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待ってくれ4月って兜買ってないのやばくないか!?!?!?何も決めてない!!!!!!!!!!!カープの鯉のぼりだけある!!!!!!!!!!!!!

03.04.2025 11:11 — 👍 0    🔁 0    💬 0    📌 0

たばこ!!!!!!!!!!!!!
ありがとうございます!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

01.03.2025 20:34 — 👍 1    🔁 0    💬 1    📌 0

アンパンマンに嫉妬しまくってたけど実際解禁したらにっこにこで遊んでくれて可愛すぎて秒で掌返して「今年いちばん買ってよかったもの」に認定した アンパンマン様

01.03.2025 08:15 — 👍 0    🔁 0    💬 0    📌 0

ベビーゲート置いてアンパンマンのジャングルジムすべり台置いて、リビングにデザイン性とかおしゃれさとか皆無の赤ちゃんスペースになっていく😇
ゆくゆくは可愛くて豪華な木調のアスレチック遊具とかにしたいんだけどどうせアンパンマン様には勝てないんだ まだ見せてもないのにアンパンマンの勝ち確

28.02.2025 13:54 — 👍 0    🔁 0    💬 0    📌 0

可愛い!!!!からの値段6桁!!!!

18.12.2024 16:15 — 👍 0    🔁 0    💬 0    📌 0
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ha | za | ma 2025SS

定位置を忘れたセーラーバッグ

18.12.2024 13:48 — 👍 52    🔁 18    💬 0    📌 0
葉が降り注いだ。
「主さあ、前にくりすますは絶対いちごのけぇきを食べるんだって言い張ったでしょ」
「言ったっけ」
「言った。だから僕が季節的に無理だって言ってるのに、びにぃるはうすまで作らせて、今年ようやくいちごがこの時期に食べられるようになったのに」
 江のみんなでけぇきの飾りつけをして主の帰還を待ったのに、知らない男に誑かされているなんて許せないでしょ。
 そう言えば、そんなことを言ったかもしれないし、遠征に行く前の豊前が「楽しみにしてろよ」だなんて意味深長に笑っていたかもしれない。篭手切と五月雨は最近料理の得意な男士と一緒にいることが多かったし、村雲と松井はやたらと買い出しに出掛けていた。そうだ。連隊戦に桑名くんを駆り出していたら、そういえば珍しく稲葉が編成に何か文句を言っていたっけ。あれはわたしのせいでいちごの面倒も大詰めなのにということだったのだろう。思い出してみると、心当たりがあまりに多すぎた。
「ごめんなさい」
 首が圧迫されたまま、ガラガラの声で謝罪する。
「それだけじゃないよ。僕が連隊戦に行く以上、畑の雪囲いは主に手伝わせるからって

葉が降り注いだ。 「主さあ、前にくりすますは絶対いちごのけぇきを食べるんだって言い張ったでしょ」 「言ったっけ」 「言った。だから僕が季節的に無理だって言ってるのに、びにぃるはうすまで作らせて、今年ようやくいちごがこの時期に食べられるようになったのに」  江のみんなでけぇきの飾りつけをして主の帰還を待ったのに、知らない男に誑かされているなんて許せないでしょ。  そう言えば、そんなことを言ったかもしれないし、遠征に行く前の豊前が「楽しみにしてろよ」だなんて意味深長に笑っていたかもしれない。篭手切と五月雨は最近料理の得意な男士と一緒にいることが多かったし、村雲と松井はやたらと買い出しに出掛けていた。そうだ。連隊戦に桑名くんを駆り出していたら、そういえば珍しく稲葉が編成に何か文句を言っていたっけ。あれはわたしのせいでいちごの面倒も大詰めなのにということだったのだろう。思い出してみると、心当たりがあまりに多すぎた。 「ごめんなさい」  首が圧迫されたまま、ガラガラの声で謝罪する。 「それだけじゃないよ。僕が連隊戦に行く以上、畑の雪囲いは主に手伝わせるからって

約束もしてた」
「わ、忘れてた」
 桑名くんへの無茶振りも、桑名くんとの約束も、何もかも忘れていたなんて我ながら最悪過ぎる。それはさすがに、怒った彼も血のにおいをさせたままで乗り込んでくるだろう。
 それにしても、ちゃんとドレスコードにだけは着替えさせたのは誰の手腕なのか。大方乱か次郎太刀あたりだろうけれど、おかげさまで潰れた蛙になりながらもわたしは眼福だ。
「最高のクリスマスプレゼント貰えたから、雪囲い頑張るね」
 気合を入れて拳を突き上げるわたしに、桑名くんは邪魔にだけはならないでねと絶対零度の声音でぴしゃりと言い放った。やっぱり今のがいちばんのプレゼントだったかもしれない。

約束もしてた」 「わ、忘れてた」  桑名くんへの無茶振りも、桑名くんとの約束も、何もかも忘れていたなんて我ながら最悪過ぎる。それはさすがに、怒った彼も血のにおいをさせたままで乗り込んでくるだろう。  それにしても、ちゃんとドレスコードにだけは着替えさせたのは誰の手腕なのか。大方乱か次郎太刀あたりだろうけれど、おかげさまで潰れた蛙になりながらもわたしは眼福だ。 「最高のクリスマスプレゼント貰えたから、雪囲い頑張るね」  気合を入れて拳を突き上げるわたしに、桑名くんは邪魔にだけはならないでねと絶対零度の声音でぴしゃりと言い放った。やっぱり今のがいちばんのプレゼントだったかもしれない。

