「雪女でも病なぞに罹ってしまうのか」病で寝込んでいる女にそう言うと、くすくすと笑われた。「あんた、私が雪女だと思ってたのかい?」「だってお前が冬しか姿を見せねえから……」「間抜けな人だねえ。でもそんなところが好きだよ」女が息絶えたあと、そこには白鳥の骸だけが残った。
#140字小説
@suwazo.bsky.social
140字小説を書きます。『再掲』と付いてるものは、X(Twitter)でも前にポストしたものです。 X、mixi2、タイッツー等もIDは同じsuwazoです。
「雪女でも病なぞに罹ってしまうのか」病で寝込んでいる女にそう言うと、くすくすと笑われた。「あんた、私が雪女だと思ってたのかい?」「だってお前が冬しか姿を見せねえから……」「間抜けな人だねえ。でもそんなところが好きだよ」女が息絶えたあと、そこには白鳥の骸だけが残った。
#140字小説
山で銀色の大狐に逢った。大狐は私を見て目を細めた。「取って喰いはせん。お前の一族は代々、みな儂の友だ。お前の母も祖母も曾々祖母も、その前も」一つ引っ掛かった。「ひいお婆ちゃんは?」大狐は顔を歪めた。「お前の曾祖母とは友になれなんだ」「なぜ?」「儂が惚れたからよ」
#140字小説
再掲です
人魚をだまくらかして、海底の沈没船から宝石を取ってきてくれと頼んだ。「宝石って?」「綺麗に光るものだよ」笑顔で海に潜っていった人魚が、やがて持ってきたのは人骨だった。「あの船でいちばん綺麗なものよ」と人魚は言った。「救命ボートの最後の隙間を譲って死んだ人の骨よ」
#140字小説
再掲です
古い屋敷を買ったら幽霊が憑いていた。屋根裏部屋の窓際で椅子に座っていつも外を見ている。昔の奥方で、病弱で閉じ込められていたらしい。「祓うか?」「いや」庭園を整え、中央に東屋を建てた。そこにお茶とケーキを用意して、椅子ごと奥方を運んできた。光の中で彼女は消えていった。
#140字小説
「お前、何歳だ」と問われて「ドラゴンで言うと400歳かな」と答えるとドラゴンはハハハと笑った。「意外と年寄りだな、人間は歳がわからん」それから何十年か過ぎた。「お前、何歳だ」と問われて「ドラゴンで言うと1000歳かな。もう寿命だから仕方ない」と答えるとドラゴンが泣きだした。
#140字小説
再掲です
人間「まじかよこの雪……どんだけ積もってんだ……雪かきしてくるわ……めんどくせえ……」
吸血鬼「君、毎年文句言いながら嬉々として雪かきしに行くの、ちょっとMっぽいよね」
人間「嬉々はしてない」
吸血鬼「目が楽しそうなんだよね」
#吸血鬼と人間
「ご注文は?」猫カフェを見つけてふらっと入ったら、ふさふさした黒い毛、くりっとした緑色の目、ツンとすました顔の猫が、二本足で盆を片手に注文を取りに来て、「あ……じゃ……珈琲を……」僕の注文に頷いて「マスター、珈琲」と言った。カウンターの向こうのマスターも猫だった。
#140字小説
「私を書いてくださいな」夜な夜な現れては泣く女幽霊。僕が作家と知って嘆願してくる。聞けば本当に哀れな一生だったらしく、僕はそれを小説にしてやった。途中まで。途中から、彼女が最低な奴らに反撃してぶち倒す滅茶苦茶な物語にした。女幽霊はぽかんとして、それから笑って、消えた。
#140字小説
再掲です
少年は遠国の王の落し胤だという少女の護衛に雇われた。無事国まで行けたら大金が貰える。変装して旅立った二人に追っ手が迫った。少女を庇って銃に撃たれた少年の傷を治したのは少女の魔法だった。少女は少年に跪く。「まことの王の子は貴方です。私の役割は貴方の王の器を見極めること」
#140字小説
子供の頃、友達と少年探偵団を結成したんです。あ、笑ったでしょう。大した娯楽もない小さな田舎町でしてね。みんな大真面目ですよ。同級生の女の子が死体で発見されたんですから。絶対に犯人を捕まえるって。結局あなたにたどりつくまで十年以上かかった。僕らはお前を絶対に逃がさない。
#140字小説
再掲です
友人が拾った赤ん坊を我が子として育てたら、成長するにつれて月を見て泣くようになったという。かぐや姫ではないかと言うと何バカなことをという顔をされた。暫くして友人宅を訪ねたら、巨狼がヘソ天で寝ていた。「人狼の仔だったよ」泣いていたのではなく『鳴いていた』だったらしい。
#140字小説
「子供の頃からシンデレラの物語が好きだったわ。ある意味でね」老婦人は語る。「皆が私を馬鹿にした。誰も私の夢を理解しなかった。でも私は諦めなかった。頑張って夢を叶えたの」「シンデレラになった?」「まさか。魔法使いのおばあさんになったのよ」彼女は女子奨学金の創設者である。
#140字小説
再掲です
これこれ
05.02.2026 08:34 — 👍 6 🔁 1 💬 0 📌 0万能だから!
