『エマニュエル』
ケン・シノハラを「相手役」ではなく「不思議の国のアリス」で言うところのうさぎとして立てているのが良かった。エマニュエルが性の主導権を握れるようになるための案内役であって、偽りない自身の内面の発露なんだなと。
ある種無機質な高級ホテルを飛び出して香港の煌びやかな街に繰り出すところは、なんかゾクゾクしたな。最後の締め方も一見ギャグっぽいけど、描いてきたものの終着点という意味では筋が通ってるんだよなー。パッと見は表層的で荒唐無稽な部分もあるんだけど、結構ちゃんと考えで作られていると思った。
10.01.2025 15:52 — 👍 2 🔁 0 💬 0 📌 0
🇫🇷『エマニュエル/Emmanuelle』を見る。高級ホテルをステレオタイプな人間の欲を満たす箱の最上級と見做し、そこからの脱却と自身の性の解放を不思議の国のアリス的なプロットでエキゾチックに描く。荒唐無稽なディティールは「官能小説」としてのルックを意図的に残した演出か。普通に面白かった。
オリジナルは未見なのだが、調べるに設定や物語はだいぶアレンジされていそう。現代において、女性の主体的にイニシアティブを取る性や欲求の在り方を描きたかったのかな。オードレイ・ディヴァン、女性の生き様を描きながらも『あのこと』からはだいぶ振れ幅のある演出が挑戦的。
10.01.2025 15:52 — 👍 1 🔁 0 💬 1 📌 0
『ビーキーパー』
ヴェロナの動かし方(ステイサムとの当たり障りない対峙の仕方)やラストのまとめ方など、物足りない部分もあるのだけど、プロデューサーとして入ってるステイサムが自分の使い所をよく分かってるなーと終始感心しながら見てしまう。ステイサム映画としては完成されていると思った。
10.01.2025 15:43 — 👍 1 🔁 0 💬 0 📌 0
🇺🇸『ビーキーパー/The Beekeeper』を見る。噂通りに強すぎるアングラヒーローが無双する痛快アクションであり、狂った世直し人がどこまでも迫ってくるホラー映画であり、ところどころ可愛いギャグが入るコメディ映画であり、何より期待するものを全部乗せで見せてくれるステイサム映画だった。
仏頂面ステイサムが「唯一優しくしてくれたんだ」と溢すところや生搾りオレンジジュース飲むところ、「竜巻が通った後みたい」あたりのボケ、養蜂家なのに1ミリも蜂に思い入れなさそうなところなど、マッチョなステイサム映画の端々にほんわか要素を入れるところが人間臭くて良い。
10.01.2025 15:43 — 👍 1 🔁 0 💬 1 📌 0
#2024年映画ベスト10
1.🇮🇹夜の外側 イタリアを震撼させた55日間
2.🇦🇷トレンケ・ラウケン
3.🇪🇸ロボット・ドリームズ
4.🇷🇴世界の終わりにはあまり期待しないで
5.🇬🇪四月
6.🇯🇵夜明けのすべて
7.🇺🇸パスト ライブス/再会
8.🇧🇪Here
9.🇨🇦ユニバーサル・ランゲージ
10.🇬🇧哀れなるものたち
10.01.2025 15:41 — 👍 0 🔁 0 💬 0 📌 0
『女の子は女の子』
唯一苦言を呈するなら、中盤にシュリーが泊まりにきた晩のママは倫理観のタガが外れていて流石にうーんってなったのと、ラストの「教師の日」の出来事は唐突感があった。「少女漫画的なドラマティックな展開」を当てはめた感があって、折角のめり込んでいたのに冷めてしまったな。
30.11.2024 16:52 — 👍 0 🔁 0 💬 0 📌 0
🇮🇳『女の子は女の子/Girls Will Be Girls』を見る。堅物優等生女子が転入生に恋してしまい、なぜか母親を交えた妙な三角関係に発展していく物語。ちょっとエッチな展開含め少女漫画か!ってツッコミたくなる作品だったけど、これがインドの社会慣習を絡めて描かれるのは新鮮で面白かった。
途中まで倫理観疑うようなママの言動にイライラしっぱなしだったのが、ラストのあの出来事とシュリーの言葉の後に彼女の見え方がガラッと変わり、母娘の物語に昇華されていく演出は素晴らしかった。ミラ役のプリーティ・パニグラヒもママ役のカニ・クスルティも良い表情だったな。
30.11.2024 16:52 — 👍 0 🔁 0 💬 1 📌 0
『大仏+』
何より製作中の仏像の前で「南無阿弥陀仏」を末尾に付けながら罵り合う場面、秀逸すぎる。あのシーンだけでも何回も見たいくらいだったな。
30.11.2024 06:27 — 👍 0 🔁 0 💬 0 📌 0
🇹🇼『大仏+/The Great Buddha+』を見る。第91回オスカーの台湾代表。仏像工房の夜間警備員の主人公が、友人と暇つぶしに社長の車のドライブレコーダーを見ているととんでもない映像を発見してしまう。モノクロの映像の中に社会の端っこで生きる人々を捉え、シニカルでブラックな笑いを散りばめた良作!
