ネリネ's Avatar

ネリネ

@0702dl.bsky.social

成人済、悪役とおじさまが大好き。BL HL 夢何でもOK からサー、逆裁、D夢(主にファ夢)etc。たまにぬい作ります。最近シルバニアファミリーお迎えしました https://www.pixiv.net/users/16355137

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シマエナガちゃん用ドレス
#シル活

28.08.2025 11:05 — 👍 7    🔁 1    💬 0    📌 0

シークレットも当てちゃった

23.08.2025 04:03 — 👍 1    🔁 0    💬 0    📌 0
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シルバニアくじ引けました!
可愛いです
#シル活

23.08.2025 04:02 — 👍 7    🔁 1    💬 0    📌 0
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やっぱりコメダのかき氷デカイ

11.07.2025 05:03 — 👍 4    🔁 1    💬 0    📌 0
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結果はこうなりました。可愛い

04.07.2025 04:16 — 👍 5    🔁 1    💬 0    📌 0
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ゆめいろマリンシリーズ!全種類揃うといいな

04.07.2025 04:01 — 👍 2    🔁 0    💬 0    📌 0
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デミグラスオムライスおいしかった。ティラミスも
#シルバニア
#シル活

03.07.2025 13:44 — 👍 5    🔁 1    💬 0    📌 0

可愛い。しぇあしよ

03.07.2025 13:39 — 👍 1    🔁 0    💬 0    📌 0
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えびかつぱんすきなんだけどさ、それたべちゃうとほかになんもはいらなくなっちゃうんだよねぇ。
なんにんかでしぇあしたい。しぇあ。

#シル活
#シルバニア
#シルバニアのいる生活
#sylvanianfamilies

29.03.2025 09:34 — 👍 7    🔁 2    💬 0    📌 0

こうして見ると本当に元気出る

01.07.2025 07:28 — 👍 0    🔁 0    💬 0    📌 0
シルバニアファミリーのシカ、ショコラウサギ、クマの赤ちゃんが窓辺で「6月も生きててえらかったね〜!」 「7月も生きててえらいって言い続けるからね〜!」 「一緒に生きていこうね〜!」と褒めてくれています。

シルバニアファミリーのシカ、ショコラウサギ、クマの赤ちゃんが窓辺で「6月も生きててえらかったね〜!」 「7月も生きててえらいって言い続けるからね〜!」 「一緒に生きていこうね〜!」と褒めてくれています。

「6月も生きててえらかったね〜!」 「7月も生きててえらいって言い続けるからね〜!」 「一緒に生きていこうね〜!」

01.07.2025 00:23 — 👍 36    🔁 2    💬 0    📌 0
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#シルバニア
#シル活

28.06.2025 13:53 — 👍 4    🔁 1    💬 0    📌 0
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喫茶店にて
#シル活

25.06.2025 11:51 — 👍 8    🔁 1    💬 0    📌 0
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赤ちゃんカラフルウサギコスチューム再販してた!!この子手に入れた嬉しい!

22.06.2025 11:44 — 👍 2    🔁 0    💬 0    📌 0
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一目惚れしてお迎えしてしまった

03.06.2025 08:24 — 👍 2    🔁 0    💬 0    📌 0
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ミニハット作ってみました
#シルバニアファミリー
#シル活

29.05.2025 14:33 — 👍 14    🔁 1    💬 0    📌 0
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#シルバニアファミリー
ひつじの女の子お迎えしました

29.05.2025 13:58 — 👍 10    🔁 0    💬 0    📌 0
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ファシリエのぬい完成!

11.05.2025 13:48 — 👍 1    🔁 0    💬 0    📌 0

明けましておめでとうございます‼️

04.01.2025 08:01 — 👍 1    🔁 0    💬 0    📌 0
印刷された本の本文の体裁で画像化されたテキストです。付記に「嘘つき彼とのデート」、「ネリネ」と記載されています。
以下は本文の内容です。

『今年の冬、ついにあのアトラクションがオープン!』

何気なしに付けたテレビからそのようなコマーシャルが流れた。ハッとしてカレンダーを見ると、もう十二月。一年前からネットで話題になっていたテーマパークのジェットコースターでわたしも興味があった。まだかまだかと待ちわびて、あっという間にこの日がきたんだ。わくわくして赤ペンを握りしめ予定を確認する。どの日に行こうかと考えたところで手が止まる。あの人は一緒に来てくれるだろうか? 彼と一緒に行くことを前提に考えてしまったが、時期的に彼の苦手なクリスマスと被るから来ないということも……いや、そもそも彼が素直に行く姿がまったく想像がつかない。以前、一緒に買い物に行くか聞いても「何故だ?」から始まり、小言の一つや二つは必ず言われる。

「……」

そんな彼の言動を思い返すうちに自然と苦虫を噛み潰した顔になっているのが分かった。軽くパンッと両頬を叩いて元の顔に戻す。切り替えよう。もし、行かないと言ったら一人で行く計画すればいい。当たって砕ける気持ちで彼の家に向かった。

印刷された本の本文の体裁で画像化されたテキストです。付記に「嘘つき彼とのデート」、「ネリネ」と記載されています。 以下は本文の内容です。 『今年の冬、ついにあのアトラクションがオープン!』 何気なしに付けたテレビからそのようなコマーシャルが流れた。ハッとしてカレンダーを見ると、もう十二月。一年前からネットで話題になっていたテーマパークのジェットコースターでわたしも興味があった。まだかまだかと待ちわびて、あっという間にこの日がきたんだ。わくわくして赤ペンを握りしめ予定を確認する。どの日に行こうかと考えたところで手が止まる。あの人は一緒に来てくれるだろうか? 彼と一緒に行くことを前提に考えてしまったが、時期的に彼の苦手なクリスマスと被るから来ないということも……いや、そもそも彼が素直に行く姿がまったく想像がつかない。以前、一緒に買い物に行くか聞いても「何故だ?」から始まり、小言の一つや二つは必ず言われる。 「……」 そんな彼の言動を思い返すうちに自然と苦虫を噛み潰した顔になっているのが分かった。軽くパンッと両頬を叩いて元の顔に戻す。切り替えよう。もし、行かないと言ったら一人で行く計画すればいい。当たって砕ける気持ちで彼の家に向かった。