3/3

17.12.2024 19:31 — 👍 0    🔁 0    💬 0    📌 0
致し方なく遅々として進まない足をどうにか前に動かして目的地を目指す。
 待ち合わせ場所から何を話してどうやってレストランに辿り着いたのか、憂鬱すぎてもはや記憶にもない。味わう暇もないままに相手の自慢話に適当な相槌を打っている間に、いつの間にか目の前にはデザートプレートが置かれていた。写真で見たピスタチオといちごのケーキの他に真っ白なジェラートやチョコレートケーキがクリスマスを彩っている。
「もうちょっと話がしたいから、食べたら上階の部屋に行かないか?」
「え? 話すこととかないですけど」
 このジェラートはミルクだろうか、それともヨーグルトとか、あるいは。そんなことをぼんやりと考えていると、うっかり最も避けたかった誘いの文句を口にされ、本当にうっかり本音でばっさりと拒否を示してしまった。この類の人間に正面からの否定はまずい。そう気がついたけれど、発した言葉はもう戻らない。
「あるだろう話すこと」
 にこにことした表情の上にうっすらと怒りと焦りをにじませながら、名前も曖昧な男は早口にわたしに迫る。
 今日は僕が支払いをしているんだから。僕の方が先輩なんだから。政府に口利きをし

致し方なく遅々として進まない足をどうにか前に動かして目的地を目指す。  待ち合わせ場所から何を話してどうやってレストランに辿り着いたのか、憂鬱すぎてもはや記憶にもない。味わう暇もないままに相手の自慢話に適当な相槌を打っている間に、いつの間にか目の前にはデザートプレートが置かれていた。写真で見たピスタチオといちごのケーキの他に真っ白なジェラートやチョコレートケーキがクリスマスを彩っている。 「もうちょっと話がしたいから、食べたら上階の部屋に行かないか?」 「え? 話すこととかないですけど」  このジェラートはミルクだろうか、それともヨーグルトとか、あるいは。そんなことをぼんやりと考えていると、うっかり最も避けたかった誘いの文句を口にされ、本当にうっかり本音でばっさりと拒否を示してしまった。この類の人間に正面からの否定はまずい。そう気がついたけれど、発した言葉はもう戻らない。 「あるだろう話すこと」  にこにことした表情の上にうっすらと怒りと焦りをにじませながら、名前も曖昧な男は早口にわたしに迫る。  今日は僕が支払いをしているんだから。僕の方が先輩なんだから。政府に口利きをし

てあげられる知人なんて僕くらいしかいないだろう。いつも面倒を見てやっているのに。云々。確かにそうだねという内容とちょっと何を言っているのかわからない内容を織り交ぜながらわたしを部屋に誘うのに必死な男からとりあえず一旦避難しようと御手洗と嘯いて席を立つ。背中越しに憤慨しているのがわかったけれど、さすがに厠に着いてくるほど理性を失ってはいなかったらしい。そそくさとレストランを出てきょろきょろと逃げ場を探していると、正面からやたらと見覚えのあるシルエットがこちらへ向かっていた。
 見たことのないセミフォーマルなセットアップの装いは高い身長によく映えて、どれだけ気合いの入った他人のクリスマスの衣装だろうと霞ませている。だけど、血が香る。さっきまで命のやり取りをしていたのだと険しい表情とその血の香りが如実に語る。
「あるじ」
 畑仕事をしているときののんびりとした気性は姿を隠し、剣呑な雰囲気が髪の毛の隙間からぎらりと覗いていた。その雰囲気に気圧されて、思わずはい、と返事をしながら背筋を正す。桑名くん、なんでこんなところにいるの? だなんて、間違えても聞けそうにない。
「何を馬鹿なことをしているの?」

てあげられる知人なんて僕くらいしかいないだろう。いつも面倒を見てやっているのに。云々。確かにそうだねという内容とちょっと何を言っているのかわからない内容を織り交ぜながらわたしを部屋に誘うのに必死な男からとりあえず一旦避難しようと御手洗と嘯いて席を立つ。背中越しに憤慨しているのがわかったけれど、さすがに厠に着いてくるほど理性を失ってはいなかったらしい。そそくさとレストランを出てきょろきょろと逃げ場を探していると、正面からやたらと見覚えのあるシルエットがこちらへ向かっていた。  見たことのないセミフォーマルなセットアップの装いは高い身長によく映えて、どれだけ気合いの入った他人のクリスマスの衣装だろうと霞ませている。だけど、血が香る。さっきまで命のやり取りをしていたのだと険しい表情とその血の香りが如実に語る。 「あるじ」  畑仕事をしているときののんびりとした気性は姿を隠し、剣呑な雰囲気が髪の毛の隙間からぎらりと覗いていた。その雰囲気に気圧されて、思わずはい、と返事をしながら背筋を正す。桑名くん、なんでこんなところにいるの? だなんて、間違えても聞けそうにない。 「何を馬鹿なことをしているの?」

