最近のアメリカと日本の状況について考える際にも、メディアの問題を置いとけば昔ながらの凡庸なファシズムそのまんまという気がするので、アーレントや『自由からの逃走』を読んで考えるのがいい気がする。
03.08.2025 04:08 — 👍 4 🔁 1 💬 0 📌 0@benjaminkrtizer.bsky.social
哲学者・書評家/会社員(記者・編集者) 読んでいる本、街と自然の写真、ときたま映画やテレビの感想なんかを呟いていきます。 著書:『モヤモヤする正義:感情と理性の公共哲学』(2024/9/25 発売しました!) https://x.gd/BvKrY 『21世紀の道徳:学問、功利主義、ジェンダー、幸福を考える 』(現在4刷) https://x.gd/veSGl 連絡先:davitrice0102@gmail.com
最近のアメリカと日本の状況について考える際にも、メディアの問題を置いとけば昔ながらの凡庸なファシズムそのまんまという気がするので、アーレントや『自由からの逃走』を読んで考えるのがいい気がする。
03.08.2025 04:08 — 👍 4 🔁 1 💬 0 📌 0アッピアの『コスモポリタニズム』を読み始め。仕事のほうで入管や難民の問題について考えさせられるタイミングもあるので、コスモポリタニズム本として『道徳は進歩する』や『親切の人類史』と合わせて、ベンハビブ『他者の権利』やオニール『正義の境界』も年内には読みたい。
あとアガンベンのホモ・サケル論も…と思ったりしたけど、入管の問題って「権利を持つための権利」と「悪の凡庸さ」の合わせ技で、アーレントど真ん中な気がしますね。
この本はたいへん面白かったので、同じくらいの平易さ・バランス感覚な『存在をめぐる哲学の冒険』なり『性質をめぐる哲学の冒険』なりもキボンヌです
03.08.2025 00:18 — 👍 5 🔁 1 💬 0 📌 0『時間をめぐる哲学の冒険:ゼノンのパラドクスからタイムトラベルまで』
エイドリアン・バードン
www.minervashobo.co.jp/book/b592114...
土曜日の朝にみなとみらいのホテルで1章を読み、2章から8章は日曜日にガガッと読む。難解ではあるがなかなか面白い内容で、ほぼ1日で一気に読んでしまいました。
タイトルから哲学史的な内容を想定したけど、多少は歴史順に整理されているが、それよりも「時間」に関する哲学的なテーマ・トピックごとに、現代哲学も多々参照しながら議論をまとめています。
哲学だけでなく物理学、さらには心理学や進化論も関わってくる内容でした。
結局よくわからないまま読み終わり。具体例を出してくれるところでは理解できそうになるけど、記号や式が出てくるところでスッと興味が離れていく‥というのを繰り返した読書でした。
なんせ「入門」というタイトルが悪いと思います。訳者も入門書のつもりで訳しているようだけど、レーベルはgreat worksでありbasicsではないわけで、入門書とはなんぞやということをキチンと考えてほしいと思いました。
訳註に力を入れているのは伝わるけど、それなら章末ではなくページ内に註を入れてほしい、というのも強く思ったり。ページを行ったり来たりさせられるのってすごい苦手です。巻末よりかは章末のがまだマシだけどね。
『現代普遍論争入門』 デイヴィッド・アームストロング
www.shunjusha.co.jp/book/9784393...
