『犯罪都市 NO WAY OUT』観た。
主役のマ・ドンソクが(もしもこち亀の両さんが真面目だったら…?)と思わせる規格外の刑事なので、観ていて楽しいのは間違いないし、このシリーズ自体が”マ・ドンソクならどこまで許せるか?”という謎の面白みが出ているのが面白い。
そもそも今作のマ・ドンソク。車に轢かれたり、鉄の棒で頭をぶん殴られたりしても「イテッ!」ぐらいですんでるのが、どうかしてるし、(マ・ドンソクならまあしょうがないか…)と思ってる観客もどうかしてるんだけど、この感じは一昔前の筋肉アクションスターの映画っぽくて、2024年にこんな作品を見れるなんて、大変幸福なことだと思う。
10.03.2024 09:57 — 👍 2 🔁 0 💬 0 📌 0
『落下の解剖学』観た。
シンプルな法廷劇だけど、映画に出てくるそれぞれのキャラと、我々観客の受け取る情報に微妙に差異があり、その差異というのが、人間が無意識的にやってしまう”他人へのレッテル”というものを演出していて大変興味深く鑑賞。
特に、終盤にいくにつれて、今作で物語の軸になる亡くなった小説家への憶測が加速していく様は、偶然なんだけど非常にタイムリーな問題提起になっていて印象深かった。他だとジェンダーロールの描写の演技、演出が見事で、逆説的にそこを意識させずに自然に感じるような作劇だったのも上手い。
至るところに社会的な問題や、矛盾などが見事に物語に組み込まれていて力作で面白かった。
04.03.2024 14:04 — 👍 4 🔁 0 💬 0 📌 0
『マダム・ウェブ』観た。
”マーベルのヒーロー映画”と”2000年代風な雰囲気”の両方の悪いところが集まったような作品だったけど、ラスト30分が異常にテンポが良く、たとえるなら穴の空いたバケツに凄い勢いで水を入れてるような映画であまり嫌いになれない感じはある。
ただ”2000年代風な雰囲気”なのはまだいいんだけど、その年代の中でもあまり面白く無い方の作品群を参考にしたような感じで、とにかく画面がチャカチャカしていて見ずらく、単純に撮影が上手くない。最初に敵に襲われる地下鉄のシーンとか悪く無いところもあるだけに、残念な印象が残る全体に残る作品。てかどこが本格ミステリー&サスペンスやねん。
26.02.2024 13:02 — 👍 1 🔁 0 💬 0 📌 0
『ネクスト・ゴール・ウィンズ』観た
スポ根的な要素は薄めで、どちらかと言えば”自分らしく幸せな人生を送るにはどうすべきか?”という人生訓がテーマになってる印象だった。そういう部分だけみると、いわゆる白人首長系の作品にと思えなくも無いけど、それに対する批評性も盛り込まれていて、ちょうど良いバランスの作品で悪くない。
下手すると説教臭くなりそうな題目だけど、そこはタイカ・ワイティティらしい、ふざけた演出で最低限楽しく見れるし、あと主役のマイケル・ファスベンダーが本気で演技すればする程、可笑しみが出てくるのが良かった。同時にクライマックスでいきなり”泣かせ”の演技をしてくるファスベンダーが見事。
25.02.2024 12:44 — 👍 2 🔁 0 💬 0 📌 0
『ファイブ・ナイツ・アット・フレディーズ』観た。
ハードコアな描写のホラーを期待すると肩透かしを喰らうかもしれないけど、ドラマをしっかり描いていて真面目な印象の映画で、極端なジャンプスケアも少ないので意外とじっくり観れる。
個人的にはフレディーズのロボットのデザインが秀逸。元のゲームをそのまま踏襲してるけど、目の形や色だけで、”怖い”になったり”可愛い”になったりしていて、結果としていつ怖くなるかわからない、というサスペンスを醸造していて意外と良い。
俳優陣の演技も悪くないし、尺も程々で全体的に”ちょうどいい”映画。でもファイブ・ナイツ(五日間の夜)自体は別に物語と結局関係なかったわね。
