ソニアは伏せていた顔をそらした。下を向けばダンデの視線を正面から受けることになる。身体ごと逃げようにも両足はダンデの足の間にあるし、腰はダンデの手がしっかりつかんでいるので身動きすることが出来ない。
これ、というのは先ほどまでダンデが持っていた過去の思い出。若気の至り。問いに答えを出さないといつまでもこのまま捕まえているだろう。ダンデの時間は有限だ。忙しい時間を何とか空けて貰って、メンテナンスの報告のための時間を作ってもらっている。報告と称しながら、半分業務半分私用。ソニアはこのダンデを独り占めできる時間を内心楽しみにしていた。今は二人きりだが、いつオーナー室のドアがノックされるかわからない。
「いやって…自分が書いたやつだから、気分悪いというか、恥ずかしい。」
「じゃあ、問題ないじゃないか。」
ソニアが顔を赤くして答えると、ダンデは嬉しそうに笑って、その手を腰からソニアの二の腕をつかみ引き寄せた。自然にソニアの顔がダンデの顔へと近づく。
「ちょ…キスしようとしないでよ。話が飛んでる。」
「飛んでないさ。ソニアがそのお嫁さんなんだから、問題ないじゃないか。」
一瞬流されそうになり、誘導されるまま身体をかがめるが、すぐに我に返り身体に力を入れる。が、ダンデの力は緩まず互いの顔の距離はどんどん近くなる。
「え、ちょ、それってプロポーズみたいなもん
じゃん!」
ソニアはぎゅっと目をつぶって叫んだ。お嫁さんと言われ、内心パニックだった。捕まれていた腕がパッと離される。
「…すまない。聞かなかったことにしてくれ。」
「え、聞かなかったこと…。」
ダンデは空いた片手で自分の顔を隠しながら、それでも足の力は緩めず、ソニアが離れていくことを良しとしなかった。聞かなかったことにしてくれと言われ、ソニアはショックを隠し切れなかった。お嫁さんと言われ舞い上がった気持ちは、すぐに奈落へと落とされた。そうだよね、さっきのは間違いだよね。どうせ私なんて、ダンデくんにふさわしいわけがないと思いかけたソニアの空気を察し、ダンデは慌てて訂正した。
「ちがうぜ、ちゃんと伝えたいから。そうだな、三日後、ロンドロゼのレストラン個室を取るから、そこで食事をしよう。」
「…わかった」
ちょっと照れたような、ふてくされたような、はにかんだソニアの顔がかわいくて、ダンデは強く引き寄せソニアにキスを送った。
「ん、誰か来たら…。」
「ソニアが来ている時は誰も来ないように言ってあるんだぜ。」
ダンデがソニアを溺愛していることは、タワーの職員はみな知っていた。ソニアの来る日は会議は入れないし、急ぎの仕事も回さない。当然、点検日は誰もドアをノックしない。
「大問題が起きたらどうするのよ。」
キスの合間に交わされる会話。だが、思いが通じた喜びでダンデは止まらない。ソニアもそれを
受け入れていた。
「…まぁ、緊急とオリーヴさんが判断した場合は、ノックされるが…。今までなかっただろ?」
「どうだか。ダンデくんのみらいよちは当たるんだから。」
ソニアがそういった瞬間、ドアがノックされた。このタイミングでのノックという事は、緊急事態だ。
「失礼します。オーナー…。」
返事を聞かずにドアを開けられて、二人は慌てて顔を離したが、なにをしていたかバレバレだった。入ってきたオリーヴはすぐに扉を閉め、ため息をつきながらオーナーをたしなめる。
「職場ですので、ほどほどにお願いします。」
「ごもっともです。」
オリーヴの冷静なつっこみに、ふたりはおとなしく頷いた。
年齢制限なしですからね!(2/2)
20.12.2025 17:49 — 👍 0 🔁 0 💬 0 📌 0
印刷された本の本文の体裁で画像化されたテキストです。
付記に「dnsn版深夜の60分一本勝負_スイートメモリー」、「月篠あずさ」と記載されています。
画像情報:generated by 新書ページメーカー / Photo by Ben White on Unsplash / フォント:いろはマル
以下は本文の内容です。
「ん?なんだこれ。」
ダンデはオーナー室で書類を広げていた。実家から送られてきた封書をあけ、内容を確認していたところだった。母親が同封してきた手紙の中に、懐かしいものを見つけたから、というメモ書きが入っていた。
オーナー室の一角で紅茶を入れていたソニアは、カップを二つ持って振り返った。来客があった時にすぐお茶が出せるように陶器のカップやコーヒー、紅茶のセットと、電気ポットが置いてある。すぐ傍にはミニ冷蔵庫もあり、中にはおいしい水やジュース、いざという時の栄養ドリンクも入っている。
ソニアはバトルタワーでのメンテナンスのため月二回、ダンデのもとへ顔を出している。それを知っているダンデの母親から、ダンデに渡してほしい書類があるとお使いを頼まれていた。
「どうかしたの?」
見ても大丈夫?と断りを入れながら、ソニアはダンデが手にしている紙を覗き込みながら、カップをデスクの端へ置いた。それは、幼いころ、ダンデとソニアで書いた結婚届をまねたものだった。
「これ、ダンデくんが絶対将来も一緒にいるからって、書いたやつだよね。」
「一緒にいるってことは、結婚するってことだろうって話をしたんだよな。」
幼い日々、二人で絵本を見て『結婚』という事を知ったからか、将来も二人でいると信じているダンデはソニアに結婚しようと伝え、ソニアも承諾し『結婚するときは、結婚しますって紙に書くんだよ』と大人ぶって教えたことから、この紙があった。とうに捨てたと思っていたが、どこかに
しまい込まれていたのか数年たった今、それが出てきた。
「あの頃は、結婚って意味が分かっていなかったし、ダンデくんがここまですごい人になるとは思っていなかったからね…すててよ、それ。」
「は?」
幼い日の過ちに顔を引きつらせながら、ソニアはそっとダンデの隣を離れ、カップに手を伸ばした。その手がカップに届かないうちに、自分の傍から離れないようにと、ソニアの腰に手をまわしダンデは引き寄せた。ソニアの言葉を聞いて、ダンデも眉間にしわを寄せる。少しだけ低くなったダンデの声にひるみつつ、ソニアは言葉をつづけた。
「本当のお嫁さんが見たら、気分悪くすると思うよ。」
「…ソニアは」
「ん?」
まだ見ぬダンデのお嫁さんを想像して、ソニアは内心泣きたくなった。今、ダンデと付き合っているのは自分だが、この先ずっと隣にいるとは限らない。きっとダンデにふさわしい誰かが現れる。その時はそっと身を引くつもりだった。いっそのことガラルを離れて他の地方へ行ってもいいかもしれない。あの研究所はホップに譲るという手もある。トレーナーでありながら博士としての道もあきらめず、両立させながら歩いている彼なら、研究を任せてもいいかもしれない。
あきらめを含んだ瞳をしているソニアを見て、ダンデはグイっと強く引き寄せた。椅子に座ったまま自分の足でソニアの足を挟み込む。正面からソニアを見上げた。
#dnsn版深夜の60分一本勝負
20251219_つっこみ、みらいよち、溺愛_をお借りしました。今回はお題が後半にぎゅっと。うまく書き表せない。(1/2) #新書ページメーカー https://sscard.monokakitools.net/pagemakers/shinsho/shinsho_bg.php
20.12.2025 17:48 — 👍 0 🔁 0 💬 1 📌 0
る。ソニアに悪いと思いつつもダンデはソニアの頭の中が自分でいっぱいであることに喜びを感じていた。
「本を俺の家まで運んでもらうことはできるか?コンシェルジュに渡してもらえば、かまわない。」
「大丈夫です。すぐにお届けしますよ。」
ダンデが店員と話をすると、くるりとソニアに向き直りその手を取りニコッと笑った。
「本は家に届けてもらうからさ、時間も遅いし夕食食べようぜ。家にいる留守番組のポケモン達にも会ってくれよ。」
「えぇ…。それじゃ、家に帰るのが遅くなるじゃない。」
ダンデはソニアの手を取ると、さっさと店外へと歩き出した。話が付いたのなら店にいる必要はない。ソニアも仕方がなくダンデの後ろを歩いている。いつもと逆だ。
「今日は遅いから、うちに泊まればいいぜ。ゲストルームもあるし、マンションのイエッサンがいつもきれいにしてくれるんだぜ。頼めば夕食も準備してくれるけれど…その…。」
「なあに?」
ダンデの足がぴたりと止まった。その背中にぶつかりそうになって、ソニアも慌てて足を止めた。
「…ソニアのカレーが食べたいぜ…。」
思ってもみなかったダンデのおねだりに大爆笑しながら、ソニアは家へ電話をかけ、ダンデの家に泊まることを告げた。マグノリア博士からは節度を守るように、夜はお互いの寝室には立ち入らないように言われ、二人ともちゃんと守ると約束をした。
近くのスーパーマーケットでカレーの材料を買
い込み、スマホロトムにダンデの家の住所を読み込ませ、そのまま道案内を頼み、少しだけ残っている夕暮れを見ながら歩いた。
ソニアがダンデの家に行くのは初めてだった。マンションの前でそのたたずまいに驚き、入り口にいるコンシェルジュに驚き、いくつもの認証チェックに驚き、最上階のワンフロアがダンデの家だという事に驚き、部屋の広さは想像ついたものの、窓からの景色に驚き…と、ずっと驚きっぱなしだった。
ソニアがカレーを作っている時に、玄関のチャイムが鳴り、ダンデが出るとイエッサンが紙袋を持って立っていた。それを受け取ると中身を見ずにそっとダイニングテーブルへと置いた。
「手が空いたら、中身を確認してくれ。」
「ん?なぁに?」
ソニアが手を拭きながら、キッチンから出てくる。
「家に帰る前にコンシェルジュに電話して頼んでおいたから、イエッサンが持ってきてくれた。」
「えー、さっきのチャイム、イエッサンだったの?会いたかったなぁ。」
そう言いながら、ソニアは紙袋を開けた。ダンデは慌ててリビングへと移動した。
「え?ダンデくん、これ。」
「泊まるなら必要だろ?」
「いや、そうだけれど…。ありがたいけれど…パジャマと化粧品…わー、なんで下着まで…!え、サイズは…うそでしょ。」
キッチンから聞こえる声にダンデは知らんふりしてポケモン達のメディカルチェックをし始めた。ソニアの姿が見えたところで、キッチンに行こう
としている古参組を押さえつつ、新参組が警戒しつつも匂ってくるカレーの匂いにつられそうになり、それもまた押さえつける。ソニアの騒ぎ具合からすると、サイズもぴったりだったと思われる。さすが高級マンションのコンシェルジュ。年齢と大体の身長から近いサイズを探し出して準備してくれる手腕は素晴らしい。
「も、もしかして、ダンデくんが…?」
キッチンから涙目でソニアが顔を出した。
「コンシェルジュが用意してくれたからな。俺はソニアの身長と年齢を伝えただけだぜ。」
「くぅ…有能すぎる…ダンデくんの周りの人は、有能すぎる…!」
ソニアのカレーがいい匂いを漂わせ、ポケモン達がそわそわとし始め、ダンデのお腹が大きな音を立てたところで、ソニアは笑いながら夕飯にしようとキッチンへと戻った。ポケモン達は自分の皿をもち。順番にサーブしてくれるのを待った。大きな鍋一杯に作ったカレーはすぐになくなってしまったが、全員のお腹を十分満たすことが出来た。食事を作ってくれたから片付けは自分がするといい、ダンデはソニアをバスルームへと押しやる。疑っているわけではないが、さすがにシャワーを浴びてしまえばソニアも帰るとは言わないだろう。使った食器を食洗器へ並べ、大なべをきれいに洗う。流しがきれいになったところで、ソニアが新しいパジャマにそでを通して現れた。
「お先に。食器も洗ってくれてありがとう。」