05.02.2026 08:22 — 👍 3 🔁 0 💬 0 📌 0すっごく覚えがあると思ったら持ってたコレ
05.02.2026 08:21 — 👍 4 🔁 2 💬 0 📌 0えっくすのインプレゾンビほんとひっどいな……
04.02.2026 23:20 — 👍 9 🔁 0 💬 0 📌 0魔法のランプを手に入れた。魔神に「あと5kg痩せたい」と言ったら毎日のランニングに伴走してくれたし、「人気店のスイーツ食べたい」と言ったら行列に並ぶのに2時間付き合ってくれた。今日は「好きな人と映画行きたい」と言って魔神の手を引っ張って一緒に映画を観に行った。
#140字小説
ありがとうござます! うれしい!
04.02.2026 10:37 — 👍 0 🔁 0 💬 0 📌 0花魁の前に現れたのは狐だった。怪我して死にかけたのを人の男に救われた。人に化けて恩返ししたいが人の美醜がわからない。美しいと評判の貴女の姿に化けてもよいか。「いいとも」花魁は言う。「私の顔と姿で、愛する男と添い遂げるといい。私には叶わぬ望みを叶えてくれたら私も嬉しい」
#140字小説
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巫女である彼女の予知が外れたことはなかった。ただ一つを除いて。彼女は世界中をたずね、そしてやっと見つけ出した。田舎町で、片足隻眼の男は鼻歌まじりに芋の皮を剥いていた。「あなたを探してた」世界が滅びる予知は、当たるはずだった予知は、外れた。「守ってくれたのはあなたね?」
#140字小説
孤児の少女が大怪盗に拾われてから数年がたった。「いつかあんたの本名を教えてくれるって言ったでしょ。まだ駄目?」「そうだな、こんなに長く一緒にいたしな」彼は言った。「俺にはもともと親も名前もなかったんだ。お前が名前を付けてくれよ」お前になら、いいよ。それを本名にするよ。
#140字小説
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アダムがさらに食べようと取ったリンゴが手から滑って地上に落ちるのを見たイヴが万有引力の法則を発見し、蛇は「歴史を端折りすぎだろ」と言いました
03.02.2026 09:23 — 👍 104 🔁 33 💬 0 📌 0俺は私立探偵なのだが、アパートの大家の婆さんは俺を便利屋と呼んで草むしりだの迷い猫探しだのの仕事を勝手に受けてくる。で、草むしりに行けば泥棒と鉢合わせし、猫を探せば轢き逃げを目撃する。「婆さんアンタ何者?」「この町の正義の味方さ」煙草の煙をスパーと顔に吹き付けられた。
#140字小説
王妃は亡くした子のかわりに犬の仔を可愛がった。しまいには成長した犬の許嫁として下級貴族の娘を城に入れた。大犬と共に城内を好きにうろつく娘を、人々は犬嫁と嘲った。実際確かに彼女は犬のようにあちこちを嗅ぎ回っていた……王妃の秘密の依頼で。幼い王子を暗殺した首謀者を探して。
#140字小説
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「私、山神の生贄になるの」娘が仲良しの狐にぼやくと、貰った餌を食べながら狐は不思議そうに首をかしげた。翌月、花嫁衣装で山に来た娘が見たのは、息絶えた大蛇を銜えた大狐だった。「帰るがよい」村へ戻った娘の元に、仲良しの狐がまた遊びに来る。新しい山神だとはまだ誰も知らない。
#140字小説
絵画を始めた友人が、描いた絵を私に隠すようになった。今までどんなに下手でも笑ったりしたことないのに。こっそり絵を盗み見て、わかった。上手くなったから見せられなくなったのだ。上手くなって、それが私であることが明らかになったから。今までの下手な絵も全て私だったのだ。全て。
#140字小説
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「殿下、これがご所望の魔法の鏡です。お妃希望のご令嬢たちの真の望みを映しだす。……あの令嬢は金目当て、不作が続く領地のため。あの令嬢は権力目当て、貧民街に病院をたてる許可のため。あの令嬢は立場の弱い弟の後ろ楯になるために。他様々。殿下、彼女らの覚悟、お知りなさいまし」
#140字小説
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「わたくしも頑張って人と交流して仲良くなろうとしましたけど、ほんの三、四十年もたたないうちに向こうは腰が痛いとか足が痛いとか病気がどうとかばかり言い出して話題が合わなくなって、人づきあいって難しいなって思いましたわ」(エルフ談)
31.01.2026 06:06 — 👍 37 🔁 1 💬 0 📌 0どうもです! 導入がいきなり物騒な話です!
31.01.2026 05:05 — 👍 1 🔁 0 💬 0 📌 0つい夫を殺してしまった私を助けてくれたのはホームレスの男だった。何の関わりもないのに。「なぜ優しいの」手際よく死体の始末をしながら男が答える。「旦那、浮気してたんだろ」「ええ」「あんたが作ったオニギリを毎朝公園のゴミ箱に捨ててた」「ええ」「オニギリ美味かったよ」
#140字小説
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