「お前があんな顔、するから」
「あんな顔?」
「……泣きそうなくせに無理して笑う顔だ」

そんな顔をしていたんだと、驚いたのと同時にそんな顔を見られていたと思うと恥ずかしさで彼の顔が見ることが出来なくなった。それでも彼は続ける。

「チケットの事を話した時もそうだった。見ないふりくらい出来たが今日は……何でだろうな、出来なかった」
「そ、そうなんですね」

いつもより優しいトーンで語る彼に何とか絞り出して返すのがやっとだった。すると突然グイッと、わたしの顔を上げられ強制的に彼の方に向けられた。

「人が話してる時によそ見はいけないな?」

「お前があんな顔、するから」 「あんな顔?」 「……泣きそうなくせに無理して笑う顔だ」 そんな顔をしていたんだと、驚いたのと同時にそんな顔を見られていたと思うと恥ずかしさで彼の顔が見ることが出来なくなった。それでも彼は続ける。 「チケットの事を話した時もそうだった。見ないふりくらい出来たが今日は……何でだろうな、出来なかった」 「そ、そうなんですね」 いつもより優しいトーンで語る彼に何とか絞り出して返すのがやっとだった。すると突然グイッと、わたしの顔を上げられ強制的に彼の方に向けられた。 「人が話してる時によそ見はいけないな?」

そういたずらっ子のようにニヤリと笑った。この人はどこまで本当なのだろうか。

「ち、ちゃんと聞いてました」
「ふっ、そうか。今日は楽しめたか?」
「はい! とても。あ、次誘う時は嘘つかないで誘ってください」
「善処しよう」

曖昧な返答に今度は私がため息をついた。

「……嘘つくつもりでしょう?」
「よく分かってるじゃないか」
「でも「一緒に行く相手がいない」って嘘は嫌です」
「っ! ……分かった」

これには「善処」とは言わなかった。お礼なんて言ったら彼は拗ねるだろうと、気づかれないように小さくありがとう、と言った。彼がどう誘うのか楽しみになった。観覧車

そういたずらっ子のようにニヤリと笑った。この人はどこまで本当なのだろうか。 「ち、ちゃんと聞いてました」 「ふっ、そうか。今日は楽しめたか?」 「はい! とても。あ、次誘う時は嘘つかないで誘ってください」 「善処しよう」 曖昧な返答に今度は私がため息をついた。 「……嘘つくつもりでしょう?」 「よく分かってるじゃないか」 「でも「一緒に行く相手がいない」って嘘は嫌です」 「っ! ……分かった」 これには「善処」とは言わなかった。お礼なんて言ったら彼は拗ねるだろうと、気づかれないように小さくありがとう、と言った。彼がどう誘うのか楽しみになった。観覧車

が降りるまで、わたしは次に行きたいところを彼に語った。

が降りるまで、わたしは次に行きたいところを彼に語った。

ラスト #文庫ページメーカー https://sscard.monokakitools.net/pagemakers/bunko/index.php

22.12.2024 13:14 — 👍 0    🔁 0    💬 0    📌 0
印刷された本の本文の体裁で画像化されたテキストです。付記に「嘘つき彼とのデート」、「ネリネ」と記載されています。
以下は本文の内容です。

『今年の冬、ついにあのアトラクションがオープン!』

何気なしに付けたテレビからそのようなコマーシャルが流れた。ハッとしてカレンダーを見ると、もう十二月。一年前からネットで話題になっていたテーマパークのジェットコースターでわたしも興味があった。まだかまだかと待ちわびて、あっという間にこの日がきたんだ。わくわくして赤ペンを握りしめ予定を確認する。どの日に行こうかと考えたところで手が止まる。あの人は一緒に来てくれるだろうか? 彼と一緒に行くことを前提に考えてしまったが、時期的に彼の苦手なクリスマスと被るから来ないということも……いや、そもそも彼が素直に行く姿がまったく想像がつかない。以前、一緒に買い物に行くか聞いても「何故だ?」から始まり、小言の一つや二つは必ず言われる。

「……」

そんな彼の言動を思い返すうちに自然と苦虫を噛み潰した顔になっているのが分かった。軽くパンッと両頬を叩いて元の顔に戻す。切り替えよう。もし、行かないと言ったら一人で行く計画すればいい。当たって砕ける気持ちで彼の家に向かった。

印刷された本の本文の体裁で画像化されたテキストです。付記に「嘘つき彼とのデート」、「ネリネ」と記載されています。 以下は本文の内容です。 『今年の冬、ついにあのアトラクションがオープン!』 何気なしに付けたテレビからそのようなコマーシャルが流れた。ハッとしてカレンダーを見ると、もう十二月。一年前からネットで話題になっていたテーマパークのジェットコースターでわたしも興味があった。まだかまだかと待ちわびて、あっという間にこの日がきたんだ。わくわくして赤ペンを握りしめ予定を確認する。どの日に行こうかと考えたところで手が止まる。あの人は一緒に来てくれるだろうか? 彼と一緒に行くことを前提に考えてしまったが、時期的に彼の苦手なクリスマスと被るから来ないということも……いや、そもそも彼が素直に行く姿がまったく想像がつかない。以前、一緒に買い物に行くか聞いても「何故だ?」から始まり、小言の一つや二つは必ず言われる。 「……」 そんな彼の言動を思い返すうちに自然と苦虫を噛み潰した顔になっているのが分かった。軽くパンッと両頬を叩いて元の顔に戻す。切り替えよう。もし、行かないと言ったら一人で行く計画すればいい。当たって砕ける気持ちで彼の家に向かった。

