ユウジ

ジャージーシティ（ニュージャージー州）に住んでいた妻は、メイシーズの感謝祭パレードを毎年見に行っていたそう。
メイシーズ・デイ・パレードだ。Green Dayだ。
で、メイシーズのサンタクロースと並んで写真を撮り、欲しい物をお願いしてた、と。毎年。

なんて羨ましいんだろう！　と思いましたね、単純に。
映画やドラマでしか観たことのない、僕の憧れの、かつてのアメリカだ。

メイシーズのサンタさんは、ブースがたくさんあって何人もいる。ホワイトだけじゃなく、アフロアメリカン、アジアン、ヒスパニックのサンタさんもいる。ブース毎に。とは妻の談。

しかしさ、以前の僕は、家では一切まーったく料理はしなかった。
僕はプロだ。だによって僕の料理にはギャラが発生するのだよ。
なんて思ってた。
発生しねぇよ、僕の料理ごときに。

あのさ、休みの日に釣りに行く漁師さんはいねぇだろ？　それと一緒よ。
なんて言ってた。
いるよ、きっと中には。釣りに行く漁師さん。
何を意固地になってたんだろ、僕。かっこわる。
すりゃイイじゃん。出来んだから、料理。

結婚して習慣が変わったことのひとつであります。

我が家で晩ゴハンの仕込み。
コロッケというリクエストだった。
カニクリームコロッケのタネは出来た。冷蔵庫でオネンネしてる。
裏のお宅から自家栽培の南瓜を貰ったので、これもコロッケにしよ……とボイルしてみてびっくり。
スジスジかつベチャベチャで甘み皆無。稀に見るマズカボチャ。
素早くロボしてポタージュに変身。

コロッケもうひとつは、ポテトでよかろう、普通に。
てんで、大急ぎでタネを10分ほどで作り終える。
我ながら手早いぜ。フフフ。

本日は休みでR。←嵐山光三郎

何となく『タイニイ・バブルス』を聴いてたんですよ。歌詞カード眺めながらね。
で、「私はピアノ」で、ああっ！！　となったの。

＂あなたから目が離せない　ふたりして聞くはラリー・カールトン＂
＂あなたから目が離せない　ふたりして聞くわラリー・カールトン＂
のところ。

聞こえてくる歌詞は一緒なんだけどさ。
僕、45年間ずーーっと前者だと思ってた。
正しくは後者なんですね！
このふたつの文章、かなりニュアンスが異なってくるよね。
日本語っておもしろいなあ、と思う次第。

欧州からのお客様は、日本の「練り物」を喜びますね。ほぼ例外なく。
ちくわ、はんぺん、つみれ、薩摩揚げ、すじ（関西の＂すじ＂に非ず）。
クネル(quenelle)があるからでしょうね。
ただ、かまぼこだけは別。
喜ぶ方もいます。反面、消しゴムを食べているようだ、という方もいます。

明日の夜、雪の予報なんだがホントかな。果たして如何。
タイヤ交換、混んでるだろうなー。
僕は案外ビビりなので、11月に入るが早いかスタッドレスに履き替えたのだった。

大学は江古田にあった。
総武線—総武快速線—丸の内線—西武池袋線と乗り継いで片道1時間40分かかった。
ドアtoドアじゃなく、電車に乗ってる時間がね。

なーんで体育、一限目にあったんだろう？　悪意を感じるぜ。


その後江古田に引っ越すんですが、見つけた部屋、不動産屋の広告に「江古田駅徒歩2分」って書いてあったんですよ。
ハハハ、オイオイ。いくらなんでも2分はねぇべ？　と訝りつつ内見行ったらホントに2分で着いちゃって。
大層驚いたことでありましたね。

NHK夜ドラの「ひらやすみ」を観ている。

僕も大学に入った時、千葉市内の祖母の家が丸ごと一軒空いてるから、ってんで住んでいた。
住まわされた、と言った方がいいか。
ドラマと同じく平屋で、もっとずっと小さくて、もっとずっとボロ家だったけどね。
造作も全部そのまま使ってた。

ガッサガサの畳と閉まらない襖。
顔も知らない人の仏壇。
木枠にトタンを張った雨戸。
黄緑色の14型テレビ。
黒電話。
押し下げボタン1個の炊飯器。
バチンッバチンッって点火するバランス釜の浴槽。
全てがイヤだったな。
今思い出してもイヤな気分だ。

で。
夜中2時に目覚めてしまった僕は、すでに死ぬほど眠いのである。
よって、あとはスタッフに任せて昼寝するのである。
パネトーネの試作という本日の目標は果たしたので、僕ァもうイイのである。

いやほんと、おじいちゃんであることだなぁ……。

医師の友人（臨床医ではなく研究医）が来店、少し話す。

曰く、今の10代が高齢者となる頃には、ヒトの平均寿命は140歳くらいになる、と。
ホントかぁ？
だいたいさ、80歳の認知機能と身体機能のまま、そこから60年間生きるとしてさ、それって果たして楽しいのかね？