「馬鹿なことって」
「主が中途半端に流されて綺麗に断らないから、主よりも馬鹿な男が付け上がって馬鹿な勘違いをしているんじゃないの?」
 馬鹿、馬鹿と人を罵倒する単語を連呼する彼が本当に桑名くんなのか疑わしくなるけれど、これは正真正銘うちの本丸の桑名くんだ。わたしが間違えるはずがない。
「心配して迎えに来てくれたの?」
「主までつけあがらないでよねぇ」
 辛辣な言葉を吐き捨てて、されど桑名くんはわたしではなくわたしが歩いてきた方向をじとりと睨んだ。
「おーい」
 程よく酒に酔った男が、中々戻らないわたしを探して店を出てきてしまったらしい。おーいと彼はまたわたしを呼んで、きょろきょろと辺りを見回した。その油断しきった姿にのらりくらりと桑名くんが近づいていく。
「うわぁ!」
 男の驚いたような悲鳴がこだますると同時に、彼は易々と首を捕まれ壁に叩きつけられていた。そんなことをやってのけた桑名くんは、視線で刺し殺せるほど冷たい空気を

「馬鹿なことって」 「主が中途半端に流されて綺麗に断らないから、主よりも馬鹿な男が付け上がって馬鹿な勘違いをしているんじゃないの?」  馬鹿、馬鹿と人を罵倒する単語を連呼する彼が本当に桑名くんなのか疑わしくなるけれど、これは正真正銘うちの本丸の桑名くんだ。わたしが間違えるはずがない。 「心配して迎えに来てくれたの?」 「主までつけあがらないでよねぇ」  辛辣な言葉を吐き捨てて、されど桑名くんはわたしではなくわたしが歩いてきた方向をじとりと睨んだ。 「おーい」  程よく酒に酔った男が、中々戻らないわたしを探して店を出てきてしまったらしい。おーいと彼はまたわたしを呼んで、きょろきょろと辺りを見回した。その油断しきった姿にのらりくらりと桑名くんが近づいていく。 「うわぁ!」  男の驚いたような悲鳴がこだますると同時に、彼は易々と首を捕まれ壁に叩きつけられていた。そんなことをやってのけた桑名くんは、視線で刺し殺せるほど冷たい空気を

放ちながらも余裕そうに立っている。
「うちの主にちょっかい掛けないでくれるかな」
 口調だけは柔らかなところが、余計に恐ろしかったのかもしれない。男はわかりました! と叫んでふらふらとしながら走って逃げ出した。そんな光景を、わたしはただぼんやりと眺めている。
「で、主はこんなところで何してるの」
 ふわふわと柔らかい口調でわたしに訊ねる桑名くんが、単にわたしを助けに来てくれたわけではないのだと悟る。迎えに来たよ。そう王子さまのように微笑んで颯爽と連れ出される展開などそもそも望んでなんていなかったけれど。
「迎えに来たよ」
 髪の毛の奥の瞳をぎらりと輝かせて、桑名くんは笑ってそう言った。え、なんて。そう聞き返そうとした瞬間に、声を発しようとした口からは「ぐぇ」と潰れた蛙のような音が漏れる。
 首元の詰まったワンピースの首根っこを掴まれて、クリスマス仕様に飾られたホテルのオシャレな廊下をずるずると引きずられる。抵抗の術もなくされるがままに血のにおいを振りまく桑名くんに引っ張られていると、上から呪詛のようにぽつぽつと文句の言

放ちながらも余裕そうに立っている。 「うちの主にちょっかい掛けないでくれるかな」  口調だけは柔らかなところが、余計に恐ろしかったのかもしれない。男はわかりました! と叫んでふらふらとしながら走って逃げ出した。そんな光景を、わたしはただぼんやりと眺めている。 「で、主はこんなところで何してるの」  ふわふわと柔らかい口調でわたしに訊ねる桑名くんが、単にわたしを助けに来てくれたわけではないのだと悟る。迎えに来たよ。そう王子さまのように微笑んで颯爽と連れ出される展開などそもそも望んでなんていなかったけれど。 「迎えに来たよ」  髪の毛の奥の瞳をぎらりと輝かせて、桑名くんは笑ってそう言った。え、なんて。そう聞き返そうとした瞬間に、声を発しようとした口からは「ぐぇ」と潰れた蛙のような音が漏れる。  首元の詰まったワンピースの首根っこを掴まれて、クリスマス仕様に飾られたホテルのオシャレな廊下をずるずると引きずられる。抵抗の術もなくされるがままに血のにおいを振りまく桑名くんに引っ張られていると、上から呪詛のようにぽつぽつと文句の言

2/3

17.12.2024 19:31 — 👍 0    🔁 0    💬 1    📌 0
印刷された本の本文の体裁で画像化されたテキストです。付記に「桑さに くりすます」、「他力本願」と記載されています。
以下は本文の内容です。

 今度の日曜日、食事に行きませんか。
 そう誘ってきた男の顔は既に記憶の中で朧気だ。確かよく演練で顔を合わせる審神者で近侍が山姥切長義だということだけは覚えているのだけれど、果たしてどうしてそんな誘いを受けるに至ったのかさえよくわからない。ここはどうですか? と、男が送って寄越したのはホテルの中にあるような格式ばったレストランで、誘いの意図がわからないままに「お金がないです」と馬鹿正直に返事を送る。自分の食事代を自分で払う気など更々なかったけれど、もし割り勘を前提とした誘いだった場合にこの店で自腹を切るのは中々痛い。
 勿論僕が持ちます。こういったお店は苦手ではないですか? この季節は本場で修行したパティシエのデザートが食べられるみたいです。
 調べ尽くして行く気満々の返答を寄越され、送られてきた写真をちらりと見遣る。ピスタチオといちごのケーキは、先程遠征へと送り出した刀剣男士を思い起こさせた。
 まあ、奢ってもらって良いご飯が食べられるならそれでいいか。投げやりな気持ちで行きますとだけ送り、向こうが時間と場所を指定してくるのに身を任せる。
 今度の日曜日、何か予定がないわけではなかったかと今更ながらに記憶を掘り起こすけれど、特に何も思い至らない。第一部隊を連隊戦へと送り込んで、第二部隊をその待