……結論から言うと、大丈夫じゃなかった。あの絶叫ジェットコースター、高所からの高速で縦横無尽に駆け巡って良かった。が、想像以上に酔った。彼に心配かけないようにと言った順番に乗り物に乗ったが、さすがに限界だった。ベンチに座ってうー、とうなだれる。そういえば、ファシリエさんどこ行っただろう? そう思った時、頭に何か冷たい物が当たる。ゆっくり顔を上げると、ペットボトルを差し出す彼の姿があった。

「水だ。飲んどけ」
「……あ、ありがとうございます」

受け取って少しずつ水を飲む。「ファシリエさんは大丈夫何ですか?」と聞くと、彼は平気そうにまぁな、と言ってとなりに座った。

「こんなことになって、すみませんね」
「あんなペースで乗ってダウンするだろうとは思ったが」
「……他の人ならもっと楽しめたのかな……なんて」

……結論から言うと、大丈夫じゃなかった。あの絶叫ジェットコースター、高所からの高速で縦横無尽に駆け巡って良かった。が、想像以上に酔った。彼に心配かけないようにと言った順番に乗り物に乗ったが、さすがに限界だった。ベンチに座ってうー、とうなだれる。そういえば、ファシリエさんどこ行っただろう? そう思った時、頭に何か冷たい物が当たる。ゆっくり顔を上げると、ペットボトルを差し出す彼の姿があった。 「水だ。飲んどけ」 「……あ、ありがとうございます」 受け取って少しずつ水を飲む。「ファシリエさんは大丈夫何ですか?」と聞くと、彼は平気そうにまぁな、と言ってとなりに座った。 「こんなことになって、すみませんね」 「あんなペースで乗ってダウンするだろうとは思ったが」 「……他の人ならもっと楽しめたのかな……なんて」

あぁ、またあの苦しさがやってきた。酔いの苦しさも混ざって気持ち悪い。でも笑わないと、せっかく一緒に来たんだから。ちらりと彼の方を見ると、口元を手で抑えていた。気分でも悪いのかと思ったけどそうじゃない。なんと言うか、バツの悪そうな顔をしていた。そんな彼が口を開いた。

「……あのチケットだがな」
「はい?」
「贔屓にしてる客からもらったと言ったが、……あれは嘘だ」
「えっ!?」

もう一度ファシリエさんを見ようとすると、彼は察したかのように顔を背けた。

「じゃあ、あのチケットは」
「私が買った物だ。……お前と行くためにな」

背けてどんな顔をしているか分からないが、彼の耳が赤くなっているように見えた。わ

あぁ、またあの苦しさがやってきた。酔いの苦しさも混ざって気持ち悪い。でも笑わないと、せっかく一緒に来たんだから。ちらりと彼の方を見ると、口元を手で抑えていた。気分でも悪いのかと思ったけどそうじゃない。なんと言うか、バツの悪そうな顔をしていた。そんな彼が口を開いた。 「……あのチケットだがな」 「はい?」 「贔屓にしてる客からもらったと言ったが、……あれは嘘だ」 「えっ!?」 もう一度ファシリエさんを見ようとすると、彼は察したかのように顔を背けた。 「じゃあ、あのチケットは」 「私が買った物だ。……お前と行くためにな」 背けてどんな顔をしているか分からないが、彼の耳が赤くなっているように見えた。わ

たしのためにチケット買ったのだと自然に口角が上がる。それを隠す彼がなんだかかわいく見えて苦しさがすぅ、と晴れていった。元気が出たわたしは勢いよく立ち上がった。

「さて、次はどこ行こうかな」
「気分は、良さそうだな」

はいっ! と元気に返事を返して、アトラクションを回った。時間が過ぎるのはあっという間で、いつの間にか辺りは薄暗くなっていった。最後に彼と二人で観覧車に乗った。

「観覧車なんて何年ぶりだろう」
「そうか」
「わあ、キレイ」

クリスマスが近いからかイルミネーションが点灯していて、観覧車から見る景色からでも綺麗に輝いていた。ふと、気になったことを思い出して彼に聞いてみた。

たしのためにチケット買ったのだと自然に口角が上がる。それを隠す彼がなんだかかわいく見えて苦しさがすぅ、と晴れていった。元気が出たわたしは勢いよく立ち上がった。 「さて、次はどこ行こうかな」 「気分は、良さそうだな」 はいっ! と元気に返事を返して、アトラクションを回った。時間が過ぎるのはあっという間で、いつの間にか辺りは薄暗くなっていった。最後に彼と二人で観覧車に乗った。 「観覧車なんて何年ぶりだろう」 「そうか」 「わあ、キレイ」 クリスマスが近いからかイルミネーションが点灯していて、観覧車から見る景色からでも綺麗に輝いていた。ふと、気になったことを思い出して彼に聞いてみた。

続き #文庫ページメーカー https://sscard.monokakitools.net/pagemakers/bunko/index.php

22.12.2024 13:13 — 👍 0    🔁 0    💬 0    📌 0
印刷された本の本文の体裁で画像化されたテキストです。付記に「嘘つき彼とのデート」、「ネリネ」と記載されています。
以下は本文の内容です。