早朝読書で読みはじめ。1章と2章を読みました。
なにせ抽象的な形而上学や論理学の話が延々と続くのはわかっていたので、2日酒を飲まず睡眠をたっぷり取り、万全の体調で挑んだんだけど、大尉風由来の低気圧のせいで頭が痛いなか読み進めるのは無理があった。今後もちびちび読みます。
同じく『哲学がわかる 形而上学』から興味を持って読んだ『時間をめぐる哲学の冒険』に比べると、こちらは「普遍論争(普遍者とか唯名論に関する議論)の面白さ」がイマイチ伝わってこない。
なお、センと同じくヌスバウムも公共的理性を重視しております。そのために市民にとって芸術や人文学が欠かせないというのがヌスバウムの常日頃からの議論で、やはり文化エリート主義的かつ理想論主義という批判も常日頃からされているんだろうけど、昨今の惨状は逆説的にヌスバウムの主張の正しさ(実現可能性は置いておいて)を示している、と思うところが多々あります。
01.08.2025 07:46 — 👍 3 🔁 0 💬 0 📌 0●コースガードがカント主義者でありながら、人間の「動物的側面」に敬意を払う必要があるから動物にも敬意を払うべきという経路で動物への道徳的配慮を主張している点、アクロバティックでおもしろい。
コースガードの動物論っていまだ翻訳ないんだよな……と調べていたところで8年前や2年前の自分のブログが出てきました(完全に記憶から除外されていた)。
●ケイパビリティを司法で実現するためには漸進主義や文脈主義が必要そうですが、現在のアメリカや常日頃の日本の裁判所には期待薄。
●(インドでは)ヒンドゥー右派が「公共の議論」を通じてムスリムを侮辱している、という民主主義≒ポピュリズム批判、今日性がありますな
●たとえジェノサイドを実施している国であっても、特にその国が民主主義である場合には外圧・介入は逆効果になりがちという論(p.137)、イスラエルを見ていると「民主主義」の質や実態から問い直す必要があるなと思います。
●ほんで政治哲学者の常識に従って「世界国家」をヌスバウムは否定するんだけど、わたしは最終的には世界国家を目指すべきだと思う。
●アリストテレスが公共の親睦のため富裕層と貧困層の食事会を検討していたというくだり、これぞ公共善という感じでよいですね
●ウルフによる「腐食性の不利」論(ある不利な状況が別な状況につながる)やケイパビリティの有無だけでなく保障も必要という議論、興味深い
●バーリン経由でつい否定的なものとして登場しがちな「積極的自由」をしっかり擁護しているところがよい(p.84)。積極的自由を擁護する点が現代的「リベラル」とリバタリアンや堅いリベラリズムとの違いだと思うんだけど、積極的自由という言葉自体は消極的自由の嚙ませ犬の文脈で登場することが多いから…。
●一方で「私の考えは利他主義に頼る必要がある」(p.120)としている点は明白な弱点にも思ってしまう。
●人権の発想は西洋由来に思えるかもしれないけど、反植民地主義の際には西洋批判のためにも使われたという議論、パレスチナ抑圧の問題で西洋思想が面目を失っている昨今こそ、重視すべきポイントかもしれない。
●私のお気に入りの哲学者であるジョナサン・ウルフはケイパビリティ・アプローチについても共著があるそう( 『Disadvantage』 )。もっと翻訳されてほしいね。
●包括的リベラリズムと(卓越主義的リベラリズムと)政治的リベラリズムの違い、相変わらずよくわからないんだけど、「機能」と「ケイパビリティ」のどちらを重視するかの違い、と言われるとわかりやすいかも。
●訳者によるおススメ文献でも出てくるけど、GDP批判を読むとダイアン・コイルの『GDP』も読み返したくなるね。
●社会的尊重や排除されいていないことを重視する議論、近年の「左派は階級闘争に回帰せよ」みたいな単純論を避けていてよいね
本書は『正義のフロンティア』より薄いけど、あちらがイマイチ説得力のない社会契約論批判や自律批判に紙幅を割いていたのに比べて、本書ではヌスバウム流のケイパビリティ・アプローチや『感情と法』でもなされていた政治的リベラリズム論の要点が手短かつ幅広くまとまっています。今後、ヌスバウムを読み始める人にとって第一歩となる本となるでしょう。
さらには、現代における「リベラル」……自律・合理的個人による社会契約・消極的自由を重視した「リベラリズム」ではなく……の考え方の哲学的な説明や正当化を知りたい人にもおススメ。
「リベラル」の考え方って普遍的だけどイチからの説明している本はなかなかないいんだよね。
『ケイパビリティ・アプローチとは何か:生活の豊かさを測る』マーサ・ヌスバウム
www.keisoshobo.co.jp/book/b657699...