「食洗器にいれただけだぜ。カレー、おいしかった。」
冷蔵庫から美味しい水を取り出すと、ソニアへ渡した。ぱきゅっとキャップをひねるとそれを一
口流し込んだ。
「ダンデくん家はいいね。バスルームも広いし、防音も過重も考慮されてる。ワンパチ、連れてくればよかったな。」
「またくればいいぜ。買い物だって、まだまだしたいだろ?」
すっかりリラックスしたソニアはソファに足を投げ出して座った。これで明日の朝もソニアの顔が見られると、ダンデは内心でガッツポーズをした。
次の日、二人はマンションの前からガアタクシーに乗り、ダンデをローズタワーへと送り届けた。ダンデが降りるとガアタクシーはまた空へと舞い上がり南下していった。その様子をローズはずっと見ていた。
「ちゃんとチャンスの女神の前髪を捕まえられたようですね。ただ…泊まることになるとは。なかなかですね。」
まぁ、彼の事ですし、彼女もなかなかしっかりしていますから、問題はないと思いますが。ローズはにやりと笑った。飴と鞭は適度に与えなければならないとつぶやきながら。
奇跡的に最後の文字が収まった。ページの切れ目は考慮せずなので、読みにくい。もっと違う感じで話を書きたいんだが…(3/3)
14.12.2025 11:39 — 👍 0 🔁 0 💬 0 📌 0
オリーヴは持っていたチケットをソニアの前に差し出した。
「こちらがガアタクシーチケットです。お帰りの際はこちらをご利用ください。」
ソニアはあわてて断ろうとしたが、貰っておけよというダンデの言葉にありがたくいただくことにした。この後書店に行って本を買って帰るならば、それなりの重さになる。ガアタクシーで帰れるならば、電車の時間も気にする必要はない。正直、ありがたい。オリーヴにお礼を言うと、ダンデと共に歩き出した。
「ダンデくん、本当にこの後用事無いの?私は一人でも大丈夫だよ。ダンデくんもやりたいこと、あるんじゃない?」
ソニアは少しだけダンデとの距離を空けた。十七歳にもなるお年頃。今までのような幼馴染として隣を歩くには気恥ずかしいものがある。一方ダンデはソニアの隣をしっかりと歩いている。先日ローズから、チャンスがあったらどん欲につかみに行けと言われていた。これがそのチャンスだ。ソニアと二人きりなんて、チャンピオンになってから初めてかもしれない。勝ち筋は自分で作るものだ。ローズから言われたのはソニアとの間を示唆されたわけではないと思うが、普段会えないソニアとの時間は大切にしたいと必死にこれからについて考えた。
「買う本は決まっているのか?」
「おばあ様からリストを貰っているし、私も自分用にちょっと見たいなって。」
「じゃあ、行こうぜ。」
ローズタワーを出て早速道を間違えるダンデに、ソニアはあきれながらその手を取り歩き出した。
「シュートシティに住んで、何年たつのよ。」
「…七年。だが、街を歩いたことなんて、ソニアよりも少ないぜ。」
迷子になりやすいのもあるが、ダンデの周りには人が集まってしまう。交通渋滞を巻き起こす場合もあるし店舗にだって迷惑をかけてしまう事もある。最初の三年は本当に自宅とローズタワー、スタジアムをドアからドアで動くことしかできなかった。それでもそこから四年も経つと周りも慣れてきてさほど騒がれなくなってきた。インタビューで街を気軽に歩くことが出来ないと答えたダンデに対し、ファンが無駄に騒ぐことを自粛した。今では時折子供たちが駆け寄ってくるぐらいではあるが、騒がれることすくない。かといって人気が落ちたわけではなく、相変わらずの人気っぷりだった。
「シュートシティで買い物とか、そもそも興味ないじゃん。それよりバトルコートとかワイルドエリアでしょ。」
「確かにな。」
ダンデくんはもう少し世間に興味を持つといいよ、ポケモンばかりじゃなくてさ。ポケモン大好きなのはいいんだけれどさ。私もそうだし…と、つぶやきながらもソニアの目はきょろきょろと動いている。気になるお店を見つけては、その足がゆっくりになる。
「ソニアが入りたいなら、行っていいんだぜ。」
「今月はいろいろ買っちゃったから、我慢するよ。それにお店に入ったら、大変なことになるでしょ?」
「最近は大丈夫だぜ。お店も町の皆も俺のプライベートを守ってくれる。一部には過激なファンも
いるが…まぁ、どうってことないさ。」
遠くから子供が手を振っている姿に気がつき、ダンデはにこやかに振り返した。ただ、それだけでダンデは視線をソニアへと戻した。
「見るだけでも付き合うぜ。見たいもの、あるんだろ?」
「うーん、でもいいや。こうやって見ているだけでも十分。それに、帰りは大荷物になるだろうからね。」
「じゃあまたシュートに来いよ。今度は俺が買ってやるから。」
にぱっとダンデは笑った。またソニアがシュートに来れば会うチャンスがある。プレゼントすると言えば喜ぶだろうと思った。
「うーん、バースディでもないし、プレゼントはいいよ。欲しいものは自分で買うから。ダンデくんのお金はダンデくんのために使うといいよ。」
ソニアにさらりと流されて、ダンデは愕然とした。女性に贈り物をすればいいと習ったのに、ソニアにそれは通用しない。もっとソニアと一緒にいたいのに。このままでは次の約束すらもできない。次にまた会うためにはどうしたらいいか、ダンデは考えた。
目当ての本屋につくと、ソニアは目を輝かせ店内を歩き出した。先ほどウィンドウショッピングしていたよりも生き生きとしているように思える。マグノリア博士に頼まれた本のリストを店員に渡しそろえて貰っている間に、気になる本を見始めた。こうなるとソニアは自分の世界に入ってしまう。広くない店内なので、ダンデがはぐれても外に行かない限りは見つけられると安心している。
ダンデもふらふらと店内を歩く。もともとウー
ルー牧場での仕事がない時は本を読んでいることが多かったし、知識は邪魔にならない。いくつか気になる本を見つけると手に取った。
長いような短いような時間を過ごし、店内で用意できた本は紙袋に入れて貰った。それはかなりの量になり、ソニアはどうしようかと戸惑った。もちろん、ガアタクシー乗り場まで運んで、そのままブラッシーに帰ることはできる。外は夕暮れから夜の顔へと変わりつつある時間だ。今から帰ると遅くなるが、ガアタクシーで家の前まで帰れるのであれば、問題はない。だが、ここでダンデの存在がある。このお店からダンデの家まで本を抱えて歩き、その後ガアタクシーに乗るとなれば遅くなってしまう。しかも今日は早めのランチにしたため、空腹で限界だった。
ダンデが一人で家まで帰れれば問題はない。シュートシティの町中で、リザードンだって連れているだろうから、じゃあねと別れることは可能だとは思うが、午後からダンデはソニアの買い物に付き合ってくれた。せっかくの休暇となったにもかかわらず。ここで手を振ることはソニアにはできなかった。
ぐるぐると悩んでいる姿を見て、ダンデは自分がいるからソニアはまっすぐ家に帰れないのだと正確に状況を分析した。もちろん、連れてきているリザードンに乗って空を飛べは家まで帰ることは出来る。今いる場所はよくわからないが、リザードンで上空に飛べばシュートシティでローズタワーに続き二番目に高いマンションなので、すぐに見つけることが出来る。さすがのダンデもリザードンに乗って、迷子にはならない。だが、それを知らないソニアはどうしたらいいか悩んでい
つらつらと書いてしまったので、無駄に長い。(2/3)
14.12.2025 11:39 — 👍 0 🔁 0 💬 1 📌 0
印刷された本の本文の体裁で画像化されたテキストです。
付記に「dnsn版深夜の60分一本勝負_女神を手繰り寄せる」、「月篠あずさ」と記載されています。
画像情報:generated by 新書ページメーカー / Photo by Artem Sapegin on Unsplash / フォント:IPAex明朝
以下は本文の内容です。
「おばあ…マグノリア博士の名代で、ローズさんに書類を届けに来ました。」
ソニアは少し緊張した面持ちで、ローズタワーの受付に申し出た。受付嬢は綺麗に笑うと内線電話をかけ、一言二言話、ソニアへと視線を戻した。
「オリーヴさんがいらっしゃるので、このまま少しお待ちください。」
次々と訪れる大人から少し離れるように、ソニアはロビーに置いてあるソファの近くで立ったまま待っていた。ソファは空いているので座っても問題ないと思われたが、身なりのきちんとした大人が出入りする場所で、少し居心地の悪さを感じていた。ここは子供が来るような場所ではない。ぎゅっと封筒を胸に抱く。きちんとしたお使いできているのだから、堂々と胸を張っても問題ないはずなのだが、周りの視線が気になってしまう。
ブラッシータウンからここ、シュートシティまではローズタワーで手配されたガアタクシーが連れてきてくれた。眼下に広がる町を見ながら、ソニアは目を輝かせていた。ブラッシータウンからワイルドエリアの上空を飛ぶ。キバ湖はキラキラと水面が反射し、時折ポケモンと思わしき姿が見えた。遠くにバウタウンの向こうに海が光っているのが見えたと思ったら、すぐにナックルシティだった。ここのシティは上空からみてもとても興味深い。歴史的な建物が立ち並ぶのを見ているとすぐにシュートシティが見えた。電車での道のりよりかなり早いが、それでも時間はかかる。余裕を持って家を出たが約束した時間に間に合うか、はらはらしていた。
ガアタクシーから降りると、運転手とアーマーが―に礼を言って、ローズタワーへと駆け込んだ。
約束の時間の十分前。ちょうどいい時間だった。
ソニアがロビーで人の流れをぼーっと見ていると、エレベーターからオリーヴが降りてきた。まっすぐにソニアの目の前に立つ。相変わらず隙のない美人だとその姿を観察し、ソニアは軽く会釈をした。
「お待ちしていました。遠いところお疲れ様です。上で委員長がお待ちです。」
にこりともしないその姿にやはり場違いだったのではと思うが、こちらは頼まれたものをもってきたのだから委縮する必要はないと気合を入れる。ソニアがきゅっと唇を引いた表情をちらりと見ると、オリーヴはエレベーターへと向かった。その後をソニアもついていく。ロビーの人々はVIP扱いされている子供の姿に視線を送るが、すぐに興味をなくしたように視線を外した。
「気にすることはありません。」
エレベーターに乗り、扉が閉まると二人だけの空間だった。軽い揺れと共に緩やかに上昇する。話しかけられると思わなかったので、ソニアはとても驚いた。
「自分が気にするほど、相手はそれほど気にしていません。」
オリーヴの言葉に、ソニアは礼を言うべきか迷った。なぐさめなのか、おどおどしている姿を見て叱責なのか、判断しかねる。ソニアが考えているうちにエレベーターは目的階へとついてしまった。
結局言葉を発することはなく、ソニアは少しうつむいて廊下を歩く。オリーヴからするとソニアはまだまだ子供の域から脱していない。それでも同世代からすると頭一つ大人びているとは思うが、
とっさの時に言葉が出ないところを見ると、まだまだだ。経験不足と自信が足りない。
そんなソニアをちらりと見ながらも、オリーヴはそれ以上声はかけなかった。言葉の意味をくみ取れないのであれば、今はその言葉を受け取る時期ではない。オリーヴ自身もソニアをどのように扱っていいか、考えていた。やさしい言葉をかけることはできるが、それが彼女にとって何になるというのか。
オリーヴ、ダメな子。
ぽつりとつぶやくと、ある部屋の前へ立ち、軽くノックをした。
「やあ、いらっしゃい。」
部屋の中にはローズが立っていた。後ろ手に手を組み、柔らかく笑っている。口角は上がっているがその目は冷静に相手を見定めていた。