『今年の冬、ついにあのアトラクションがオープン!』

何気なしに付けたテレビからそのようなコマーシャルが流れた。ハッとしてカレンダーを見ると、もう十二月。一年前からネットで話題になっていたテーマパークのジェットコースターでわたしも興味があった。まだかまだかと待ちわびて、あっという間にこの日がきたんだ。わくわくして赤ペンを握りしめ予定を確認する。どの日に行こうかと考えたところで手が止まる。あの人は一緒に来てくれるだろうか? 彼と一緒に行くことを前提に考えてしまったが、時期的に彼の苦手なクリスマスと被るから来ないということも……いや、そもそも彼が素直に行く姿がまったく想像がつかない。以前、一緒に買い物に行くか聞いても「何故だ?」から始まり、小言の一つや二つは必ず言われる。

「……」

そんな彼の言動を思い返すうちに自然と苦虫を噛み潰した顔になっているのが分かった。軽くパンッと両頬を叩いて元の顔に戻す。切り替えよう。もし、行かないと言ったら一人で行く計画すればいい。当たって砕ける気持ちで彼の家に向かった。

印刷された本の本文の体裁で画像化されたテキストです。付記に「嘘つき彼とのデート」、「ネリネ」と記載されています。 以下は本文の内容です。 『今年の冬、ついにあのアトラクションがオープン!』 何気なしに付けたテレビからそのようなコマーシャルが流れた。ハッとしてカレンダーを見ると、もう十二月。一年前からネットで話題になっていたテーマパークのジェットコースターでわたしも興味があった。まだかまだかと待ちわびて、あっという間にこの日がきたんだ。わくわくして赤ペンを握りしめ予定を確認する。どの日に行こうかと考えたところで手が止まる。あの人は一緒に来てくれるだろうか? 彼と一緒に行くことを前提に考えてしまったが、時期的に彼の苦手なクリスマスと被るから来ないということも……いや、そもそも彼が素直に行く姿がまったく想像がつかない。以前、一緒に買い物に行くか聞いても「何故だ?」から始まり、小言の一つや二つは必ず言われる。 「……」 そんな彼の言動を思い返すうちに自然と苦虫を噛み潰した顔になっているのが分かった。軽くパンッと両頬を叩いて元の顔に戻す。切り替えよう。もし、行かないと言ったら一人で行く計画すればいい。当たって砕ける気持ちで彼の家に向かった。

「いいぞ、行っても」

手慣れた手付きでタロットカードを切りながら、彼はわたしの誘いを受けた。断るどころか、何の文句もなく誘いを受けてくれると思っていなかったわたしはしばらく言葉が出なかった。夢でないかと、試しに手の甲を軽くつねってみる。じんわりと痛みを感じて、これが現実なんだとやっと理解してようやく口を開いた。

「ファシリエさん。今、行ってもいいって言いました?」
「言った」
「本当に? 後でウソでしたとか、そういうドッキリとかじゃないですよね? ほんとーに!?」

そう詰め寄ると、彼は呆れたようにため息をついて懐から一枚の封筒を出すと、ポイっとテーブルに置いた。その封筒と彼の顔を交互に見ていると彼は開けてみろ、と顎でさした。言われた通りに封を切ってみると驚いて目を見開いた。中にはわたしの行きたかったテーマパークのチケットが二枚入っていた。

「いいぞ、行っても」 手慣れた手付きでタロットカードを切りながら、彼はわたしの誘いを受けた。断るどころか、何の文句もなく誘いを受けてくれると思っていなかったわたしはしばらく言葉が出なかった。夢でないかと、試しに手の甲を軽くつねってみる。じんわりと痛みを感じて、これが現実なんだとやっと理解してようやく口を開いた。 「ファシリエさん。今、行ってもいいって言いました?」 「言った」 「本当に? 後でウソでしたとか、そういうドッキリとかじゃないですよね? ほんとーに!?」 そう詰め寄ると、彼は呆れたようにため息をついて懐から一枚の封筒を出すと、ポイっとテーブルに置いた。その封筒と彼の顔を交互に見ていると彼は開けてみろ、と顎でさした。言われた通りに封を切ってみると驚いて目を見開いた。中にはわたしの行きたかったテーマパークのチケットが二枚入っていた。

「これ、あのテーマパークの……でもどうして?」
「……贔屓にしている客からもらった物だ。私の日頃の行いが良いからな」

少し間があったが自慢げに笑みを浮かべる彼の話をへー、と相づちをうちながらまじまじとチケットを見ていた。

「ただ、私には一緒に行く相手がいない」
「……そう、ですか」
「行きたかったのだろう? なら都合がいい。連れていくから感謝し……どうした?」

えっ? と顔を上げると彼と目が合った。心配するような眼差しで彼に見つめられて何だか焦ってしまった。

「な、何ですか?」
「いや……嬉しそうに見えなかったからな」
「まさか! 嬉しいですよ。……ただ、まだ夢みたいで信じられなくて」

「これ、あのテーマパークの……でもどうして?」 「……贔屓にしている客からもらった物だ。私の日頃の行いが良いからな」 少し間があったが自慢げに笑みを浮かべる彼の話をへー、と相づちをうちながらまじまじとチケットを見ていた。 「ただ、私には一緒に行く相手がいない」 「……そう、ですか」 「行きたかったのだろう? なら都合がいい。連れていくから感謝し……どうした?」 えっ? と顔を上げると彼と目が合った。心配するような眼差しで彼に見つめられて何だか焦ってしまった。 「な、何ですか?」 「いや……嬉しそうに見えなかったからな」 「まさか! 嬉しいですよ。……ただ、まだ夢みたいで信じられなくて」