印刷された本の本文の体裁で画像化されたテキストです。付記に「桑さに くりすます」、「他力本願」と記載されています。 以下は本文の内容です。  今度の日曜日、食事に行きませんか。  そう誘ってきた男の顔は既に記憶の中で朧気だ。確かよく演練で顔を合わせる審神者で近侍が山姥切長義だということだけは覚えているのだけれど、果たしてどうしてそんな誘いを受けるに至ったのかさえよくわからない。ここはどうですか? と、男が送って寄越したのはホテルの中にあるような格式ばったレストランで、誘いの意図がわからないままに「お金がないです」と馬鹿正直に返事を送る。自分の食事代を自分で払う気など更々なかったけれど、もし割り勘を前提とした誘いだった場合にこの店で自腹を切るのは中々痛い。  勿論僕が持ちます。こういったお店は苦手ではないですか? この季節は本場で修行したパティシエのデザートが食べられるみたいです。  調べ尽くして行く気満々の返答を寄越され、送られてきた写真をちらりと見遣る。ピスタチオといちごのケーキは、先程遠征へと送り出した刀剣男士を思い起こさせた。  まあ、奢ってもらって良いご飯が食べられるならそれでいいか。投げやりな気持ちで行きますとだけ送り、向こうが時間と場所を指定してくるのに身を任せる。  今度の日曜日、何か予定がないわけではなかったかと今更ながらに記憶を掘り起こすけれど、特に何も思い至らない。第一部隊を連隊戦へと送り込んで、第二部隊をその待

機に、第三から第五部隊は遠征へ。きっとそんな日常と何も変わらなかったはずだ。
 桑名くんを第一部隊に編成している都合上、笹貫が不本意そうな顔をして近侍として控えている。一応予定だけ伝えておこうかと日曜日に一食奢られてくる旨を告げると、彼は「じゃあドレスコード用意しなきゃね」と思案顔になった。そうか、格式ばったレストランということは、普段着では駄目なのか。当たり前の事実にはじめて気がついて、それも笹貫に任せると丸投げて連隊戦の報酬までのノルマの残りを数えはじめる。わたしが真剣な顔で指折り数えはじめたからだろう、何か言いたげだった笹貫もそれ以上追求はしてこなかった。


 日曜日。男性審神者にホテルディナーを奢られる当日。笹貫と次郎太刀、乱藤四郎に歌仙兼定という謎のメンツによってわたしの装いが整えられていく。せっかくのグリーンのインナーカラーはそれがあまり目立たないように編み込まれ、パーティーヘアに。笹貫が用意したという黄色のワンピースにオリーブグリーンのパンプスを合わせられ、バッグもアクセサリーもそれぞれ勝手に決められていた。
「ここまでする必要ある?」

機に、第三から第五部隊は遠征へ。きっとそんな日常と何も変わらなかったはずだ。  桑名くんを第一部隊に編成している都合上、笹貫が不本意そうな顔をして近侍として控えている。一応予定だけ伝えておこうかと日曜日に一食奢られてくる旨を告げると、彼は「じゃあドレスコード用意しなきゃね」と思案顔になった。そうか、格式ばったレストランということは、普段着では駄目なのか。当たり前の事実にはじめて気がついて、それも笹貫に任せると丸投げて連隊戦の報酬までのノルマの残りを数えはじめる。わたしが真剣な顔で指折り数えはじめたからだろう、何か言いたげだった笹貫もそれ以上追求はしてこなかった。  日曜日。男性審神者にホテルディナーを奢られる当日。笹貫と次郎太刀、乱藤四郎に歌仙兼定という謎のメンツによってわたしの装いが整えられていく。せっかくのグリーンのインナーカラーはそれがあまり目立たないように編み込まれ、パーティーヘアに。笹貫が用意したという黄色のワンピースにオリーブグリーンのパンプスを合わせられ、バッグもアクセサリーもそれぞれ勝手に決められていた。 「ここまでする必要ある?」

「何言ってるの。あるでしょ」
 いつもの赤色を禁じられた「これ本当に色ついてる?」とい聞きたくなるような化粧は、されど黒々とした睫毛や橙に近いリップで華やかに仕上げられ、鏡に映るわたしは最早別人のようだ。そんな感想を抱くわたしのことなどまるで知らないとばかりに、襖の向こう側ではキャッキャとはしゃいだ短刀たちが駆けている。まるで何かイベントがある日のような騒がしさだ。
「えっ。ていうか、もしかしてさぁ」
 この場にいる唯一の短刀は、はしゃがず騒がずじとりとわたしを据わった目で見ている。はぁ、と盛大なため息すら聞こえてきそうなそのようすで乱は口を開いた。
「主さん、もしかして今日が何の日か知らない?」
「えっ、さすがにそれはありえないでしょ」
「えっ、そんなわけないじゃない」
「えっ、そんな話があるわけないだろう」
 乱の言葉を、笹貫も次郎も歌仙もそれぞれ否定する。えっ何の日? そう聞けなくなってしまったわたしに答えを教えるように、また部屋の前を通り掛かった先程の短刀たちがクリスマスソングを口ずさんでいた。