20.02.2024 11:59 — 👍 0 🔁 0 💬 0 📌 0
『ボーはおそれている』観た。
散文的な作劇で飲み込みづらいんだけど、話自体は雑に要約すると、暗黒トゥルーマン・ショーと言った感じでその部分でのわかりにくさはなく、例えるなら冷静な人が淡々と変な事を言ってるような映画なのでそこに乗れると楽しいはず。
しかし罪悪感を恐れてるボーのキャラクター性は結構共感できるし、”目的地にたどりつけない”タイプの悪夢を自分は割とみる方なので、なんだか他人事じゃない感じが凄くあった。
ただどんでん返しにどんでん返しを重ねるような構成だったので、結局元の位置にもどってんじゃねえかっ!と頭の中で突っ込んでしまった。それ自体が悪夢的と捉えられなくも無いけど。
18.02.2024 12:39 — 👍 1 🔁 0 💬 0 📌 0
『ダム・マネー ウォール街を狙え!』観た。面白い。
株についての映画だけど、複雑な用語などはしょりつつ、ドラマを重視しているおかげか大変観やすい。
まず2021年に起きた事件を映画化するというスピード感に驚嘆するし、それが”直近の出来事を映画化”という安直な売りだけで終わらず、SNSの発達、コロナ禍、そして経済格差など、観客である我々も容易にキャラクターに共感できる事柄が散りばめられた作劇ともマッチしていて良かった。
個人的には登場人物が”勝つ為”というよりも、”生き延びる為”や”ムカつく奴らを負かす為”や”ただ好きだから”などの動機で投資をしているのが人間味がありとても好感が持てた。
12.02.2024 10:15 — 👍 1 🔁 0 💬 0 📌 0
『夜明けのすべて』観た。素晴らしかった。
主演の二人に限らず、ほぼ全ての主要人物が何かしらの痛みを抱えて生きている様を、リアリティのある演技と、一歩引きつつも寄り添うような撮影、そしてノイズのように聞こえる音響など、映画の持てる要素を無駄なく使い表現していて大変良かった
特に主演二人の関係性、”たまたま互いが抱える症状を知ったから、できる範囲で助け合う同僚”という以上でも以下でもない関係で終始、映画が進行するのが素晴らしかった。
そのミニマムな関係を維持しつつも、共通の仕事を通して時間や宇宙を連想させるようなダイナミズムを感じさせる展開になっていくのも非常に映画的でとても良い映画だった。
11.02.2024 09:53 — 👍 3 🔁 0 💬 0 📌 0
『イントゥ・ザ・インフェルノ -マグマの世界-』観た。
世界の活火山をめぐり、それを通して国々の科学、信仰、宗教を描き出していて興味深い。
個人的には北朝鮮の火山(白頭山)周りの描写が面白かった。普通であれば見る事ができない、入る事ができないようなところを見れたし、地元の火山を調査してる科学者のインタビュー、非常に理知的な回答をしつつも、ある種の信仰が垣間見える様が見えて良かった。
巨大な存在に対する畏怖と、信仰が垣間見えるヴェルナー・ヘルツォーク監督らしい映画ではある。
ただ基本的には淡々とそれらを描写するだけなので、純粋な科学ドキュメンタリーを求める人には少々食い足りないと思う。
09.02.2024 11:13 — 👍 1 🔁 2 💬 0 📌 0
『PERFECT DAYS』と『キャロルの終末』。両方とも”一定のリズムで生活を続けるというリハビリ”を描いているし、この”一定のリズム”というのを”仕事”を通して表現しているのも同じ。そして物語の軸が社会に対してどうコミットメントを果たすか?というのも似ている。この両作品が2023年末の近い時期に公開されたいうのは、なにかしらのシンクロニシティを感じる。世界がこういう反エキサイティング主義ともいえるゆったりした作品を求めているような感じはある。
08.02.2024 12:51 — 👍 0 🔁 0 💬 0 📌 0