アハハ、と笑って取り繕った。彼は何か言いたげに口を開こうとしたが、つぐんで「そうか」とまたタロットカードに視線を移した。その言葉に嘘偽りはない。ファシリエさんと一緒に行くことが出来て本当に嬉しい。だけど、「ただ、私には一緒に行く相手がいない」と言った彼の声が頭から離れず、胸の奥が締め付けられるようで、苦しい。彼と別れて自宅に帰るまでその苦しさが消えることはなかった。

約束の当日、目覚まし時計の示す時刻に飛び起きた。待ち合わせの時刻まで一時間もない。昨日、目覚まし時計をかけてから寝たつもりだったが、どうやらかけ忘れていたみたいだった。昨日の自分を恨みながら急いで準備して、駆け出した。息を切らして待ち合わせの場所である駅前に着くと、すぐに彼を見つけることが出来た。黒のタートルネックにグレーのチェイスターコートを羽織った服装はシンプルながら普段よりかっこ良く見えて、ドキリとする。わたしが来たこと知ると彼はニヤリと笑った。

「ずいぶんギリギリの到着だな。楽しみで寝られなかったか?」
「そ、そんなことないですよ」
「その割には髪、乱れてるぞ」

アハハ、と笑って取り繕った。彼は何か言いたげに口を開こうとしたが、つぐんで「そうか」とまたタロットカードに視線を移した。その言葉に嘘偽りはない。ファシリエさんと一緒に行くことが出来て本当に嬉しい。だけど、「ただ、私には一緒に行く相手がいない」と言った彼の声が頭から離れず、胸の奥が締め付けられるようで、苦しい。彼と別れて自宅に帰るまでその苦しさが消えることはなかった。 約束の当日、目覚まし時計の示す時刻に飛び起きた。待ち合わせの時刻まで一時間もない。昨日、目覚まし時計をかけてから寝たつもりだったが、どうやらかけ忘れていたみたいだった。昨日の自分を恨みながら急いで準備して、駆け出した。息を切らして待ち合わせの場所である駅前に着くと、すぐに彼を見つけることが出来た。黒のタートルネックにグレーのチェイスターコートを羽織った服装はシンプルながら普段よりかっこ良く見えて、ドキリとする。わたしが来たこと知ると彼はニヤリと笑った。 「ずいぶんギリギリの到着だな。楽しみで寝られなかったか?」 「そ、そんなことないですよ」 「その割には髪、乱れてるぞ」

ファ夢 #文庫ページメーカー https://sscard.monokakitools.net/pagemakers/bunko/index.php

22.12.2024 13:11 — 👍 0    🔁 0    💬 0    📌 0
印刷された本の本文の体裁で画像化されたテキストです。付記に「風邪」、「ネリネ」と記載されています。
以下は本文の内容です。

喉の調子がおかしい。イガイガするような変な感じ、熱があるように感じない。わたしは引き出しから体温計を取り出すと脇に挟んだ。ピピッと電子音が鳴り、見ると37.3と表示されていた。

「よし、平熱」
「どこがだ?」

いつの間にかファシリエさんが隣にいて驚いてつい、ひいっ! と声を出してしまった。ファシリエさんは体温計を引ったくると、わたしの目の前に見せつけてきた。

「これが平熱だと? お前の目は節穴か? おとなしく寝ていろ」
「いーやです! これくらい平気で……ゲホッ、ゴホッ」
「咳き込んで、何が平気だ」
「こ、これはただのむせで、わたしの平熱はいつもそうなんで大丈夫です」

印刷された本の本文の体裁で画像化されたテキストです。付記に「風邪」、「ネリネ」と記載されています。 以下は本文の内容です。 喉の調子がおかしい。イガイガするような変な感じ、熱があるように感じない。わたしは引き出しから体温計を取り出すと脇に挟んだ。ピピッと電子音が鳴り、見ると37.3と表示されていた。 「よし、平熱」 「どこがだ?」 いつの間にかファシリエさんが隣にいて驚いてつい、ひいっ! と声を出してしまった。ファシリエさんは体温計を引ったくると、わたしの目の前に見せつけてきた。 「これが平熱だと? お前の目は節穴か? おとなしく寝ていろ」 「いーやです! これくらい平気で……ゲホッ、ゴホッ」 「咳き込んで、何が平気だ」 「こ、これはただのむせで、わたしの平熱はいつもそうなんで大丈夫です」

わたしの必死な熱弁は彼に届くことなく、ひょいっと担がれてベッドまで運ばれてしまう。ベッドに転がされて、乱雑にふとんを掛けられた。わたしはただただうー、と唸るしか出来なかった。

「本当に大丈夫なんですよ」
「まだ言うか」
「だって明日……っ、」

ダメだ。今、口を開いたら泣きそうになる。明日はファシリエさんと出掛ける予定だった。そのために仕事も必死に終わらせてきたのに、楽しみにしていたのに。彼は呆れるだろうか? 子供のようだとバカにするだろうか? 彼の顔を見ることが出来ない。彼はベッドの横に腰を降ろした。

「この私に看病をさせるつもりか?」
「してくれないんですか?」

わたしの必死な熱弁は彼に届くことなく、ひょいっと担がれてベッドまで運ばれてしまう。ベッドに転がされて、乱雑にふとんを掛けられた。わたしはただただうー、と唸るしか出来なかった。 「本当に大丈夫なんですよ」 「まだ言うか」 「だって明日……っ、」 ダメだ。今、口を開いたら泣きそうになる。明日はファシリエさんと出掛ける予定だった。そのために仕事も必死に終わらせてきたのに、楽しみにしていたのに。彼は呆れるだろうか? 子供のようだとバカにするだろうか? 彼の顔を見ることが出来ない。彼はベッドの横に腰を降ろした。 「この私に看病をさせるつもりか?」 「してくれないんですか?」