「何言ってるの。あるでしょ」  いつもの赤色を禁じられた「これ本当に色ついてる?」とい聞きたくなるような化粧は、されど黒々とした睫毛や橙に近いリップで華やかに仕上げられ、鏡に映るわたしは最早別人のようだ。そんな感想を抱くわたしのことなどまるで知らないとばかりに、襖の向こう側ではキャッキャとはしゃいだ短刀たちが駆けている。まるで何かイベントがある日のような騒がしさだ。 「えっ。ていうか、もしかしてさぁ」  この場にいる唯一の短刀は、はしゃがず騒がずじとりとわたしを据わった目で見ている。はぁ、と盛大なため息すら聞こえてきそうなそのようすで乱は口を開いた。 「主さん、もしかして今日が何の日か知らない?」 「えっ、さすがにそれはありえないでしょ」 「えっ、そんなわけないじゃない」 「えっ、そんな話があるわけないだろう」  乱の言葉を、笹貫も次郎も歌仙もそれぞれ否定する。えっ何の日? そう聞けなくなってしまったわたしに答えを教えるように、また部屋の前を通り掛かった先程の短刀たちがクリスマスソングを口ずさんでいた。

「あっ、クリスマス」
 思い出した二十四日という日付にそう答えを口にすると、鏡越しに見る四振りの顔があからさまにしかめられる。どんびきですとマッキーペンで書いていそうなその表情が並ぶ中で、代表して口を開いたのは笹貫だった。
「クリスマスデートってやつでしょ。主はともかく、相手からしたら」
 わたしはともかくって何だ。そう言える雰囲気ではなく口を閉ざして、そうかクリスマスだったかと納得した振りをしてしきりに頷いておく。そりゃピスタチオといちごなんてクリスマスカラーのケーキも出てくるわ。わたしのその言葉は全員に聞こえないふりをされ、霧散するように消えた。
 やたらと気合いの入った装いの理由に気がついた途端に、気持ちはどんよりと沈む。目的地に向かう足取りもさぞ重たいことだろう。
「今からキャンセルとか」
「できるわけないでしょ」
 高い食事を奢られるにしても急激に行くのが面倒になり、どうやって断ろうかと思案するわたしは乱にあっさりと両断される。非常に行きたくない。されど刻々と待ち合わせ時刻は迫り、わたしのことを飾りつけた彼らがドタキャンなんてことを許す訳もなく、

「あっ、クリスマス」  思い出した二十四日という日付にそう答えを口にすると、鏡越しに見る四振りの顔があからさまにしかめられる。どんびきですとマッキーペンで書いていそうなその表情が並ぶ中で、代表して口を開いたのは笹貫だった。 「クリスマスデートってやつでしょ。主はともかく、相手からしたら」  わたしはともかくって何だ。そう言える雰囲気ではなく口を閉ざして、そうかクリスマスだったかと納得した振りをしてしきりに頷いておく。そりゃピスタチオといちごなんてクリスマスカラーのケーキも出てくるわ。わたしのその言葉は全員に聞こえないふりをされ、霧散するように消えた。  やたらと気合いの入った装いの理由に気がついた途端に、気持ちはどんよりと沈む。目的地に向かう足取りもさぞ重たいことだろう。 「今からキャンセルとか」 「できるわけないでしょ」  高い食事を奢られるにしても急激に行くのが面倒になり、どうやって断ろうかと思案するわたしは乱にあっさりと両断される。非常に行きたくない。されど刻々と待ち合わせ時刻は迫り、わたしのことを飾りつけた彼らがドタキャンなんてことを許す訳もなく、

昨年のクリスマスプレゼントに強請られた桑さに 1/3 #文庫ページメーカー https://sscard.monokakitools.net/pagemakers/bunko/index.php

17.12.2024 19:30 — 👍 0    🔁 0    💬 1    📌 0

可愛いけど本物のつり革家にあるから好きなバッグでこれできるはず

13.12.2024 10:52 — 👍 0    🔁 0    💬 0    📌 0
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は | ざ | ま。新作

ニート吊り革ハンドバッグ

※アパレルブランド「 ha | za | ma 」の2ndラインです。

13.12.2024 10:26 — 👍 13    🔁 3    💬 0    📌 2
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は | ざ | ま。新作

ニートネクタイピン

※アパレルブランド「 ha | za | ma 」の2ndラインです。

10.12.2024 12:23 — 👍 16    🔁 6    💬 1    📌 0

経年真価ワンピやっぱ可愛過ぎるて

09.12.2024 15:20 — 👍 0    🔁 0    💬 0    📌 0
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は | ざ | ま。新作

経年真価のワンピース<denim ver.>

※アパレルブランド「 ha | za | ma 」の2ndラインです。

09.12.2024 12:27 — 👍 36    🔁 10    💬 0    📌 1
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ほら学生時代に恋人と相合傘で下校してる時に永遠を誓い合った記憶が思い起こされるでしょう?