チョン・モンホンが製作と中島長雄名義での撮影を務める作品で、とても出来が良かった。監督自身のナレーション、モノクロに映えるカラーのドライブレコーダー映像、二重の意味で決定的瞬間になるあの映像など、全体的にギャグセンスが高く、作品全体で良いアクセントになっていて効果的。
30.11.2024 06:27 — 👍 4 🔁 1 💬 1 📌 0
🇲🇽『スホ/Sujo』を見る。第97回オスカーのメキシコ代表作。叔母に育てられた殺し屋の息子スホが、カルテルによる血と暴力の世界から距離を置き、独立していく姿をスリリングに描く。『息子の面影』のコンビによる作品とのことで、前作同様に「良いんだけどもう一歩掘り下げ足りない」という印象。
30.11.2024 06:25 — 👍 0 🔁 0 💬 0 📌 0
『四月』
ただ、決してそういった視覚的な効果に依存し過ぎたつくりにはなっておらず、根底に流れるのはジョージアの女性が体験するリアルな窮状。あの人物はニナの精神世界における自画像だと仮定すると、とても効果的な演出だと思う。クルムベガスヴィリ監督にしか撮れない作家性の塊のような作品だった。上映してくれたフィルメックスに感謝!
30.11.2024 06:25 — 👍 0 🔁 0 💬 0 📌 0
🇬🇪『四月/April』を見る。『ビギニング』のデア・クルムベガスヴィリ監督の2作目。ジョージアの田舎で女性たちが直面する苦難を、違法な中絶手術を施す産婦人科医ニナを追いながら、代名詞とも言える長回しの連続で描く。映し出される映像の衝撃度合いが強く、言葉が出ないほど圧巻の映画体験だった。
冒頭と終盤に「これどうやって撮ったの?」という壮絶なシーンがあり、どうやら産婦人科に通い詰めて実際に撮ったみたいなのだけど、その衝撃が忘れられない。中盤のあの一部始終の長回しや随所に出てくるあの人物など、見えるもの/見えないもの含め視聴覚に訴えるインパクトの大きさに絶句。
30.11.2024 06:25 — 👍 0 🔁 0 💬 1 📌 0
『サントーシュ』
被害を訴えた女性が警官公認で相手男性引っ叩くとことか、女性警官の草むらでの放尿シーンとか、初めて賄賂もらうシーンとか、純粋インド人監督だったら切り取らなそうな場面も多く、逆にインド映画でフィーチャーされがちなホーリー祭は日常に溶け込ませてあっさり描く塩梅がよい。
サンディヤ・スリ監督、QAで出た「オスカー英国代表に選ばれたの何故だと思う?」という質問に「非英語の資格を満たす作品が英国には少ないだけ。でもインドでは本国代表(花嫁はどこへ?)と本作の2作が選ばれた!って話題なの」という返しがピュアで飾らない人だなと好感を持てた。
24.11.2024 12:17 — 👍 2 🔁 0 💬 0 📌 0
🇬🇧『サントーシュ/Santosh』を見る。第97回オスカーの英国代表作。寡婦の救済制度で婦警となったサントーシュが、ベテラン婦警と共に下層カーストの少女殺害事件の捜査に乗り出す。冗長ではあるけど、英国在住のインド人監督らしく、インド内外の双方の視点で映し出す社会情勢・慣習描写が面白かった。
インド社会に蔓延る様々な論点を扱いながら、ミステリーとしても一定の展開を見せようとするので冗長感はある。けど、寡婦の救済制度そのものやQ&Aでもあった細かなワンシーン毎の描き込みに、インド人・非インド人双方への目配せが丁寧なので、シンプルに興味深い場面が多かった。
24.11.2024 12:17 — 👍 1 🔁 0 💬 1 📌 0
🇰🇭『ポル・ポトとの会合/Meeting with Pol Pot』を見る。第97回オスカーのカンボジア代表作。革命下のカンボジアを訪れたジャーナリストたちが、「見せたいもの」だけを取材させられたり目的だったポル・ポトにも会えずに焦れながら時間を過ごす様子を描く。なんだかのっぺりした作品だった。
クメール・ルージュをこれまでと違った側面から見せようという意図はわかるけど、正面から描かない故に結局描きたいものが希薄になった印象。3人のジャーナリストの信条の違いからドラマが生まれるかと思いきや無風だし、土人形は「予算なかったの?」という感想しか生まれず。