彼の言葉にむすっとした顔になる。嘘でも看病してやると言ってくれたらいいのに。そう思っていると彼が何かを放り投げた。

「その程度なら、早めに休んでそれ舐めておけばいい」

なんとかキャッチすると、それはのど飴だった。口にすると、甘いハチミツ味が口の中で広がる。

「それ舐めて早く寝ろ。明日、私と出掛けるんだろ?」

その言葉にはっと顔を上げて「良いんですか?」と尋ねた。

「……行かないとは言ってない」

だから早く寝ろ、とわたしの頭をわしゃわしゃ撫でると、彼は部屋を出た。一人

彼の言葉にむすっとした顔になる。嘘でも看病してやると言ってくれたらいいのに。そう思っていると彼が何かを放り投げた。 「その程度なら、早めに休んでそれ舐めておけばいい」 なんとかキャッチすると、それはのど飴だった。口にすると、甘いハチミツ味が口の中で広がる。 「それ舐めて早く寝ろ。明日、私と出掛けるんだろ?」 その言葉にはっと顔を上げて「良いんですか?」と尋ねた。 「……行かないとは言ってない」 だから早く寝ろ、とわたしの頭をわしゃわしゃ撫でると、彼は部屋を出た。一人

になってわたしの不安が杞憂だったと知り、ついにやけてしまう。ハチミツ味ののど飴を舐めながら、彼なりの優しさを噛み締めた。

になってわたしの不安が杞憂だったと知り、ついにやけてしまう。ハチミツ味ののど飴を舐めながら、彼なりの優しさを噛み締めた。

#文庫ページメーカー https://sscard.monokakitools.net/pagemakers/bunko/index.php

09.12.2024 21:11 — 👍 1    🔁 0    💬 0    📌 0
印刷された本の本文の体裁で画像化されたテキストです。付記に「酒」、「ネリネ」と記載されています。
以下は本文の内容です。

 酒というのは人の本性を知るにうってつけの代物だ。絢爛豪華な調度品を集める金持ちどもは自慢話、働けど働けど一向に楽にならない貧しい者達は愚痴を酒の肴に語る。話の方向性は違うがさらに呑ませて語るだけ語らせれば行き着く先は皆同じ、『どんなに願っても叶わぬ夢を手に入れたい』そんな欲望を口に出す。それをおだてて、さも今からでも叶うように語りかけ、力を貸すなどと言えば彼らは口を揃えてこう言う。あぁ、貴方はなんていい人だ、と。酒で思考能力が落ちた奴らは私の契約に簡単に首を縦に振り、握手を求める。それが破滅への一歩だとも知らずに。

この女もそうだろう。呑みやすい甘い酒を呑ませて彼女にささやいた。「お前の願いは何だ? 私が力になるぞ」
頬が赤らんだ彼女はヘラりとした顔でこう答えた。

「ふぁしりえさんといっしょにいたいです」

印刷された本の本文の体裁で画像化されたテキストです。付記に「酒」、「ネリネ」と記載されています。 以下は本文の内容です。  酒というのは人の本性を知るにうってつけの代物だ。絢爛豪華な調度品を集める金持ちどもは自慢話、働けど働けど一向に楽にならない貧しい者達は愚痴を酒の肴に語る。話の方向性は違うがさらに呑ませて語るだけ語らせれば行き着く先は皆同じ、『どんなに願っても叶わぬ夢を手に入れたい』そんな欲望を口に出す。それをおだてて、さも今からでも叶うように語りかけ、力を貸すなどと言えば彼らは口を揃えてこう言う。あぁ、貴方はなんていい人だ、と。酒で思考能力が落ちた奴らは私の契約に簡単に首を縦に振り、握手を求める。それが破滅への一歩だとも知らずに。 この女もそうだろう。呑みやすい甘い酒を呑ませて彼女にささやいた。「お前の願いは何だ? 私が力になるぞ」 頬が赤らんだ彼女はヘラりとした顔でこう答えた。 「ふぁしりえさんといっしょにいたいです」

……この女は何を言っているのだ? 聞こえなかったわけではない。ただ、斜め上の答えに理解が追い付かなかった。私が口を開く前に彼女は続けて言った。

「ふぁしりえさんはかっこよくてー、やさしくてー、そんなふぁしりえさんがすきだからー、いっしょにいたいです!」

そう、のたまう彼女にはぁーとため息をついた。カルーアミルク一杯でここまで出来上がるとは彼女の酒の弱さにある意味驚かされた。これでは本性どころか、まともな会話すらできないだろう。次はもう少し度数の少ない安酒でも用意するか、そう思って空になったグラスを片付けようと席を立つといきなり腕を引っ張られた。

「おいっ、離せ!」

そう怒鳴っても彼女は私の腕にしがみついて離れない。振り払おうにも彼女の両

……この女は何を言っているのだ? 聞こえなかったわけではない。ただ、斜め上の答えに理解が追い付かなかった。私が口を開く前に彼女は続けて言った。 「ふぁしりえさんはかっこよくてー、やさしくてー、そんなふぁしりえさんがすきだからー、いっしょにいたいです!」 そう、のたまう彼女にはぁーとため息をついた。カルーアミルク一杯でここまで出来上がるとは彼女の酒の弱さにある意味驚かされた。これでは本性どころか、まともな会話すらできないだろう。次はもう少し度数の少ない安酒でも用意するか、そう思って空になったグラスを片付けようと席を立つといきなり腕を引っ張られた。 「おいっ、離せ!」 そう怒鳴っても彼女は私の腕にしがみついて離れない。振り払おうにも彼女の両