これはあの想い出を形にしたワンピースなんですよ。

え?そんな記憶が一切ない?うん僕も一切ない

けど超絶可愛いワンピースだから許してくれ

08.12.2024 07:03 — 👍 22    🔁 7    💬 0    📌 0
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ha | za | ma 2025SS

定位置を忘れたルージュ

04.12.2024 13:08 — 👍 50    🔁 27    💬 0    📌 7

これは鞄のサイズ感がわかりやすそうな写真

03.12.2024 12:53 — 👍 22    🔁 3    💬 0    📌 0
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ha | za | ma 2025SS

羽ばたく天命のワンピース
堕ちゆく天命のワンピース

01.12.2024 12:00 — 👍 22    🔁 6    💬 0    📌 1
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ha | za | ma 2025SS

祈跡的輝石の巻きスカート

01.12.2024 04:31 — 👍 31    🔁 6    💬 0    📌 1

袖可愛いな!?

29.11.2024 12:56 — 👍 0    🔁 0    💬 0    📌 0
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ha | za | ma 2025SS

自己神告の学ラン

29.11.2024 12:21 — 👍 29    🔁 10    💬 0    📌 1

すき

29.11.2024 12:55 — 👍 0    🔁 0    💬 0    📌 0
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このケープとキャミワンピのセットアップ、弊社スタッフもモデルさんも全員好きだったんですけどいかがでしょうか?

29.11.2024 08:59 — 👍 25    🔁 10    💬 1    📌 1
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ha | za | ma 2025SS

白く、黒く、青い春のセットアップ(ケープ/キャミソールワンピース)

28.11.2024 13:08 — 👍 45    🔁 16    💬 0    📌 1

そんなんフルブラックもあるに決まってるだろうがよ(爪だけ赤いのは避けられない運命として)

28.11.2024 13:01 — 👍 65    🔁 27    💬 0    📌 7

本日21時より ha | za | ma 2025SS の新作発表を開始します.

28.11.2024 03:25 — 👍 17    🔁 5    💬 1    📌 2

見つかりました😳

24.11.2024 10:22 — 👍 0    🔁 0    💬 0    📌 0
 わたしを見てにかっと笑うエプロン姿の豊前くん。エプロンなんて持っていたのか。はじめて見たそれに突っ込むことも忘れて、ダイニングテーブルの上の光景にびっくりして目を見開く。綺麗に片付けられたテーブルの上には、朝ごはんと思しきものが並んでいた。
「どうしたの、これ」
「掃除して時間余ったから朝飯作ってみた。つっても、パンとウインナー焼いただけだけど」
 卵も焼きたかったんだけど自信なくってよ。と、そう彼が言うから「卵だけじゃあわたしがすぐ焼くよ」とキッチンに立ってまたびっくりする。
 見て見ぬふりしていたシンクの水垢も、レンジの汚れも、トースターのパンカスも、IHの油はねも、何もない。ぴかぴかのキッチンだ。ウインナーを焼いた小さいフライパンだけがぽつんとIHに取り残されている。
「えっ掃除って」
「今朝早起きしてできるだけやるって俺言ったろ?」

 わたしを見てにかっと笑うエプロン姿の豊前くん。エプロンなんて持っていたのか。はじめて見たそれに突っ込むことも忘れて、ダイニングテーブルの上の光景にびっくりして目を見開く。綺麗に片付けられたテーブルの上には、朝ごはんと思しきものが並んでいた。 「どうしたの、これ」 「掃除して時間余ったから朝飯作ってみた。つっても、パンとウインナー焼いただけだけど」  卵も焼きたかったんだけど自信なくってよ。と、そう彼が言うから「卵だけじゃあわたしがすぐ焼くよ」とキッチンに立ってまたびっくりする。  見て見ぬふりしていたシンクの水垢も、レンジの汚れも、トースターのパンカスも、IHの油はねも、何もない。ぴかぴかのキッチンだ。ウインナーを焼いた小さいフライパンだけがぽつんとIHに取り残されている。 「えっ掃除って」 「今朝早起きしてできるだけやるって俺言ったろ?」

 何それ、聞いていない。たぶんわたしが寝落ちしたあとのことだろう。家事からが前戯だよなんてふざけたことを言ったかもしれない記憶だけがぼんやりとあるから、たぶん豊前くんのなかではそれを絶賛遂行中なのだ。
 普段はキッチンの掃除なんて頼まないと気がついてくれないのに、わたしがなかなか掃除しないトースター周りまで掃除している丁寧さが何とも言えない。
「食べ終わったらわたし床掃除しようかな」
「ん? いや、俺がやるから、先シャワー浴びたり着替えたりしてこいよ」
「じゃあお言葉に甘えて、そのついでにお風呂だけ磨こうかな」
「排水溝もやりてーから、俺やるって」
「えっそんな全部やらなくっても良いんだけど」
 わたしとて休みだ。たまった家事くらい分担してしかるべきだろう。それなのに、やたらと甘ったるい赤い瞳にうっとりと見つめられて思わず黙ってしまう。
「まぁゆっくりしてろって。久々の休みだろ」
 優しい声音の優しい言葉。その言葉に甘えることにどうしても少しばかり抵抗