ほら、マックって言うじゃん普段はさ我々。西だとマクドか。そういうのないの英語じゃ。
——それは、マキディー。メキディー、って人もいるわね
だそうです。

【妻に発音してもらおう】シリーズ
マッダーァナゥズ
メッダーァナゥズ
（マクドナルド）

カタカナ読みじゃ通じない単語として有名ですね。

とにかく、ダー部分を強く激しく発音する。
てか、ほぼ「ッダーァ」としか聞こえず。

そう言うと、
——最悪、ッダーァだけでも通じるわよ
と妻。
ウソだぁ。通じねぇだろ。


語頭のマもしくはメ→ほぼ聞き取れず。
中間部のナゥ→ほぼ聞き取れず。
ただし、語尾の「ズ」ははっきり聞き取れる。

指摘すると、
——そ。そこ重要。必ず聞こえるように。じゃなきゃ単に人名になっちゃう
と妻。

そう言えばちょっと前にNetflixで観た、刑事ドラマシリーズ「特別捜査部Q」が、震えるくらいおもしろかった。
スコットランドはエディンバラが舞台。

劇中で被害者が、閉所恐怖症の僕は想像しただけで発狂しそうな状況に置かれるんですよ。
それがどんなんかは、まぁ観てみて下さい。

主人公刑事の相棒になる、アクラムが出色ですね。
シリアの警察官だったという設定。
常に、そして僕は途方に暮れる……みたいな顔してんの。
で、その表情のまま眉ひとつ動かさずに相手の肉体を破壊する。事も無げに。
そりゃそうよね、シリア警察だもんな、という説得力がありました。

ただし、水分多めのフィリングになるので、直ぐに食べないならパンが湿らない工夫が要る。
今回はシート状にスライスしたタレッジョでバリアしました。

妻の仕事深夜に及ぶと言うので、出がけに夜食を持たせる。
いつかのあのツナサンド、というリクエストあり。
妻に発音させると、トゥナサァンドウィチィズ。

なんでこんなに美味しいの？　と訊かれたツナサンドだが、別段変わってる訳じゃないです。


ツナは水煮缶よりオイル缶。オイル切らない。
塩しっかりめ＋塩の半量の砂糖。
マヨ多め。
玉葱じゃなく長葱。
黒胡椒多め。←必ず挽きたて。

とてもしっかりした味付けのフィリングになります。
ぼんやりしたツナサンドなんぞ願い下げだぜ！　という僕の好みによるものです。

高校生（女子）と接していて思うことだが、どうして彼女らはスマホで写真撮るのあんなに早いんだろうか。
友達と自撮り、なんてまーあ素早い素早い。
どうやってんだろ？
で、ちらりと目に入る彼女らのスマホ画面、文字がまーあ小ちゃい小ちゃい。

帰りの車中。
伊勢丹で買ったお弁当、僕は「亀戸升本」のあさり飯。
東京からの帰りに食べるなら、これと決めている。さほど高くなく、実に美味しい。
妻は、「おこわ米八」のお福わけいなり。色とりどりのおこわ稲荷が、なんと20個も入ってる！
お相撲さんか、キミは。


で、帰宅。
疲れたーー。
鳴きわめく猫ズに、すまんすまんと言いながらゴハン出す。

あなた歳も歳なんだから連休取った方がイイわよ、との妻の助言に従ったんで、明日も休みだ。

妻よキミは正しい、連休にしといて良かった……などと思いながら、車中で食べ残した妻のおこわ稲荷をつまんでいます。

銀座ミキモトにて。
あれこれ矯めつ眇めつして。
かたっぱしから取っ替え引っ替え着けてみて。
熟慮の末、妻が選んだのがコレ。
シンプルで良いと思う。
いかにも、真珠の指輪です、ってデザイン。

ただ、脇のダイヤ要らなくね？　とは思う（有り無しで30万円ほど違うの）。
うーん……。
まあでも。
これがいい、というキミの気持ちには応えたい。
つーことで購入しました！　
予算は高くっても70万て考えてたんですが、かるーく凌駕してきましたよ。(泣)


妻よ、遅くなってゴメン。
はい。これ、あげる。記念にね。
どうもありがとう。これからもどうぞよろしく。


さて帰ろう。
猫たちの待つ、愛しき我が家へ。

ああ、仲代達矢さん……。
どうぞやすらかに。長い間ありがとうございました。

僕のリアタイでの仲代達矢といったら、この2本。
鬼龍院政五郎。
大道寺銀造。
そうそう！　という方いらっしゃるはず。

銀座着きました。

かつての後輩が経営するイタリア料理屋で昼ゴハン。
妻を店主に紹介。
妻、容姿をベタ褒めされて照れてしまい、あまり食べず。
……と言いたいところだが、却って弾みがついたような食べっぷり。