24.11.2024 12:16 — 👍 1 🔁 0 💬 0 📌 0
🇻🇳『ベトとナム/Viet and Nam』を東京フィルメックスで見る。内戦の傷跡が残るベトナムを、戦死した夫の亡骸を探す妻や、密かに同性愛を育む青年たち、戦争で片腕を失った元兵士を追いながら描く。力を入れたであろう詩情感や長回しのショットが全然効果的に思えず。最後までどっちがベトでどっちがナムか分からなかった。
ハッとするようなショットもあったのだけど、ポエムを唱える演出は上滑りしているし、長回しが決して雄弁でなく蛇足になっている印象。結果的にテクニックに溺れて全然主題が浮かび上がらなかった(散漫になった)感じがする。疲労困憊で見た自分の集中力の問題かもしれないが。
23.11.2024 21:06 — 👍 0 🔁 0 💬 0 📌 0
『博士の綺奏曲』
ビジュアル的な印象も強い"ビースト”については、その容姿こそ気になるし魅力的なのだけど、創作モードに入った主人公の化身としての役割が与えられるのみでそれ以上でも以下でもなく、なんとなく出オチ感はあったかな。
23.11.2024 21:05 — 👍 0 🔁 0 💬 0 📌 0
🇻🇪『博士の綺奏曲/Me and the Beasts』を見る。マドゥーロ政権の息がかかった音楽祭にエントリーしようとしたことに怒り、バンドを離れた主人公。仕事を1ヶ月休み、1人でアルバムを収録することに。その様子を淡々と描きながら、ベネズエラ現政権の悪政下における生きづらさを炙り出す。
不勉強ながら、ベネズエラの政治状況や社会不安をちゃんと知らずに見たので、いろんな場面に散りばめられた息苦しさや社会不安の片鱗をキャッチし切れなかった。それ故に、主人公の独善的な面ばかり気になってしまった。コンテクストを知ることで印象がだいぶ変わる作品。
23.11.2024 21:05 — 👍 1 🔁 1 💬 1 📌 0
🇯🇵『アングリースクワッド 公務員と7人の詐欺師』を見る。税務署の公務員が天才詐欺師と組んで巨額の脱税をしている成金経営者から大金を騙し取ろうとする。上田監督らしい捻れた展開を期待したけど、思いのほかストレートなコンゲームでした。面白かったけど、期待は超えずというところ。
これマ・ドンソクのドラマが原作なんですね。物語が王道でスッキリしていたので、上田作品らしい癖が良くも悪くもなかったなという印象だったのはそのせいか。内野聖陽演じる主人公のキャラクターは、上田作品の登場人物らしい鈍臭さと人間味が滲み出ていて良かったです。
23.11.2024 21:03 — 👍 0 🔁 0 💬 0 📌 0
『Exile』
Xhafer役のミシェル・マティチェヴィッチの激昂するでもなく、身体の芯から怒りが滲み出る演技が素晴らしい。そして、ここにも登場する妻役のザンドラ・ヒュラー。2人の関係性の変化が、被害者であり加害者にもなり得る危うい構造を立体的に浮かび上がらせていて、巧いなーと思った。
21.11.2024 15:23 — 👍 0 🔁 0 💬 0 📌 0
🇽🇰🇩🇪🇧🇪『Exile』を見る。第93回オスカーのコソボ代表作。コソボ出身のXhaferが受けるハラスメントと、その”被害者”としてのストレスが増幅していく中で生じる人間関係の変化を緻密なまでに追った心理スリラー。見ていられなくなるほど居心地悪く、もう見たくないけどよく出来た作品だと思う。
これがドイツにおける移民への差別の実態なのかは分からないけど、万国共通で起きている普遍的な一コマであることは間違いない。繰り返し「クロアチア出身だっけ?」と間違われ苛々を溜め込むXhafer。悪気のない些細な間違いが、受けた方からすると強烈な差別や侮辱にもなるんだなと。
21.11.2024 15:23 — 👍 0 🔁 0 💬 1 📌 0
アスター作品は『ヘレディタリー』がトラウマで『ミッドサマー』は見てない口なのですが、やはり苦手。ただ、もう少しで和解できそうな気はする。最初は苦手だったヨルゴス・ランティモスとは『女王陛下のお気に入り』で和解できたので、アスターも次作あたりで分かり合えると信じてる。それにしても心の闇の深い人だよな。。