腕にがっちり捕まれている。面倒な、これだから酔っぱらいは嫌いだ。今度は押し退けようとすると、彼女はポツリと呟いた。

「……ズルい、ってわかってるんです。でもつたえるゆうきがなくて、こわくて。それでもふぁしりえさんといっしょにいたいっていいたかった」
「……」

押し退ける手を止めて、酔って舌足らずな彼女の言葉をただ聞いていた。聞いた上で私は彼女に問いかけた。

「私といれば行き着く先は闇だ……それでも、私と居たいか?」

彼女は顔を上げ、私と目があった。彼女は驚いたように目を丸くしたが、すぐに目を細めて「ふぁしりえさんといっしょなら、こわくないです」とヘラりと笑うと、安心したように目を閉じた。おい、と揺すっても返ってくるのは寝息だけ、

腕にがっちり捕まれている。面倒な、これだから酔っぱらいは嫌いだ。今度は押し退けようとすると、彼女はポツリと呟いた。 「……ズルい、ってわかってるんです。でもつたえるゆうきがなくて、こわくて。それでもふぁしりえさんといっしょにいたいっていいたかった」 「……」 押し退ける手を止めて、酔って舌足らずな彼女の言葉をただ聞いていた。聞いた上で私は彼女に問いかけた。 「私といれば行き着く先は闇だ……それでも、私と居たいか?」 彼女は顔を上げ、私と目があった。彼女は驚いたように目を丸くしたが、すぐに目を細めて「ふぁしりえさんといっしょなら、こわくないです」とヘラりと笑うと、安心したように目を閉じた。おい、と揺すっても返ってくるのは寝息だけ、

まったく起きそうにない。
彼女をゆっくり抱き上げると、ベッドまで運んだ。明日はうるさく忙しい日になるだろう。頭が痛いだの、気持ち悪いだのと喚くであろうこの愛らしい酔っぱらいの介抱をしなければならないのだから。

まったく起きそうにない。 彼女をゆっくり抱き上げると、ベッドまで運んだ。明日はうるさく忙しい日になるだろう。頭が痛いだの、気持ち悪いだのと喚くであろうこの愛らしい酔っぱらいの介抱をしなければならないのだから。

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02.12.2024 17:01 — 👍 1    🔁 0    💬 0    📌 0

ありがとうございます。大丈夫ですよ。こちらも時折呟く程度ですが、よろしくお願いします!

29.11.2024 00:36 — 👍 1    🔁 0    💬 0    📌 0
印刷された本の本文の体裁で画像化されたテキストです。付記に「貴方の手」、「ネリネ」と記載されています。
以下は本文の内容です。

いえば、こんなに近くで彼の手を見るのはなかったと思う。わたしの手より一回り大きい手、細長くかつ、ゴツゴツとした指、綺麗に整えられた爪。不思議とそんな彼の手をずっと見ていたいと思えてきた。
「おい、……おい!」
「な、何ですか?」
「終わったと言ったんだ。聞いてなかったのか?」
どうやら彼の手を見とれているうちに左手の爪も綺麗に整えられたようだった。そうですか、と小さく呟いてすぐに視線をそらした。が彼には気付かれていたようでクックッと喉をならして笑った。
「そんなに私の手が好きか?」
「そういうわけじゃ」
「触ってもいいんだぞ」
ほら、と彼は右手を出して空いている手で頬杖をついた。少し躊躇するが、珍しく機嫌の良い彼の言うことを素直に聞いて手に触れる。やっぱり大きい、両手で挟んでも手に余る。指を絡ませて握ってみる。指の間から彼の手の熱が伝わって

印刷された本の本文の体裁で画像化されたテキストです。付記に「貴方の手」、「ネリネ」と記載されています。 以下は本文の内容です。 いえば、こんなに近くで彼の手を見るのはなかったと思う。わたしの手より一回り大きい手、細長くかつ、ゴツゴツとした指、綺麗に整えられた爪。不思議とそんな彼の手をずっと見ていたいと思えてきた。 「おい、……おい!」 「な、何ですか?」 「終わったと言ったんだ。聞いてなかったのか?」 どうやら彼の手を見とれているうちに左手の爪も綺麗に整えられたようだった。そうですか、と小さく呟いてすぐに視線をそらした。が彼には気付かれていたようでクックッと喉をならして笑った。 「そんなに私の手が好きか?」 「そういうわけじゃ」 「触ってもいいんだぞ」 ほら、と彼は右手を出して空いている手で頬杖をついた。少し躊躇するが、珍しく機嫌の良い彼の言うことを素直に聞いて手に触れる。やっぱり大きい、両手で挟んでも手に余る。指を絡ませて握ってみる。指の間から彼の手の熱が伝わって

くる。もっと触れたいと思っていると、彼は手を離した。
「今日はここまでだ」
「……そう、ですか」
無意識に残念そうな顔をしていたのか、「そんな顔するな」と彼は手の甲でわたしの頬を撫でた。その手つきは小動物を扱うように丁寧で優しい。彼は慈しむようにその紫の瞳を細める。
「お前と同じように、私もお前に触れていたい。が、一度求めたらもっと、と歯止めが聞かなくなる。……私はそういう男だ」

わたしの唇を指でなぞりながら低い声でそう言った。逃げるなら今だぞ、と言っているようにも聞こえた。わたしはほっとしたように「良かった」と呟いた。
「良かった?」
「だって、ファシリエさんもわたしと同じように思っていたんでしょう? わたしだけじゃないんだって思ったら安心しちゃって」
「……」