 何それ、聞いていない。たぶんわたしが寝落ちしたあとのことだろう。家事からが前戯だよなんてふざけたことを言ったかもしれない記憶だけがぼんやりとあるから、たぶん豊前くんのなかではそれを絶賛遂行中なのだ。  普段はキッチンの掃除なんて頼まないと気がついてくれないのに、わたしがなかなか掃除しないトースター周りまで掃除している丁寧さが何とも言えない。 「食べ終わったらわたし床掃除しようかな」 「ん? いや、俺がやるから、先シャワー浴びたり着替えたりしてこいよ」 「じゃあお言葉に甘えて、そのついでにお風呂だけ磨こうかな」 「排水溝もやりてーから、俺やるって」 「えっそんな全部やらなくっても良いんだけど」  わたしとて休みだ。たまった家事くらい分担してしかるべきだろう。それなのに、やたらと甘ったるい赤い瞳にうっとりと見つめられて思わず黙ってしまう。 「まぁゆっくりしてろって。久々の休みだろ」  優しい声音の優しい言葉。その言葉に甘えることにどうしても少しばかり抵抗

があるのは、たぶん、その後のことを本能的に推察してしまったからだ。
 家事からが前戯だとかいうわたしのふざけた言葉を忠実に進行中の豊前くん。その丁寧さがこれからの情事にも反映されるのはきっと間違いない。でろでろのどろどろに甘やかされて、いったい何時間彼の腕のなかにいることになるのか。
 わたしとて、期待していないわけではない。はやく触れ合いたいとも思う。だけど、そわそわしてぞくぞくする。豊前くんの瞳に潜んだ熱の温度は凄まじく高くて、まだまともに触れてもいないのに既に身を焦がされているような気さえした。

があるのは、たぶん、その後のことを本能的に推察してしまったからだ。  家事からが前戯だとかいうわたしのふざけた言葉を忠実に進行中の豊前くん。その丁寧さがこれからの情事にも反映されるのはきっと間違いない。でろでろのどろどろに甘やかされて、いったい何時間彼の腕のなかにいることになるのか。  わたしとて、期待していないわけではない。はやく触れ合いたいとも思う。だけど、そわそわしてぞくぞくする。豊前くんの瞳に潜んだ熱の温度は凄まじく高くて、まだまともに触れてもいないのに既に身を焦がされているような気さえした。

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24.11.2024 18:55 — 👍 1    🔁 0    💬 0    📌 0
印刷された本の本文の体裁で画像化されたテキストです。付記に「ぶぜさに現パロ同棲」、「他力本願」と記載されています。
以下は本文の内容です。

 明日は随分と久しぶりの休日だった。
 繁忙期に急な社内システムのトラブル。同僚の病欠。そんなものに立て続けに遭い、連勤の日数は両手の指で足りなくなった頃に数えることをやめてしまった。部長に何とか規定に沿うように数ヶ月分とボーナスで調整すると言われた残業時間も随分なことになっている。今日定時で帰ることができたのも本当に随分久しぶりのことだった。
 だけど忙しかったのはわたしだけではない。同居人である豊前くんもまた、会社が決算期であることからとてつもなく忙しくしていた。そんな彼も、明日はおそらく久しぶりの休日だ。豊前くんの場合は休日でも付き合いのゴルフや飲み会が入りがちだけれど、明日はそれもないらしい。
 どちらともなく冷蔵庫からお酒を取りだして、缶のままかつんとぶつけて乾杯をする。夕飯はスーパーのお惣菜コーナーで買ってきたものだけだ。ご飯を作る気力などあるわけがなかった。
 炊事だけではない。掃除もほとんどまともにやれていないから、家の中は荒れ

印刷された本の本文の体裁で画像化されたテキストです。付記に「ぶぜさに現パロ同棲」、「他力本願」と記載されています。 以下は本文の内容です。  明日は随分と久しぶりの休日だった。  繁忙期に急な社内システムのトラブル。同僚の病欠。そんなものに立て続けに遭い、連勤の日数は両手の指で足りなくなった頃に数えることをやめてしまった。部長に何とか規定に沿うように数ヶ月分とボーナスで調整すると言われた残業時間も随分なことになっている。今日定時で帰ることができたのも本当に随分久しぶりのことだった。  だけど忙しかったのはわたしだけではない。同居人である豊前くんもまた、会社が決算期であることからとてつもなく忙しくしていた。そんな彼も、明日はおそらく久しぶりの休日だ。豊前くんの場合は休日でも付き合いのゴルフや飲み会が入りがちだけれど、明日はそれもないらしい。  どちらともなく冷蔵庫からお酒を取りだして、缶のままかつんとぶつけて乾杯をする。夕飯はスーパーのお惣菜コーナーで買ってきたものだけだ。ご飯を作る気力などあるわけがなかった。  炊事だけではない。掃除もほとんどまともにやれていないから、家の中は荒れ

放題になっている。久々にふたりで座ったダイニングテーブルにも、ポストに入っていたチラシやら栄養ドリンクの空の瓶やらが散らばっていた。
 明日はゆっくり休もうね。そうふたりで決めてゆっくりご飯を食べ、熱いお風呂に浸かり、同じ時間にベッドに入った。同時に寝室へ行くことすらも久しぶりだ。ここ最近は、寝る支度ができた方からさっさと寝るようにしていた。
 本当に、余裕なんてなかった。だから彼氏である豊前くんと触れ合うのも、同棲しているというのにとてつもなく久しぶりだ。
 わたしのよりもずっと大きな手をぎゅっと握れば、なん、と言いながら豊前くんが反対の手でわたしの頭を撫でてくれる。しあわせだな。そう思いながら目を閉じる。もう目も開けられないくらいにはひどく眠たい。疲労が限界値を突破していた。このまま幸福感に包まれて、自然に起きるまで眠りこけよう。そう思いながらほとんど寝落ちしていたというのに、唇に触れる熱で少しばかり覚醒した。
 ちゅ、ちゅ。唇を何度も啄み、リップ音が小さく響く。夢かと思ったけど、多分まだぎりぎり現実の話だ。