18.02.2024 12:57 — 👍 0 🔁 0 💬 0 📌 0
「悪夢を延々と見せつけられ、その圧倒的な世界観の前にひれ伏しつつも、ノレなかった」という意味でエミール・バイガジン監督の『ライフ』を連想してしまった。それくらい悪夢の描き込みは素晴らしく、3時間だけど不思議とのめり込める。ホラー描写も不快指数も抑えめで見やすい。好きじゃないけど。
18.02.2024 12:56 — 👍 0 🔁 0 💬 1 📌 0
🇺🇸『ボーはおそれている/Beau Is Afraid』を見る。アリ・アスター監督による、中年男性の悪夢に付き合わされる3時間の不条理コメディ。強迫観念に支配され主体性のないボーが、母親の死と対峙する中で深みに堕ちていく悪夢をたっぷりの尺をかけて描く。冗長だが面白い、のだけど好きにはなれない。
18.02.2024 12:56 — 👍 0 🔁 0 💬 1 📌 0
#2023年映画ベスト
#2023年映画ベスト10
1.🇺🇸バビロン
2.🇫🇷🇳🇱ベネデッタ
3.🇯🇵エゴイスト
4. 🇺🇸スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース
5.🇧🇪CLOSE
6.🇲🇳セールス・ガールの考現学
7.🇫🇷それでも私は生きていく
8.🇫🇷ポトフ 美食家と料理人
9.🇬🇧aftersun/アフターサン
10.🇯🇵少女は卒業しない
12.02.2024 22:40 — 👍 3 🔁 0 💬 0 📌 0
東欧/旧ユーゴ/カフカス/中央アジア映画研究家。人柱リテーターbyアリクイ先生。2025年はカナダ/ラトビア/アゼルバイジャン映画を! #東欧映画スペース もよろしく!依頼等は knightsofodessa0715 at gmail まで!
https://note.com/knightofodessa/all
だいたい考え事をしながら脳の中がぐるぐるしてます。男性です。映画にまつわるあれやこれやをしています。仕事にまつわったりまつわらなかったりすることを呟きます。x @patrick_oruet
世界人類のセロトニン再取り込みが阻害されますように。
Now is the envy of all of the dead.
https://letterboxd.com/nardog/
やおい性無機物
連絡は以下のアドレスまでお願いします cementthing@gmail.com
書いたもの: http://linktr.ee/cementthing
各SNSまとめ: http://lit.link/cementthing
🏳️🌈 🏳️⚧️Movie,Life and Arsenal FC.
We are all alone.
https://open.spotify.com/show/28uMTEfPmqgaCx27MLbfjz
No climax. No punchline. Just stop making sense.
人間は等しく、愚か(映画『おんどりの鳴く前に』より)
ほぼ映画と漫画とデザインと音楽とドラマ。
時々、吉田拓郎。
Emmy-winning writer, proud Philadelphian
理由も説明もなしにノベルアップ+から利用停止措置を受けたのでアルファポリスに移りました。
https://www.alphapolis.co.jp/mypage
俳優は銀幕の中で、作家は物語の中で永遠に生き続ける。
俳優と作家は不死者。
言葉を紡ぎ、夢を綴ることで生きた証を残したい。
それにより永遠の存在になりたい。
2023年3月14日「死ぬまでに観たい映画1001本」フルマラソン完走|『CLIMAX クライマックス』『ラース・フォン・トリアー レトロスペクティブ2023』寄稿|CINEMAS+映画ライター|世界遺産検定マイスター|イラストの無断使用禁止|依頼・質問はchebunbun.movieblogger@Gメールまで!