「これ…マグノリア博士からのお使いです。内容をご確認ください。」
少しだけ震える声で、ソニアは部屋の中心へと進み、ローズのデスクへと荷物を置いた。ローズは封筒の中身を確認する。書類とメモリーチップが入っていた。書類をパラパラとめくると、すぐそばに控えていたオリーヴへメモリーチップと共にと渡した。ローズと同じようにパラパラと書類をめくり、メモリーチップをもって部屋を出て行ってしまった。
渡すものを渡してしまうと、この後どうしたらいいかわからなくなる。きっとオリーヴが部屋から出て行ったのは、内容を確認するため。となれば、渡したからお役目御免、これで帰りますとはいかない。ローズはデスクに座ると正面からソニアを見た。その視線をどのように受け止めていい
かわからず、ソニアはそっと視線を外した。
「さて、お嬢さんはこの後どうするのかな?シュートシティで買い物でもして、帰りますか?」
「お…おばあさまに本を買ってくるように頼まれましたので、書店へ行こうと思います。」
話しかけられると思わなかったので、声が引っかかってしまった。ふむと、顎に手を当てて考えるローズの視線を受けて、ソニアはむずがゆく感じた。悪いことはしていないのに、ソニアの内面を探ろうとする視線は、学会の大人たちのものと一緒だ。
「あの」
場の空気の重さに耐えきれず、届け物の内容に問題がなければここで失礼すると伝えようとしたとき、扉が大きな音を立てて開かれた。
「ソニアが来ているって!」
「チャンピオン、委員長の前ですよ。」
飛び込んできたダンデにソニアはびっくりする。その後ろから入室したオリーヴは冷静に注意をするが、ローズはようやく来たかというように笑った。
「いただいたデータに問題ありませんでした。」
オリーヴの報告を聞き、ローズは一つうなづくと「そうだ」とダンデを見た。
「ダンデくん、丁度いい。お嬢さんをエスコートしてあげなさい。ガラル紳士としてのふるまいテストです。この後書店に行くそうですよ。」
「はい。」
この後の予定はないから、そのまま帰ってもいいからね。お嬢さん、またいらっしゃいとローズは手を振った。その合図とともに二人はオリーヴにより部屋の外へと出された。廊下に出る直前、
#dnsn版深夜の60分一本勝負
20251205_代わり、おつかい、そらをとぶ_をお借りしました。最初でお題クリア。というか出てきただけ…。(1/3)
14.12.2025 11:39 — 👍 0 🔁 0 💬 1 📌 0
どのように噂をするか承知の上、政治的にガラルの技術が流出しないようにするため、企業のお偉いさん方が自分の娘を売りつけようとしてくるのをやめさせるため、ねーちゃんに悪い虫が寄り付くのを避けるため。
キバナも同じようにグラスに口をつける。ここまで考えての行動は、あっぱれだ。
「確信犯だな。」
キバナの言葉にダンデはにやりと笑うだけだった。
うまく書き表せていないところもありそう…。(3/3)
21.09.2025 23:28 — 👍 0 🔁 0 💬 0 📌 0
ソニアにダンデは豪快に笑った。
「ドレスの1枚や2枚、それほどの金額じゃないだろ。プレゼントするぜ。」
「プレゼントしてもらう理由がないじゃん。受け取れないよ。…今回の借りは、いずれきっちり返す。」
金額面で問題ないとするダンデに対し、ソニアはどうして話が通じないかなとがっくりとする。そんな二人を見てキバナはひとまずダンデの味方に付く方が良いだろうと口をはさんだ。
「今回の交流会に、ねーちゃんが参加できないとダイマックスが出来ないってことか?ガラルのポケモンバトルの目玉だからな、そりゃ困る。今回スポット保守ってことで、別件で契約したらいいんじゃないか?通常の保守とは違うんだし。それならダンデもタワーの運用として支払いできるし、ねーちゃんも後ろめたいことないだろ?」
「キバナ…いいアイデアだ。ソニア、早速契約をかわそう。」
「ダンデくんがそれでいいなら…それでもいいの、かな?あれ?そういう問題だっけ?」
キバナの言葉にぱぁっと明るい顔をしたダンデに、ソニアは何か見落としていることがありそうと首をかしげていたが、そのままダンデに引っ張られていった。
「ちょっとダンデくん、執務室いくんでしょ!こっちだって!」
姿が見えなくなったが、ソニアの元気な声が聞こえてきたので、問題ないとキバナは踵を返した。
「ソニア!」
「ルリナ!今日も素敵!」
交流会開始直前、ソニアはロンドロゼの宴会場で周りを見渡していたところ、ルリナに声をかけられた。振り向くと親友が長いスリットが入ったロングドレスの裾をひらめかせながら優雅に歩いている。ここはランナウェイかというように、堂々と、周りの新線を引き付けている。
「ありがと。貴方も素敵よ。そのドレス。」
ソニアは薄紫のオーガンジーを中心としたプリンセスラインのドレスだ。ゴールドのアクセサリーがポイントになっている。丈はひざ下ですらりとした足元はアンクレットが飾られている。
「ありがとう。ちょっとかわいすぎるかなと思ったんだけど、これはこれでいいかなって。」
ソニアがくるりと回ると、ふわりと裾が広がる。裾に縫い付けられているキラキラはジルコンか。
「あのさ、これってダンデが結局注文したんだよね?」
「…言わないで…。さっきダンデくんに会って、びっくりしたんだよ。」
ちょうど会場の入り口がにぎやかになり、二人がそちらの方を見るとダンデがオリーヴを伴って入ってきたところだった。その衣装はやはり紫を基調としたウェストコートを中心としたデザインになっている。色はソニアのドレスよりワンランクダークになっているが、ゴールドがところどころポイントで使われている。袖からちらりと見えるカフスボタンは綺麗な青緑で、いいアクセントになっている。
「貴方のアクセサリーと一緒ね。」
ソニアの耳元と胸元を飾るのは、青緑の石。き
れいにカットされたそれは照明を反射し、キラキラと光る。二人の服は対となるデザインがあしらわれ、隣に並ぶことを想定されたものだった。着替えた時は全く気がつかなかったが、ダンデに会った時、ソニアは開いた口がふさがらなかった。ダンデはソニアの姿を見て、とてもうれしそうに目を細めた。
「これじゃ、いろいろ勘違いされちゃうじゃん。ねぇどうしよう!?」
「着替えるわけにもいかないし…。似合っているし、別にいいんじゃない?ダンデが決定したのなら、その後の展開もダンデが責任取るんでしょ?」
ちょうどスタッフに呼ばれ、ルリナは手をひらりと振るとじゃあまた後でとソニアの傍を離れてしまった。
「え?ルリナ、まって、責任って何?ダンデくん、何を責任取らされるの?それって私も関係するよね?」
含みがある言葉を残されて、パニックになりながらソニアにできる事はその場にいる事しかなかったが会場内のあちらこちらに有名な博士の姿を見つけ、ぴっとたたずまいを直す。みっともない格好は見せられない。優雅にグラスを一つつかむと談笑している輪の中へ向かって行った。どうせならこの時間を楽しんでしまって、問題が起きたらその時に考えればいいと腹を決めた。
「よぅ、策士。」
「キバナか。お疲れ様。評判はいいみたいだな。」
交流会の前にそれぞれの地方の代表者が様々な発表を行った。キバナは主催地として一番最後の発表を行い、交流会の場でも質問攻めにあっていた。ガラルの伝承は他の地方からみてとても興味深いもののようだ。ダンデも一通りもてなしを行い、壁際で一息入れていたところだった。
「あれ、わざとだろ?」
「ふふ。」
キバナは会場内で博士に囲まれているソニアを見た。その服装は隣に立っているガラルの王ととても似ている。ダンデは特に返事をせず、手にしているグラスをぐるりと揺らした。中の液体が大きく揺れる。
話、聞いたぜ。と、キバナはにやりと笑う。
「お前に頼られている事でねーちゃんがガラルから出る気をなくさせたことと、こうやってデザインを合わせて置けば虫よけもできる。それなりの金額を払って作ったものだから、ねーちゃんの性格上、1回着て終わりなんてことはない。公私ともにつながりがあると証明になる。…それを狙ったな。」
「さあな。解釈は任せるさ。」
ダンデはにやりと笑うと持っていたグラスに口を付けた。
こいつはこの後飲みすぎたと言って、自分の城までお姫様を連れて帰るつもりだ。それを見た周りの連中は、ますますねーちゃんがダンデのものだと、下手に手を出したらどんなことになるかわからないと勝手に勘違いするように動くつもりだな。ねーちゃんの性格をわかったうえで、世間が
見直したはずですが、誤字脱字はありそうです…。(2/3)
21.09.2025 23:28 — 👍 0 🔁 0 💬 1 📌 0
印刷された本の本文の体裁で画像化されたテキストです。
付記に「dnsn版深夜の60分一本勝負_隣に貴方がいればいい」、「月篠あずさ」と記載されています。
画像情報:generated by 新書ページメーカー / Photo by Nicolas Picard on Unsplash / フォント:IPAex明朝
以下は本文の内容です。
「ソニア、俺をATM代わりにしてくれて構わない。金はいくらでも払う。」
ソニアはルリナと談笑していたところへ、急に現れたダンデに驚いた。現れた事ももちろんだがその内容の方が衝撃が大きかった。
「…あなた、ダンデをATM代わりにしているの?私は親友を押し流さなければならないのかしら…?」
ルリナの視線にソニアは慌てた。
「え?ちが…!そんなことないって。ちょっとダンデくん、いきなり何?ATMって何よ?」
「君が、お金がないから、今度の秋のポケモン研究交流会へ参加しないと聞いて…。あれはバトルタワーからの正式な招待だ。他の地方の研究者や実力のあるトレーナーが参加する交流会だぜ。」
「さっき、ジムリーダー会議でも報告されていた件よね。今回はキバナが宝物庫の話をするんでしょ?ソニア、参加しないの?」
交流会ではそれぞれ地方の発表時間が割り当てられている。今回はキバナが宝物庫の話をすることになっており、その内容はソニアも興味深いと言っていた。事前にダンデがソニアに打診をした際には、参加の方向で検討していたはずだった。
「あー。それなんだけどさ、ちょっと新しい服とか買う余裕がなくて…だって、参加者ってそうそうたるメンバーでしょ。ロンドロゼ貸し切りって言うし、半端な服装じゃ出られないじゃん。」
「それだけ?服なら貸してあげるし…レンタルとかだってあるんじゃない?」
ルリナは不思議そうな顔をする。それだけなのだろうか。
「…参加費とかいろいろ嵩むんだよ。本当に今月
はかなり厳しくて…この間、計器壊れちゃったから思った以上の痛手で。その費用もダンデくんに借金しているし。だから丁度その時期に他の地方から短期間で企業の手伝いに来てくれないかって話も来ているから、行ってこようかなって思っていてさ。」
「その借金なら、俺のポケットマネーなんだから、返すのはいつでもいいし、そのままでも構わないと言っただろ?他の地方の企業への話は聞いていないぞ。」
ダンデは思いがけない言葉に慌てた。自分への借金だけの話ではなく、ソニアがガラルから出ようとしている話は初耳だ。
「言ってないからね。別の私の行動なんてダンデくんには関係ないでしょ?まぁ、数か月研究所を閉めることになると思うから、カレーは出せないよ。」
「数か月…。その間のバトルタワーのシステムメンテナンスはどうするんだ?」
ほぼ、ソニアの中で決定されている話にダンデはショックを受ける。何とか引き留める手はないかと考える。
