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人間の道徳を生み出す仕組みを探った。
スミスによれば、人は本能的に他者の感情を想像し、
その視点を通して自分の行動を評価する。
この能力を彼は「共感」と呼んだ。
しかしスミスが重視したのは、単なる思いやりではない。
人は「公平な観察者」の視点を想像し、
そこから善悪や公正を判断する。
この“第三の視線”こそが、社会的秩序の基礎になる。
スミスが示したのは、
道徳とは神の命令でも国家の法律でもなく、
他者との相互観察の中から生まれる社会的構造だということ。
その洞察は、今日の「公共性」や「社会的信頼」の議論にもつながっている。
               
            
            
                29.10.2025 05:30 — 👍 0    🔁 0    💬 0    📌 0                      
            
         
            
        
            
            
            
            
                                                 
                                                
    
    
    
    
            経済学者フリードリヒ・ハイエクは、
「The Use of Knowledge in Society」で、
個人の理性では社会を設計できないという洞察を提示した。
言葉や市場、慣習、ルール——
それらは誰かの計画によってではなく、
多くの人々の試行錯誤と相互作用のなかで生まれた。
ハイエクはこの仕組みを「自生的秩序」と呼んだ。
社会の知は、個人よりもはるかに賢い。
私たちはその秩序の中で、
自分が理解しきれない知を借りながら生きている。
ハイエクの洞察は、
AIやアルゴリズムが社会の意思決定を代替しようとするいま、
「人間の知がどう分散しているか」を問う原点として読み直されている。
               
            
            
                25.10.2025 01:26 — 👍 0    🔁 0    💬 0    📌 0                      
            
         
            
        
            
            
            
            
                                                 
                                                
    
    
    
    
            経済学者アマルティア・センは「Rational Fools」で、
古典派経済学が前提としてきた「人間=合理的存在」という想定を批判した。
経済学では、人は自分の利益を最大化する“合理的行為者”として描かれる。
しかしセンは、このモデルでは人間の道徳的判断や他者への配慮が説明できないと指摘した。
人はしばしば、損得よりも「正義」「誠実」「思いやり」に基づいて行動する。
それは非合理ではなく、むしろ社会を維持するための合理性だ。
センが示したのは、
「市場の外」にある人間性を、合理性の中にどう組み込むかという課題である。
経済を超えて、政治・教育・倫理にまで響く問いが、ここから始まった。
               
            
            
                22.10.2025 09:28 — 👍 1    🔁 0    💬 0    📌 0                      
            
         
            
        
            
            
            
            
                                                 
                                                
    
    
    
    
            政治学者エリカ・チェノウェスとマリア・J・ステファンは、
『Why Civil Resistance Works』(2008)で、
20世紀以降の政治運動を実証的に分析した。
その結果、人口のわずか 3.5% が非暴力で参加すれば、
体制の変革が成功する可能性が極めて高かったことが示された。
成功を決めるのは暴力の強さではない。
多様な層が参加し、理念を共有する人々が、
非暴力の行動を持続できるかどうか。
3.5%という数字は、
「少数でも世界を変えられる」という希望であり、
同時に「社会変革とは何か」という問いへの現実的な答えでもある。
               
            
            
                19.10.2025 23:46 — 👍 0    🔁 0    💬 0    📌 0                      
            
         
            
        
            
            
            
            
                                                 
                                                
    
    
    
    
            ミシェル・フーコーは『監獄の誕生』(1975)で、
近代の権力の転換を描いた。
かつて刑罰は、公開処刑のように
「身体に苦痛を与える」ものだった。
しかし19世紀になると、
権力は姿を変える。
監視・時間割・規則・点呼。
人を罰するのではなく、
日常を細かく管理することで
「従順な身体」をつくりあげる。
フーコーが描いたのは、
「規律」が社会に広がる過程。
権力は檻や鎖ではなく、
習慣と規範を通して
私たちの中に入り込む。
——その視点は、
今日の学校、職場、
そしてアプリによる自己管理にまで
射程を伸ばしている。
               
            
            
                17.10.2025 00:58 — 👍 0    🔁 0    💬 0    📌 0                      
            
         
    
         
        
            
        
                            
                    
                    
                                            English translations of Princess Shikishi’s waka
—faithful to the original, readable as poetry on their own.
instagram.com/a_quiet_trace/
                                     
                            
                    
                    
                                            哲学者・書評家/会社員(記者・編集者)
読んでいる本、街と自然の写真、ときたま映画やテレビの感想なんかを呟いていきます。
著書:『モヤモヤする正義:感情と理性の公共哲学』(2024/9/25 発売しました!)
https://x.gd/BvKrY
『21世紀の道徳:学問、功利主義、ジェンダー、幸福を考える  』(現在4刷)
https://x.gd/veSGl
連絡先:davitrice0102@gmail.com
                                     
                            
                    
                    
                                            エンタメ翻訳家|某アイビーリーグ大哲学修士|英語フレーズと、子供の頃から住んできた米国の政情や文化に関して X で呟いています|エラそうな物言いは本意でなく、字数制限によるものとご理解下さい|今後の避難先確保のため、同内容をここ bluesky でも並行発信していきますが、字数その他で見苦しい点ありましたらご容赦下さい。
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