すでに我ら、車中の人であります。
あずさ号は一路新宿へ。
妻は発車するや早々にお弁当を食べてしまった。いるよねェ、こういうヤツ。
では、行ってきまーす！

本日11月11日は結婚記念日。
で、かねてより妻と約束してた——させられた、んだが——真珠の記念指輪を買おうか、と。
元々は去年買うつもりだったんだけど、僕の身体にあれこれの不調が襲来し、うやむやになってた。
で、今日、妻と銀座ミキモトへ。

真珠なら他のお店もある。何故にミキモトか。
ま、理由はないんです。
ただ、僕の家では、宝飾品はミキモトって決まってた。祖母も母も。

我が家には「決めている店」てのがいくつかあった。
お団子は追分、羊羹は青柳正家、干菓子は菊廼舎、洋菓子はゴンドラ、あんみつは寿々木。
肉まんは五十番、中華は銀座アスター。
って。

開店前にキャロル・キングを聴いてる。
晴れた秋の空に、キャロル・キングの声ってぴったりだと思うな。ずっと前からそう思ってる。
今聴いてんのは「喜びは悲しみの後に」と「サラブレッド」。
「つづれおり」は敢えて聴かないのね、捻くれ者だから、僕。

日曜日なのに珍しくお休みであーる。
出かけようかと思っていたが、冷たい雨が降り続いてて、そんな気にはなれず。
妻とふたり家にいる。
ふたりで家で過ごす休日の午後。することといったら一つしかない。


あ、そこのあなた！　いまちょっとえっちなこと思い浮かべましたね？
いやだなァ。UNOですよ、UNO。
……ま、UNOってのもウソですけどね。あれ、ふたりで遊んでもイマイチ面白くないしね。

妻から、ピアス穴をいっこ増やした、と報告。
ふーん。ま、好きにすればよろしい。

でも個人的には、ピアスは苦手だ。
体にトンネルを作る、というイメージにゾワっとしちゃう。


が、弊店のお得意様に「シバさん」というナイスガイがいらっしゃいまして。
この方のおかげでだいぶ慣れました。
最初はお顔を直視できなかった。お顔は皮膚6/ピアス4、くらいの割合。

「シバさん」というのは、渾名です。
金原ひとみ『蛇にピアス』の＂シバ＂（映画では井浦新が演ってた）からきています。

本日夕方、銀座MIKIMOTOの訪店予約を取ったぜ。
取ってやったぜ。フフフ。


電話口で、どんなものをご所望か、と訊ねられ、たどたどしく説明する。
予算を訊かれた段で、
「んと、あのう、えと。ご……いや、ろくじゅ……あの、ななじゅうまんえんっくらいかなァ……」
とモゴモゴやってたら、妻がスマホを奪い取り、ビッシビシ指示を出している。

妻が「取り敢えずはァお値段問わずでェ」なんて言ってるのが聞こえた。
いやいやキミ、問いなさいよ。
問え問え！　問えよ真っ先に！！

我ら夫婦は、まもなく結婚記念日を迎える。ついてはいつか約した記念の真珠指輪購入の件、如何様にお考えか。とっくりお聞かせ願いたい。
と、妻に詰められた。
おおっ？　憶えてやがったよ。執念深いねえ。
昨年買うつもりでいたんだけど、僕の新型コロナ罹患やら目の手術入院やらでウヤムヤになってたんだった。

すまんすまん。
はいはい、買います買います。
（もう腹括るしかない）
じゃ、ま、来週繰り出そうじゃないか、ねえ。東京は銀座MIKIMOTOへ！

たった今起こった、幸せなできごとを教えるぜ。
膝の上に乗ってきた次男猫が、グーパーグーパー——子猫がおっぱい飲む時の仕草。別名フミフミorパン捏ね——してくれた……！
たまーにしかやんないんだよね、ウチの猫ズ。

ホントに、最後に大声でこう言ったんだよね。
嬉しかったなあ。
いつか僕も、スタッフ採用の時こんな風に言ってみたい、と思いながら果たせずにいる。

でもまあ、あのとき開かれていた門は、地獄の門だったんですよねー。
知る由もなかったけど。

先日Xで、ある方とDMを遣り取りしてて、思い出したこと。
いや、正確に言うと思い出したんじゃなく。
ずっと憶えていること、だ。

最初に入職した店で、採用面接の折、シェフに——後に師匠となる人に——こう言われた。

——うん。世間の基準からすれば遅いね、今から君が料理人を志すには。でも、遅すぎる、って歳でもないよ。それにね、料理人になろうとする君を、止めることは出来んのだよ僕には。この僕もそうだったから。僕は厳しいし、ウチは給料も休みも少ない。それでもよければウチへ来なさい。当店の門は、常に開かれています！！