「ホップがだんだんわかってきているしさ、いざとなったらおばあ様だっているんだし、無理しなければ大丈夫じゃない?」
ソニアの言葉にダンデは少しだけ考える。何とか止めなければならない。ソニアは一度決めてしまうとひそかに事を進めてしまうので、時すでに遅しという事になりかねない。
「無理しない…とは、約束できないな。やはり強いチャレンジャーがいたら思いっきりバトルしたいし、手を抜くことはできない。…システムメン
テナンスが十分に出来ないのなら、安全確保が出来ないので、ガラルでのダイマックスバトルを見送るしかないな。」
仕方がないという顔をするダンデに、ソニアは慌てた。自分がいないだけでこれほど問題が起きるとは思っていなかったからだ。ダイマックスがないバトルなんてガラルのポケモンバトルではない。もちろんスパイクタウンのようにダイマックスが出来ない場所もあるので、ダイマックスできる事が絶対というわけではないが、民衆が望んでいるバトルが出来なくなることは、避けなければならない。
「い、いやいやいや。私がいないだけで、そんな。」
「何の話だ?」
ソニアの後ろからキバナがひょこっと顔を出した。
「ダイマックスバトルの禁止?冗談だろ、そんなことしたら、通常のジムバトルだって支障が出るし、大体交流会でパフォーマンスする予定だろ?他の地方からわざわざ来てもらうのにパフォーマンスなし!?」
キバナはダンデが言い出したのだろうと、詰め寄る。その声を背中に受けて、ソニアはますます慌てた。自分が不在することにより影響があるとは。
ダンデは内心でほくそ笑んだ。キバナに悪意はない。事実を淡々と並べているだけ。どんどん明らかになる事実に、ダンデの正面にいるソニアの顔色はみるみる悪くなる。その様子を見て、ダンデはこの辺でキバナを止めておこうかと口を開きかけたが、それよりも早くソニアが根を上げた。
「も…わかった、交流会に参加、します。」
よし、と、心の中でダンデはリザードンポーズをとる。息も絶え絶えな様子のソニアに、キバナはぎょっとした。
「え?なに?ねーちゃん、どうしたの?俺、何かまずいこと言ったか?」
状況が呑み込めないキバナだったが、すまなそうな顔をしてソニアを覗き込んだ。
「いいえ、キバナは当たり前のことを言っていただけよ。…交流会の段取りは終わったの?」
親友の様子を見ながらも、ルリナはキバナに尋ねた。一人で色々決めてしまったソニアへのちょっとした意地悪だ。ソニアもルリナが助けてくれないことに恨めしさと、相談しなかった申し訳なさが混じった視線を送る。
「あぁ、ばっちりだぜ。オリーヴさんが食事の提供素材の関係で、確認したいことがあるって言っていたぜ。ヤローの事も探していたみたいだけど。」
「わかったわ、ヤローと合流して、オリーヴさんのところに行くわ。…ソニア、もうなんだかいろいろ面倒だから、全部ダンデに出してもらいなさい。」
交流会での食事はガラルの地産紹介も兼ねて、バウタウンで撮れた魚介とターフタウンの青果を使ったメニューが予定されている。ルリナはソニアにひらりと手を振るとヤローを探しに行ってしまった。
「ソニア、ルリナもあぁ言っていることだし、いっそ俺に色々任せてくれないか。今回の交流会はソニアだって参加者を気にしていたじゃないか。他の地方の研究者も多数参加してくれるんだぜ。」
「それはそうなんだけれど…。資金が…。」
交流会には出たいが、先立つものがないという
#dnsn版深夜の60分一本勝負
20250919_ショウメイ、ATM、確信犯_をお借りしました。
思った以上に長くなりました。そして当然60分ではすみませんでした…。(1/3) #新書ページメーカー https://sscard.monokakitools.net/pagemakers/shinsho/shinsho_bg.php
21.09.2025 23:27 — 👍 0 🔁 0 💬 1 📌 0
唸りだしたソニアをダンデは覗き込んだ。マッサージしている手は止めない。
「まだシャワーも浴びていないし、ワンパチも撫でてない。あれ?ワンパチのご飯はどうしたっけ?っていうか、ワンパチに会ってないぃぃ…。」
「シャワーは一緒に浴びよう。隅々まで洗ってやるぜ。ワンパチは今日は留守番で、俺と一緒にタワーに出勤したぜ。今は夕食も食べてリザードンたちと一緒に寝ているから、安心していいぜ。」
ソニアのつぶやきをダンデは丁寧に返した。
「んー、じゃあ、いいか。」
安心したソニアは、身体の力をもっと抜くと、ダンデの手が少しだけ離れたのを感じる。ぷちんと背中で音がして、胸の締め付けが緩くなった。
「え?わ?ダンデくん?ちょっとまって、やだやだ。」
「今日、一日我慢したんだぜ。褒美があってもいいだろう?それにソニアもこんなに温かくなっているんだから、絶対気持ちいいぜ。」
するりとダンデの手がソニアの服の中へと潜り、ゆっくりと肌を直接撫でる。だが、あくまでマッサージの延長の動きをするそれに、逆らえない。
「う…。」
だんだんと甘くなるソニアの声を聴きながら、ダンデはにやりと笑った。基本的にソニアはダンデに甘い。そして、ダンデが与える快楽にとことん弱い。
「ちょっと待って!明日は朝からバトルタワーでメンテナンスに行かなきゃいけないんだから!」
与えられる快楽に流されまいと踏ん張るソニアに、ダンデは優しく口付ける。
「ん…。」
「それ、午後からでいいぜ。午前中はゆっくり休んでくれ。」
ソニアの返事は聞かないというように、次々とキスを送る。
「やだ~、手を離して、よ。」
「そうだよな、ここじゃ、嫌だよな。」
暴れるソニアをひょいっと抱えると、ダンデはソファから起き上がった。急に抱き上げられたため、ソニアはがっしりとダンデにしがみつく。
「ダ、ダンデくん?」
嫌な予感しかしないというソニアの顔を覗き込みながら、ダンデはにかっと
笑った。
「シャワーはもう少し後だな。しっかり捕まらないと落ちるぜ。」
抱き上げたソニアを落とすことなど絶対にしないが、ソニアはぎゅっとダンデに抱きついた。こうなったダンデは止められない。せめて明日はお昼までに身体が動くようになっていますようにと祈りながら、ダンデの歩く揺れに身体を任せた。
当然、1時間では終わらず。(途中でゲームしたり、よそ見しっぱなし)
(2/2)
11.08.2025 23:45 — 👍 1 🔁 0 💬 0 📌 0
印刷された本の本文の体裁で画像化されたテキストです。
付記に「dnsn版深夜の60分一本勝負_超絶技巧なポケモントレーナー」、「月篠あずさ」と記載されています。
画像情報:generated by 文庫ページメーカー / オリジナル素材 / フォント:はんなり明朝(2021)
以下は本文の内容です。
「つっかれた~。」
ソニアは部屋に入るなり、ソファに飛び込んだ。スプリングが効いて座る場所が広いソファはソニアひとりが寝転んでも十分に受け止めてくれる。
「だいぶ疲れているようだな。」
ダンデはカップに紅茶を入れて、ローテーブルに置いた。ミルク多めのロイヤルミルクティだ。寝る前のカフェインはどうかと思うが、今日のソニアの疲れ具合を見ると多少のカフェインが入っても問題なく寝てしまいそうだ。
「お泊りさせて貰って、本当に助かる。夕飯とか、何もできなくてごめんね。」
出版社との打ち合わせでシュートシティに来たが、長引くことが多く家まで帰れないことがある。今回は次の日にバトルタワーのシステムメンテナンスを入れているため、ホテルを取ろうと思ったが、それならうちに泊まると良いとダンデに押し切られてしまった。お付き合いを始めて日が浅いわけではないので、今までも何度かお泊りはしているので、ソニアの私物は置いてあるし、キッチンも勝手に使えるしシャワー室も広い。何よりワンパチが自由に過ごせることはとてもうれしい。
「なんか、ホテル替わりにしちゃってごめん。でも、お金の面でも助かる。」
セキュリティが高いホテルに泊まるとなると、当然宿泊費がかさむ。ほぼ寝るだけのために高いお金を払う事に抵抗があるが、ダンデの家ならばセキュリティ面でも安全だし宿泊費はかからない。食事を作ったりポケモンの世話をすることで宿泊費代わりにしてもらっている。
「こうでもしないと、なかなか会えないからな。ソニアはいつでもうちに来てくれていいんだ。」
ダンデはソニアの隣に座るとその肩を抱いた。
「それはそうと、かなり凝っているな。」
ダンデの手がソニアの肩から背中へ回り、ぐっと力を籠める。
「くぅ…そ、うなの。最近運動もできていないし、パソコン向かいっぱなしなのよね。」
ダンデはソニアの身体から手を離した。ソニアはローテーブルの紅茶に手を伸ばし、ゆっくりと飲む。ほぅと一息ついて、身体の力を抜く。
「落ち着くなぁ。やっぱりホテルじゃこうも行かないものね。まぁ、ダンデくん
の目を気にせずだらけることはできるけれど…。」
「うちでも同じことをしてくれていいんだぜ?」
そうもいかないってと言いながら、ソニアは紅茶を飲み干す。ぬるめのロイヤルミルクティはとても飲みやすかった。茶葉もミルクも高級品なのか、後味がとてもいい。
「紅茶、おいしかった。口が幸せ。」
「お気に召していただけて、サンキューだぜ。」
カップをローテーブルに置くと、ソニアはそのままゴロンと横になった。ソファは変わらずやさしく身体を包んでくれる。
「ちょっと、そのままうつぶせになってくれ。」
「んー?」
柔らかいだけでなく、座面はしっかりとしている。うつぶせになっても変に沈み込みもしないし、硬さが気になるわけでもない。寝そべったソニアにダンデはそっと覆いかぶさる。
「ちょっと!」
「そうじゃないさ、ほら。」
ダンデの手のひらがソニアの肩から肩甲骨を撫でる。自分のとは違う温かさにソニアは少しだけ身体の力を抜いた。
「もっと力を抜いてくれ。ほら、ここ、凝ってるよな。」
ダンデは力を入れながら、マッサージを始める。血管の流れに沿うように、筋肉をほぐしながらゆっくりと。強い力は揉み返しにもなるし筋肉を壊してしまう。ゆっくりと優しく、温めるように。
「くぅ…ポケモンをメロメロにする手腕は、人間にも効くのか…。さすが、ポケモンをとろけさせる腕を持つ男って言われるだけあるね。」
「なんだ、その二つ名は。もっとかっこいいのがいいぜ。」
ソニアが近くにあったクッションを引き寄せ、顔をうずめる。ゴリゴリとこわばった筋肉をゆっくりほぐしていくダンデの手に、ソニアはうとうとし始める。まずい、このままじゃ寝てしまう。
「うー。」
「ソニア?」
#dnsn版深夜の60分一本勝負
20250620_マッサージ、二つ名、弱さ_をお借りしました。
軽い感じのノリで書きたかったのですが…着地点を見失いました。(1/2)
11.08.2025 23:45 — 👍 1 🔁 0 💬 1 📌 0
「俺の勝ちだな。」
ソニアは隣にいるダンデを見上げた。
「かけた通り、ソニアは俺の傍から離れられない。」
「負けていたらどうなったのさ?」
日が差し込み、周りが白く見える。ソニアは手にしているブーケを持ち直した。
「そりゃ、チップをソニアが総取りするんだから、俺の人生がソニアのものになるんだぜ。」
「…それって、結局同じことじゃない。」
燦燦と日が差し込む教会で、二人は向き合った。ダンデがゆっくりとソニアのベールを上げると緑色の瞳を潤ませ、ソニアはひとつ瞬いた。先ほど永遠の誓いをした唇がソニアの唇へと降りてきた。
#dnsn版深夜の60分一本勝負
背景、不透明度設定できればいいんだけれど…よくわからなかった…。
10.08.2025 00:24 — 👍 0 🔁 0 💬 0 📌 0