放題になっている。久々にふたりで座ったダイニングテーブルにも、ポストに入っていたチラシやら栄養ドリンクの空の瓶やらが散らばっていた。  明日はゆっくり休もうね。そうふたりで決めてゆっくりご飯を食べ、熱いお風呂に浸かり、同じ時間にベッドに入った。同時に寝室へ行くことすらも久しぶりだ。ここ最近は、寝る支度ができた方からさっさと寝るようにしていた。  本当に、余裕なんてなかった。だから彼氏である豊前くんと触れ合うのも、同棲しているというのにとてつもなく久しぶりだ。  わたしのよりもずっと大きな手をぎゅっと握れば、なん、と言いながら豊前くんが反対の手でわたしの頭を撫でてくれる。しあわせだな。そう思いながら目を閉じる。もう目も開けられないくらいにはひどく眠たい。疲労が限界値を突破していた。このまま幸福感に包まれて、自然に起きるまで眠りこけよう。そう思いながらほとんど寝落ちしていたというのに、唇に触れる熱で少しばかり覚醒した。  ちゅ、ちゅ。唇を何度も啄み、リップ音が小さく響く。夢かと思ったけど、多分まだぎりぎり現実の話だ。

 豊前くんと触れ合うのは幸せ。幸せではあるのだけれど、とても彼のキスに応えられる元気はなかった。少量のアルコールでのほろ酔い気分とどうしようもない疲労で、もう目を開けることすらもできない。
 さすが、体力があり過ぎる。男女の違いもあるし、わたしはインドア派の虚弱体質、豊前くんは大学までがっつり部活をやっていたごりごりの体育会系だ。からだの作りがそもそも真逆を行き過ぎている。
「だめだよ」
 あまりの眠さに、うまく喋れているかどうかもわからない。
「ぶぜんくんもたまってるのかもしれないけど、同じくらい家事もたまってるの。家事からが前戯だよ」
 本当に応える気力がなさすぎて、我ながら何を言っているのかもよくわからない拒否だった。情緒もなければ面白くもない。全然品もないし最悪だ。だけどわたしにちゅっちゅと口付けていた豊前くんは、そっか、と納得したようだった。
「そーだよな。部屋、やべーもんな」

 豊前くんと触れ合うのは幸せ。幸せではあるのだけれど、とても彼のキスに応えられる元気はなかった。少量のアルコールでのほろ酔い気分とどうしようもない疲労で、もう目を開けることすらもできない。  さすが、体力があり過ぎる。男女の違いもあるし、わたしはインドア派の虚弱体質、豊前くんは大学までがっつり部活をやっていたごりごりの体育会系だ。からだの作りがそもそも真逆を行き過ぎている。 「だめだよ」  あまりの眠さに、うまく喋れているかどうかもわからない。 「ぶぜんくんもたまってるのかもしれないけど、同じくらい家事もたまってるの。家事からが前戯だよ」  本当に応える気力がなさすぎて、我ながら何を言っているのかもよくわからない拒否だった。情緒もなければ面白くもない。全然品もないし最悪だ。だけどわたしにちゅっちゅと口付けていた豊前くんは、そっか、と納得したようだった。 「そーだよな。部屋、やべーもんな」

 フローリングに肉眼で見てわかるほどほこりがたまったのなんてたぶん同棲してからはじめてだ。ずっと見て見ぬフリをしてきたのは、きっとわたしだけではなかったのだろう。
「おやすみ」
 最後にたぶん額にちゅっとキスをされて、豊前くんはわたしの手をぎゅうと握ったのだと思う。曖昧なのは、もうわたしがこの辺りで意識をほとんど手放していたから。


 日が昇ってから目を覚まして伸びをすれば、隣に眠っていた豊前くんはもう起きていたらしい。時刻はまだ七時。久々の休日だと言うのに早起きだ。
 パジャマの上からカーディガンだけとりあえず羽織って、髪もボサボサのままとりあえずリビングに顔を出す。
「おはよ」

 フローリングに肉眼で見てわかるほどほこりがたまったのなんてたぶん同棲してからはじめてだ。ずっと見て見ぬフリをしてきたのは、きっとわたしだけではなかったのだろう。 「おやすみ」  最後にたぶん額にちゅっとキスをされて、豊前くんはわたしの手をぎゅうと握ったのだと思う。曖昧なのは、もうわたしがこの辺りで意識をほとんど手放していたから。  日が昇ってから目を覚まして伸びをすれば、隣に眠っていた豊前くんはもう起きていたらしい。時刻はまだ七時。久々の休日だと言うのに早起きだ。  パジャマの上からカーディガンだけとりあえず羽織って、髪もボサボサのままとりあえずリビングに顔を出す。 「おはよ」

ぶぜさに現パロ同棲 1/2 #文庫ページメーカー https://sscard.monokakitools.net/pagemakers/bunko/index.php

24.11.2024 18:55 — 👍 1    🔁 0    💬 1    📌 0

hazama展示会行きて〜〜
もう仙台やらないのかな

24.11.2024 06:44 — 👍 1    🔁 0    💬 0    📌 0

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