通勤・退勤の読書や仕事の合間に読み通し。
ケイパビリティ・アプローチは『モヤモヤする正義』でも弱者男性論の文脈で登場しましたが、ヌスバウムさんの本は邦訳が出ているのはなんだかんだであらかた読み通しているし、センも『不平等の再検討』は読み通してこのあいだ『アマルティア・センの思想』も読んだところなので、さらに本書を読んでおさらい・復習を成し遂げたところで、ケイパビリティ・アプローチの理解はさすがにもう万全です。
3章も読みましたが、やはり頭が働かずピンと来ず…でもまあ4章からはおもしろくなりそうな予感がします。
01.08.2025 06:53 — 👍 0 🔁 0 💬 1 📌 0大尉風 → 台風
01.08.2025 03:13 — 👍 0 🔁 0 💬 0 📌 0まあopinionated introductionであり、王道の入門書や概説書ではないのはわかっているから、仕方ない面も。
難解というよりも、「こんな議論をしていて何が面白いのかしらん」と思わされる内容なんだけど、ところどころピンとくる箇所もあり、わからないようなわかったような読書感です。低気圧じゃなければもっとピンときてわかっていたかもしれないので、今後に期待です。
『現代普遍論争入門』 デイヴィッド・アームストロング
www.shunjusha.co.jp/book/9784393...
早朝読書で読みはじめ。1章と2章を読みました。
なにせ抽象的な形而上学や論理学の話が延々と続くのはわかっていたので、2日酒を飲まず睡眠をたっぷり取り、万全の体調で挑んだんだけど、大尉風由来の低気圧のせいで頭が痛いなか読み進めるのは無理があった。今後もちびちび読みます。
同じく『哲学がわかる 形而上学』から興味を持って読んだ『時間をめぐる哲学の冒険』に比べると、こちらは「普遍論争(普遍者とか唯名論に関する議論)の面白さ」がイマイチ伝わってこない。
「政治哲学的立場」が保守主義だったのが気に食わないので2回目をやってみたけど、政哲は保守主義のまんま、倫理学的立場の方が徳倫理から帰結主義に変わりました(この場合はショーペンハウアーだそう)。
漸進主義的に〇を付けて、無政府主義に×を付けたら保守主義になる仕様のようだ。
トマス・アクィナスだそうです
hydranger.net/program/pers...
夏チャオズ
31.07.2025 23:21 — 👍 11 🔁 1 💬 0 📌 0【配本情報📘】
『ストイシズム:何事にも動じない「無敵の心」のつくり方』本日配本されました!
書店での発売は8/1日頃となります。
🌍世界23ヵ国で刊行のベストセラー
⭐米アマゾンで6000件超の高評価
シリコンバレーをはじめ、学問やビジネス界で再注目される「ストア哲学(ストイシズム)」。
なぜ、いまこれほど多くの人を惹きつけるのか?
「人生哲学」を持つとはどういうことか?
ぜひお楽しみに。
www.hakuyo-sha.co.jp/realization/...
昨晩は仕事終わりに登戸と晩ごはんを食べました。登戸〜向ヶ丘遊園の街並み、学生街的な独特のアトモスフィアが感じられ、好みです。
30.07.2025 09:01 — 👍 4 🔁 0 💬 0 📌 08章、ヴァージニア・ヘルドの思想が他で説明されているのを観る機会がないので、これは参考になった。マリリン・フライによる「自由」の男性的(家父長制的)な理解に対する批判も印象的です。
マーティン・ルーサー・キングの非暴力抵抗運動には、非合理的なのは被抑圧者ではなく、暴力をふるう抑圧者であることを暴露することで、抑圧者に罪悪感と羞恥心を感じさせることを狙いとする……という哲学が含まれているという点も興味深い。
アメリカの大学に通っている人や、アメリカ文学・アメリカ史などを専攻している学生が自分にとって馴染み深い文化や人物を通じて哲学に入門する……という用途に使うのが最適な本、という感じでした。
・プラグマティズムについて書かれた6章と、クワインやゲティアが登場する7章前半は本書のなかでは際立って「哲学的」な内容が展開されているけれど、しかしその内容の濃さや難しさのわりにページ数が足りず、駆け足すぎてあまり意味がないというか、各トピックの入門書を別途に読んでおかなきゃ理解できないような文章になっている気がする(プラグマティズムは読んだのがだいぶ前なのでよくわからんかった一方、ゲティアについて書かれたくだりは『知識とは何だろうか』を最近読んだおかげで難なく理解できました)。
・ネイティブアメリカンの思想を紹介するのはいいんだけど「おそるおそる」やっているのが伝わってくるのは、ウーン…。
・ 「建国の父たち」を啓蒙主義の思想を持った人という観点から紹介するだけでなく、ベンジャミン・フランクリンを徳倫理学や功利主義と結び付けて紹介するくだりはおもしろい。この辺りの人たちだと、哲学的にはトマス・ペインが特に重要なイメージ。
・19世紀に奴隷制度に反対したアフリカ系アメリカ人や女性差別に反対した女性たちの思想について、特に後者の思想の「限界」や「盲点」も指摘されるんだけど、ちょっと時代性を考慮していなくて野暮な指摘であるような気もする。
・アメリカ文学専攻だったので文学的重要性の高いソローには親しみが抱くが、すっかり失念していたけど彼もアナーキストでありましたね。
『アメリカ哲学入門』ナンシー・スタンリック
www.keisoshobo.co.jp/book/b632637...