興味がなければ発表を聞いていてもわからないだろう。実際、ソニアも知らない分野の発表は、何を言っているのか全く分からないものもあった。ユニバースで学び、博士の助手をしているソニアでさえ理解できないのだから、ダンデが理解できなくても不思議はない。
「でも、ソニアの話はとても分かりやすかった。あと、ソニアの二つ前に発表していたのも面白かったぜ。」
「あ、確かに。分野が違うから詳しいことはわからなかったけれど、それでもとても聞きやすかったよね。」
分野が違えど、素人だろうが、頭のいい人が発表する内容はとても分かりやすい。前提条件から、何を目的にしているのか、どのような考察をし、検証をした結果どのようなことが起きたのかがきちんとまとめられており、聞き手を置いてきぼりにさせない。ソニアが壇上から発表している間、傍聴席を見渡すと真剣に聞いている人もいるし全く聞いていない人もいた。かろうじて寝ている人はいなかったが、その二つ前の人は、皆の興味を引き付けていた。
「あとさ、リージョンフォームについて発表していた人もいただろ?あれ、良く
わからないところがあったんだよな。」
「ん?発表者、紹介しようか?知っている人だよ。」
ダンデはソニアが持っていた皿に乗っているサンドイッチを一つつまんだ。食べたいなら欲しいものを取りに行けばいいのにと思いながらも、ソニアはそれについて何も言わない。
「いや、専門家に聞くほど、まだ知識をためていないからな。ぜひともソニアの意見を聞きたい。」
「…ダンデくん、私が幼馴染で良かったね。」
わからない事、知りたいことがあるとダンデはすぐソニアに聞きに来る。ソニアが知らない知識であってもお構いなしだ。突然訪問し、その場で回答を求められる。あるいみ、マグノリア博士と問答している時より、厳しい時がある。
「そうだな、俺は幸運だよな。」
ニヤッと笑う顔を見ていると、正直全部許してしまいたくなる。
「…今度、シュートシティ限定のプリン、買ってきてよ。」
「どこの店だ?」
「後で、お店の情報、送る。」
ソニアは諦めた。ガラルのチャンピオンに何を言っても無駄だ。結局思い通りになるように動かされてしまう。それならば、多少の意趣返ししても許されるだろう。
「ダンデくんさぁ。」
つい、ソニアは困らせてやろうと口を開いた。ちょっと困ればいい。このチャンピオンの思惑通りに動くことが癪に障るので、爪を立ててみる。ぐらいの軽い気持ちだった。結局のところダンデには何もダメージが通らないとわかっているが、何かをしないと気がすまない。
「私がダンデくんの傍を離れたら、どうするのさ。他の人にこんな無茶ぶり、出来ないでしょ?」
「ソニアが?離れる?」
そんなことが起こりうるはずがないという笑みに、ソニアはカチンときた。絶対にその笑顔をゆがませてやる。
「私だって、ガラルを離れるかもしれないでしょ?他の地方だって魅力的だし…
ダンデくんはガラルから出られないんだから、離れ離れになるかもしれないでしょ。」
「うーん。」
ダンデは腕を組んで考える。その姿を見て、少しだけ溜飲が下がった気がした。未来の可能性におののけばいい。ダンデとソニアが一緒にいる未来が約束されているわけではないのだから。
「ソニアは俺の傍を離れられないぜ。かけてもいい。」
「かけるって…。じゃあチップは?」
不遜極まりない態度に、ソニアはイラついた。どうしたって、この男はすべてが自分の思い通りになることしか考えていない。私は貴方のものではないと射殺さんばかりの視線を送る。その視線を受け、ダンデは首をすくめる。どうしたんだ、今日は機嫌が悪いんだな、発表で疲れているから仕方がないかというように。
「俺の人生でいいぜ。ソニアに全部かける。」
#dnsn版深夜の60分一本勝負
最後うまく伝わっているといいのだけれど…(加筆すると余計変になりそうで、やめました)
10.08.2025 00:24 — 👍 0 🔁 0 💬 1 📌 0
印刷された本の本文の体裁で画像化されたテキストです。
付記に「dnsn版深夜の60分一本勝負_勇者と魔王の賭け」、「月篠あずさ」と記載されています。
画像情報:generated by 文庫ページメーカー / ぱんじ素材 / フォント:はんなり明朝(2021)
以下は本文の内容です。
学会での発表はすべて終わり、現在は選考のため待機時間となっている。もうしばらくすれば会食の準備が整い、会場に入れるようになる。だが、結果が気になり食事どころではない。今だって発表が終わったというのに緊張で吐きそうだ。
目標としている博士になるためには、いくつもの試験や学会で認められることが必要になる。このぐらいで緊張していては先が続かない。ソニアはため息をついた。ホテルの廊下には同じようにスーツ姿でうろうろしている人がいる。そういえば自分よりも前に発表をしていたなと、目で追う。同じように緊張しているのか、落ち着かないと見える。
しばらくして、会場の準備が整い、扉が開かれる。主催が中に入って食事をしてくれと言ってはくれるが、全くもって喉を通りそうにない。食事は立食式だが、椅子は壁際に並べてあり、座ることもできる。食欲はないが、せめて飲み物だけでもと会場内を歩く。本当なら人脈を作るためにも話しかけた方がいいとは思っているが、この後の結果が気になるし、ここにいる人はみんな同じ気分のようで、話をしている人は少数だった。話しかけるほどの気力がない。話しかけたところで、この後が気になりお互い会話が成り立つかどうかもわからない。
ジンジャーエールを手に取ると、少しだけ唇を濡らす。並んでいる料理はとても美味しそうだが、食べたいという気力はわかない。だが、この後の会の長さを考えると少しでもここで食べておいた方がいいと考える。選考結果が出るまで一時間。その後授賞式。その後、偉い人から講評を聞けたら嬉しい。終わる時間が全く読めないので、今日は近くのホテルを取っている。今食べておかないとホテルに戻るまで何も食べられないことになる。
片手でつまめるサンドイッチやチーズを皿に取っていると、だんだん食欲も出てくる。ローストビーフはおいしそうだし、きっと並んでいるプチケーキも美味しいだろう。今、結果を気にしていたって仕方がない。精一杯のことはした。この先学会での発表は必須で、博士になるために避けて通れない。トレーナーであったソニアが博士へと生まれ変わるための通過儀礼だ。学会の都度気にして胃を痛めていては、この先いくつもある試練に立ち向かえるはずはない。
「よし。切り替え完了。せっかくだし、おいしいものをいただくとしましょう。」
知り合いがいないので、お喋りすることはせずに食事をとることに専念する。お皿に適当に取り、壁際のテーブルにグラスを置きお皿とフォーク持ってロース
トビーフを一口。柔らかいそれは簡単にかみ切ることが出来、かかっているソースも絶品だ。
「なにこれ、おいしい…。」
足踏みしたくなるが、ぐっとこらえる。一口食べると脳が空腹だったことを思い出し、胃が活発に動き出す。ぐるりと会場を見渡すと、同じように食べている人もいれば、やっぱり食べられずかろうじてグラスを手にしているだけの人もいるし、壁際の椅子にがっくりと座っている人もいる。
食べられる時に食べておかねば、この先戦えるかわからない。ワイルドエリアでは、生き残れるかわからない。ジムチャレンジをした時の記憶がよみがえる。何度目かのワイルドエリアでのキャンプで、疲れと緊張から食べられなくなったソニアに、ダンデはぐいっと具沢山のスープが入ったお椀を突き出した。
「食べるんだ、ソニア。この先どんな状況でも食べて、寝られるタイプが生き残れるんだ。」
食べたくないものは食べたくない、ほおっておいてとそっぽを向いたソニアにダンデは怒りをあらわにすると、持っていたスプーンを無理やりねじ込んできた。
あの時も一口食べれば空腹を思い出し、身体が食事を求める。あの時のダンデは強引だったけれど、助かったよなぁと思いながら、サンドイッチを口にする。これもパンがしっとりしていて、おいしい。
「ソニア!」
「え?ダンデくん?」
良く知った声が聞こえ、ソニアはフォークに刺したチーズを落とすところだった。
「なんで?」
「ローズさんが出席するからそのお供。これからのガラルのためになる発表があるからって言ってたぞ。」
会場を見渡してもローズもいつも一緒にいるオリーヴの姿も見えない。このままダンデを追い払っては迷子になるだけだと思い、ソニアは言葉をチーズと共に飲み込んだ。
「…聞いてたの?」
「あぁ、全部聞いたぜ。いくつか何を話しているのか分からないのもあったな。」
#dnsn版深夜の60分一本勝負
20250808_チップ、幸運、生まれ変わる_をお借りしました。
久々の一本勝負でした! #文庫ページメーカー https://sscard.monokakitools.net/pagemakers/bunko/bunko_bgtx.php
10.08.2025 00:23 — 👍 1 🔁 0 💬 1 📌 0
ソニアが王座に就くことになったとしたら、きっと君には耐えられない。自由に歩き回ることが生きがいな君が、王座に縛り付けられる日常に耐えられるはずがない。だから俺は何としてもソニアに勝ち、王座に就く必要があった。君のために俺は王になった。君のためという名の自己満足にすぎないのだが。
だから早く自分の居場所を見つけてくれ。君の選択を待ちきれず俺が捕えてしまう前に。
何を書きたかったんだろうなぁ(2/2)
07.03.2025 15:11 — 👍 0 🔁 0 💬 0 📌 0
印刷された本の本文の体裁で画像化されたテキストです。付記に「ダンソニ_がれきの王座」、「月篠あずさ」と記載されています。
以下は本文の内容です。
あぁ、あの頃の俺はなんと残酷だったのだろう。相手の気持ちも考えず、差し出されるものを食らいつくし、それだけでは飽き足らず相手の心も握り締める。西へ東へと振り回し、制止の声も聞かず心のままに突き進み、どんどん進んでいるところを追いかけてきてもらう。そして、見つけて貰ったことに喜びを感じる。
「あっきれた~。ダンデくん、いまだに気にしていたの?」
「気にもするさ。最初の頃は良くバトル中にフラッシュバックして、試合放棄しそうになったぜ。」
少し唇を尖らせ、視線を落とし、顔を見せないようにしながら、ダンデはつぶやいた。先ほど暴かれたので、もう隠す必要もないのだが。
チャンピオン1年目。まだまだ世間の評価は低い。ジムチャレンジの頃とは違い、悪意のある言葉も良く聞こえてくる。それでも、これの何十倍もの悪意をぶつけられてきたソニアはくじけず、それをダンデに悟らせることなく、トーナメントまで導いて背中を押してくれた。
「ボロボロになったソニアがガラルを離れて、俺の手が届かないところに行って
しまったんだぜ。もっと俺がソニアの事を守っていれば…。」
「だからさ、もう済んだことだし。」
私だって、苦しそうなダンデくんを見てみないふりしてガラルを離れたんだから。と、ソニアは泣きそうな顔をして、笑った。
「それだけじゃないんだ、ソニア。」
ダンデは大きくなった手をソニアの頬へ添えて、あふれそうになっている涙をぬぐった。
「多分、俺は君への罪悪感だけではなく、自分の行動を思い返して…。」
ソニアの涙をぬぐった手はダンデの胸元へ。強く拳を握り締める。
「恥じているだけなんだぜ。」
もう片方の手で頭上にあった帽子を取り、その表情を隠す。ソニアからはダンデがどのような顔をしているかわからないが、想像するにたやすい。ソニアはにやりと笑った。
「ふふん、ダンデくんの黒歴史だね。」
