みに魈重
はじめて唇にふれた熱は大好きなひとの唇だった。
柔らかくて、温かくて、ほんのりと湿ったそれに思わず目を回してしまった。
けれど、幸せな気持ちははっきりと覚えている。
いつかこのくちづけに慣れる日が来るのだろうか。
ぼくはいつまでもそんな日が来なければいいと思った。
@riyu-mooncat.bsky.social
20↑の腐。夢も少し。日常含め雑多。ド雑食。ほぼ地雷無。字書き。とうらぶ、げんしん中心。薬不、くにちょぎ、タル鍾、魈重が主に好き。何でも読む。魈さま推し。CoCで遊ぶし、シナリオも書く。基本静か。たまにうるさい。気軽に声かけてやってください。無言フォロー失礼。フォローはご自由に。
みに魈重
はじめて唇にふれた熱は大好きなひとの唇だった。
柔らかくて、温かくて、ほんのりと湿ったそれに思わず目を回してしまった。
けれど、幸せな気持ちははっきりと覚えている。
いつかこのくちづけに慣れる日が来るのだろうか。
ぼくはいつまでもそんな日が来なければいいと思った。
みに魈重
重雲の悲鳴が聞こえた。
「魈さま!?」
ずんずんと重雲が近づいてくる。魈はシロップ塗れの雪を掬い、首を傾げた。
「どうした」
「雪はかき氷ではないのですよ!?」
きょとりと目を瞬く。
重雲が眉尻を落とし、アイスを差し出した。
「ぼくと一緒に食べるこれで我慢してください」
みに魈重
甘い甘い杏仁豆腐みたいにあなたの瞳は柔らかくて。
甘い甘い蜂蜜みたいにあなたの色はとろけていて。
甘すぎるのは好きじゃないけどあなたのそれだけは大好きで。
「重雲」
柔らかくて穏やかで愛しさに満ちた声も、態度も全部全部。
「愛している」
あなたの愛に他ならないから。
みに魈重
「食えるか」
魈が冷たい粥の載った匙を向けてくる。それに口を開けてかぶりつけば顔に安堵が滲む。
「そんなに心配しなくても平気ですよ」
「凡人は弱いからな」
そう言ってもう一口。
散々抱かれて起き上がれなくなっただけ。
甲斐甲斐しい態度に許してしまうのはいつもの話だった。
みに魈重(現パロ)
「会いたいです」とタップしては消す。
受験生の追い込みの時期に会いたいなんて言えない。
「え?」
スマホが震える。着信。相手は、魈。
『重雲』
「しょ、せんぱ」
『お前の声が聞きたくなって』
「っ、ぼくも、」
穏やかな低音に愛しさと寂しさがきゅう、と音を鳴らした。
とても可愛い……rp
26.12.2024 11:26 — 👍 0 🔁 0 💬 0 📌 0Sudah malem, uyun bobo
#xiaoyun #魈重
みに魈重
「魈さまはぼくと敵対することになったらどうしますか?」
ただの世間話。もしもの話。
「苦しませぬよう命を刈り取る」
躊躇いのない言葉に思わず笑ってしまう。
「まあ、その前に洞天に監禁するが」
「へ?」
「飼い殺しにすれば問題はあるまい?」
色味を増す蜂蜜色に乾いた笑いが漏れた。
みに魈重
はあ、と思わずため息がこぼれる。目の前の仙人が顔を上げた。
「どうした」
「いえ、魈さま、筋肉あって羨ましいなと」
魈が吐息に笑いを滲ませた。
「我は今のお前が好きだが」
傍に足をつけた魈に抱き寄せられる。
「抱き心地が良い」
複雑な思いを胸に、魈へと身体を預けた。
みに魈重
「魈さま、魈さま、もうお昼ですよ」
耳元で愛しい声がする。起こすつもりがあるのかないのか、囁くような声が何度も名前を呼ぶ。
温かな布団の中で腕を動かし、目の前の熱をぎゅっと抱き込む。
「わ……! もう……」
笑みを含んだ声と共に擦り寄って来る温もりに薄く笑んで瞼を開いた。
みに魈重
初めてその姿を見たとき、心臓がどくんと高く鼓動を鳴らした。
頬が熱い。頬だけじゃない、全身が熱い。
海灯祭の食事会。周りには皆がいるのに降魔大聖にしか目が行かなくて、まるでふたりきりでここにいるような感覚に陥った。
本でしか見たことのないこの感情は紛うことなき恋だった。
みに魈重
雨が降っている。
雨は根無しの水。清浄な水。
「重雲」
「へ、魈仙人!?」
傘を差して城外を歩いていたら声をかけられた。
そこにはびしょびしょの降魔大聖がひとり、和らいだ黄金を向けていた。
「見かけたものだから」
慌てて傘を渡せばおかしそうに黄金が三日月に変わった。
みに魈重
好きです。大好きです。
魈が部屋で得物の手入れをしている中、視線で告げる。
この部屋に入ることを許されるようになったけれど告白はまだだ。
「すきです」
思わず吐息になって零れた言葉に黄金色が向けられる。
「我もだ」
言葉の意味を理解すると同時に熱が意識を奪った。
みに魈重(現パロ)
「魈先輩!」
呼ばれて振り返る。最近良く付きまとってくる下級生がそこにいた。
「何か用か」
「いえ、魈先輩を見かけたので!」
にこにこと屈託なく笑う後輩にため息をつく。
「迷惑でしたか?」
「いや」
問題なのはこの少年に少なくない恋情を覚えていることだ。
みに魈重
「何故こうも通ってくるのだ、重雲」
日課の杏仁豆腐の奉納に向かえばそこには魈がいた。まさか姿を見せるなんて思ってなくて肩が跳ねる。