くる。もっと触れたいと思っていると、彼は手を離した。 「今日はここまでだ」 「……そう、ですか」 無意識に残念そうな顔をしていたのか、「そんな顔するな」と彼は手の甲でわたしの頬を撫でた。その手つきは小動物を扱うように丁寧で優しい。彼は慈しむようにその紫の瞳を細める。 「お前と同じように、私もお前に触れていたい。が、一度求めたらもっと、と歯止めが聞かなくなる。……私はそういう男だ」 わたしの唇を指でなぞりながら低い声でそう言った。逃げるなら今だぞ、と言っているようにも聞こえた。わたしはほっとしたように「良かった」と呟いた。 「良かった?」 「だって、ファシリエさんもわたしと同じように思っていたんでしょう? わたしだけじゃないんだって思ったら安心しちゃって」 「……」

「逃げたりしませんよ」
私の答えに彼はふっ、小さく笑って瞳を細めると、身を乗り出してわたしの唇を重ねた。それは一瞬だったけど、わたしにはとても長く感じた。呆然としているわたしの耳元でこう囁いた。
「警告はしたぞ?」
意地悪な笑みを浮かべたまま席をたった。残されたわたしは力が抜けたように机に伏せた。あんなの警告じゃない、毒だ。もっと好きになる毒。その毒が身体中に回ってクラクラする。
「……ずるい人」
この毒はまだ冷めそうにない。

「逃げたりしませんよ」 私の答えに彼はふっ、小さく笑って瞳を細めると、身を乗り出してわたしの唇を重ねた。それは一瞬だったけど、わたしにはとても長く感じた。呆然としているわたしの耳元でこう囁いた。 「警告はしたぞ?」 意地悪な笑みを浮かべたまま席をたった。残されたわたしは力が抜けたように机に伏せた。あんなの警告じゃない、毒だ。もっと好きになる毒。その毒が身体中に回ってクラクラする。 「……ずるい人」 この毒はまだ冷めそうにない。

四枚目がなかったので再度ファ夢続き #文庫ページメーカー https://sscard.monokakitools.net/pagemakers/bunko/index.php

29.11.2024 02:38 — 👍 1    🔁 0    💬 0    📌 0

あれ?四枚目がない

28.11.2024 17:36 — 👍 0    🔁 0    💬 0    📌 0

これの他にもピクシブで上げてますので、宜しければ読んでいただけるとありがたいです。

28.11.2024 17:34 — 👍 0    🔁 0    💬 0    📌 0
印刷された本の本文の体裁で画像化されたテキストです。付記に「貴方の手」、「ネリネ」と記載されています。
以下は本文の内容です。

くる。もっと触れたいと思っていると、彼は手を離した。
「今日はここまでだ」
「……そう、ですか」
無意識に残念そうな顔をしていたのか、「そんな顔するな」と彼は手の甲でわたしの頬を撫でた。その手つきは小動物を扱うように丁寧で優しい。彼は慈しむようにその紫の瞳を細める。
「お前と同じように、私もお前に触れていたい。が、一度求めたらもっと、と歯止めが聞かなくなる。……私はそういう男だ」

わたしの唇を指でなぞりながら低い声でそう言った。逃げるなら今だぞ、と言っているようにも聞こえた。わたしはほっとしたように「良かった」と呟いた。
「良かった?」
「だって、ファシリエさんもわたしと同じように思っていたんでしょう? わたしだけじゃないんだって思ったら安心しちゃって」
「……」

印刷された本の本文の体裁で画像化されたテキストです。付記に「貴方の手」、「ネリネ」と記載されています。 以下は本文の内容です。 くる。もっと触れたいと思っていると、彼は手を離した。 「今日はここまでだ」 「……そう、ですか」 無意識に残念そうな顔をしていたのか、「そんな顔するな」と彼は手の甲でわたしの頬を撫でた。その手つきは小動物を扱うように丁寧で優しい。彼は慈しむようにその紫の瞳を細める。 「お前と同じように、私もお前に触れていたい。が、一度求めたらもっと、と歯止めが聞かなくなる。……私はそういう男だ」 わたしの唇を指でなぞりながら低い声でそう言った。逃げるなら今だぞ、と言っているようにも聞こえた。わたしはほっとしたように「良かった」と呟いた。 「良かった?」 「だって、ファシリエさんもわたしと同じように思っていたんでしょう? わたしだけじゃないんだって思ったら安心しちゃって」 「……」

「逃げたりしませんよ」
私の答えに彼はふっ、小さく笑って瞳を細めると、身を乗り出してわたしの唇を重ねた。それは一瞬だったけど、わたしにはとても長く感じた。呆然としているわたしの耳元でこう囁いた。
「警告はしたぞ?」
意地悪な笑みを浮かべたまま席をたった。残されたわたしは力が抜けたように机に伏せた。あんなの警告じゃない、毒だ。もっと好きになる毒。その毒が身体中に回ってクラクラする。
「……ずるい人」
この毒はまだ冷めそうにない。

「逃げたりしませんよ」 私の答えに彼はふっ、小さく笑って瞳を細めると、身を乗り出してわたしの唇を重ねた。それは一瞬だったけど、わたしにはとても長く感じた。呆然としているわたしの耳元でこう囁いた。 「警告はしたぞ?」 意地悪な笑みを浮かべたまま席をたった。残されたわたしは力が抜けたように机に伏せた。あんなの警告じゃない、毒だ。もっと好きになる毒。その毒が身体中に回ってクラクラする。 「……ずるい人」 この毒はまだ冷めそうにない。

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28.11.2024 17:51 — 👍 1    🔁 0    💬 0    📌 0

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