「もちろん楽しかった思い出だってあるんだぜ。」
ジムリーダーとのバトルは純粋に楽しかった。一つずつ増えるバッチ。思いつかないバトル戦略に心が躍る。ワイルドエリアでのキャンプ。皆で作ったカレーはなかなかうまくできず、ソニアが顔面蒼白になりながら、毎回何とかしてくれた。広大な大地から登る朝日、空一面の星空。いつも隣にソニアがいた。
ダンデはちらりと帽子越しにソニアをみた。笑っているソニアを見ていると心がほっとする。チャンピオンなんてやめて、ハロンタウンに戻ってきたくなるぐらいに。
「そうか、ダンデくんは楽しかったんだよね。」
ソニアは少しだけ唇をゆがませた。ダンデに振り回され、周りから心無い言葉を浴びせられる。パートナーのポケモン達には動揺を知られないように。ただひたすらに前を見つめて、太陽をつかもうとする幼馴染の背中に手を伸ばす。結局何一つこの手には残らなかった。
「何度も言っているけれどさ、ダンデくんはそれでもいいんだよ。」
何人ものチャレンジャーを倒し、不敵に笑う。揺るがないガラルの王。その玉座に座り続けることは思った以上に困難で、両肩にずっしりとしたマントが飛び
立つことを押しとどめている。
「ダンデくんはダンデくんのしたいことをすればいいんだよ。」
少しだけ寂しげに笑うソニアにダンデは内心ほっとしていた。まだ、ばれてはいない。これは隠し通さなければならない。ソニアが自分の居場所を見つけるまでは。
「じゃあ、こうしてまた遊びに来るからな。」
「いや、おばあ様だっていつもいるとは限らないんだから、ちゃんとアポとってよ。」
お昼時ばかり狙ってくるから、ダンデくんの分のご飯を用意しておくか、毎回迷うんだよ。じろりとにらみながらもソニアは拒否はしなかった。なんだかんだ言いながら、ソニアはダンデを見捨てることはできない。
くるくると変わるソニアの表情を見ながら、ダンデは帽子の奥でひそかに笑った。こうやっていつでもそばにいればいい。だって、ダンデが王であるのはソニアのためなのだから。
#dnsn版深夜の60分一本勝負
20250105_振り回す、フラッシュバック、あきれた〜_をお借りしました。
途中までだった下書きを救出。拗れていないソニアと拗れているダンデ。(1/2)
07.03.2025 15:11 — 👍 2 🔁 1 💬 1 📌 0
じ、うっすら目を開けた。自分を抱きかかえるようにして誰かがいるが、視界に入る褐色の腕にそれがダンデだとすぐにわかった。頭がしっかりしてくると、そういえば開会式の後、ダンデに抱えられるようにして帰宅したのだと思い出す。ダンデの寝室は遮光カーテンがしっかりしており、部屋の中は明かりがほとんどない。開会式自体は午前中に終わっているからそこまで眠ってしまったわけではないと思うが、今が何時なのかわからない。
「ワンパチは…?」
ダンデの家についてすぐ、ワンパチをボールから出したことは覚えている。リザードンも一緒にいたので、心配はないはず。それでも気になるので何とか拘束を解こうと動くが、あたたかな手はピクリとも動かない。
「重い…。ダンデくん、起きてよ。」
後ろから抱えられているため、ダンデがどのような状態になっているか全くわからない。身体の向きすら動かせない。何とか抜け出そうともぞもぞしていたソニアだったが、ぴたりとその動きを止めた。自分の腰の下あたり、お尻のあたりに何かが当たる気がする。いや、まってよ、寝てるだろうにそんなはずはないと、ますますソニアは動きを大きくし、何とか腕の中から抜け出そうとする。片手だけ伸ばすことが出来たので、カーテンに触ることが出来た。遮光カーテンが少しだけ開き、ほのかなあかりが部屋の中を照らす。日の具合から、夕方にはなっていない時刻だろうか。
「う、動けない…。」
「つれないな、ソニア。ようやく二人きりなんだぜ。」
力尽きてもがくのをやめたところで、ソニアの耳元でダンデがささやいた。ぎゅっと身体が密着する。
「ちょっと、ダンデくん、起きたのなら離してよ。」
「断るぜ、ソニア不足だったからな、充電中なんだぜ。」
ダンデの強い拘束に、ソニアは悲鳴を上げる。
「ちょ…、苦しいって!色違いのゴリランダー!」
「ひどいな、ソニアは。ポケモンはこんなことできないぜ。」
ぐりっとダンデが一層身体を押し付ける。ソニアはヒッと悲鳴を上げた。
「ソニア、充電させてくれよ。」
ダンデの手がソニアの身体をまさぐる。なじみのその動きにソニアの呼吸がだんだん荒くなる。
「なぁ、ソニア。」
ダンデの声がソニアの耳から入り、全身を絡めとる。熱くなっているダンデの身体を感じ、ソニアも自分の体温が上がるのを感じた。
「休みは明日から3日もあるんだぜ。今まで頑張ったんだから、ご褒美があってもいいよな。」
ぐりっと押し付けられるソレに、ソニアは逃げられないと観念した。なにより自分の身体もソレを欲している。緩められた拘束の隙間から、ソニアは身体を反転させダンデに抱きついた。すかさず、ダンデはソニアの唇を奪った。角度を変え、それはだんだんと深くなる。
「ん…ふぅ…。」
「ソニア。」
ダンデがソニアのシャツの裾をめくり、服をするすると脱がせてしまう。気が付けばお互いの体温を直接感じ取れるようになっていた。
「シャワーを浴びられるぐらいの、体力は残しておいて、よ。」
「俺がバスルームに連れて行って、隅々まで洗うから大丈夫だぜ。」
薄暗がりの中で、ダンデの瞳がきらりと光った気がした。
「おはようございます。オリーブさん。」
「オーナー、おはようございます。ゆっくり…休まれたようですね。」
「3日間ありがとうございました。問題は?」
リザードンにまたがって出勤してきたダンデに、オリーブはタブレットを渡した。
「おおむね順調です。今年はなかなか強いチャレンジャーが多いようで、チャンピオンを押さえるのに苦労しています。」
どうやらユウリが飛び入り参加しようとしているらしい。ユウリにはホップというストッパーがついているので、問題は起きないだろう。
「はは。ユウリ君も早くバトルをしたいんだろうな。」
俺もだぜとダンデはつぶやいた。タブレットを一瞥しながら歩き出す。これからジムリーダー会議だ。ターフタウン、バウタウン、エンジンシティのジムからは今年のジムチャレンジャーの報告が上がってきている。今年はどんなチャレンジャーがいるのか、ダンデはウキウキと歩き出す。
「元気になりましたね。」
「ん?あぁ、しっかり休養したからな。」
オリーブはダンデの顔ではなく、その少し上を見ている。オリーブの視線がずれているのを感じ、ダンデは上を見たが何もない。
「愛情欠乏症…でしょうか。植物も挨拶したり、プラスの言葉をかけることが必要とは聞きましたが、これだけ効果があるとは。」
「え?オリーブさん?」
植物なんてどこにあるだろうかとダンデは首をひねった。オーナー室には確かにターフタウンからのレンタルしている観葉植物はある。だが、オリーブが言っているソレは、観葉植物ではないようだ。視線は相変わらずダンデの頭上にある。草タイプのゴーストでもいるのか?とダンデは考え始めるが、オリーブはすでにこの会話は終了というように歩き出した。
「ターフ、バウ、エンジンとはリモートで接続しております。チャレンジャーが現れれば、そちらに行っていただくようになっていますが。」
「ありがとう。」
会議室の前でそういえば、と、オリーブは立ち止まった。
「ソニア博士はいかがしましたか?」
「……ちょっと疲れが抜けきっていないようで、休ませているぜ。もちろん、問題が出ればタワーには来てもらうが。」
「そうですか。」
オリーブは少しあきれた声を出したが、顔には一切出さなかったので、ダンデは気が付かなかった。
「そのうち、双葉が本葉になりそうですね。」
「え?」
「いえ、なんでもありません。」
オリーブは会議室の扉を開いた。
これが新年最初かぁ…。(タイトルを決めるのは苦手)双葉…書き表せているかなぁ?(2/2)
05.01.2025 20:13 — 👍 0 🔁 0 💬 0 📌 0
印刷された本の本文の体裁で画像化されたテキストです。付記に「ダンソニ_必要なのは水と太陽と栄養」、「月篠あずさ」と記載されています。
以下は本文の内容です。
ジムチャレ開会式終了後。
「オーナー、お疲れ様です。明日から3日間、予定通りお休みください。」
開会式を終えた後、オリーブは滞りなく開会式が終わりその後片付けが進んでいることを確認して、ダンデへ告げた。開会式を終えた今、ダンデの出番はしばらくない。これから忙しくなるのは、ヤロー、ルリナ、カブだ。続々とチャレンジャーが押し寄せるが、何年も経験しているのでさじ加減はわかっている。ダンデと同じように最初は手が空くキバナやチャンピオンのユウリ、ジムリーダーを引退したネズがサポートに入ることになっている。
「システムも問題ないようですので、ソニア博士もお休みいただいて大丈夫です。ただし緊急事態に備えて出来ればシュートシティにいていただけると助かります。」
開会直前まで各ジムとバトルタワーのシステムをメンテナンスしていたソニアも、ジムチャレンジ中盤まではほぼ出番がない。当然システムに異常が出た場合は対応する必要があるが、毎年の事を考えると序盤でその心配はほぼない。強いチャレンジャーが残り、ジムリーダーがヒートアップしなければ、システムは耐えられる。
「では、ソニア博士も帰らせますので、何かあれば連絡をお願いします。」
ダンデは笑顔を張り付けたまま、会場を後にした。スタジアムで開会式を行ったので、控室にソニアは待機していた。ダンデの後姿を見ながら、オリーブの視線はダンデの顔より少し上を見ていた。
「…元気になっているといいのですが。」
オリーブはため息をつきながらぽつりとつぶやくと、タブレットに目を通しながら指示を出すため、ダンデとは逆の方へ歩いていった。
「ソニア。」
「おー、ダンデくん、お疲れ様。」
「アニキ、カッコよかったぞ。」
ダンデが控室の扉を開けると、椅子にだらりと座ったソニアとノートパソコンを覗き込んでいるホップがいた。
「ホップ、明日からの3日間、頼むな。何かあったら連絡してくれ。本当にうちに来なくていいのか?」
「俺はすぐにハロンへ帰るし、ユウリと一緒に各ジムにも顔を出そうと思っているんだ。ずっとシュートシティにいるわけじゃないから、問題ないんだぜ。」
「そうか、もし、ホテルが取れないようであれば、いつでも来てくれ。」
「うん、アニキもしっかり休んでくれよ。ソニアも休むんだぞ。」
「うんー。言われなくても動けないから大丈夫。」
一緒にシステムメンテナンスをしていたホップだったが、時間になるとホテルへ帰らされていたこともあり、元気だ。一方ソニアはほぼバトルタワーで過ごし、ホテルへはシャワーと仮眠を取りに帰るぐらいだったため、疲労がどっと出ている。
「ソニアの荷物は、ホテルからアニキのマンションへ送ってもらっているから、後で受け取ってくれよな。」
「ありがとう。助かったよホップ。」
ジムチャレンジに備え、ホップと共にホテル暮らしだったソニアだったが、システムトラブルに
備えて出来ればジムチャレンジの期間はシュートシティにいて欲しいと言われており、運営委員会の方でホテルも確保していた。だが、費用がかさむこととこれから一般客がホテルに泊まることを考えチェックアウトを選んだ。頻繁には呼び出しされないだろうと思い、ブラッシータウンへ帰ろうと思っていたが、ダンデがそれならうちに泊まればいいと言い出した。当然、ソニアは断ったが、緊急時にブラッシーからシュートまでの移動時間や手段を考えると、ただで泊まれるダンデの家の方が都合がよいと押し切られてしまった。