「えーと、魈仙人にはお世話になっているので」
嘘ではない。けれど本当のことも言っていない。
だってそうだ。
好きだなんて言えるはずがない。
みに魈重
寒い朝には身を縮めるのが常だ。
しかし、今朝は不思議と温かい。
柔らかな羽毛に顔をうずめ、ふと目を開けた。
「?」
そこには翠緑の鳥が一羽、重雲を包むように眠っていた。
太陽のような香ばしい香り。
「しょ、さま?」
くるる、と喉を鳴らすその鳥は紛うことなき恋人だった。
みに魈重
妖魔が消えたら魈も楽になるのだろうか。
そんなことを考える。
きっと重雲が生きているうちにそれが叶うことはない。
それでも敬愛と恋慕を胸にただ祈る。
どうか降魔大聖に安寧を。幸福を。
出来れば一緒に穏やかな時間が過ごせますように。
そんな夢物語のような祈りをただ繰り返す。
みに魈重
「お前を大切にしてはやれぬぞ」
告白したときに言われた言葉。
それでもぼくは頷いた。
「重雲、怪我はないか?」
それから数年。魈の警告はひっくり返った。
心配を滲ませる蜂蜜。
頷けばようやく安堵が灯る。
「無理はするな、愚か者」
こつりと額が重なる温もりが心地よかった。
みに魈重
あまり親しくない仙人に恋心を伝えるためには何が必要だろうか。
考えたところで何も思い浮かばない。
それでも好きの気持ちは膨らむばかりで辛かった。
「魈仙人……」
思わず漏れた言葉。途端に目の前に現れる人影。
「ふ、今回はどうしたのだ」
笑う仙人の表情は柔らかかった。
みに魈重
望舒旅館に戻って一番に重雲の寝顔を眺める。
美しい宝石のような薄氷色は閉ざされ、白い肌が月光のせいでなお白く輝いている。
ほう、と息をつき、肩の力を抜く。
いつからだろう。この少年を手放せなくなったのは。
重雲。唇だけで呟いて額に唇を寄せる。
全ては恋人の息災を願って。
みに魈重
夜になると妖魔が出る。
夜になると魈さまが降魔に行ってしまう。
夜になるとひとり部屋で眠ることになる。
番っていても同じ夜を過ごせる時間は少ない。
「行ってくる」
「行ってらっしゃいませ」
行かないでを閉じ込めて笑って手を振る。
今夜も額へのキスをお守りに夢へと沈む。
みに魈重
太陽のような匂い。獣の匂い。それから香木の匂い。
魈さまに抱きしめられるといろんな匂いが鼻腔を満たす。
少し高い体温と離さないと告げるような腕の力。
「……重雲」
あまくかすれた声で呼ばれるぼくの名前。
首筋に感じる髪のくすぐったさ。
ぼくはこの瞬間が一番好きだ。
みに魈重
方士は取るに足らない。
その言葉に怒りを覚えたのも事実。
けれど、あなたの背負うものを考えれば当然の言葉だと今なら分かる。
敬愛は恋慕に融け、この心にあるのは魈さまへの愛だけ。
取るに足らなくてもいい。愛する人の苦痛を僅かにでも取り除けるのならどんな言葉も受け入れよう。
みに魈重
どんなに深く愛してもあなたの一番にはなれない。
降魔大聖の名と使命は国を守るためのものだから。
「魈さま」
「ん、どうかしたのか」
それでも愛して止まないのはあなたの声が優しくて、触れる指先が温かくて、瞳が愛に蕩けているから。
「大好きです」
「ああ、我も」
それだけで十分だ。
みに魈重
魈さまの傍にいると何故か純陽が暴走しない。
暑くなっても、辛いものを食べてもぼくのままでいられる。
それを告げたら酷く複雑そうな顔をされた。
「業障のせいだろう」
たった一言。それで表情の理由を知る。黙り込めば魈さまが笑った。
「お前の役に立てているのなら悪くない」
みに魈重
清心の花が好き。その香りは恋人を思い起こさせるから。
太陽に透かした石珀が好き。その色は好きな人の瞳の色に似ているから。
甘い杏仁豆腐が好き。愛する人が愛する料理だから。
「魈さま、お慕いしております」
魈さまが好き。それはぼくの全てを捧げてもいいくらい愛しているひと。
みに魈重
本当は好きだと言いたかった。
この気持ちは尊敬だけでは成り立ってなくて、確かな恋慕が混ざっているのだと気付いてしまった。
それでも口にしてしまえばきっとあなたは困るだろうから。
「降魔大聖、こんばんは」
「ああ」
恋心に鍵をかけたまま、あなたと言葉を交わせる幸福に縋る。
みに魈重
アオギリの葉で蝶を作るように重雲への想いを丁寧に伝えてきた。
名前で呼んでもらえるまでにおよそ一年。
愛されているのだと自惚れさせるまでにおよそ三年。
「番になってほしい」
「はい……!」
共に生きると誓うまでにおよそ五年。
契約書代わりのくちづけはただただ甘い。
みに魈重
「ちょううん」
舌足らずな声。弱く引かれる裾。
清々しい朝へと飛び出そうとした重雲を止めたのは魈だった。
願われるままに温もりの元へと戻り、番と体温を分け合う。
くふ、と喜びの吐息が零れる。
降魔大聖の無防備を堪能できるのは番の特権だ。
(愛おしいとはこういうことだ)
ありがとうございます!文字数少ないので気負わずに創作できて楽しいです!これからも楽しんでくれたら嬉しいです!
30.11.2024 01:12 — 👍 1 🔁 0 💬 0 📌 0