通勤読書で読みました。
白人男性に終始させず、女性、アフリカン・アメリカン、そしてネイティブ・アメリカンの「哲学」も欠かさず紹介させることで、従来の狭い「アメリカ哲学」のイメージを問い直す、という意気込みがわかりやすく伝わる一冊。
一方で、プラグマティズムや現代の正義論とケア倫理(これらはアメリカ哲学というよりも、英国などと連動した「分析哲学」の一種と位置付けた方がいい気もするけど)を除けばイマイチパッとしないアメリカ哲学を、さらに薄く広く学ばされるという読書感も…。
・ 「宇宙の始まり」について論じた8章(最終章)はビッグバンとか多元宇宙と可出てくるんだが、「よくわからない」と思いながら読んでいたら、「そもそも説明が付かない問いがある」として答えを求める心理の側を問題にするというツイストがなされるんだけど、やはり「逃げ」を感じて、ウーンとなった。
とはいえ、「世界の在り方」と「我々にとっての世界」を分別して考えて、前者がどうであろうが後者は大切で重要だ、というのはサルトルなどの実存主義にも通じるものである、という点が「エピローグ」に書かれており、ここは賛同できるなと思った。前者と後者を割り切って考えるのはやっぱり難しいとも思うけどね。
・時間についての静的な理論(ブロック説)を採用するとタイムトラベルは論理的に可能だということになるけど、それが逆説的に静的な理論を疑う理由になる(いまのところタイムトラベルはできていないので)、というのはおもしろい。
・7章は哲学的な自由意志論のおさらいというかんじだけど、論理学的宿命論・形而上学的宿命論・因果的決定論の区別は勉強になります。一方で、時間すら決定・固定されている本書の議論の中で「両立論」が慰めになるかどうかは、よくわからない。
・哲学的な(そして「真実に基づいた」 )時間認識と日常的な「時間感覚」のギャップについては先日に読んだ『デレク・パーフィット』を思い出します。
パーフィットは哲学者らしく感覚よりも哲学的な認識を優先できたから、ギャップを気にしなかったそうですね。
このようなことはパーフィットに限らず、哲学を学ぶことで多かれ少なかれ凡人にも実践可能だと思うけど、それを怒りの抑制や他者への寛容などの善い方向に使うかニヒリズムなどの悪い方向に使うかの違いが重要になってくるのだろうね。
・ 「現れとしての時間」と「科学的な時間」の対立を調整するのには「カントとダーウィンの考えが同じくらい有益である」(p.138)
・冒頭から時間についての考え方を関係主義、観念論、実在主義と区別してくれるのはわかりやすい。天才アリストテレスがゼノンには応答できてもパルメニデスは応答できていなかった、と言うのも新鮮。カントの観念論の説明も分かりやすく感じます。
・一方でアインシュタインの相対性理論やミンコフスキーの光円錐は、物理が苦手な私にはチンプンカンプン。いつか一冊でわかる(サイエンスパレット)の『相対性理論 ―常識への挑戦 』にも私が挑戦しなければ。
・なんやかんや、若いころに『スローターハウス5』を何度も読んだおかげで、ブロック時空説や四次元主義もしっくり来るというか、違和感なく理解できて同意できるところがある