「でも、おばあ様になんて言おう。」
「悪いことではないんだから、そのまま言えばいいさ。」
と、早々にマグノリア博士の許可を取ってしまった。マグノリア博士としても、過去にジムチャレンジの際システムメンテナンスで、夜中にローズタワーから呼び出されたことも、いつ帰れるかわからない状態になったことも経験しているため、ダンデの負担にならないのであればと簡単に許可が出た。
「ソニア、帰ろう。このまま俺の家に行くぜ。」
ホップがユウリに呼び出され部屋を元気に出て行ってしまった。残されたダンデは疲労困憊なソニアに声をかけた。ダンデ自身もかなり眠気が来ている。
「あれ?おばあ様にはお話ししたっけ…?」
「大丈夫だ。ジムチャレが始まる前に了承をいただいているぜ。」
ポヤポヤな状態なソニアを腕に抱え、ダンデは屋上へと向かった。バトルタワーではダンデ用によく行く場所の案内が張られている。これを見る
事で、ダンデはタワーの限られた場所であれば一人で歩くことが出来る。ソニアの荷物は今手元にあるいつものバッグだけで、ダンデに荷物はなかった。エレベーターで屋上へ着くとボールからリザードンを出す。
「リザードン、頼む。」
「ごめんね。」
眠さのあまりに半分目が閉じている親二人をみて、リザードンは任せろと一鳴きする。いつも以上に気を使い、まっすぐにダンデの家のマンションのベランダへと降り立った。
「もうだめだ、ごめんダンデくん、ちょっとだけ寝かせて…。」
「俺も限界だぜ。リザードンすまん、少し寝るぜ。」
バトルがあったわけではないので、リザードンは空腹ではないし怪我もしていない。留守番組も問題はない。ソニアはボールからワンパチを出す。親友の姿を見つけたワンパチは嬉しそうに駆け寄った。慣れ親しんだダンデの家なので、場所を怖がることもない。
ダンデはオーナー服を脱ぐと下着姿になった。ソニアもバスルームへ行くとダンデから借りているTシャツ姿になり、髪も下し、メイクはクレンジングシートでグイッとぬぐった。
「ソニア。」
「ん。」
寝る支度が出来たソニアをダンデは小脇に抱え、寝室のドアを開けた。ソニアはもうほとんど目が閉じている。ダンデもそのままシーツに転がるとソニアを抱えるようにして寝てしまった。
何時間たっただろうか。ソニアは重苦しさを感
#dnsn版深夜の60分一本勝負
20250105_愛情欠乏症_をお借りしました。
途中部分が最初に浮かんだので、前後穴埋め。ぬるく、逃げました。オリーブさん、出したいキャンペーン(1/2)
05.01.2025 20:13 — 👍 2 🔁 1 💬 1 📌 0
「どうしよう…。」
間の悪いことに、いつも一緒にいたワンパチもボールに入れたままタワーに置いてきてしまった。ぞわっとする気配を感じ、ソニアは足を速めた。これはまずい。
「ダンデくん…。」
やっぱり無断でタワーを出るんじゃなかったと、ソニアは後悔した。が、後悔しても何も起きやしないと考える。どうしたらこの状況を抜け出せるか。つかまらない事が重要。追いかけてきているのは数人。人数が最初より増えてきている気がする。タワーからはどんどん引き離されている。
泣きそうになったソニアの視界に何かが映った。が、視線でそれを追いかけることはできなかった。追手がそこまで迫っている。いっそ大通りに出るほうがいいのか、いや、それだと大事になりかねないし、無関係な人を傷つけてしまうかもしれない。迷いは命取り。少しだけ速度を速めながら、追手が行く先を遮る前にタワーへと近づく。あと少しでタワーにつながる広場に出られるというところで、行く先に人影を見つけてしまい、慌てて路地へ駆け込む。物陰からうかがうとやはり先ほどからつけてきている人たちだ。タワーは目の前だというのに。あぁ、もう、と、ソニアは泣きたくなった。
「タイムリミットだ、ソニア。」
「え?ダンデくん?」
ソニアは後ろから延ばされた手に簡単につかまってしまった。ダンデの褐色の腕がソニアをやさしく包み込む。
「遅かったから、迎えに来たぜ?」
「どうしてここがわかったの?」
驚くソニアにダンデはなんてことないと答えた。
「ドラパルト。」
ソニアの足元の陰から、すぃーっとドラパルトが表れた。ダンデの肩に止まっていたドラメシアが嬉しそうに定位置へと戻る。
「ずっと、監視していたの。」
「そういうわけじゃないぜ。ちょっと…その…心配だったから…。」
怒っているソニアにドラパルトも申し訳ないというようにすり寄った。ドラメシアたちはソニアの髪にもぐったりして遊んでいる。ソニアの前のダンデもしょぼんとした顔をしている。さすがにやりすぎていることは自覚しているようだ。
「でも、助かったよ。助けに来てくれてありがとう。」
キミたちもね、と、ドラパルトを撫でるとようやく安心したようにソニアにするりと身体を摺り寄せた。
「さ、ひとまずタワーに戻ろう。」
「え、でも、あの人たちは?捕まえないの?」
このまま野放しにしておくと、もっとエスカレートしてしまう可能性がある。今は大丈夫だがいつまでもマグノリア博士をキクルスへとどめておくこともできない。
「あっちは大丈夫だ。そろそろ…終わったみたいだな。」
ダンデはつぃっと視線を道路の先へと送る。それに倣うようにソニアもそちらを見ると、ジュンサーさんにつかまっている一団が見えた。先ほどまでソニアを追いかけていた人たちだ。
「オリーブさんがえらく怒っていてな。ローズさんの功績を汚して…とか。」
ジムバトルにダイマックスを導入したのはローズだった。
「あー…。それは…。」
ご愁傷さまと言ってもいいかもしれない。ソニアは先ほどまで追われていたのを忘れ、同情した。
「それでな、ソニア。」
ダンデは申し訳なさそうな顔をして、ロトムを出すとソニアの前に掲げた。
「ダンデくん?」
「オリーブさんからのメッセージだぜ。」
嫌な予感しかしなかったが、ソニアはそのメッセージを見るしかなかった。ともすればいつもと変わらず涼しげな顔をしているオリーブが映し出されているが、動画が進むにつれて顔面蒼白になった。ダンデはロトムを掲げているためその場を動けないため、そっと視線を外した。
「ダ、ンデくん、オリーブさんが…。」
「残念だぜ、ソニア。俺にはどうすることもできないぜ。」
「そんなぁ…。」
その後、ダンデに連れられたソニアは勝手に抜け出して、ことごとくオリーブの計画を狂わせたことをこってりと怒られた。
オリーブさんが好きなようです。最初はダンデがソニアを自宅に連れ込む予定だった。が、オリーブさんが急に出てきたんです。(2/2)
30.12.2024 22:43 — 👍 1 🔁 0 💬 0 📌 0
印刷された本の本文の体裁で画像化されたテキストです。付記に「ダンソニ_仁王立ち」、「月篠あずさ」と記載されています。
以下は本文の内容です。
『キミは今、反ダイマックス勢力に狙われていると説明しただろう。出歩くときは必ず連絡をしてくれと言ったはずだ。』
「それはわかっているけどさぁ。ずっとタワーにいても何もできないし、くつろげないじゃん…。」
ダイマックスはポケモンを狂暴化させるのでやめるべきだという文書がバトルタワーに届き、いたずらかと思っていたが、どうにもいろいろなところで反対運動が起こり始めた。ダイマックスできないスパイクタウンが聖地のようになっているようで、夜な夜な集会が行われているとネズからも連絡が来ていた。当然、物騒なことはやらせないとエール団が見回りしているため大事にはなっていないが、とうとう抗議文書がマグノリア博士のもとへ届けられたとの連絡をうけ、ダンデはすぐに動いた。
マグノリア博士には、ご夫婦でキクルスの温泉地のホテルチケットを手配し当面の間、研究所から離れてもらうことにした。留守の間の様子は信頼がおけるタワースタッフが見に行くことし、ソニアにもブラッシーの地を離れてもらう予定ではあった。
『本来なら博士と一緒に、キクルスへ行ってもらいたかったんだ。だが…。』
「その間だって、バトルタワーのメンテナンスもあるし、何かあった時に対処できないと困るからって。私がこっちに残ることはダンデくんも同意してくれたよね?」
『同意したさ、キミが一人で外出しないことと、スタッフを同行させること。それが守れないから、タワーにいてくれという話になったんだよな。研究が出来ないというので、資料も持ってきたし、
キミ専用の部屋も調整した。』
ソニアはぐっと言葉に詰まった。スマホはビデオ通話になっており、ダンデが怖い顔をしている。忙しいことには変わりなく、ソニアをにらむ合間に、書類を確認し、サインをしている。ソニアはそんな忙しいダンデの息抜きが出来ればと、おいしいと話題のサンドイッチを買いにちょっと外に出たところだった。
『ソニア、頼むから大人しくしていてくれ。キミの安全は博士からも頼まれているし…。』
そこでダンデは言葉を区切り、ぐっと何かを飲み込んだ。
『とにかく、すぐに戻ってきてくれ。そうでなければ、俺がキミを迎えに行く。』
「いやいや、無理でしょ。忙しいんだし、タワーの中でも迷子になるんだから、町なんて歩けないじゃん。…ダンデくんに差し入れしようと思ったんだよ。すぐに帰るからさ。」
ソニアはずっと画面の向こうで眉を寄せたままのダンデにほほ笑んだ。ダンデも、ソニアの行動が自分を思っての事と分かり、表情を少しだけ緩めた。画面の向こうでダンデを呼ぶ声が聞こえた。次のスケジュールが押しているのだろう。
「ほら、スタッフさんが困っているんじゃない?すぐに帰るからさ。」
『絶対だぞ。遅いようなら…迎えに行くからな。』
はいはいと笑いながらソニアは通話を終えた。通話時間は10分にも満たない。カメラ越しのダンデは常に何かをしながら話をしていた。
「相変わらず、お忙しいことで。」
電話をしている時間もないぐらい、ダンデは過密スケジュールだ。今までは『時間が出来たから』
と研究所まで来ていたが、実際には時間はなく相当無理をしていたはずだ。そんなダンデがわざわざ時間を作って研究所までやってきた意味を考えかけて、ソニアは頭を振った。そんなわけはない。データを渡しに来たり、研究所の本を見たがったり、ホップに会いに来たり、そのついでに食事が取れればいいなというところだろう。
「それ以上の意味はないはずよ。」
だから期待をするなと、ソニアは小さくつぶやいた。
目当てのショップはタワーから徒歩十分の場所にあった。無事にお目当てのサンドイッチを購入すると、おとなしくタワーに帰るべくソニアはくるりと踵を返した。これは単なるお礼。おじいさまやおばあさまにとても良くしてくれたから。
タワーまでの道はそれほど複雑ではない。だが、ソニアは角をいくつも曲がる。だんだんタワーから離れてしまうが、気にせず足は止めない。片方の手はコートのポケットに入れているが、それを出すほどの余裕もない。
「…やっぱり…。」
誰かにつけられている。最初はタワーを出たところから視線を感じていた。タワーのスタッフかと思ったが、ダンデから電話が来たという事は、今はスタッフは同行していないという事か。誰かが付いているなら、ダンデが電話をして居場所を確認してくるはずがない。途中で気配が消えたので、気のせいだったかと思ったが、ショップで買い物をしたあたりからまた視線を感じた。角を曲がってもずっとついてくる。ダンデに連絡を取ろうと思うが、歩みを止めると捕まりそうで、それもできない。
#dnsn版深夜の60分一本勝負
20241227_動画、タイムリミット、通話時間_をお借りしました。
誤字脱字ありそうです…。早く書けたけれど2時間ぐらいはかかったか…?
(1/2)
30.12.2024 22:43 — 👍 1 🔁 0 💬 1 📌 0
でそんな風にしゃべると思うか?」
チャンピオンを降りてもなお人気の高いダンデのゴシップネタを本人がメディアでしゃべるのか。
「そうだよね、そんなこと、オリーブさんが許すはずがないよね。」
「オリーブさん以前に、俺はそんなことはしないぜ。堂々と浮気宣言だろ?時々ソニアは抜けているよな。」
「なにおう」
にやにやと笑うダンデにソニアは顔を真っ赤にしてぽかぽかとたたいた。それを簡単に片手でよけながら、ダンデはでもさ、と、言葉をつづけた。
「ソニアがこうやって乗り込んできてくれるという事は、自分が本命の自覚があるんだな。」
「………。ちがうの?」
ふむと、顎に手を当てて考え込むダンデの言葉を聞いて、ソニアは振り上げていた拳をおろし、不安を顔にした。
「違わないさ。俺の本命はソニアだけだ。今までのソニアだったら逃げていただろう?それだけ自分に自信が持ててきているってことだよな。」
自称助手でずっとダンデに引け目を感じていた頃のソニアであれば、誰にも何も言わず身を引いただろう。たとえ真実でない話だったとしても。
「う…。」
確かにそういう選択をしたと思われ、己の行動が読まれていることにソニアは少しだけ怖くなる。そんなにわかりやすいのだろうか。
「あぁ、勘違いしないでくれ。俺だからわかるんだぜ。小さいころからソニアをよく見ていたからな。」
確かに、幼少のころから一緒にいて、お互いの
考えていることはわかる。わかるからこそ、ソニアは迷子になったダンデを絶対に探し出せるし、ダンデも自分を頼ろうとはしないソニアを陰から支えてきている。それは現在も続いている。
「ソニア、明日の仕事は?」
「急ぎの仕事はない。」
休みかどうかは返事しない。何をされるか分かったものじゃないから。だが。
「そうか、俺の愛が足りていないことに関して、もっときちんとソニアにはわかってもらう必要があるな。」
にやりと笑ったダンデに、ソニアは身体を引くがソファの背もたれへと追い詰められてしまう。逃がさないというように、あわわと何も言えないでいるソニアの顔の横にダンデは両手をつき、その顔を覗き込みささやきかける。
「ソニアはちっとも悪くはないさ。俺がきちんとソニアに伝えきれていないだけなんだぜ。わかってもらうまで今日はとことん話し合おうな。」
明日は休みだろう?というダンデの言葉とともに訪れたお姫様抱っこされる浮遊感に、ソニアは観念した。
書きたいところだけ、書き散らかした感じです(2/2)
26.12.2024 20:56 — 👍 0 🔁 0 💬 0 📌 0
印刷された本の本文の体裁で画像化されたテキストです。付記に「ダンソニ_焼いたお餅はスタッフがおいしくいただきました。」、「月篠あずさ」と記載されています。
以下は本文の内容です。
『最近入った彼女がとてもかわいくて…あぁ、もちろんキバナにも紹介しています。彼も本命に昇格させたらと言っていて…』
つけっぱなしにしていたテレビからよく知る声が聞こえてきて、ソニアは顔を上げた。管理全権を任されている研究所に一人きり。頼もしい助手はワイルドエリアに調査という名のキャンプに行っている。ニュースでも見ようとつけたテレビは目まぐるしく最近の話題をBGM代わりに流してくれている。
『オーナー、べたぼれですね。やきもち焼かれませんか?』
『ははは。ばれない様にするのが大変です。今のところ大丈夫ですが…。』
照れたように笑うダンデは珍しい。いつものバトルオーナーが浮かべる笑みとは異なり素に近い表情だ。
『この放送を見ていたら、良くないのでは?』
『まぁ、そうですね。でも大丈夫でしょう。見ていないと思いますので、内緒にしておいてください。』
サービスなのか、ウィンクをばっちりときめる。テレビの向こう側のダンデファンは今頃卒倒しているだろう。
「…浮かれた顔しちゃって。」
ソニアはキーボードをたたいていた手を止めると、片手で頬杖を突く。呆れた顔でテレビを見つめた。モニタの向こう側のオーナー様の姿は切り替わり、バトルの様子が映し出されている。そういえばつい最近、バトルシステムの調整でタワーに行ったところだ。これから新規のバトル挑戦者が増えるのだろう。ガラルの皆で強くなるという
言葉通り、ダンデは前向いて歩いている。
プチっと電源を落とすと研究所に静寂が訪れた。手にしたリモコンをデスクに置くとソニアはすっかり冷めてしまったマグを手に取り、一口飲んだ。面白くない。今後のスケジュールと研究の進捗を確かめる。仕事は切羽詰まった状態ではない。時間は午後三時を過ぎたところ。ホップには明日お休みを言ってある。さて、どうしたものか。
「これは正面から乗り込むしかないでしょ。」
ソニアはロトムにメッセージを送るよう指示を出すと、パソコンの電源を落とし研究所の戸締りを始めた。今からここを出れば目的地には夕方までにつける。泊りの荷造りは不要なので、うとうとしていたワンパチをボールに入れるとノートパソコンをバッグに突っ込んで駅へと向かった。
「お帰り、ダンデくん。」
「ただいま。珍しいな、急にソニアが来るなんて。」
ダンデが家のドアを開けるとカレーのいいにおいがした。人がいるぬくもりにほっとしながらリビングへと突き進む。ソファでくつろいでいるソニアを見つけ頬が緩む。
「迷惑だった?」
「いいや、もっと来てくれてもいいんだぜ。そのために一部屋君に明け渡したのだから。」
ボールに入れていたリザードンを出すと、ソニアの足元で寝そべっていたワンパチが起き上がりしっぽを振ってリザードンへと駆け寄る。リザードンもうれしそうだ。二匹連れ添って留守番組のところへ行ったところを見ると、皆で遊ぶようだった。
リビングのローテーブルでパソコンを開いてい
たソニアはそれを閉じると、ダンデの姿をまじまじと見つめた。
「どうかしたのか?」
「…ううん、なんでもない。カレー作ったけれど、ご飯にする?」
「あぁ、頼むぜ。」
ポケモンたちにもカレーをよそうと大なべいっぱいに作っていたそれは、すぐになくなってしまった。ソニアのカレーは毎日でも食べたいぜと笑うダンデに、はいはいと適当な返事をするソニア。いつもとは何かが違うソニアの様子に、ダンデは首を傾げた。
「ソニア?何か気になることがあるのか?」
食べ終えた食器を片付けながら、ダンデは問いかけた。今日はソニアが作ってくれたので、片付けはダンデが引き受けた。ソニアはソファにぼーっと座っている。お皿を食洗器にかけるとダンデもソニアの隣へと座った。ポケモンたちは別の部屋で思い思いの時間を過ごしているので、リビングには二人だけだ。
いつもとと変わらないダンデの姿に、ソニアは一つ息を吐く。これは相当不機嫌だとダンデは何を言われるか、かまえた。
「それで?本命の彼女ってどこよ?いったい誰なの?」
「何を言っているんだ?俺はソニア一筋だぜ?」
機嫌直せよと、ダンデはソニアを優しく抱き寄せようとした。伸ばされた手をソニアはぺしっとはじいた。
「ダンデくんはいっつもそう!私の事なんて何も考えていないくせに!そうやって縛り付けるのはやめてよ。」
「そんな事はないさ、俺はいつだってソニアの事を考えているぜ。」
「嘘ばっかり。…最近入ったかわいい子がいるんでしょ?タワーのスタッフ?その子に乗り換えようっていうの?」
ダンデの言葉なんか信じないとソニアはそっぽを向いたままだ。一報ダンデは心当たりがないので、首をひねる。
「いや、ソニアをないがしろになんてしたことがないんだが…。最近入った、かわいい子…?」
そういえば、どこかでそんな話をしたなと、考え始めたダンデの姿を見て、ソニアはかっとなった。
「テレビで言ってた!今日、放送あった!本命にしようかと考えてるって!キバナさんにも話しているって!」
「ん…?あぁ、あれか。」
涙目で振り向いたソニアの顔に、心を貫かれながらもそれを表情には出さず、ダンデは頷いた。
「あれ、バトルタワーのレンタルポケモンだぜ。最近入ったヌメラが面白い個体でな。今はまだ控えのメンバーだが、本命にしてもいいんじゃないかとキバナと話をしているんだ。攻撃を受けると相手のすばやさをダウンさせるんだ。」
「特性、ぬめぬめ…だっけ?一般的じゃないね、確かに。は!そうじゃなくて、他に本命がいるんじゃって…。」
「テレビの取材で、バトルタワーのレンタルポケモンについてなら、話はしたぜ。」
え、とソニアの顔が蒼白になった。
「本当に、ポケモンの話…?」
「仮にそうじゃなかったとしたら、俺がメディア
何番煎じになるのだろう…(1/2)
#ダンソニ
26.12.2024 20:56 — 👍 3 🔁 0 💬 1 📌 0
印刷された本の本文の体裁で画像化されたテキストです。付記に「ソリチュード」、「月篠あずさ」と記載されています。
以下は本文の内容です。
ソニアはシュートシティの国際空港まで、客人のお見送りに来ていた。祖母であるマグノリア博士と懇意にしている博士で、ガラルでの学会参加を兼ねて、南の端のブラッシータウンまでわざわざ寄ってくれたのだ。同行していた助手とも仲良くなり、とても有意義な時間を過ごすことが出来たとソニアも大満足だった。カウンターの向こうへ消えていく教授と助手に手を振り、その姿を見送ったところだった。
世の中には色々な人がいて、いろいろな研究がされている。ソニアは振っていた手を下ろしながら、考える。まだまだ知らないことだらけだ。数年前、ガラルを飛び出して留学をした時に見えなかった景色が、今目の前に広がっている。今回、国外の方とディスカッションをすることでそれを痛感した。
アナウンスでガラル語に引き続き他の地方の言葉が流れる。周りを歩いている人は大きな荷物を抱えているが、肌の色から瞳の色までまちまちだ。国際空港なのだから当たり前だが、この先にあるカウンターを超えれば、そこはもうどこでもない国になる。
もしかしたら、このままガラルを出ることが出来るのでは?
ソニアはゆっくりとあたりを見渡した。ワンパチは研究所にお留守番させている。国際空港での見送りのため、パスポートは持ってきている。先ほどちょうど現金もおろしたところ。ノートパソコンもバッテリーも持ってきている。スマホロトムはメンテナンスで抜けているので、普通のスマホを持っているだけ。
今、身軽な今なら、このまま飛び出せる。ガラ
ル地方固有のポケモンを連れて、国外に行くとなるといろいろ制約もあるし、ポケモンにも辛い思いもさせる可能性があるので、出来れば国外に連れて行きたくはない。今、ソニアを縛るものはなかった。
一生帰って来ないわけじゃない。少しの間なら、お祖父様とお祖母様だけでも大丈夫。お元気な今なら心配はない。むしろ、数年先になると健康面でも心配でガラルを離れることが出来なくなってしまいそうだ。
何処に行く?ソニアは行先掲示板を眺めた。ミアレシティも良いし、ホウエンもいい。アローラも暖かいだろうし、カントーも気になる。
このままカウンターに駆け込んで、チケットを買って、乗り継いで、何処へだっていける。どうせ行くのなら、誰も追いかけてこないところがいい。一人の力でどこまで出来るのか試したい。
ふらりと歩き出そうとしたソニアの肩を力強く誰かが掴んだ。
驚いて上がりそうになる悲鳴を何とか圧し殺し、ソニアは振り返った。
「ソニア」
「ダンデ、くん。どうしてここに?」
そこには息を切らしたダンデがこわばった顔をしていた。服装はいつものチャンピオンスタイルだ。遠巻きに、ダンデがいる…というささやきが聞こえる。
「たまたまイベントがあってな。」
ソニアの足が止まり、くるりとダンデに向かい合ったところで、ダンデはその手を離した。だが、表情は硬い。何かを見逃さないようにと鋭い目つ
きのままだ。ソニアは首を傾げた。バトルでもないのに、何を緊張しているのか。
「空港で?」
「いや、イベント会場で」
聞けは会場はセントラル会場だという。そこと空港は当然離れている。会場にずっといたはずなのに、なぜ空港に現れるのか。
「スタッフさん、探しているよ?きっと。」
「さっきから、スマホロトムが鳴りっぱなしだぜ」
ダンデの後ろには、リザードンがいない。スタッフもいない。まったくの一人だ。一人だからこそ、イベント会場とは全く異なる空港に現れたのか。
「ほら、会場戻ろう」
「頼んだぜ、ソニア」
ソニアはダンデの手をつかんだ。いつも通り。ジムチャレンジをしていたころのように。そこでようやくダンデの表情がふっとゆるんだ。何を緊張していたのかソニアにはさっぱりわからないし、ダンデに聞いても答えてくれなさそうな気がした。
「どうしてダンデくんは、空港に来たの?」
それでも聞かずにいられなかった。ソニアは後ろを見ずに、声を投げた。
「なんだか、空港に行かないと、一生後悔するような気がしてな」
ダンデは首をひねる。野生の勘。ダンデがいつも従う、勘。そしてそれは絶対間違いがない。いや、勘に従って迷子になっているので、間違いなのだろうけれど。何を差し置いてもこの感覚には従わないといけないと思った。
「そのまま飛行機に乗って何処かに行ったら、さすがに探しに行けないからね」
ソニアは笑いながら、ダンデの前を歩く。緩く手を引きダンデも一緒に歩く。
「そのまま返すぜ…」
ダンデはぽつりとつぶやいたが、自分の言葉に首をひねった。なぜ、こんな返事をするのか自分でも理解できない。
「え?なに?」
「なんでもないぜ」
ダンデはぎゅっとソニアの手を握ると、ソニアは痛さに悲鳴を上げた。
懐メロで小説へ
#ダンソニ
12.12.2024 22:15 — 👍 2 🔁 0 💬 0 📌 0
ダンソニはいいぞ!
09.12.2024 16:26 — 👍 0 🔁 0 💬 0 📌 0